【 ばぁちゃんの手術 】


2005年元旦の朝、転んで腰の骨を骨折したばぁちゃん。
それからというもの腰の調子はどんどん悪化する一方。
足腰が丈夫で歩くのが大好きだったのに、去年ぐらいから10mも歩くと「ちょっと休憩する」と休んでいる時間の方が長いくらい。腰もずいぶん曲がり、最近ではただ立っていだけでもかなり辛いらしく鎮痛剤を飲む毎日なのでした。

今年6月に入って間もなく、近所に住んでるわたしの同級生のお母さんとばったり会ったばぁちゃんはその人も腰が悪くて歩くのがやっと、という感じだったのに腰が伸びてスイスイ歩いている姿にビックリし話を聞いたら手術したとのこと。詳しく聞いたばぁちゃんは自分も手術する!と決意しその病院へ行ってみることにしたのでした。

ばぁちゃんが初めて【弘前記念病院】を訪れたのは6月中旬ころ。
その日は軽く診察をうけ、「詳しく調べてみないとわかりませんが、良くなるには手術をするしかないと思います」と言う先生にすぐさま手術をお願いしたばぁちゃん。でも、「家族の方ともお話したいので一度家族の方を連れて来てください」と言われMRI の予約をして帰宅。

数日後、わたしも一緒に病院へ行きMRI の画像を見ながら説明を受けました。




正常な腰椎



ばぁちゃんの腰椎

病名は
『骨粗しょう症による圧迫骨折とそれに伴う腰椎後弯症』
正常な人の腰椎は弓なりに反っており腰椎の中心と耳が一直線上になっているのに対し、ばぁちゃんの腰椎は骨がとてももろくお腹側の方が押しつぶされて骨折した状態なのでどうしても前かがみになならざるを得ない状態。25度ほど前方に曲がっているので歩く際にバランスが取りにくく、バランスをとるためヒザを曲げて歩くのでがに股になるとのこと。


確かにヒザが曲がってがに股状態でした。

「このままでは腰は曲がる一方。だからといって今までのようなカルシウムの注射を腰に打ち続けても効果は望めません。結局痛みが出てくるので、痛み止めを飲んで騙し騙しいくしかないと思いますよ。もし、また歩けるようになりたいのでしたら手術をお勧めします。でも、今どうしてもこの手術を受けなければならないというわけではありません。手術となれば3ヶ月は入院してもらわないといけませんし、色々なリスクもありますからね。」

ばぁちゃんが受ける手術はプレートを骨折してない腰椎にボルトで固定し正常な位置に近づけるというもの。手術をすることによって痛みが無くなるので歩くことができ、活動的になるので体力がつき元気で健康になる人が多いそうです。

そして先生からリスクについて説明がありました。
□全身麻酔である
□出血の多い場合が多い
□輸血をするかもしれないこと
□骨がもろければボルトが固定できず中止になるかもしれない
□骨移植が必要である
□術後コルセットを装着しなければならない
□術後1年は重いものは持ってはいけない、無理な姿勢は厳禁


ばぁちゃんの決意は変わらず、わたしも「本人がまた歩けるようになりたいと望んでいるのでお願いします」」ということで手術は8月6日に決定。手術が1ヶ月以上先になったのは8月4日までCTスキャンの機械が新機種入れ替えのため使用できなかったから。術後の経過を見るのにはCTスキャンは欠かせない、ということらしいです。
「出血の多いことが十分考えられます。『自己血輸血』をしたいので早めに入院してもらいたいのですがいいですか?お盆も帰宅できませんがかまいませんか?」
入院から手術までの10日間で自分の血液を輸血用に採っておくのだそうです。そんなわけで7月26日に入院することになりました。

最低でも1年は庭の手入れが出来ないので鉢やプランターの花を10鉢ほど残して全部処分しました。(その10鉢もわたしがほとんど枯らしてしまいましたが(;^_^ A フキフキ)そして今年8月17日は父の7回忌でしたがばぁちゃんの手術のため1ヶ月前の7月16日に7回忌を済ませ、26日に入院。

そしていよいよ手術当日の8月6日。
午後1時すぎに手術室へ。
手術を受ける患者さんが「先生、大丈夫ですか?」と聞くと「整形外科の手術で亡くなった方はいませんよ。そんなに心配しなくても大丈夫ですよ」と笑って言うんだって!という話を聞いてはいたけど心配なことには変わりなく、「決して簡単な手術ではありません」とか看護士さんに「何かあったときの為に手術中は病院内に居てくださいね」と言われ独りで待っている時間がとても長く感じたものでした。
手術が終わって処置室に戻ってきたのが午後7時ころ。
その後先生から説明がありました。





術後の腰椎
レントゲン写真にはプレートとボルトが
はっきりくっきり写ってました。
腰から削った骨を潰れた骨の部分に
移植もしたそうです。

「手術は成功です。だいぶ腰も伸びたので歩くのが楽になりますよ。でも、だからといってそのままにしているとまた腰が曲がってくるのできちんとリハビリをして筋力を落とさないようにしてくださいね。って言ってくださいよ(笑)」


