東友会・日本政策金融公庫の活動
(このページの写真はすべて私が撮影した写真です) 河野 善福 記
(挨拶および講演の概要を筆記したもので、発言のすべてではありません)
日本政策金融公庫 新宿支店 中小企業事業内 東友会 新年賀詞交歓会
日 時 平成26年1月29日 (水)
場 所 ハイアットリージェンシー東京 「クリスタルルーム」
【 東友会 浅沼会長挨拶 】
あけましておめでとうございます。 昨年の挨拶でお話したことは、どなたの挨拶も、
全てが外れました。 今年は輸出関連企業が
円安で好調であり、その他の中小企業に至るまで景況の良いと答える人が多く、
この一年が楽しみです。
【 新宿支店 渡辺事業統括 挨拶 】
新年明けましておめでとうございます。 日頃は日本政策金融公庫のご利用有難う
ございます。今年の正月はどこに行っても明るい話しばかりで、初売りも好調とのこ
とで喜ばしいことです。しかし、円安によるエネルギー・原料のコストアップがこれか
ら見えており、3月までは忙しいが、4月以降は心配だという企業もかなりあります。
私は、このまま美味く行くと思います。追い風の時は美味く行くものです。足元で盛
り上がっているものを押さえてはいけません。
会社にとってどんな資金が必要なのか?。当公庫は色々な資金を準備しています。
海外への進出を検討されている方も、色々な手を打っていかねばならないので、ご相談下さい。昨年はミャンマーを視察してきました。タイ・バンコクに5
人、上海に4人、駐在していますので、現地で何かあったら相談に使ってください。現在の企業は音楽に例えるなら、「聴衆は満員で開演を期待していま す。どんな音楽を聞かせてくれるのか?。」 小沢征爾さんは「私の履歴書」の中で企業経営は音楽の演奏と非常に良く似ていると書かれています。 頑張りましょう。 ご出席の皆様の企業の発展と、ご多幸ご健勝を祈念して新年の挨拶と致します。
講演会 テーマ 「どうなる? 日本経済の行くへ」
講 師 宮崎 哲弥氏 評論家 1962年 福岡県生まれ
慶応義塾大学文学部社会学科卒業
テレビ、ラジオ、雑誌等で評論活動をおこなう。
【講 演 要 旨】
先日逝去された「やしきたかじんさん」は、歌手ですが、関西ではトークで人気者でした。
たかじんさんがポストをやっていた『たかじんのそこまで言って委員会』(読売テレビ)とい
う番組があります。編集無しでは放送できないような過激な暴言や、名誉毀損も恐れない
トークで人気番組でした。
ちょうど『テレビタックル』と同じような番組です。『テレビタックル』も三宅久之さんと田島陽
子さんが罵り合っているかのような過激なトークで話題でした。具体的な人の名前をピー音
で隠すとか、「従軍慰安婦問題」、「南京事件」、「靖国参拝問題」などでは、とても私にはそ
こまでのトークには入れません。「朝まで生テレビ」などもそうですがこれらの番組は殆ど打
て合わせ無しで、1時間番組は2時間録音しこれを1時間に切っておりました。
本題の日本経済ですが、マクロ経済で見ると日本経済は2012年の年末当たりから大きく変わったと言えます。日本では政治が経済をかえると言うこ
とはなかったのです。欧米ではよくあるのですが、日本では選挙の争点が政治の争点になるということは殆どなかったのです。2012年の選挙では始め て経済が選挙の争点になったのです。昨年末からはやっと中小企業にも好況感が反映されるようになりました。政策が経済を動かせるということを立証 したのです。政治と経済が深く関わっているということを立証した始めての年なのです。このことは世界的にも注目されていて、「ダボス会議」でも非常に 期待され暖かく取り上げられており、高い評価を貰っています。これからは政治が経済と密接に繋がり深く関わってきます。
これからの政治が注目されていますが、今の政治は停滞しています。エネルギーの基本計画は今年中に出されるのですが、原子力発電をどうするかと
いう問題でも、これは再稼動させると言う閣議決定のよていでした。しかし、これの決定を延期しました。明らかに東京都の選挙の結果を睨んでいると思 われるのです。経済政策全般についても、4月に消費税が3%増税されます。これが4~6月にどういう結果になるのか、GDPがマイナスになるようなこと があれば、5,000億円の補正予算では足りません。殆ど全ての経済学者が「ここは落ち込む」と見ているのです。7月以降には回復すると予測する学 者が3分の1居ます。10〜12月には回復するだろうという学者も約半分居ます。残りの3割は越年すると見ています。私は回復の期待を込めて悲観し ています。これは単純に国内だけの問題ではなくて、米国など国際的に見て、本当に堅調に回復してきているのかぎもんです。
米国のイエレン新FRB議長〔女性初〕は経済が回復したら金融緩和政策を縮小すると発表しました。このインパクトを充分に吸収できるのか?。アル
