患者さんから見た医療過誤を防ぐ20の助け
『おことわり:このマニュアルは米国厚生省に相当する機関が公表したものである。
このマニュアルは患者さんばかりでなく、医療従事者側でも大変参考になるもので、
一部日本の実状に合うようにアレンジし、要約翻訳したものです。
皆様へ少しでもお役に立てば幸いです。※は訳者が注釈をつけた。
Agency for Healthcare Research and Quality(AHRQ)が2000.2に発行したものである。
原文はhttp://www.ahrq.gov/consumer/20tips.htmをご覧ください。』
米国では44,000〜98,000のヒトが年間医療過誤でなくなっている。これは交通事故や肺ガン、エイズで亡くなっている数より多い。米国政府機関は民間集団健康ケア団体と共に、患者と公衆のために、より安全な米国の健康ケアシステムを作成した。これは個人で出来る20箇条である。 医療過誤とは?医療ケアの一部分が遂行されないとき。最初から間違ったプランの時。医療過誤は健康ケアシステムのどこででもおきうる。病院、クリニック、外来外科センター、ドクターの事務所(開業医の診療所)、ナーシングホーム、薬局、患者の自宅。過誤には、投薬、手術、診断、機器の装置、検査報告が含まれる。それらは最も
ありふれた仕事の中でおきる。例えば、入院患者に減塩食を与えるところを高塩食を与えてしまうような。 大部分のエラーは今日の複雑な医療制度によって生じた問題から発生している。しかし、医師と患者のコミュニケーションが問題でおきることがある。医師は患者に十分なインフォームドデセジョン(説明と自己決定)を行っていない。内容がわからない、単純な単一化した患者は、医師の治療の選択をいかに受け入れるべきかわからないし、治療の作業書を作ることの必要性もよく理解出来ない。医療を受けるとき、あなたはなにが出来るか。 1.医療過誤を防ぐための最も単純で重要なことは自分のヘルスケアチーム(医療チーム)のアクテーブメンバー(活動会員)になることである。自分自身がヘルスケアのあらゆる決定に参加することである。調査は、自身の医療に最もよく参加している患者は良い結果をもたらしている。※治療を受けるときは自分が主人公であること、他人任せにしない事が重要。
最も過誤が少なかったという科学的根拠に基づいて、2.以下の条項を示す。 投薬
2.自身が服用しているすべてを、あなたのかかりつけ医師のすべてに、確実に知ってもらうこと。これには処方箋、薬局で売っている薬、ビタミン剤やハーブのような栄養補助剤、も当然含む。少なくとも年1回は自身が服用している薬、栄養剤等をかかりつけの医師に見てもらう。持ち込まれた薬はあなたと医師が薬について話し合うのに役立つ、もし問題があれば見つけだすことが出来る。又ドクターはカルテを最新のものにすることに役立つ。それはよりよい質の高い医療をを可能にする。※日本の場合、保健用食品、漢方薬、民間療法等も含みます。
高齢者で多剤服用している方は、薬剤の相互作用副作用等、を知る上で隠さず報告して欲しい。 3.あなたが服用しなければならない薬のアレルギー副作用反応を、ドクターから聞いて 確実に知っておくこと。これはあなたを害する薬となることを防ぐのに役立つ。※例えば今まで服用した薬で薬疹がでたら、その薬剤名は手帳に記入しておく。
4.ドクターが処方箋発行したとき、あなたがそれを読めるかどうか確認する。ドクターの手書き処方箋が読めないなら、調剤の薬剤師も読めないかもしれません。 5.あなたの薬が処方されてあなたが受け取るとき、患者のわかる言葉で薬の作用を知ること。 ・何のために服用するか? ・どのように、期間はいつまで? ・副作用はどのようなものか、起こったときどうするか? ・他の薬、栄養剤等との併用は大丈夫か? ・この薬を服用しているときどんな食物、飲み物、運動等は避けるべきか? 6.調剤薬局から薬を渡されたとき、この薬は私の主治医が処方したものかどうかを聞く。 マサチューセッツ大薬学部と連合健康科学の研究では、投薬過誤の88%は、間違った薬、間違った量であった。※こんなに間違っているはずがないと訳者は思うが、原文にはそう書いてあった。
