風紀委員室 放課後

「仕事も終わったし、おやつも食ったし、とっとと帰るとすっかー」
「そうですねー、そろそろ帰りましょうか」
両腕を上に上げ、伸びをする和馬に晴彦は相打ちを打つ。
「俺も帰るかなー」
「ついてくんじゃねぇよヒヨコ頭!!
「家が隣だっつってんだろうがよ!!」
「あ、へーちゃん、お願いあるから残ってよ」
「へ?あ、あぁ、いいけどよ」
毎度の如く発生した和馬と平八郎の口喧嘩だが、
それは蓮の介入によって不発の内に収拾した。
「どうかしたんですか蓮さん?良かったら僕も手伝いましょうか?」
「いや、へーちゃんだけで大丈夫だから。ハルちゃん帰っていいよー」
「そうですか。じゃ、帰りますね」
蓮に、にっこりと微笑みを返し晴彦は鞄を持って戸口に向かう。
もちろん、七も後ろについている。
「蓮く〜ん!先生、このあと用事あるから、戸締りだけお願いしてもい〜い?
鍵は先生の机の上に置いといてくれればいいから〜!」
「はい、わっかりました〜って、あれ?カズ君は?」
蓮は小日向の言葉に返事をして、ふと和馬がいない事に気付く。
「とっくに風紀委員室出て行きましたよ」
「もう廊下の端の方だな」
「挨拶くらいしていってくれればいいのに〜!カズ君ってば冷たいな〜!」
晴彦と平八郎の言葉に、蓮は頬を膨らませる。
「それじゃ、僕も帰ります」
「成田様、櫻井様、失礼致します。また明日・・・」
「あとよろしくね〜!蓮くーん!」
「は〜い、お疲れ〜」
「じゃーなー」
ひとしきり挨拶を交わして、3人は風紀委員室を出て行った。
「・・・・・・で?何だよ?お願いって」
「ん?あぁそうそう、へーちゃんにお願いがあるんだよ聞いてくれる?」
「だからここに残らされてるんだろうが・・・」
片手で頬杖をつきながら平八郎は蓮の言葉を聞く。
「俺さ、へーちゃんをネタに小説書いてんじゃん?」
「・・・それを俺に言うのか。ほーう、大したもんだなテメエは」
「だからさ、ネタないかなーってずっとへーちゃんの事見つめてたわけ」
「俺が警察に届け出る前にやめろよコラ」
「でね、ずっとへーちゃんを見つめているうちに、
視界にへーちゃんがいないと落ち着かない様になっちゃったのよ」
「それはまたキモイなお前」
「キモくない。で、無意識にへーちゃんを目で追っちゃうし、
いないと落ち着かなくて探しちゃうし、見つけると凄く安心するし」
「何となーくこの先聞きたくないから帰っていいか?」
「ダメ。で、俺は気付いちゃったわけ。
俺はへーちゃんを見続ける内にへーちゃんに恋してしまったんだと!」
「うあー!聞きたくないセリフをさらっと言いやがったコイツ!!」
「というわけで、俺も若いからさー1発いい?」
「何が、というわけ、なんだよ?!何が1発?!あ!いや言うな聞きたくない!!」
「・・・ということを言っておけば、服脱がさせてくれる?へーちゃん」
「は?!ということを言っておけば?!どういう意味だお前!!
嘘か?!さっき言ったのは嘘か冗談か!!」
「あはは、冗談じゃないよ、俺は本気だって」
「何が冗談?!何が本気?!」
「まぁとりあえず1発・・・」
「とりあえずじゃねぇよ!!・・・ちょ!お前こっち来んな!!来んなー!!」
「あ!へーちゃん待てー!!」

放課後の風紀委員室にて平八郎と蓮の追いかけっこが始まった。



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