思い出のシネマ

愛と青春の旅立ち
監督 テイラー・ハックフォード
出演 リチャード・ギア  デブラ・ウィンガー
 これは妻と結婚前に見に行った作品。工場の女工員とその街にある軍の士官学校で学ぶ士官候補生との恋物語。女工員は軍人との結婚を夢み、士官候補生たちは一時の遊び相手として女工員たちをみる。最後はリチャード・ギアが工場からデブラ・ウィンガーを抱きかかえて出て行くというラブ・ストーリーの王道を行くハッピー・エンドである。あまりにリチャード・ギアがかっこよすぎて自分に置き換えて見ることができない映画だった。
暁の七人
監督 ルイス・ギルバート
出演 ティモシー・ボトムズ
 「荒野の七人」のように色々な性格の登場人物を描くには7人がいいところなのだろうか。「オーシャンズ11」のように11人では多すぎる気がする。第二次大戦中チェコを支配するナチスの指揮官を暗殺するために送り込まれた7人の青年。指揮官を暗殺に成功したが、その後のナチスの追求は熾烈を極め、青年たちの身辺へと次第に迫ってくる。その中での友情、裏切り・・・。ハッピーエンドでないその終わり方に涙が思わず出てしまった。戦争はかっこいいものではない。
明日に向かって撃て
監督 ジョージ・ロイ・ヒル
出演 ポール・ニューマン  ロバート・レッドフォード
 実在の強盗、ブッチ・キャシディとサンダンス・キッドを主人公に描いた作品。二人が演ずる口先三寸のポール・ニューマンと早撃ちのロバート・レッドフォードのコンビもいい。バート・バカラックの音楽が流れる中、ポール・ニューマンとキャサリン・ロスが自転車の二人乗りをしているシーンも印象に残る。列車強盗に失敗し南米に逃れる二人。最後に隠れ家の周りを取り囲まれた二人が銃を構えて飛び出すところで終わる。轟く銃声。余韻を残す終わり方だった。残念ながら映画館の大スクリーンでは見ていないが、レーザーディスクで買った記念すべき初めての一枚だった。「スティング」とともに僕のベスト10に入る作品である。
ある日どこかで
監督 ジーンノット・シュワルク 
出演 クリストファー・リープ  ジェーン・セイモア
 見知らぬ老婦人からなぜか時計を贈られた主人公は、その後偶然彼女の若き日の写真を見てその美しさに心奪われる。そんな若き頃の彼女に会いたいという気持ちが主人公をタイムトラベルさせる。過去で彼女と恋に落ちた主人公。しかし、二人の間には時の壁が立ちはだかる。タイム・トラベルものであるとともに、正統派恋愛ものである。スーパーマン役のクリストファーリープがスーパーマン役者の印象を打ち破るべく好演している。基本的に僕はタイムトラベルものが好きだ。
アルマゲドン
監督 マイケル・ベイ
出演 ブルース・ウィルス  ベン・アフレック
 惑星との衝突という地球滅亡の危機の立ち上がった男たちの物語。恋あり、仲間同士の仲違いあり、最後には家族のために命を捨てるという涙必然の場面もあるお決まりのパターンの映画。とはいえ、理屈ぬきに楽しめる映画であった。彼女と行くのに最適な映画である。最近同じパターンの「ザ・コア」という映画が公開されたが、(こちらは宇宙でなく地中に行くという話しだが)、アルマゲドンのほうが数段面白い。出演俳優の知名度でもブルース・ウィルスをはじめとしたアルマゲドンの方が上である。
アンタッチャブル
監督 ブライアン・デ・パルマ
出演 ケビン・コスナー  ショーン・コネリー
 30年代、禁酒法下のシカゴの暗黒外を舞台に、アンタッチャブルと呼ばれた財務省の調査官とその仲間3人とアル・カポネとの戦いを描いた作品。この作品では主役のケビン・コスナーより壮絶な死を遂げる初老警官を演じたショーン・コネリーの演技がいい。ボンド役者を嫌ってシリーズを降板、かつらもとって頑張ってきたコネリーだが、なかなかボンドの印象が拭えなかったと思う。しかし、この作品では重厚さといぶし銀のような男の魅力を演じ切り、一気にブレイクした。コネリーはこの作品によってアカデミー助演男優賞を獲得した。なお、「戦艦ポチョムキン」という映画で有名な階段を走り落ちる乳母車のシーンが再現されている。
アンダーワールド
監督  レン・ワイズマン
出演  ケイト・ベッキンセール  スコット・スピードマン  マイケル・シーン
