思い出のシネマ

カサブランカ
監督 マイケル・カーティス
出演 ハンフリー・ボガード  イングリッド・バーグマン
 映画館では見たことのない作品。ハンフリー・ボガードは少しもかっこいいとは思わないが、イングリット・バーグマンの美しさには圧倒される。しゃれたセリフでも有名な映画でもある。「昨日何してた」「そんな昔のことは憶えていない」「明日何するの」「そんな先のことは分からない」あ〜なんてきざなんだろう。なかでも一番は次のセリフ。男女が酒を飲む場面で男が言う。「君の瞳に乾杯」
・・・一度言ってみたい。
ガープの世界
監督 ジョージ・ロイ・ヒル
出演 ロビン・ウィルアムス  グレン・クロース  ジョン・リスゴー
 ジョン・アーウィングの小説の映画化。主人公ガープはグレン・クロース演じる看護婦(今は看護士と言うんですね。)の母親が子種が欲しくて負傷して病院に運ばれた兵隊にまたがって生まれた子である。ファーストシーンがいい。美しい青空をバックにビートルズの歌が流れる中、大きな目を見開きうれしそうに笑う赤ん坊が宙を舞う。印象的な始まり方であった。未婚の母に立派に育てられ、名門校に入学、そして幸せな結婚、そこにやがて訪れる悲劇など、ガープの一生が描かれていく。グレンクロースの毅然とした母親役がお似合いである。この女優はか弱い女を演じられるのかなあ。でも名女優だから演じてしまうのだろうな。あの顔でおかま役を演じるジョン・リスゴーの存在感も見事である。
グッド・ウィル・ハンティング
監督 ガス・ヴァン・サント
出演 マット・デイモン  ロビン・ウィリアムス  ベン・アフレック
    ミニー・ドライヴァー
 深い心の傷を負った天才青年と、最愛の妻を失い、失意の中にいた精神分析医が出会い、関わり合うことによって、互いに新たな旅立ちの勇気を獲得していく姿を描くヒューマン・ドラマです。マット・デイモンが主役を演じた他脚本も書き、アカデミー脚本賞を獲得するなど、その才能豊かなところをみせています。マット・デイモンと共にアカデミー脚本賞を獲得したベン・アフレックがこんなに売れっ子になるとはその時は思いませんでした。ロビン・ウィリアムスは、今回もコメディアンとしての姿は見せず、静かに精神分析医の役を演じています。「いまを生きる」同様、感動を呼ぶ見事な演技で、彼がいてこその映画だったと僕は思うのですが。
 
 この作品もやはり東京に研修に行っていた時に見た映画です。とにかく、その時はせっかく東京にいるのだから大きな映画館のスクリーンで見ようと、たまたま研修が3時頃に終わった日に有楽町マリオンに見に行きました。ところが、平日の昼間であるにもかかわらず、映画館は超満員。やっと見つけた席が、今でも忘れません、前から3列目の右側から3番目の席でした。見上げるように仰ぎ見る大きなスクリーン。大丈夫かなあと思ったけれど、どうにか見ることができるものですね。東京というのはどうしてこんなに人がいるのだろうと改めて思った1日でした。
クリエイター
監督 アイヴァン・バッサー
出演 ピーター・オトゥール  マリエル・ヘミングウェイ
 バイオテクノロジーを使い、亡き妻の再生を試みる科学者の姿を描いたSFラブ・ロマンスです。主演は「アラビアのロレンス」のP・オトゥール。また卵子の提供を試みる女学生として文豪ヘミングウェイの孫娘のマリエル・ヘミングウェイが出演しています。
 この映画の内容自体には印象は残っていません。というより、よく覚えていないのです。SFラブ・ロマンスという割と好きなジャンルだったので、若き頃東京へ通信教育のスクリーングに行った際に渋谷の映画館に見に行きました。入場者は少なく、がらがらの状態で、僕が座った列にも遙か端の方に一人の女性が座っているだけでした。問題はここからです。館内が暗くなり、映画が始まるとその女性が少しずつ少しずつ僕の方に近づいてくるんです。「え!何なの」と思ううちにとうとう座席を一つはさんだところにまで移動してきました。横目で見ると、暗い館内の中、どうも髪はロングだけど大柄で顔かたちもごつそうな感じ。「まさか!」と恐怖心を感じて席を移動しましたが、あのまま座っていたらどうなったことやら。結局映画に集中できませんでした。まだ、世間をよく知らない若き頃の話です。とんだ思い出の映画です。
刑事ジョン・ブック 目撃者
監督 ピーター・ウェアー 
出演 ハリソン・フォード
 ハリソン・フォード主演のサスペンス。この映画で機械化を拒否して生きるアーミッシュというキリスト教の一派を知った。当時ハリソン・フォードが大好きという女の子と土曜日の午後見に行った。確かもう気候も暑くなってきており、昼食に麺類を食べたいという子と三色そばを食べた記憶がある。その頃は映画も二本立てで、他の一本はもう何の映画か全く忘れてしまったが、色っぽいシーンが多く、生唾を飲み込む音が隣に座る彼女に聞こえないようにと気を使ってしまった。今ではその映画館も昼食を食べた蕎麦屋もなくなってしまった。
