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フル・モンティ
監督  ピーター・カッタネオ
出演  ロバート・カーライル  マーク・アディ  トム・ウィルキンソン  スティーヴ・ヒューイソン
     ヒューゴ・スピアー  ポール・バーバー
 イギリス北部の町シェフィールドは、かつては鉄鋼の町として栄えましたが、今では見る影もなく、町には失業者が溢れています。主人ガズも、そんな失業者の一人で、離婚した妻のところにいる息子の養育費も払えない状態です。そんなカズが、男性ストリップショーが女性客を集めていると知り、自分たちもストリップショーを行って金を稼ごうとします。
 “フル・モンティ”というのは、「すっぱだか」ということ。プロがひもパンなら、こちらはフル・モンティでいこうというわけです。
 集めた仲間は駄目男たちばかり。ガズを始めとして、肥満に劣等感を持つガズの親友デイヴ、失業したことを妻に話せず、会社に行くふりを続けている元上司のジェラルド、排気ガスで自殺しかけたロンバー、年配だがリズム感のいい黒人のホース、ペットボトル並みのイチモツの持ち主のガイの総勢6人です。
 ガズを演じるロバート・カーライルは、その前に「カルラの歌」という映画で見たのですが、映画の内容にもよるのでしょうが、とてもコメディ映画に出る俳優のようには見えませんでした(その後、なんと007映画で悪役を演じていましたが、これも名前をみるまで気がつきませんでした。芸風の広い役者さんですね)。
 とにかく、おもしろいです。ひもパン(今でいうTバックでしょうか)姿の男二人が、見つめ合うシーンでは笑ってしまいました。また、職業紹介所で、順番を待っている間に音楽が流れると、思わずみんながリズムに乗ってきてしまうところは最高ですね。
 最初はフル・モンティは嫌だとごねていたみんなが、すったもんだの末のラストのショーのシーンですっぽんぽんになるところでは拍手をしてしまいそうになりました。
 見ていて楽しく、元気になる映画です。上映時間も93分と短く、気分転換にはもってこいの映画です。
狼たちの午後
監督  シドニー・ルメット
出演  アル・パチーノ  ジョン・カザール  ジェームズ・ブロデリック  チャールズ・ダーニング
 社会派シドニー・ルメット監督、アル・パチーノ主演映画です。
 閉店間際の銀行に強盗に入ったダスティン・ホフマン演じるソニーたち3人。しかし、1人が怖じ気づいて逃げ出した上に、金庫の中にはあったのはわずかな金。それを奪って逃げようとしますが、銀行の周りはすでに警官によって取り囲まれていました。やむを得ずソニーたちは銀行内に立てこもりますが・・・。
 映画は実際に起こった事件をモデルにしています。
 恋人の同性愛者の性転換のための手術代捻出のために強盗をしたソニーをアル・パチーノが演じます。
 アル・パチーノは、いつものように驚いたように目を見開き、怒鳴っています。彼はちょっとテンションの高い役を演じさせるとうまいですね。迫真の演技です。監督のシドニー・ルメットは、アル・パチーノが演じた同性愛者の恋人と妻への電話のシーンをこれまでに見た映画の中で最高の演技だといっています。何回も撮り直して、OKが出たときはアル・パチーノもさすがに涙を流したそうです。
 一方ジョン・カザールは、態度はおとなしいのですが、平気で人を殺しそうな雰囲気のサルを演じています。ジョン・カザールにはぴったりの役柄です。
 映画は派手な銃撃戦もなく淡々と進んでいきますが、しだいにソニーたち犯人と人質との間に連帯が芽生え始めます。しかし、ラストで再びただの被害者に戻るのはやっぱり自分がかわいいからですね。当たり前ですが。
  
プライベート・ライアン
監督  スティーブン・スピルバーグ
出演  トム・ハンクス  トム・サイズモア  エドワード・バーンズ  ヴィン・ディーゼル
     マット・デイモン   バリー・ペッパー
 物語は第二次世界大戦におけるノルマンディー上陸作戦から始まります。
 ノルマンディー上陸作戦を描いた映画といえば、ジョン・ウエインらオールスターキャストで製作された「史上最大の作戦」がありますが、その戦闘場面の描写には大きな違いがあります。もちろん両作品とも、戦闘場面の悲惨な状況を描いてはいるのですが、「プライベート・ライアン」の描き方はあまりにリアリティーがあって思わず目を背けたくなります。
 上陸艇のゲートが開かれたとたんに、銃撃の嵐で倒れる者たち、内蔵が飛び出している兵士、爆撃で吹き飛んだ自分の腕を持って夢遊病者のように歩く兵士等々悲惨な戦場の様子が描かれます。ハンディカメラで撮影しているそうですが、すごい臨場感です。ニュースの映像みたいで、本当に戦場にいる感じがします。
 上陸作戦が成功した後も、降伏したドイツ兵をアメリカ兵が容赦なく撃ち殺す場面もあります。こうした場面を見たら、戦争に行きたいなんて考える人はいないのではないでしょうか。
 是非この映画は多くの人に見てもらいたいですね。戦争というのはテレビゲームとは全然違って、かっこのいいものではないし、人間の尊厳を失わせるものであることを理解してほしいです。
 4人兄弟の上の3人がほぼ時を同じくして戦死したライアン家のことを知った軍の上層部は、せめて一番下の弟だけでも無事に帰国させてやろうと考えます。
 そして、トム・ハンクス演じるミラー大尉に、行方不明となっている一番下の息子であるジェームズ・ライアン二等兵の救出を命じます。オマハビーチでの過酷な戦闘を生き抜いたのに、さらなる困難な任務が課されたのです。
 ミラー大尉は7人の部下を連れて救出に向かうのですが、たった一人の兵士を助けるために8人の兵士が死にされされるというのは矛盾ですよね。救出に向かう兵士にとっては割り切れないでしょう。
 しかし、上官の命令であれば行かなければならなりません。心に疑問を持ちながらも任務の遂行をせざるを得ません。戦争というのは考えることを許しません。ネタばれとなるので、彼らがその後どうなるかは書けませんが、やりきれないものを感じてしまいます。
 スティーブン・スピルバーグがアカデミー賞監督賞を受賞しています。
  
