HFセンター(HFC安全文化セミナー2002.7.31.)では「ベテラン」のエラーには以下のような特徴がある、といっています。SRKモデルを頭において考えてみてください。
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1) |
ベテランは「不注意」になる
人間の行動レベルにはスキルベース、ルールベース、ナレッジベースに分類できます。
ナレッジベース:初めての事象に遭遇したとき、意識上で内外の知識を参照し、考えて対処します。ですから初心者はすべてナレッジベースの行動といえます。
この認識プロセスは時間がかかります。
ルールベース:日常よく経験する事象に関しては、対処方法があらかじめパターン化され、事象に対して適当な対処方法が当てはめられることにより対処されます。
マニュアル通りにすればよい、ということです。
スキルベース:繰り返し起こってくるようなことに関しては、行為が自動化され、無意識のうちに対処されることになります。
つまり初心者はナレッジベースの対処ですが、だんだん慣れるに従ってルールベース、スキルベースでの対処が多くなります。
行動が意識化されずに対処される、というのですから意識されないということは、注意もされないということになりかねません。
結局、どんな職場でも、ベテランになるほど本人が意識しない限り「不注意エラー」が多いといわれています。
例 輸血の際の血液型のとり違い
冷蔵庫から血液バッグを自動行為で取り出し、血液型を確認しない。
てばやくやってしまう。
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2) |
ベテランは「思い込み」をおこす
ベテランは経験があるだけに、意識的にも無意識的にも、自分の思い込みを優先してしまいます。たいていのことはそれで間違いがありません。
そこで「確認をしない」「表示を無視する」「人の言うことを聞かない」ということが生じます。
「思い込みからの脱出[1]」が必要です。
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3) |
ベテランは「故意の違反」が多い
どんな仕事でも「穴はあってもスイスチーズ」2枚分くらい?は多重防御になっています。つまり多少規則を破ってもいきなり事故へと結びつくことは殆どありません。
その結果、規則はベテランによってたびたび破られます[2]。
規則を破る理由としては必ずしも「悪意」ばかりではないようですが間違った好意、善意(こうやってやれば早くできる、など)。
安全余裕の過剰信頼(これくらいは大丈夫だろう)とともに、格好をつけたり、マンネリ、惰性などもあるといわれます。
「違反行為」も事故にならない限り、周囲もベテランには注意しにくいため大目に見たり、うまくいくともてはやしたり、管理者側も「臨機応変」」などとわけのわからない「誉め方」をしたりします。
なかなか改めるのはむずかしいのですがほうって置くと組織の雰囲気がそうなってしまいます。「意識の腐敗」と言う事態がおきます。昨年のHF seminarで話題になりました。
「ベテラン」のみなさんは、ルールベースの行動であろうと、スキルベースであろうと、ナレッジベースの行動で監視する、事が必要です。
「自分は下手」という無事故表彰を受けた運転手、のようにもう一人の自分が自分を監視する、ことが大切です。
「自分は名人だ、間違えなんて考えられない」という人が「えーっ」と言うことをすることがあります。
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