激突
監督  スティーブン・スピルバーグ
出演  デニス・ウィーバー
 スティーブン・スピルバーグのデビュー作品ですが、この作品は劇場用ではなく、テレビ映画として制作されたものです。僕自身も見たのはテレビでした。
 登場人物も少なく、特撮があるわけでもありませんが、思わず見入ってしまう1級のサスペンス映画です。
 車を運転していたセールスマンの主人公が前を走っていたタンクローリーを追い越したところ、追い回され、殺されそうになるというだけの話ですが、強大なタンクローリーに迫られる恐怖というのが見る側にも伝わってきます。そしてなんといってもその恐怖を助長しているのが、タンクローリーの運転手の姿がわからないところです。運転席は映るけど、影で運転手の顔が隠れているんですよね。この運転手の顔については、最後まで明らかにされません。ですから、そもそも運転手が追い越されたことに腹を立てているのかということも実際にはわからないのです。にくいほどの演出ですね。オススメです。
荒野の七人
監督 ジョン・スタージェス
出演 ユル・ブリンナー  スティーブ・マックイーン
 中学3年生のときにクラスメートに誘われ見に行った映画である。確か当時入場料が150円で、50円玉3枚を出して入場した覚えがある。黒澤明監督の「七人の侍」をユル・ブリンナーが惚れ込んで西部劇にしたものである。志村喬の役をユル・ブリンナーが演じていた。だいたいそのときは「七人の侍」自体を見たことがなかったが、スティーブ・マックイーンなどの将来の大物俳優が出演したりしていて、なかなかおもしろかった。でも、無償に近い報酬で農民を守ろうとするガンマンたちの姿を合理主義のアメリカ人は理解できたのだろうか。出演俳優の一人、ジェームス・コバーンが好きだった友人は、その後20代で病気でこの世を去った。
この素晴らしき世界
監督 ヤン・フジェベイク 
出演 ボレスラフ・ポリーフカ  アンナ・シイシュコヴァー
 第二次世界大戦中、戦場から遠く離れたチェコの小さな町。そんな町にもナチスの影が忍び寄る。主人公は子供に恵まれない夫婦。夫婦は収容所から逃げてきたユダヤ人青年をかくまうことになる。そんなある日、ナチスシンパの友人がナチス幹部を家に住まわすよう連れてくる。とっさに妻は自分は妊娠中で子供のために部屋が必要だからと嘘をついて断る。その場が取り繕ったものの、いつかはユダヤ人をかくまっていることも明るみに出る恐れもあり、窮地の二人はある策を考える。それは・・・・・。
 その策を受けいられなければならない二人の苦悩、受け入れた後の結果に対して苦悩から喜びへと変わっていく夫の描き方が素晴らしい。ユーモアがあふれているが、戦争の悲惨さは全編に流れている。
 見たかった映画だが岩波ホールでしか上映されず、ビデオ化に期待していたところ、地元の映画館で2週間だけ上映され、喜び勇んで妻を連れて見に行った。初めて見たチェコ映画である。
コーラスライン
監督 リチャード・アッテンボロー 
出演 マイケル・ダグラス
 マイケル・ベネットのブロードウェーミュージカルの映画化。ミュージカルの主役ではないその他大勢の役を求めてオーディションに集まった若者たちを描く。演出家の求めに応じて自分自身を語る17人のダンサーたち。一般に名の知れた俳優は演出家役のマイケル・ダグラスだけ。バレエをやっている友人が言うには登場人物のダンスはそれほどうまくはないそうだが、なかでは黒人のリチーのダンスは抜きん出ていると思う。ラストでみんなで踊る「ワン」は圧巻である。忘年会の福引で当てた前売券で職場の女の子と見に行った映画である。あの子は今頃どうしているだろう。また、当時幼かった長男が愚図って泣いていても、レーザーディスクで映し出されるこの映画のダンスシーンになると泣き止んで食い入るように見ていたことから、音楽の才能があるのかなと親バカながら思ったものだ。でも、やっぱり親バカだったね。
ゴースト ニューヨークの幻
監督 ジェリー・ザッカー 
出演 デミ・ムーア  パトリック・スウェイジ
 僕は基本的に幽霊もの(といってもホラーじゃないよ)が好きである。「天国からきたチャンピオン」しかり、「○○○(ネタばれになるので言えない)」しかり。この作品はオーソドックスな幽霊もので、単純に楽しんで涙をこぼす作品である。女性と見るのに最適な映画だったが、誰といったのか記憶にない。この手の設定は小説にも多く、有栖川有栖の「幽霊刑事」や作者自身がゴーストを頭において書いたという加納朋子の「ささらさや」などがある。