天使にラブ・ソングを2
監督  ビル・デューク
出演  ウーピー・ゴールドバーグ  キャシー・ナジミー  ジェームズ・コバーン
     マギー・スミス  ローリン・ヒル
 ローマ法王まで感動させてしまった(?)「天使にラブ・ソングを」の続編です。
 今回ウーピー・ゴールドバーグ演じるドロリスは、シスターたちに頼まれて、荒れている教区内の高校の音楽教師となります。このままでは経費削減のために廃止される運命にある学校を立て直そうとするものの、生徒は全然やる気はないし、学級崩壊状態です。
 しかし、ドロリスの奮闘により、次第に心を一つにして合唱コンクールに出場することになりますが、一方理事長たちは着々と閉校の計画を進めていました・・・。
前作とは異なり、“熱血学園教師もの”という感じのストーリーです。なんだか、ワルとはいいながらも、どの生徒もみんな本当は良い子で、クラリスの歌の指導にどんどんついていってしまいます。最後はローリン・ヒル演じる女の子も無事コーラスに加わって、めでたしめでたしです。
 正直のところ、前作は超えられませんでしたが、あまり深いことは考えずに、家族と見るには最適な映画です。ただ、今回はシスターたちの合唱がみられないのは大いに残念でしたが。
 
※ 僕としては、あの西部劇の名作で印象的な孤高のガンマンを演じたジャームズ・コバーンが出演しているのは懐かしかったです。
  
復讐者に憐れみを
監督  パク・チャヌク
出演  ソン・ガンホ   シン・ハギュン  ペ・ドゥナ  イム・ジウン
  「JSA」、「オールド・ボーイ」のパク・チャヌク監督による復讐三部作の第一弾です。
 聴覚障害を持つ男リュは、病気の姉の臓器移植のために自分の臓器を提供しようとするが、適合せず、そのうえ会社も首になってしまいます。闇の臓器売買に望みを託すが、逆に退職金と自分の腎臓を騙し取られてしまいます。困ったリュはユンミとともに、自分を首にした会社の社長の娘を誘拐します。しかし、それを知った姉は自殺し、姉の死に動転していたリュは、娘が溺れるのに気が付かず死亡させてしまいます。一方、娘を殺された社長は、犯人に対し復讐を誓い、犯人捜しを始めます・・・。
 あの衝撃的な「オールド・ボーイ」に引き継がれる作品でしたので、大いに期待して見たのですが、残念ながら「オールド・ボーイ」ほどの衝撃はなかったですが、相変わらずの見終わった後のやりきれなさが胸にいっぱいで、本当に辛い映画でした。
 会社社長ドンジンを演じるのはソン・ガンホです。韓国映画といえばソン・ガンホと思えてしまうほど、いろいろな映画に出ていますね。最近では「大統領の理髪師」に理髪師役で主演していますが、相変わらず見事な演技です。
 リュウ役を演じるシン・ハギュンは「JSA」で北朝鮮兵士役を演じていたそうですが、気が付きませんでした。今回は聴覚障害者役のために手話まで勉強して熱演です。
 聴覚障害を持ちながらも姉のために一生懸命働くリュにしても、会社社長のドンジンにしても、普通であったら暴力とは無縁の所で生きていたはずなのに、思わぬことから不毛な復讐に生きることになってしまうのは、本当に辛いです。最後のドンジンの独白はあまりに悲しいです。
  