7.薬袋や薬の説明書に書れた薬の飲み方に疑問があれば、必ず質問すること。 薬の説明書は理解し難い。1日4回服用の時は起きている間に服用するのか、6時間ごとに夜中も起きて、服用するのかを聞く。 8.水薬は正確に計量されているのか、薬剤師に聞く。飲み方が不確かであれば質問すること。 調査によると、多くのヒトは水薬を正しく計量する方法を理解していない。例えば、家庭用のスプーンは液体を正確には計れない。特殊な装置、例えば目盛りのついた注入器(注射器)は正確に計量できる。そのようなものをもっと使われるようになるべきである。 9.あなたが服用している薬の副作用について文書を求めなさい。 もし、副作用が出現することを知っているならば、それが起こっても、又は予期せぬ事が起こっても、うまく対応することが出来る。このようにして、その問題を正しく報告して、悪くなる前に改善出来る。文書化された情報は副作用を認識させることが出来、医師や薬剤師に情報を伝えることが出来る。 入院
10.もしあなたが選択できるのなら、あなたの病気の臨床経験の多い病院がよい。 調査はその結果を物語っている。※臨床経験豊かな病院の探し方は口コミでも、かかりつけ医に聞くのも、1方法。
11.入院中ならば、あなたが直接接触しているすべての医療従事者に手を洗っているかどうか尋ね、考慮してもらいなさい。 手を洗うことは院内感染を防ぐ方法として重要である。いまだ、規則的に徹底して十分行われていない。最近の研究では患者が医療従事者の手洗いをチェックすることで、医療従事者は頻繁に石鹸をつけて手を洗うようになった。※この考えは非常に大切で外来でも、医療人として心掛けて行かねばならない。
当院では聴診器も消毒用アルコールで清拭しています。 12.退院するとき、自宅で行う治療計画を主治医に説明を求めなさい。 このことは、服薬学習や通常生活復帰したとき、必要なことも含む。調査は、退院時、主治医は患者が家に帰ったとき、して良いことと悪いことを主治医以上に理解していると思っている。 手術
13.あなたが手術を受けるとき、あなたや主治医や外科医が全て同意して、手術することが、正確で明瞭であることを確かめる。 間違った部位(例えば右膝の代わりに左膝を手術した)の手術はまれである。しかし、かっては、しばしばあった。今は間違った部位の手術は100%防止しているというニュースがある(米国整形外科学会では手術前に手術部位に直接マークをつける事を強制している)。 患者さんが取らねばならないほかのステップ(道筋).14.もし疑問や関心があれば、腹蔵なく話しなさい。 あなたを治療している全ての医療従事者 に、質問する権利をあなたは有しています。 15.あなたを管理しているかかりつけ医又は準ずる方を、きちんと作っておきなさい。 このことは、あなたが多くの健康問題を有し、また入院中なら、特に大切である。 16.あなたの医療に関わっている全ての医療従事者はあなたについて、重要な健康医療情報を持っていると言うことを確かめなさい。 医療従事者が必要である全てを、医療従事者の誰もが全て知っているというわけではない。 17.家族や同居友人、支持者を求めておきなさい(もしあなたが自己判断が出来なくなったときにあなたに代わって物事を遂行したり、弁護したり出来るヒトを作っておくと言うこと)。 今あなたは必要ないと考えていても、あとで必要になることがある。 18.”さらに多くの”、と言うことは必ずしもよりよいことではないと言うことを、
知るべきである。なぜ検査や治療必要か、それが如何にあなたを助けるかを知ることは良い考えであるが、やめた方がよい場合もある。※意味がはっきりしないが、過ぎたるはなお及ばざるがごとしということか。
19.もし検査を受けたとき、何もいわれないので良いニュースであるとは限らない。 結果は聞くべきである。 20.主治医や看護婦、他の信頼できる情報もとから聞くことによって、あなたの体の状態や治療について勉強しなさい。例えば、最近の科学的証拠に基づいた推薦できる治療法は国家ガイドライン広報機関(米国)http://www.guideline.govから利用できる。自分の治療方法が最近の証拠に基づいているかどうか主治医に尋ねなさい。