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昨年のCRM seminar で「conflict resolution」を考えました。 「conflict」とは「闘争」「衝突」「争い」「軋轢」などと訳されますが…。 まあ「むっとくる」という感じでしょうか。 私たちが組織の中で仕事をしていても、真剣にしていればなおさらこういうことは、日常よく起きています。 (起きていないと思うのは、言いっぱなしでいい偉い人か、無神経な、「悪気のない」人でしょう) conflictの原因は2つに大別されます。
しかしコンフリクトがある組織(チーム)が悪いわけではない、といわれています。 メンバーが高い意欲を持つほど違った主張をすることがある、といわれているのです。仮に「チームの和」を尊ぶあまり、 違った意見を言わない場合はどうなるでしょう。そのチームはチームとしての問題解決能力が低下し、 一人でいるのと同じパフォーマンスしか発揮できないでしょう。 反対にチーム内に意見の相違が生じたとき、その理由をはっきりさせ、真の原因を見つけだし解決したとすれば、 そこで導き出された解決策は全てのリソースを反映した最良のものになるはずです。またチームの志気も上がるに違いありません。 しかしそうは言っても、単なる意見の相違から対立へと発展することは、誰にとっても大きな心の負担です。 そのため出来るだけ対立を避けようとしたり、やむを得ず対立が生じると、これをあいまいなうちに収めようとしたりする気持ちが働きます。 他人との対立を避けたり、抑えようとする気持ちは本来人が持っている傾向といわれています。また、言いにくい立場、というのもあります。 しかし、この傾向は各人の持てる力を発揮できないばかりか抹殺してしまう事にもなりかねないのです。 コンフリクトはチームが問題解決をする上で避けて通ることの出来ない関門ともいえ、またチームのメンバーにアイデアや能力を噴出させる源ともいえます。 ですから、むしろ「歓迎」するくらいの気持ちを持った方がいいのかもしれません。 そして「コンフリクト」を乗り越え問題を解決したときにチームのパフォーマンスが増大するようなコンフリクトのことを「知的コンフリクト」といい 積極的な評価がされるそうです。 コンフリクトを解決し「知的コンフリクト」へと導くためには
A社のCRM訓練でもほとんど同じ事が言われています。
組織とコンフリクト 今までの話は「個人」対「個人」を想定して述べてきましたが、「失敗学」の畑村洋太郎東大名誉教授はコンフリクト(摩擦・軋轢)の必要性を 「組織の成熟」の側からあげています。((1)下の図は『失敗学の法則』から) 組織の運営 組織が発展途上で若々しいうちは図のように各部門が重なり合い、ある意味では「おれが」「おれが」というように他の部門の問題であっても口を出し、 意見の対立や軋轢が頻繁におきるような状態だそうです。ところが組織が成熟してゆくに従って、そんなことがなくとも 組織の運営がスムースにいくようになってからは、次第に他の部門の事に関してはコンフリクトを避け、「口を出さなく」なり 「遠慮の固まり」になってしまいます。セクショナリズムが進行し、組織の隙間が、その接合面でのトラブルを避けるに従い徐々に広がっていきます。 そして、LとLの隙間(チームとチームの隙間)が出来たところに事故が起きがちだ、というのです。 この隙間の大きさは組織の成熟度(年齢)に影響される、といい「無事故組織」(無事故企業として有名なものに、 デユポン、住友スリーエム、カンタス航空、旭化成などがある)はこの隙間を減らすために様々な努力を払っています。 (それについては別稿にしますが)「風とうしがいい組織」とか「何でも言える環境・組織」とはこういう事なのです。 その結果、生き生きとした、かつ安全な組織が出来るのです。 つまり「摩擦・軋轢・コンフリクトがあるのが健全な組織でありチームである」ということです。 そして、それをまとめ上げる、正しく解決するリーダーシップの必要性を述べています。 「conflict resolution」はそのために身につけなければならないHF(CRM)スキルなのです。 引用紹介と註解[2005.7.1追加] 今回は以下の文献・資料を参考にさせていただきましたが、引用の誤り、解釈の誤 り、「思い込み」があるかもしれません。是非、原典にあたることをおすすめしま す。 <引用元> 1)畑村陽太郎 (失敗学の法則 文芸春秋) | ||||||||||
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