オールド・ルーキー
監督  ジョン・リー・ハンコック
出演  デニス・クエイド  レイチェル・グリフィス  ブライアン・コックス  ベス・グラント
 夢を捨てずに努力をすれば、夢は叶うという、僕らおじさんたち必見の映画です。
 主人公ジム・モリスは、35歳の高校の教師。
 しかし、かつてマイナーリーグの選手だった彼は、大リーグの選手になることを夢見ていました。もう若いとはいえない年齢でありながら、彼は思わぬことから大リーグ球団の入団試験に臨むことになります。
 子供の頃からの夢を叶えたいために、教師という安定した職業を捨てて大リーガーへの夢を追うジム・モリスのまねは僕らにはできません。だからこそ、安定した地位に安穏として毎日を暮らす僕らにはできないことに挑戦する主人公に思わず声援を送ってしまいます。
 そして、それを許して夫を見守る妻にはそれ以上の声援です。普通子供も抱えていて、夫が夢のために実現可能かどうかわからない(それも不可能な方が大きい)ことをすることは、許さないですよね。夫の身勝手ですものね。でも、これって実話だそうですから、実際にこれを許した奥さんはいるんです。すごいです。
 この映画、夢を追い続けてそれを実現した男と、それを支えた妻と子の感動の物語でした。
ふたり
監督  大林宣彦
出演  石田ひかり   中嶋朋子  富司純子  岸部一徳  尾美としのり  増田恵子
 大林宣彦監督による新尾道シリーズの第1作です。
 成績優秀、スポーツ万能で学校始まって以来の秀才といわれる姉の千津子。一方ドジで愚図でいつも姉に助けられて生きてきた妹の実加。しかし、千津子は、登校途中に事故に遭遇し、実加の目の前で亡くなってしまいます。それ以来母は精神に変調を来し、家の中もどこかぎくしゃくしています。そんなある日、変質者に襲われた実加の前に千津子の幽霊が現れます。
 石田ひかりの初主演映画で、まだ10代の頃だったので、非常に初々しいです。でも初主演とは思えないほど、しっかりした演技をしています。最初甘えん坊でぼぉーとしていた妹が幽霊の姉に励まされながら、しだいに成長していく姿を見事に演じています。
 こうした幽霊の出てくるファンタジーは大好きで、この映画もレーザー・ディスク(古いですねえ!)が発売された際に購入してしまいました。
 大林監督自身の作詞、久石譲作曲による挿入歌も大好きです。エンドロールで大林監督自身と出演者の一人尾美としのりが歌っています。僕としては石田ひかりさんに歌ってもらいたかったのですがねえ。
 実加と演劇の主役の座を争う島崎和歌子も若いです。今ではすっかりおばさんとなって、バラエティー番組の常連になってしまいましたが、こんな若い頃もあったのですね(当たり前ですけど)。
  
天国と地獄
監督  黒澤明
出演  三船敏郎  仲代達矢  山崎努  香川京子  三橋達也  木村功
 エド・マクベイン原作の「キングの身代金」を黒澤明監督が映画化した作品です。
 町を見下ろす高台の上に建てられた豪邸。靴製造会社の役員権藤の家です。その権藤の子供を誘拐したという電話が入ります。ところが、誘拐されたのは権藤の子供と間違われたお抱え運転手の子供でした。そうと知っても、権藤に身代金を要求する犯人。手元にある金は会社を支配するために会社の株式を買い取るために必要な金でした。株を取得しなければ、多大な負債を抱えた上に会社を追われることになってしまう権藤は、苦悩しながらも犯人の要求に応じます。
 家の庭に面した部分は大きなガラス戸で、そこから町が見下ろせるというのは、庶民を見下ろす金持ちということを象徴しています。犯人はその家を見上げて、自分との差に憎しみを募らすのです。さすが黒沢監督、うまいですよねえ。この家の設定だけで、被害者と犯人の立場を明確に描いてしまいます。
 ただ、犯人はインターンなのですが、僕らからすれば将来医者になるインターンは、高台の家の人側に属する人だと思うのですが・・・
 映画は前半は豪邸の居間で、運転手の子の身代金に、事業のための金を回すことに苦悩する権藤とそれを取り巻く人々が描かれます。後半は一転、犯人を追う刑事たちの姿を描きます。刑事役として、仲代達矢や木村功、そして志村喬と黒沢映画の常連が出演しています。
 映画は白黒ですが、一瞬カラーの部分があります。犯人が身代金の入っていた鞄を燃やすと赤い煙が煙突から出てくるのです(警察が前もって鞄に仕掛けを施しておいたのです)。
 この白黒映画の中で一部がカラーというのは、ほかの映画でもまねされていますよね。たしか「シンドラーのリスト」で白黒の画面に少女の服だけが赤かったという記憶がありますが、あれは、この映画のまねではないでしょうか。スピルバーグも敬愛する黒沢監督ですから、きっとそうなのでしょうね。
 
ハンニバル
監督  リドリー・スコット
出演  アンソニー・ホプキンス  ジュリアン・ムーア  レイ・リオッタ  ジャンカルロ・ジャンニーニ
     ゲイリー・オールドマン
(ちょっとネタバレあり)

 前作の「羊たちの沈黙」から10年。レクター役のアンソニー・ホプキンスは変わりませんが、クラリス役がジョディ・フォスターからジュリアン・ムーアへと変更になりました。
 ジュリアン・ムーアも決して演技が下手な女優さんではないのですが、「羊たちの沈黙」のジョディ・フォスターの印象が強すぎました。イメージとしては、クラリスは、小柄でかしこくて気の強さが外面に出ているという感じで、そうした点から、どうしてもジョディ・フォスターを思い浮かべてしまいます。 アカデミー賞受賞のヒット作ですから、その続編で違う俳優が演じるというのは、かなり難しいでしょうね。ジュリアン・ムーアも損な役を引き受けてしまいました。
 レクター役のアンソニー・ホプキンスは相変わらず強烈なキャラクターを発揮しています。さすがに前作から10年たっていますので、歳をとったという印象はぬぐえません。アクションシーンはもう辛いですよね。
 原作どおりに、レクターが人間の脳を食べる場面が出てきます。ジョディ・フォスターは、こうした衝撃的な場面を嫌って、この作品に出なかったという話もありますが、まあ確かにグロテスクです。でも、脳を剥き出しにされても話をしているところには、笑ってしまいましたけど。
 原作の終わり方は、クラリスファンの僕としては好きではありません。映画では原作とは異なったラストとなっています。
 レクターに復讐をしようとする大金持ちの役でゲイリー・オールドマンが出演していますが、かつてレクターにそそのかされて、飲まされた麻薬の影響で自分の顔の皮膚をはぎ、犬に与えてしまったという過去があるため、そのためのメークで素顔が全然わかりません。出演しているといわれなければ、気づかないですね。
 それにしても、人食いブタには恐れ入りました。
  