 人間の未知なる世界、アンダーワールドで何世紀にも渡り闘いを続けてきた吸血鬼(ヴァンパイア)と狼男(ライカン)の二つの種族。主人公は吸血鬼のセリーン。彼女はライカンを倒すべく闘いの中に身を置いているが、ある日、ライカンがある青年を狙っていることに気づく。なぜ、ライカンはそれほどまでにその青年に固執するのか・・・。その謎を追っていく中で、セリーンは吸血鬼と狼男、二つの種族の過去の秘密を知ることとなる。
 とにかく、主演のケイト・ベッキンセールの存在が際だっています。身にまとうロングコートは彼女が動くたびに優雅にひるがえり、また、体の線がはっきり出るタイトなボディ・スーツは彼女のスタイルの良さを露わにします。今まで「パール・ハーバー」や「セレンディピティ」で、エレガントなヒロインを演じてきた彼女からすると、この役柄はかなり意外です。見る前はどうなのかなと思っていたのですが、いやいや、これが見事にきまっています。ビルの上から地上に舞い降りるシーンなど、ほれぼれしてしまいました。両手で拳銃を撃つシーンもかっこよすぎます。気の強そうな顔が、ラブ・ストーリーより向いているのかもしれません。続編が制作される予定であるとのことですが、彼女が次作ではどんな演技を見せてくれるのか、非常に楽しみです。
いちご白書
監督 スチュアート・ハグマン
出演 ブルース・デイビソン  キム・ダービー
 バンバンの「いちご白書をもう一度」という歌がある。もう25年以上前の松任谷由実作詞・作曲の僕らの年代の人には忘れられない名曲である。その中の歌詞に「いつか君と行った映画がまた来る。」とあるが、この二人で行った映画が「いちご白書」である。
 1968年4月、遊園地を軍事関連施設に建て直す事に端を発したコロンビア大学の学園闘争。あの当時はアメリカでも日本でも学生運動が激しく行われていた。その学園紛争を題材として作られた作品で、好奇心と下心から学生運動に身を投じたノンポリの学生と、活動家の女子大生の恋愛を描く。僕自身は学生運動の波には乗り遅れた世代であり、この映画もリアルタイムでは見ていないが、クライマックスで警察により一斉検挙が実行されるシーンは印象深く心に残っている。確か、講堂で手を取り合って、何重もの円陣を組んでいた学生達を警官が一人また一人と引きはがしていくシーンだったと思う。今の学生達にはこんなこと想像もつかないのだろうな。僕自身も偉そうなこと言えないのだけど。バフィ・セント・メリーの歌う主題歌「サークル・ゲーム」もせつない。
イル・マーレ
監督  イ・ヒョンスン
出演  イ・ジョンジェ  チョン・ジヒョン  チョ・スンヨン  ミン・ユンジェ
 2年の時を隔てて手紙をやりとりする男女のファンタジックなラブ・ストーリーです。男は1997年に生きるソンヒョン。女は1999年に生きるウンジュ。1999年、イル・マーレと名付けられた海辺の家から引っ越していくウンジュが、新たな住人宛に郵便受けに入れた手紙が、1997年にイル・マーレに住むの許に届く。それから二人はイル・マーレの郵便受けを媒介にして手紙をやり取りしていく。
 メール全盛の時代に手紙のやり取りをするというのが、とても素敵に思えてしまうのは僕だけでしょうか。主演は、「猟奇的な彼女」で、ブレイクしたチョン・ジヒョンです。美人というわけではありませんが、かわいい雰囲気の女性ですね。
 手紙のやり取りをしていくうちに二人は惹かれあっていきます。1997年では、ウンジュは、まだソンヒョンのことは知りません。声を掛けたくて掛けられないソンヒョンのせつなさが胸にジーンときます。それにしてもソンヒョンがやさしすぎます。どうしても前の彼を思いきれない彼女の頼みを聞いて出かけたところが、○○なんてねえ。あんまりじゃないですか。
 この作品では、2年の時を隔ててどうして手紙がやりとりできるのかという点については、何ら答えていません。あのラストも、それはそれで素敵ですが、考え出すとタイムパラドックスのことが気になってしまいます。理屈抜きに全てをそのまま楽しんでくださいというのでしょう。
インファナル・アフェア
監督  アンドリュー・ラウ アラン・マック
出演  アンディー・ラウ  トニー・レオン  ケリー・チャン  サミー・チェン
 警察とマフィアのそれぞれの潜入者として10年の時を過ごし、今ではそれぞれの世界である程度の地位を築き上げた二人の男が主人公。警察官としてマフィアへの長年の内通捜査による精神的疲労から精神科医に通うヤンを「HERO」の残剣役のトニー・レオンが演じる。一方、警察官として順調に出世し、地位も名誉も得たマフィアの男ラウをアンディー・ラウが演じる。