ゼンチン通貨の下落と言う例もあるので楽観は出来ません。もう一つは、中国です7.7%の経済成長ですから悪くないように見えますが、足元では静寂 だと見られています。これらが大きな崩れを見せたときには世界的な崩れに繋がりかねません。消費増税は長期的にはプラスなのですが、世界経済の 凹んでいる時と消費税の増税とが重なると、凹みは大きく非常に判断の難しい局面を迎えます。
4月以降はどうなるのか、長期的な計画も立てにくいのでしょうが、これらは4月以降の需要を見てみないと判りません。現状は昨年末当たりから中小
企業にもやっと恩恵が廻ってきたという感じです。しかし、全体としてみるならマクロで見ると危険状態です。株式のような短期的な予測を私はやりません が、昨年初めにやらされて年末予測を13,000円としました。1万3〜4,000円と言うのは強すぎると考えました。
私は経済に関してはプロではありませんが、当時は10,000円でありまして2〜3,000円は上がると見ていました。為替は95円と見ていましたが10
2円になりました。
日本の自殺者は1997年に24,000人でしたが、98年にデフレ経済になると32,000人となりました。これは明らかにデフレの所為だといえます。
その後のデフレ時には職にありつけない人や、高齢化・病気などによってずっと年間3万人でした。それがこの2年間は27,000人で、2012年の中頃
から急減しています。 生活保護者も本格的なデフレに入った1998年には100万人だったものが、今では215万人になっており4兆円の支出です。生 活保護者は不正受給者も居るのですが、高齢者だけだと100万人くらいですから、若者が多くなって居るといえます。このことはデフレと言うマクロの影 響が働いているとしか考えられません。少なくとも150万人くらいに減らさないと財政圧迫の要因になっています。
わが国の国の税収は、1997年に消費税を3%から5%に増税した時に54兆円でした。消費税は1%で2兆円の増収になるので4兆円の増収になる
筈ですが、翌年から税収は減り続け財政悪化となりました。消費税を上げた所為だという人も居ますが、この年にアジアの通貨危機がありましたのでこ れが主因であると考えています。しかし、通貨危機は3年くらいで終えているのに税収は一貫して下がり続けているのです。税収の内訳を見ると、消費税 は景気の影響をあまり受けない安定した税収で3%の頃はおよそ6兆円であり、5%になってからもほぼ10兆円で推移しています。所得税は91年に26 兆円でしたが97年に19兆円その後も下がり続けて、最近は13兆円台です。デフレの所為で企業収益が下がっており減収となっているのです。安倍政 権がデフレ脱却を掲げているのもここにあります。
現在のわが国の歳出は100兆円、税収は40兆円くらいです。2003年に税収は43兆円、2007年の51兆円まで毎年延びていました。この時公債の
発行額は、35兆円から25兆円まで毎年減っていたのです。 2007年には日本経済を立て直す好機が有ったのです。第1次安倍内閣の時で、株が1 8,000円、円が120円でした。景気が良くて税金が払える。景気が良いので財政支出をする必要がない。日本経済を立て直す鍵がここにあります。
この時は完全失業率も3.6%です。2009年には5.5%にまでなって現在は3.8%です。最近は株価と言い、円といいきわめて良好な状態にあるとい
えます。2007年の安倍内閣のときに一つだけ上がらなかったものがあります、賃金です。2008年に日本はリーマンショックの奈落に落ちました。リー マンショックがもう1〜2年後であったら、賃金も上がってデフレからも脱却していたでしょう。開発途上国や発展途上国の経済成長率は7〜10%で推移 していますが、先進国は3%行けば良すぎるといわれています。その中でわが国の2003年から2007年までの経済成長率は毎年2%弱で及第点で推 移していました。毎年2%づつくらい伸びて行く、こう言う形がいいのです。しかし、2008年にはリーマンショックでマイナス3.7%にまで落ちていきまし た。リーマンショックが如何に大きな経済成長を阻害する要因であったかがわかります。上下に激しいのは良くないのです。昨年は1〜3月が4.5%、4 〜6月が3.6%、7〜9月は1.1%くらいで推移しており、年間では2%ちょっとくらいになると思います。
2014年の政府の予測は消費税の影響があり1.4%です。賃金は上がっていないのですが、新卒者の就職状況も良くなってきています。なぜ給与が
上がらなかったのかと言うと、名目成長率が上がっていないからです。実質経済成長率は、物ベース・金額ベースですので皆が働けば上がっていきま す。しかし、名目経済成長率は実質成長率+インフレ率なのです。したがってデフレになればマイナスになります。企業収益や私たちの懐に実感としての こるのは名目成長率のほうが近いのです。ですからデフレではだめなのです。
身体に例えるならデフレは血液が全身に廻ってくれず、体温が下がっていってる状態です。健康な身体にするためには、2〜3%のインフレが最良の血
液のめぐりなのです。
