髪の不思議
髪って一体どんなもの? | 毛髪の役割:外部からの衝撃を受けた時のクッションや日光や暑さ、寒さから頭部を守る。さらに身体に必要のない鉛や水銀などの重金属を毛髪内に取り込み、体外に排出する機能も持っています。 毛髪の構造:毛髪は三層から形成されています。芯にあたるメデュラ(毛髄質)、芯の表面に相当するコルティックス(毛皮質)、その外側にある鱗のようなキューティクル(毛表皮)に分かれています。 キューティクル:根本から毛先に向かい、タケノコの皮のように4〜8枚が重なり、内側のコルティックスを取り巻くように保護している。キューティクルが毛髪を占める割合は10〜15%で、割合が多いほど、硬い髪になります。一般的には、太い髪は重なり部分が多く、細い髪は少ないと言われています。キューティクルは、油となじみやすく、水など外的な力に対して抵抗力があります。ブラッシングなどの物理的な刺激で、キューティックルが破損すると、内部のコルティックスの損傷につながります。キューティクルの良し悪しはキューティクルの重なりによってできる紋理の状況で判断できます。また、この紋理は個人差があり、又動物により違うので、犯罪捜査や毛皮の鑑定にも応用されます。 キューティクル、メデュラ、コルティックス、ともに80〜90%がケラチンというタンパク質からできています。 |
髪にはなぜ色があるの? | 毛髪には様々な色がありますが、メラニン色素によってできています。メラニン色素は毛髪に色を着けて、頭皮を過剰な紫外線から守る重要な役割があります。直射日光の強い赤道付近の国の人は、多量の紫外線から頭皮を守る分、黒髪の人が多く存在し、欧米などの国の人は、ブロンドやプラチナが多いということになります。 メラニンには二種類が存在し、黒褐色のユウメラニンと赤色または黄色のフェオメラニンといいう構造の違うメラニン色素があり、これらのメラニン色素の量と割合によって、色がきまります。ユウメラニンの量が多い順に、黒→ブラウン→赤→ブロンド→白となります。メラニン顆粒がたくさん毛髪内にあれば光を多く吸収するので黒く見え、少なければ光を反射するため白く見えます。白髪が少し黄色っぽく見えるのはフェオメラニンが毛髪内に残っているからです。 |
脱色って髪の中で何がおきてるの? | ブリーチは酸化脱色といって、過酸化水素の酸化力で、メラニン色素を分解し、髪の色を抜くことを指します。まず1剤の中のアルカリ剤の働きが毛髪を膨潤させて、キューティクルの隙間を開いていきます。2剤中の過酸化水素の効力は1剤と混ぜ合わせることにより活性化され、メラニン色素を分解し脱色を行います。この過程により、髪の明度が上がるという訳です。また、過酸化水素の濃度を上げたり、ブリーチを繰り返して行えば、髪の明度をさらに上げることが可能です。 |
髪が染まるってどういうこと? | 髪に色を着ける染料には、三つのタイプがあり永久染毛剤(ヘアカラー)半永久染毛剤(ヘアマニキュア等)一時染毛剤(カラースプレー等)があり、永久染毛剤はさらに酸化染毛剤と非酸化染毛剤の二つに分けられる。その中でも一般的に言うヘアカラーとは、酸化染毛剤のことを指します。酸化染毛剤は一剤と二剤から成立していて、一剤は染料中間体、カブラー、アルカリ剤、界面活性剤などで、二剤は、過酸化水素の水溶液やクリームです。一剤と二剤は、使用前に混合して使います。どのような作用が起きているかというと、まずアルカリ剤が髪を膨潤させ、キューティクルを開かせます。そして、界面活性剤の力で染料が内部に進入、過酸化水素がメラニンを分解します。このとき、進入した染料中間体とカブラーが内部で過酸化水素によって酸化し、結合して発色します。発色すると染料の分子が大きくなるので、毛髪内から出ることができなくなるという訳です。 |