ローレライ
監督  樋口真嗣
出演  役所広司  妻夫木聡  柳葉敏郎  香椎由宇  石黒賢  上川隆也  堤真一
(ネタバレあり)
 福井晴敏さん原作「終戦のローレライ」の映画化です。積読ままになっているうちに、文庫化され、映画にもなってしまいました。あ〜もったいないことをしたという感じです。
 ドイツから譲り渡された潜水艦にはある秘密装置「ローレライ」が搭載されていました。広島への原爆投下後、新たな原爆投下を阻止すべく、大洋に乗り出した乗組員を待ち受けるアメリカ艦隊。艦の中に潜んでいたドイツ軍の人体実験によって人間の潜在能力を極限までに高められた少女。秘密装置というのは、その彼女の能力を使った、当時の科学力を遙かに上回るレーダー装置でした。その装置によりアメリカ軍を殲滅しながら目的地へと向かいますが、艦の中で反乱が起こり、一部の兵士に艦が乗っ取られてしまいます。彼らが目的とするのは、アメリカ軍との取引でした。この艦を「ローレライ」とともに引き渡す代わりに、東京に原爆を投下させるというのです・・・。
 原作は上下巻1000ページを超える大作です。それを2時間の映画にするのは、かなり難しいものがあったのではないかと思います。映画を見ていて、どうも説明不足だなと思う点がかなり見受けられました。それが、原作のせいなのか、映画化のせいなのかは、原作を読んでいない私にはわからないのですが。
 例えば、ローレライの一部となる日独混血の少女のことです。彼女が何故ドイツにいて、人体実験の被験者とされたのか。そのあたりが全く描かれていません。彼女の苦悩と悲しみが描かれるべきではなかったでしょうか。
 また、部下に死ぬなと言っていた艦長が、部下の命を見捨てざるを得ない場面に際して、ちょっとあっさりしすぎています。もっと苦悩してもいいのではないかと思うのですが。そして、それは妻夫木が演じる戦友についても同じことが言えます。
 さらには、クーデターを起こした兵士たちの論理、なぜ東京に原爆を落とさざるを得なかったのかもよくわかりません。
 とにかく、描くべきことが時間の関係で中途半端に終わってしまったような気がします。やはり、原作を読まないとおもしろさは伝わらないのでしょうか。
交渉人 真下正義
監督  本広克行
出演  ユースケ・サンタマリア  寺島進  小泉孝太郎  柳葉敏郎  西村雅彦  水野美紀
     石井正則  金田龍之介  高杉亘  松重豊
 「踊る大捜査線」に登場するネゴシエーター、真下正義を描いたいわゆるスピン・オフムービーです。親が警察官僚のお偉方で、自分もキャリア官僚の真下くんですが、当初は世間知らずな気の弱そうな男だったのが、映画の「踊る大捜査線2」にアメリカで研修を受けた日本初のネゴシエーターとして登場してから様子が変わりました。相変わらずのお調子者ですが、室井の肝煎りで作られた交渉課準備室の課長となり、犯人との交渉ではネゴシエーターとして、どこか自信のあるところも見せるようになります。
 今回は、真下くんの活躍を見た人物が、開発中の新型地下鉄車両を暴走させ、真下くんに挑戦してきます。折しもクリスマス・イブの日、真下くんは夜には雪乃さんとデートの約束をしていました。
 本編の「踊る大捜査線」に勝るとも劣らぬ、予想以上におもしろい映画でした。青島刑事役の織田裕二や恩田すみれ役の深津絵里等は出演していませんが、柳葉敏郎や水野美紀が顔を見せているほか、いつものSATも登場するなど、「踊る大捜査線」ファンにはたまりません。それ以外に、この作品には非常に個性的な人物として寺島進演じる木島丈一郎刑事が登場します。口は悪く、やることは荒っぽいが信頼できる刑事です。また、あの西村雅彦が思わぬ役で出演しています。
 スピンオフムービーとしては、このあと柳葉敏郎演じる室井を主人公にした映画「容疑者 室井慎次」が製作されています。早くDVD化されないでしょうか。
ラブ・アクチュアリー
監督  リチャード・カーティス
出演  ヒュー・グラント  リーアム・ニーソン  コリン・ファース  ローラ・リニー  エマ・トンプソン
     アラン・リックマン  キーラ・ナイトレイ  ローワン・アトキンソン
 群像劇というのでしょうか。さまざまな登場人物たちの愛のエピソードを描いた映画です。とっても心温まる映画でした。舞台はクリスマスシーズンですが、関係なくいつでも楽しめます。
 出演者も豪華です。ヒュー・グラント、リーアム・ニーソン、アラン・リックマン、コリン・ファース、ローラ・リニー、キーラ・ナイトレイ、、エマ・トンプソン、ローワン・アトキンソンと、よくもまあこれだけ出演するかというぐらいの多彩な出演者です。
 ヒュー・グラントのこのところの活躍ぶりはすごいですね。今回彼が演じるのは独身のイギリス首相です。官邸のスタッフの女性に恋しますが、アメリカ大統領が彼女に言い寄っているのを知って、記者会見の席でアメリカにガツーンと言ってしまうところは爽快です。単なる焼き餅がなしたことなんですがね(笑)
 また、部屋に飾ってあるサッチャー元首相の絵に向かって、鉄の女のあなたも悩んだ?と聞くのには思わず笑ってしまいました。音楽にのって踊ってしまうところも最高です。「ブリジット・ジョーンズの日記」でもそうですが、最近コミカルな役にはまっていますね。
 親友の結婚相手ジュリエットに恋するマークのエピソードが一番胸にグッときます。
 結婚式にマークが撮ったビデオに映っているのはジュリエットの姿ばかり。せつないですねえ。気持ちわかります。また、それを彼女に知られたときの気まずさったら、穴があったら入りたいという心境でしょうね。
 しかし、クリスマスの日に彼は紙に言葉を書いて、彼女の家を訪ね、玄関先に出てきた彼女に紙に書かれた文字を見せます。紙に書かれた言葉は、「君は最高。僕の心は君のもの・・・」
 ホントいいシーンでした。彼女にキスされた彼が「十分だ」というのもいいです。彼に負けずにがんばれと声援を送りたくなってしまいました。
 愛というより友情といった方がいいエピソードが一つあります。峠を過ぎた年老いた歌手と、彼を見捨てずに支えてきた歌手のマネージャーとの話です。
 クリスマスシーズンのナンバー1ヒットを獲得し、パーティーに行ったはずの歌手がボトルを抱えて、一人寂しくクリスマスを過ごすマネージャーの家にやってくるシーンには、「そうだろ、そうでなくては」と納得です。
 会社の若い女の子に言い寄られ、妻には買ったことのないアクセサリーをクリスマスプレゼントするのを妻に知られてしまったのはアラン・リックマン演じるハリー。女の子にプレゼントのほか何をしたわけでもないけれど、それはやっぱり妻にとっては裏切りなんでしょうね。
 ちょっと、かわいそうだったのは、同僚に恋したサラのエピソードです。彼とベッドインしようと思ったら、弟からの電話。精神病院に入院している弟は彼女が面倒見なくてはならないのです。弟への愛のために愛する男性とうまくいかなくなるサラがいじらしいです。
 有名俳優が演じているわけでもありませんが、映画の代役の二人のエピソードもほほえましいものがあります(ただこのエピソードのおかげで子供たちには見せられなくなってしまいましたが)。
 エピソードがいっぱいあるうえに、それぞれのエピソードの登場人物たちに繋がりがあったりするので、人間関係の把握がちょっと大変かもしれません(この点DVDで見ると、再確認ができて便利でしたが。)。でも、いろんな形の愛が描かれていて、ホントに素敵な映画でした。また見たくなる映画です。オススメです。
アイ・アム・デビッド
監督  ポール・フェイグ
出演  ベン・ティバー  ジム・カヴィーゼル  ジョーン・プロウライト
 第二次世界大戦直後のブルガリア。12歳の少年デビッドは、反体制派が収容されている強制収容所で過酷な労働と看守の暴力に怯える日々を送っていました。そんなある日、デビッドはある男から“この手紙を持って、デンマークに逃げろ”との指示を受け、強制収容所を脱走します。こうしてブルガリアから、デンマークに向けてデビッドは旅立ちます。