日銀は黒田さんが昨年4月に、およそ2年間で2%の物価上昇にするといっています。政府もおよそ2%の実質経済成長を目標としています。今後財政
支出をどのくらいやるかに掛かってきます、5.5兆円の支出をすでにしました。消費税はそんなに影響ないといっていますが、へこむようであれば新たな 支出を考えてもらわないといけないでしょう。4月の消費税増税はもう撤回できないが、第2次安倍政権の失策だと思っています。これをカバーするだけ の充分な金融面での支出をすれば、なんとか3%には持っていけるかもしれません。もし、名目成長率も低迷し、インフレ率も達成できないということにな れば、アベノミクスは失速だといえます。そう言う事になれば企業収益は下がり、株価も下がってきます。阿部さんの下に居る党の仲間が言うことを聞か なくなり、野党との再編の機運が高まってきて、早期解散と言うことになるでしょう。そうなると、今のような強い経済政策も採れず、弱い国になっていくで しょう。経済政策としてはここが正念場で、ここをちゃんと越えなければ、この15年間のような状況に戻ってしまうでしょう。そうならないためには政府が 財政面と金融面の応援を行い、デフレに戻らないための施策を行わなければならないでしょう。私は叱咤激励くらいしか出来ません、楽観は出来ないで しょう。来年になってあの時は杞憂だったねと言いたいです。今は、色々な警鐘を打ち鳴らしているところです。
新聞等は第3の矢が鍵だと言っています。構造改革というのは時間が掛かります。日本を成長軌道に乗せるためには必要な施策だとは思うのです
が、今急いでやったからといって、4月増税のへこみをなくすことにはならないし、今の状況から抜け出すためにはならない、将来日本がこのデフレから 抜け出すためには必要な施策でしょう。
法人税率の引き下げは、企業経営者にとってはプラスになるのでしょうが、財務省がかなり強行に反対するでしょう。経済産業省はやりたいと思ってい
るようです。実行税率の引き下げは政治的な争点になります、世の中的には法人税の引き下げを消費税の増税で賄うのかと言うことになりますから、そ れを越えるような説得力があるのかと言う事になります。
規制緩和も急いでやることではないと思っています、領域を限ってやるなら良いでしょうが、勝手は過当競争を招いてしまったということもありますので、
改善のためにやるべきで、景気対策としては急いでやるべきではないと考えます。
2013年の国内企業は国内的にはデフレ、海外的には円安、中国や韓国に席巻されてきたという側面があります。15年間、円高のハンデ戦をしいら
れてきた日本企業の底力が試される時が着た、真に公正な競争の時が着た、その時に生き残れるか、豊かになれるかが問われる。民間の力の正念場 がきた、そう考えるべきです。あとは企業の皆さんの努力です。
私は「日本の21世紀の、後半の運命はあと5年で決まる。」と、言ってきました。第1に日本の経済の障害を取り除く。次にみんなの努力でミクロの力
を結集する。そこで日本の底力を出せるかどうかが鍵になるでしょう。安全保障改革を行い、税制を改革し、高齢化社会に適応した社会保障制度も改革 しなければ成りません。漫然と過ごしていたら、中国の影響下に甘んじなければならないでしょう。
中国とは今年中に首脳会談に持ち込むべきだと考えます。両国が色々な課題を抱えていることは事実ですから、話し合うことです。外交的には解決し
たとしても、これからの中国とは色々な面で対峙し利害関係が出てくるでしょう。領土問題の解決はすぐには無理だと思います。中国と伍していける国を 作りその底力を見せて欲しいと思います。
【 日本政策金融公庫 中小企業事業統括 小林様 挨拶 】
改めて、あけましておめでとうございます。昨年中は新宿支店がお世話になりました。今年もよろしくお願いいたします。
私も今年は間違いなく景気の回復が見られると思います。特に中小の製造業では設備計画は持って居るが投資に踏み切れないで居るようです。これか
ら景気はどう回復していくのかが、一つのポイントで設備投資が活発化していくのでしょう。 もう一つは賃上げ問題です。中小企業では難しいが、大企業 はあれだけ改善が著しいので賃上げをするだろうと思います。消費税が引き上げられた後に消費が回復していけば、中小企業にも好影響となり、中小 企業の賃上げに繋がるそういう形が望まれます。
そのために政府も、設備投資を初年度に100%償却できる制度を発表しました。当公庫としても大規模な設備投資をする会社への融資制度や、給与
総額を増やす、海外進出をする、海外への販売開拓をする、企業への融資制度を検討していますので、決まり次第担当者から説明をさせます。
今年の当公庫の年賀式典で総裁が「自分に厳しく、相手に優しく」と話されました。私も職員に「皆様方のニーズにこたえられる眼力を身に着けよ」と指導
していきたいと思っていますので、至らぬ職員がいたら厳しく言って頂きたいと思います。 皆様方の企業がいい年になり繁栄されますことを祈念し新年 の挨拶に代えさせていただきます。 |