まだ麻酔からスッキリ覚めていないばぁちゃんでしたが聞いたことにはちゃんと答えるので一安心。でも、吐き気が止まらず吐き気止めを点滴しました。

翌日は処置室から病室へ戻る予定でしたが微熱のため翌々日へ延期。そして、やはり傷口からの出血が多いため輸血もしました。ばぁちゃんの血液は薄くてばぁちゃんの血液だけでは足りなかったそうです。
微熱のせいか食欲がなく何も食べたくないと言うばぁちゃんに「体力つかないから少しでも食べて」と言う看護士さん。ばぁちゃんの「おかゆに塩かけてなら食べれるかも」に「血圧が高くないからいいですよ」で・・・・ぺロッと完食。そのおかげか熱も下がり翌日には自分で歩いて病室へ移動。
足が少しダルいけど傷が痛むこともなくすぐに歩けるなんて今の医学は進歩してるね〜とばぁちゃん。一番辛いのは、入院するとコルセット屋さん(?)が寸法を測りに来て手術当日までに届けてくれるオーダーメイドの慣れない高級コルセット(?)だそうですよ(^^ゞちなみにお値段¥44,000でおつりがちょっときただけ〜



これが自力で直立する高級コルセット〜(?)( ̄ー ̄;

【前】 マジックテープで調節します

【横】 前はメッシュ素材
後はがっちり固定するためプラスティック(かな?)

【後】 中央の傷口の当たる部分は
ふわふわな柔らか素材になってます

【上】 ばぁちゃんの上半身が右に傾いているため
右脇に傾きを調節するでっぱり(?)が付いてます



その後順調に回復しリハビリに励むばぁちゃん。
腰に負担のかからないようなストレッチをしたり、誰もいなくなった待合室を歩いたり、病院の裏にある屋外訓練場(遊歩道)を散策したり。また、患者浴室は掛け流しの天然温泉を利用しているので入浴しながら軽い運動もしていたようです。

腰がずいぶん伸びました。おかげで身長が6cmも伸びましたよ。
リハビリをするようになってから足のダルさはあるものの、足のしびれも腰の痛みも全く無く今までの痛みが嘘のようだと言ってます。

そして、一番驚いていたのはばぁちゃんの驚異の回復力を目の当たりにした主治医の先生。術後の診察をして「痛くないですか?」「はい」「じゃあここは?」「はい」「これはどう?」「痛くないです」「本当に?早く家に帰りたくて嘘ついてないでしょうね?(笑)」こんな会話をしていたそう(^^ゞ
血圧も血糖値もコレステロールも正常、内科的には全く異常のない健康なばぁちゃん。これまで風邪をひくくらいで病気らしい病気をしたことがなく、前屈をしても手のひらが全部ぺったりだし、骨がもろい以外ははっきり言ってわたしより健康だもんね(^_^;)

術後、初めての外泊は9月15〜17日までの2泊3日。
手術前の8月4日に一時帰宅してから約40日ぶりにばぁちゃんと会った小太郎は・・・・知らんぷり?冷たい反応に「ばぁちゃんだよ。忘れちゃったの?」とがっくり。一緒に散歩に行ったりして少し思い出してきた?という頃にまた病院へ戻っていったばぁちゃんなのでした。
今までは途中何度も休みながら行ってた散歩、まだリードを持つことは出来ないけど、いつものコースを休みなしで一緒に歩くことができました。それに、美容院に行きたいと言うので車で送って行ったら、なんとっ!帰りは歩いて帰ってきてびっくり!団地内にあるとはいえ今までではとても考えられないこと。「大丈夫だった?腰、大丈夫?」と聞いたら「腰は痛くないけど、コルセットが痛い〜」だそうです(^_^;)

2度目の外泊は9月22日〜24日までの2泊3日。
先週と変わらず怪訝そうにばぁちゃんの顔を見て靴のニオイを嗅ぐ小太郎(^^ゞ ニオイで思い出した?ばぁちゃん、来週帰ってくればその後はずーっと居るからゆっくり思い出すのだよ(^_^;)

そして、今日9月29日、予定より1ヶ月早く無事に退院することができました。
普段の生活で色々制限される部分はあるけど、歩いている姿は普通の人と同じ。前にかがんだり腰をひねったりさえしなければ大丈夫。家でも快適に過ごすため洗面所に折りたたみの椅子を置き、風呂場にはアウトドア用の肘掛付きの折りたたみ椅子を置きました。介護用品でも風呂用の椅子はあるけど、高すぎ〜(^_^;)家にあるもので代用しました。今の固くて痛いコルセットも術後3ヶ月を過ぎるともう少し柔らかいコルセットになるのであとちょっとの辛抱です。


諦めていた「普通に歩く」ということが手術によってまた普通に歩けるようになり、「夢のよう。勇気を出して決断して良かった!」と言うばぁちゃん。これからもリハビリに励み、ますます元気になると思います。
市内に整形外科専門の【弘前記念病院】があったことに感謝です。

終わり