 話は、ブルガリアからデンマークまでの逃避行での人々との出会いを描きながら、なぜ、彼がデンマークを目指すのかという謎の一端がフラッシュバックのように挿入されます。
 いったい、デビッドの脱走をお膳立てしたのは誰なのか、そして時々出てくる本は何を意味するのかと、ちょっとミステリっぽい味付けもあります。
 辛い収容所暮らしのため、笑い顔を知らないデビッド。割れた鏡に自分の顔を映して笑い顔を作ろうとするシーンに涙が浮かんでしまいます。デビッドを演じるベン・ティバーの演技は素晴らしいのひとことです。
 デビッドの知っている世界は収容所の中の世界だけ。そこで、看守の暴力に震えていたことが、デビッドに世界は悪人ばかりと思わせ、彼に関わってくる人になかなか心を開きません。物心ついたときから収容所での生活だったのですから、無理もありませんね。
 しかし、最初はひきつったような笑いしかできなかったデビッドの心が老婦人ソフィーらによって次第に癒されていきます。
 ラストは感動です。世界は悪人ばかりだと思っていたデビッドを守ったのは、周りの人の善意だったのです。
 収容所でデビッドを常に見守っていたヨハンの役は、「パッション」でイエス・キリストを演じたジム・ガヴィーゼルです(というか、「アイ・アム・デビッド」の演技で「パッション」のキリスト役を射止めたようですね)。反体制派のインテリという感じをうまく出しています。
 デビッドに人の善意を説く老婦人ソフィーを演じているのは、ジョーン・ブロウライトという女優さんですが、あのローレンス・オリヴィエ夫人だそうです。
 90分ほどの短い映画ですが、胸にくるものは大きなものがありました。ミニシアター系の作品で、地方で公開されなかったのは残念ですが、こうしてDVD化されたのですから、多くの人に見てもらいたい作品です。オススメです。