 ある日ヤンからの情報で大きな麻薬取引の検挙を警察は図ったが、ラウからの情報により、検挙に失敗する。警察、マフィアとも内通者がいることに気づき、それぞれヤンとラウに内通者探しの任務を負わせる・・・。
 とにかく、二人の主人公の魅力いっぱいの映画です。僕としては、トニー・レオンの優秀な警官でありながらマフィアとして悪事も働かねばならず苦悩する表情、その憂いを含んだ表情に何ともいえず惹かれます。ただ、女性精神科医に自分の身分を告白して精神の安定を得ることができるヤンに対し、そういうこともできず、ただ一人耐えていかなければならないラウに魅力を感じる女性も多いかもしれません。ラストは僕としてはそれはないだろうと思ってしまう終わり方でした(何故かは映画を見ること。決して期待はずれということではないですが。)。
 ワーナー・ブラザースがリメイク化権を獲得し、ブラット・ピットが出演する可能性があるようですが、ピットが演じるとすれば、やはりヤンの方だろうなと思う。では、ラウは誰だろう。色々考えるとおもしろいですね。
 それから蛇足ですが、女優陣はこの映画では陰が薄いが、でもみんな綺麗な人でした。
エイリアン
監督 リドリー・スコット
出演 シガニー・ウィーバー  イアン・ホルム  ジョン・ハート
 地球に戻る途中、謎の救難信号を受信した宇宙貨物船ノストロモ号はある惑星に着陸、そこに地球の物でない宇宙船を発見し、調査にはいるが、一人の顔に不審な生物が付着してしまう。それが恐怖の始まりだった。
 SFホラーというべき作品。暗い宇宙船の中で一人、一人とエイリアンに襲われていくシーンは、そこらへんのホラーよりずっと恐ろしかった。このあとのエイリアンシリーズにはこの恐ろしさが出ていない。やはり、この作品がシリーズの最高傑作だと思う。
 そして、この映画の成功のかなりの部分が、H・R・ギーガーの美術に負っていたと思う。舞台となる宇宙船の内外、そして地球の物ではない宇宙船、なかでも、エイリアンの造形は今までの宇宙人の中で最高の姿ではないだろうか。
 もう一つの成功の原因は、リプリーだろうか。やはり、女性は強い。
L.A.コンフィデンシャル
監督 カーティス・ハンソン
出演 ケビン・スペイシー  ラッセル・クロウ  ガイ・ピアース  ダニー・デビート
    ジェイムズ・クロムウェル  キム・ベイシンガー
 53年末のロサンゼルス、ダウンタウンのカフェで6人の男女が惨殺されるという事件が発生する。被害者の中には免職されたばかりの元刑事がいた。ロス市警はスミス警部の指揮のもと、捜査を始める。
 ジェームズ・エルロイの同名小説の映画化です。エルロイの作品だけあって、骨太の作品となっていますが、それだけでなく、アカデミー最優秀脚本賞を受賞しただけあって、最後まで目を離させない見事な作品に仕上がっています。今ではすっかりスターとなったケビン・スペイシーとラッセル・クロウが共演するという、今となってはなかなか実現できない豪華なキャストです。さらに、セクシーさで売っていたキム・ベイシンガーが、この映画では演技派として開眼したのかアカデミー賞最優秀助演女優賞を受賞しました。

 東京に半年間研修で行っていた際に、有楽町マリオンで見た映画です。せっかく東京に行ったのだからと色々遊び回りましたが、特に映画はよく見に行ったものです。この映画も、たまたまその日が早く研修が終わったので、確か4時前に映画館に出かけたのですが、既に満席に近い状態でした。ビジネスマンらしき人も多かったのですが、自分のことは棚に上げて、みんな仕事どうしたんだろうと不思議に思ったものでした。やっぱり、東京は地元の街とは全然違うなあと再確認です。
オールウェイズ
監督 スティーブン・スピルバーグ
出演 リチャード・ドレイファス  ホリー・ハンター  オードリー・ヘプバーン
 スピルバーグ監督のファンタジー映画。主人公は山火事の消火作業をする消防隊の一員で、消火作業をするための飛行機のパイロット。ある日山火事の消火作業中、墜落の危機に陥った友人を助けるために、主人公は命を落としてしまう。ここから僕が好きな幽霊話。天使に見守られ、主人公は幽霊となって下界に降りる。残してきた恋人が自分が贈ったドレスを着て二人が好きだった「煙が目にしみる」のメロディにあわせて一人踊る。切ない、泣かせるシーンである。気が強いけれど可愛い女を演じるホリー・ハンターがいい。天使をあのオードリー・ヘップバーンが演じている。