〜風邪〜



「今日は、暑いな...」
「...え?」

マイクロトフの言葉に、私は耳を疑った。
今は春先で、確かに暖かくなってはきているが、まだ暑いという程ではなく、
どちらかと言うと、少し肌寒い。
しかし、マイクロトフは暑いという。
よく見ると、マイクロトフの顔は少し赤い。
「マイク、ちょっとごめんね?」
嫌な予感がして、マイクロトフの額に手を当てる。

嫌な予感は、的中した。

「マイク、熱があるよ」
「......え?」

今度は、マイクロトフが聞き返してきた。


「38.7度...。
よく、これで気が付かなかったね...」
「少し体がだるいとは思っていたが...」

呆れてしまう。
この熱で朝練をし、午前の業務をこなしていたのだ。
普段、風邪を引かないから、風邪を引いていることにも気付かなかったのだ。
今は、医務室からマイクロトフの部屋に来たところだ。
マイクロトフを夜着に着替えさせ、その間に薬と水を用意する。
「すまない。
......粉薬なのか?」
「そうだよ?」
あぁ、嫌そうな顔をしている...。
まさか、この歳で薬は嫌だとか言い出さないだろうな。
もし、言い出したら大笑いしてしまうよ?
「飲みにくいから、苦手なのだがな...」
言うと、マイクロトフは普通に薬を飲む。
なんだ、つまらない。
「じゃ、今日は大人しく寝ているんだよ。
夕食は何か、胃に優しい物を作ってもらう様、頼んでおくから」
「ああ、すまない、頼む」
「私は業務に戻るけど、何かあったら遠慮無く呼ぶんだよ」
言って、マイクロトフの唇に軽くキスを落とすと、私は部屋を出た。
部屋の中からマイクロトフの怒鳴り声が聞こえた。


やはり、日頃の鍛錬の賜物だろうか、マイクロトフは一日休んだだけで全快した。
そして......。

「げほげほっがはっ!」
「大丈夫か?!カミュー!」

感染った。
症状もマイクロトフより重い。
何故だ?!
たった一度のキスで感染ったとでも言うのか?!
それとも、そんなにも私の体が弱いとでも言うのか?!

「げほっげほげほ!」
「ほら、水だ!カミュー!」


私は、一週間寝込んだ......。 



オリ騎士の方にこの話を大元にした小説があるので
これは削除するのを止めました・・・



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