 ※ただ、収容所で色々な言葉を聞いていたから外国語も理解できるというのは、ちょっとねえ。
アバウト・ア・ボーイ
監督  クリス・ワイツ  ポール・ワイツ
出演  ヒュー・グラント  ニコラス・ホルト  レイチェル・ワイズ  トニー・コレット
 ヒュー・グラント演じる主人公ウィルは、父親の印税で暮らす38歳で独身の男性。“人間は孤島だ”を信条に、人と深く関わろうとせず気ままな生活を送っています。
 女性と後腐れなく付き合うために離婚した女性を狙って、子持ちの片親の会に子供がいると偽って参加するいいかげんな男です。
一方マーカスは、鬱病の母親を持つ母子家庭で育った12歳の男の子。母想いの子ですが、学校でイジメられています。そんな二人がふとしたことで出会ったことから、ウィルの生活が変わってきます。

 女性にとっては鼻持ちならない嫌な男が子供との出会いによって、しだいに変わっていくという、話としてはよくありそうな映画です。しかし、脚本のうまさとヒュー・グラントの演技、そしてマーカスを演じるニコラス・ホルト少年の魅力が、この映画を普通の映画以上のものにしています。最後まで見ていて飽きませんでした。
 この映画に流れるほんわかした感じはイギリス映画だからでしょうか。「ラブ・アクチュアリー」でもそうでしたが、ユーモアがあって、嫌みはなくて、どこかほんのりさせられる、こうした映画は大好きです。
 僕の中では、ヒュー・グラントは、以前は真面目な二枚目という印象しかなかったのですが、このところ見た「ブリジット・ジョーンズの日記」や「ラブ・アクチュアリー」と、三枚目役が最高ですね。認識を改めてしまいました。
 マーカス少年は、学校でいじめられながらも、まっすぐで、母親のことを気にかけるとってもかわいい少年です。こんな少年では、ウィルがほだされてしまうのも無理ないですね。
 ウィルとつきあう女性役でレイチェル・ワイズが出ています。気の強そうな顔立ちで、最近気に入っている女優さんですが、彼女が子持ちの母親役とはちょっと意外でした。
キャビン・フィーバー
監督  イーライ・ロス
出演  ライダー・ストロング  ジョーダン・ラッド  ジェームズ・デベロ  セリナ・ヴィンセント  ジョーイ・カーン
 森の中のキャビンでパーティを開いていた5人の若者。酒、セックスと楽しい時間を過ごす彼らのもとに病原菌に犯された男が現れたことで、彼らの間に感染の恐怖が広がります。やがて、一人の女の子に病気の兆候が出たことから彼らはパニックとなります。

 公開当時アメリカで話題を呼んだ映画だったので、DVD化されてから、毎日レンタルショップに通ってようやくレンタルできたと思ったのに、全くの期待はずれでしたねえ。
 血反吐がドバドバ出て、体が腐っていくという単なるスプラッター映画。低予算のホラー映画にはお決まりのエロティック場面もありです。
 ひとことで言えば変な映画です。だいたいあの雑貨屋の少年は、いったいなぜカンフーなんてするのでしょう。なぜだ!と思わずツッコミたくなります。途中に登場した保安官補も雑貨店のオヤジも普通ではないです。
 最後はやっぱりお決まりの終わり方ですね。あまりに定番過ぎて、いったいこの映画のどこが評判を呼んだのか不思議です。貴重な平日の夜を無駄に使ってしまいました。
 ひとつ驚いたのは、若者の中でカレン役を演じていたジョーダン・ラッドは、なんとあの「シェーン」のアラン・ラッドの孫娘だったことです。
あした
監督  大林宣彦
出演  高橋かおり  林泰文  朱門みず穂  宝生舞  柏原収史  植木等  原田知世   ベンガル
     岸辺一徳  多岐川裕美  津島恵子   芥川比佐志  峰岸徹  小林かおり  村田雄浩
     根岸季衣  洞口依子  田口トモロヲ
 大林宣彦監督による「ふたり」に続く新尾道シリーズ第2作です。
 原作は「ふたり」と同じ赤川次郎さんによる「午前0時の忘れもの」です。原作ではバス事故が発端となっていますが、映画では舞台が尾道ということがあったのか、船の事故へと設定が変更されています。

 小型客船呼子丸が嵐の中、尾道沖で遭難し、乗客9名の絶望が伝えられてから3か月がたったある日、残された家族や恋人の元にスライドの画面から、手紙から、伝言板から、不思議なメッセージが届けられます。「今夜12時、呼子浜に来て」と。
 人々は愛する人に会えるかもしれないという思いを胸に呼子浜に向かいます。みんなが待つ中、12時となって、忽然と呼子丸が海の中から姿を現します。そして、そこから降りてきたのは行方不明となっていた愛する人たち・・・。