クセ毛って普通の髪と何が違うの? | 髪の形状は、一般的に大きく分類すると「直毛」「波状毛」「縮毛」の3つに分ける事ができ特に明確な基準はないがクセ毛の度合いによって区別され一般的に「クセ毛」は「波状毛」と「縮毛」のことを指しています。直毛とクセ毛で何が違うかというと、直毛は根本から毛先に向かって滑らかな曲面で、かつ断面も真円に近い状態。クセ毛は太さが一定でなく湾曲していて、クセの度合いが強くなるにつれて、断面も楕円形から三角形へと扁平する傾向がある。この二つの形状は、毛髪が毛球部において毛母細胞が角化しながら、上へ上へと押し上げられていく過程で、その角化をガードしている内毛根鞘や外毛根鞘の形が、どのようになるかによって決まります。つまり、この二つの内部構造にねじれやゆがみがあると、それがそのまま髪の形状として記憶され、クセ毛になります。クセ毛は一般的に遺伝子によるものだと考えられて、とくに波状毛、縮毛は優性遺伝(強い遺伝子)直毛は劣勢遺伝子(弱い遺伝子)によるもので、クセ毛の遺伝子と直毛の遺伝子ではクセ毛の遺伝子の方が強く出るので無くなることはありません。食生活の変化も髪の形状に影響すると考えられている。 |
髪とパーマ作用 | パーマは一番強いシスチン結合を1剤が切断(還元)して軟化させ、次に物理的な力によって曲げられた新しい位置で、2剤が再結合(酸化)してウェーブを形成する作用です。 パーマがかかりにくい状態:ダメージ毛でマトリックスが毛髪外に流出してしまってる状態・撥水毛やキューティクルが丈夫な髪・白髪など。 カラー剤とパーマの同時使用:薬事法上、毛髪と皮膚に対する安全性の観点から絶対に行ってはいけない事項とされている。この二つの施術を行う場合は、前後1週間の間隔を空けて施術するよう注意されている。ただし片方が化粧品であれば問題はない。 |
ストレートパーマってどんな作用? | 基本的な作用はパーマと同じですが、決定的な違いはパーマは毛髪を曲げた状態でシスチンを再結合させるのに対して、ストレートパーマはアイロンやコームでテンションをかけて、真っ直ぐに伸ばした状態で再結合させるという点です。また、クセ毛の断面図は楕円形や扁平した状態になっているものですが、ストレートパーマをかけたからといって、真円になるわけではありません。表面のうねりが、真っ直ぐに伸ばされて、ストレート毛に見えるだけです。 ストレートパーマがかかりにくい状態はマトリックスが流出しているようなダメージ毛にはかかりにくい場合があります。 |
カラーとツヤの関係 | 毛髪外部と内部の反射の違い 毛髪表面が反射するということは、メラニンやカラー剤の色素が、光を吸収して、内部に光を通さないことが条件です。さらに髪の一番外側にあって、内部を保護しているキューティクルに傷みが無く、毛髪の表面が均一でフラットに近い状態が最もツヤを感じることができるといえます。バージン毛の黒髪や、表面が傷んでいない明度の低いカラーによる毛髪表面に生まれる天使の輪のようなコントラストの強いツヤがあげられます。透過光の反射だと、ある程度メラニン色素が無くなっている状態、明度が上がっていることが条件です。毛髪内部の間充物質の流出による空洞があると乱反射が起きやすくなるので、内部の成分が失われていないほど、ツヤを感じます。明度が上がっているがツヤがあるのはダメージが少ない髪、もしくは白人のようなメラニンの少ない髪があげられます。 ツヤ感を落とさない方法 毛髪表面のキューティクルをなるべく損傷させないこと、または髪自体の色味をできるだけ均一にすること、しっかりブローして毛髪表面を整えることが大切です。 ツヤ感を感じにくい髪質 ツヤが出にくい髪質としては、乾燥してパサつきやすいクセ毛、黄ばみのでやすいネコ毛など。クセ毛は表面の状態が均一でないことや、うねりのせいで面の部分が少ないことが理由です。ネコ毛は柔らかく細い毛のためカラーが染まりやすく、退色していく時も明度が上がって見えやすいのが原因と考えられます。 |
白髪はなぜ生えてくるの? | 黒髪の場合メラニン色素が角化細胞に取り込まれ毛髪に色が着くが白髪はメラニン色素が角化細胞に取り込まれません。何故そのようなことが起きるかは充分に解明されていませんが、角化細胞に取り込まれない理由としては、毛球部の毛母細胞付近に存在するメラノサイト(色素形成細胞)の数の減少または消滅、メラノサイトを作るアミノ酸の一種であるチロシン酸化酵素の減少または消滅、メラニン色素のメラノサイトから角化細胞への移動の阻害などが考えられます。因みに日本人の平均的白髪発生年齢は、男性が34歳で女性が35歳です。根本的な白髪予防策はありませんが、発生やメカニズムを考慮すると、メラノサイトでの細胞活動を活発化させるために、血行をよくすることや、チロシンの生成を活性化するビタミンやミネラルなどの栄養分などの摂取、さらにはストレスなどの精神的な問題を少なくすることが考えられます。頭部をマッサージし、血行を良くして栄養が行き渡るようにすることが、予防につながると言われています。 |