 幽霊でもいい、帰ってきて欲しいと人は思うのでしょうか。みんな疑うことなく呼子浜に向かいます。登場人物の一人が言います。「愛していればきっとこんなことも起こるだろう。」と。
 この映画は死んだ人と、あとに残された人との短い再会と、再度の別れを描いた作品です。死んだ人は、残された人がこれからを生きていくために、別れを言いに現れるのです。
 遭難した人と、その愛する人たちだけでなく、呼子浜に向かったやくざの親分の命を狙う子分たちや、たまたま船に乗り遅れて船着き場で夜を明かすことになった二人の少女も登場するので、2時間20分の上映時間の中ではそれぞれのエピソードが表面をなぞっただけのようになってしまった嫌いがないとはいえません。
 とはいえ、それぞれの再度の別れ、特に夫が妻娘と別れるシーンではやっぱり涙がこぼれてしまいました。 いつも出勤を見送っているように別れる夫と妻娘。娘が「お父さん、行ってらっしゃい。早く帰ってきて。」というシーンは涙なくしては見られませんでした。誰がどう言おうと泣けるものは仕方がないのです。
 恋人を見送った女子高校生恵は山の上から尾道の町を見下ろして言います。「おはよう」と。今日から残された人々の新たな人生が始まります。
 ※名前を問われて「わたし」と名乗った原田知世の役柄がいまだによくわかりません。
28週後
監督  ファン・カルロス・フレスナディージョ
出演  ロバート・カーライル  ローズ・バーン  ジェレミー・レナー  ハロルド・ベリノー  キャサリン・マコーマック
 2003年公開のダニー・ボイル監督作品「28日後」の続編です。前作の「28日後」は、走るゾンビの登場で、それまでの動きの鈍いゾンビというイメージを一新した映画でした。とにかく、それまでは走ればゾンビを振り切れたのですが、ゾンビも走ってしまうのですから、これは怖いです。今回も当然、走るゾンビは健在です。
 ウィルスの蔓延による人間のゾンビ化によって壊滅したロンドン。それから28週が過ぎ、ゾンビも死に絶えたロンドンに人間が戻ってくる。ドンは、ゾンビに襲われた際、妻を見捨てて逃げたという自責の念に捕らわれていたが、外国にいた子どもたちを迎え、新たな暮らしを始めようとする。
 自責の念を持ち、苦しむドンですが、逃げるのも仕方ないですよね。僕がドンだとしても、怖くてとてもじゃないが妻を見捨てて逃げますよ(これは妻には内緒ですが)。ゾンビに噛まれると、噛まれた人もすぐにゾンビになってしまうのですから。助けるなんてとてもじゃないけどできません。やはり自分が一番大切です(笑)
 ドンを演じたのは、「フル・モンティ」の演技が印象的だったロバート・カーライルです。ネタバレを恐れずに言ってしまうと、この人が主人公だと思っていたら、なんと彼もゾンビになってしまいます。妻の喉笛に噛みつき、殺すシーンのすごいことといったら正視に耐えません。この人、イギリスではそれなりの俳優さんと思うのですが、良くこんな役を引き受けたものです。イメージ壊しますよね。
 後半は、子どもたちと、その弟の方がウィルスに対する免疫を持っていることを知り、どうにか助けようとする女性軍医、そして一般人への射殺命令に反発した兵士との逃避行が描かれます。ゾンビ映画にはお馴染みのスプラッターシーンも満載です。ヘリコプターの羽根でゾンビを切断しまくるところの血しぶきの凄さといったら、女性や子どもには見せられませんね。
 ラストは予想どおりの展開で終わります。それにしても走るゾンビは怖い!
12人の怒れる男
監督  ニキータ・ミハルコフ
出演  セルゲイ・マコヴェツキイ  ニキータ・ミハルコフ  セルゲイ・ガルマッシュ  ヴァレンティン・ガフト
     アレクセイ・ペトレンコ  ユーリ・ストヤノフ  セルゲイ・ガザロフ  ミハイル・イェフレモフ
     アレクセイ・ゴルブノフ  セルゲイ・アルツィバシェフ  ヴィクトル・ヴェルジビツキイ  ロマン・マディアノフ
 いよいよ裁判員制度がこの5月21日からスタートすることになりました。今まで裁判官にお任せだった判決に一般の人々が関与するようになります。陪審員制度と日本の裁判員制度は異なりますが、裁判に一般人が関与することは同じ。今後、裁判員になるかもしれないことを考えると、観ておいて大いに参考になる作品です。
 この作品はアメリカで制作されたヘンリー・フォンダ主演の名作「十二人の怒れる男」のリメイク作品です。 12人の陪審員が殺人の罪で裁判にかけられている少年に対し、最初は有罪11人、無罪1人から最終的に無罪の評決に至るまでを描くところはオリジナル作品と同じです。
 しかし、ロシァが舞台となることによって、ォリジナルとは異なる背景が描かれることになります。オリジナルでは被告である少年がスラム街出身であることによる差別が背景にありましたが、こちらでは少年がロシアからの独立を要求して紛争になったチェチェン人であることがその背景にあります。チェチェン紛争で孤児になった少年を引き取ったのに、その育ての親を殺したという事実が裁判の趨勢に影響を及ぼすことになります。