白髪と黒髪って性質にどんな差があるの? | 白髪は黒髪に比べて撥水性が高く、硬い髪が多くなります。その分、白髪の方が黒髪に比べてパーマ剤やカラー剤が反応しにくくなります。(老化によって細くなった白髪は、健康な黒髪に比べて、薬剤の反応が速くなる)これは、取り込まれなかったメラニンの代わりに入っているケラチンタンパク質が、メラニンに比べて、撥水性が高いからだと考えられています。湿気が強い日だと黒髪はしなりますが、白髪は立ちやすいことからも証明されます。ツヤ感:白髪の場合、光が吸収されず内部を透過しやすいので、黒髪よりツヤ感が低下します。 |
髪はなぜ生えたり、抜けたりするの? | 毛髪は表皮から外に出ている「毛幹部」と毛包に包まれた「毛根部」に大別され、毛根部の下端にある球根状の膨らみを「毛球」と呼び、髪は毛球部にある「毛乳頭」で作られます。毛乳頭には毛細血管を通してアミノ酸や酸素が運ばれ、その栄養分を受けて毛母細胞が分裂し、角化しながら上へ上へと押し上げられて毛髪を作ります。この毛乳頭の数は生まれた時から決まっており、新たに毛乳頭が出来ることはありません。またその活動も永久的ではなく、活動、休止、活動という流れを繰り返していきます。この流れを毛周期(ヘアサイクル)と呼び、@毛髪を成長させる時期(成長期)A成長を終えた毛球部が縮小を始める時期(退化期)B毛乳頭が活動を休止する時期(休止期)C毛乳頭が活動を再開し新しい毛髪を発生させ、古い毛髪を脱毛させる時期(発生期)。以上の四つの時期に分けられます。毛髪の成長期は男性で3〜5年、女性で4〜6年程度で、その後退化期が1〜1.5ヶ月、休止期が4〜5ヶ月続いて発生期が始まります。 脱毛にはヘアサイクルに沿って起こる「自然脱毛」と病的に起きる「異常脱毛」があり、異常脱毛には「内因性」「外因性」の脱毛があります。円形脱毛症は「内因性」です。この原因としては、自律神経失調症説、アレルギー説、ホルモンの異常、ストレスなどの精神的な要因が考えられます。「外因性」と考えられるのは、長時間ヘルメットなどで頭部への圧迫を日常的に行うことによって、血流を悪くすることによって起きる脱毛などがあります。 自然脱毛による薄毛は、遺伝的な要因ではないかと考えられています。両親の家系に薄毛の人が多ければ、それだけ可能性は高くなります。特に男性M型抜け毛や、頭頂部の抜け毛は遺伝の影響が大きいと考えられています。他にも女性ホルモンが減少すると、薄毛になる傾向があるようです。 |
育毛と抜け毛の関係 | 自然脱毛@毎日平均55本の脱毛がある。A頭部全体から平均的に脱毛する。B太くて長い髪が抜ける。C毛根の形状がマッチ状になっている。異常脱毛@突然、異常な本数の脱毛がある。A部分的に集中して脱毛がある。B細い髪や短い髪も抜ける。C毛根の形が菱縮していたり、縮んだりしている。以上のような特徴があります。自然脱毛はヘアサイクルの一環なので予防手段はありませんがヘアサイクルの成長期を伸ばすことや、脱毛の本数を減らすことは可能です。例えば血行を良くするためマッサージをしたり鉄分(血液内の赤血球の酸素吸収率があがるほうれん草などに多く含まれる)を多く摂取することが良いとされています。異常脱毛に関しては、その要因と考えられる状態を改善すればある程度の脱毛を防ぐことは可能です。例えばストレス性のものならその原因を改善することによって解決できます。 健康な髪の成長には、バランスのとれた栄養分の摂取が大切。特にビタミン類やタンパク質は、髪の成長に欠かせない栄養分です。毛髪はケラチンという硬いタンパク質で構成されています。従って、肉類。魚類、豆類などの食品を多く摂ることが必要になります。また、原因は不明ですが日常的に過剰なビタミンAを摂取すると異常脱毛が起きると言われています。 育毛剤にも色々なタイプのものが市販されています。それぞれに特徴的な成分や効果がありますが、多くの商品に共通してることは、血管拡張効果のある成分が配合されていることです。これは髪を作る毛母細胞につながる毛細血管を拡張することによって、髪に必要な栄養分を取り込みやすくし、毛髪の成長を促すためです。その他にも、一般的に髪の成長に必要なビタミン類やアミノ酸なども多く商品に配合され、健康な髪の発毛を促進します。 |
□2004しんびよう参照