 12人の陪審員がそれぞれ自分たちの人生を吐露しながら評議を重ねていきます。最後に一人、有罪を主張した陪審員が述べた理由は衝撃的です。ラストはオリジナルと異なる展開となります。
 監督のニキータ・ミハルコフ。彼自身が、陪審員長として重要な役どころを演じています。
 オリジナルは陪審員8番を演じたヘンリー・フォンダに代表されるアメリカの“正義"を描いた作品ですが、こちらは事件の真実を示唆しながらロシアの暗部を糾弾したものとなっています。重厚な作品です。おすすめ。
僕らのミライへ逆回転
監督  ミシェル・ゴンドリー
出演  ジャック・ブラック  モス・デフ  ダニー・グローヴァー  ミア・ファロー  メロニー・ディアス
     シガニー・ウィーヴァー
 レンタル・ビデオ店の留守番を頼まれたマイクだったが、ひょんなことから身体に磁気を帯びた幼馴染みのトラブルメーカー、ジェリーが店を訪れたことで、店のビデオがすべて駄目になってしまう。あわてた2人は、自分たちで作品をリメイクし、それを貸し出すが、なぜかハチャメチャな彼らの作品が評判を呼び、彼らは次々と作品をリメイクしていくが・・・。
 コメディ映画はあまり好きではないので、ジャック・ブラック主演の映画はこれまで観たことがありません。この映画も最初のドタバタはどうも好きになれず、おもしろくないなあと思って観ていたのが正直なところです。肌に合わないというのか、ジャック・プラックのあの過剰なまでの演技は鼻についてしまうんですよね。
 どうして彼らが作ったリメイク版が評判を呼ぶのかもよくわかりません。でも、ここは理屈抜きに考えて、とにかく評判を呼んだと考えなければ話が続かないのでしょうけど。それにしても、あの“ロボコップ”はひどぃ!(笑)
 最近、ご無沙汰だったミア・ファローやシガニー・ウィーバーが登場しているのは懐かしくて、うれしい。ミア・フアローはさすがに歳をとりましたね。
 再開発のため取り壊されることになったおんぼろビデオ店を守ろうとみんなが頑張るストーリーは好きです。ラスト、窓に貼ったスクリーン代わりのシーツに映して上映していた映画をいつの間にか家の外からみんなが観ているシーンはいいですよねえ。ハートフルなラストで拍手です。
パコと魔法の絵本
監督  中島哲也
出演  役所広司  アヤカ・ウィルソン  妻夫木聡  土屋アンナ  阿部サダヲ  小池栄子  加瀬亮
     劇団ひとり  山内圭哉  上川隆也  國村隼  貫地谷しほり
 題名からすると子ども映画のようですが、大人も、いや大人が楽しめる映画です。もともとは舞台の映画化です。簡単に言えば、一人の少女によって偏屈な年寄りが心を癒されていく映画です。
 舞台はとある病院。大貫は、会社を興し独力で大きくしてきた男。自分が入院したことにより、会社はうまく回らないだろうと思っていたら、あにはからんや彼がいなくても会社は順調に実績を伸ばしているため、心穏やかではない。病院の中でも傲慢な態度で他の患者に接している。でも、これってよくあることです。自分が思っているより、会社での自分と立場というものは、それほど堅固ではないものです。
 一方、交通事故により両親を失った女の子のパコ。彼女は助かったものの脳に障害が残り、記憶が一日しか残らない。彼女は毎日、母親が誕生日プレゼントにくれた絵本を大切に読んでいる。ある日、ある行き違いから大貫はパコを殴ってしまうが、翌日パコの事情を知り、彼の心はしだいに変化していきます。
 大貫を演じているのは、役所広司さん。最初の登場シーンでは、役所さんが演じているとは思えないほどのメイクで、役所さんとは気づきませんでした。いつものダンディな男性とは異なるキャラクターを演じますが、そこは名優です。人嫌いのジジイ役がすっかり様になっています。
 パコを演じたのはアヤカ・ウィルソン。この女の子、かわいいし、演技が自然ですよね。子役として埋もれずにうまく大きくなってくれることを期待したいです(そういえば、この映画の中にも子役からうまく脱しきれず悩む青年が出てきます。)。
 物語の狂言回しという重要な役どころ、堀米役を演じるのは阿部サダヲさん。相変わらずあくの強い演技で、強烈な印象を残します。また、演劇集団キャラメルボックスの上川隆也さんが医者の役をコミカルに演じます。そのほか、劇団ひとりさん、土屋アンナさん、妻夫木聡さん、小池栄子さんらがそれぞれユニークなキャラクターで登場します。土屋アンナさんの
超ミニ看護師服姿にはドッキリですよ(笑)。
 ラストは予想とは異なった展開へ。思わずそっと目元を拭ってしまいます。おすすめです。
ハッピーフライト
監督  矢口史靖
出演  田辺誠一  時任三郎  綾瀬はるか  吹石一恵  田畑智子  寺島しのぶ  田中哲司  岸部一徳
     中村靖日  柄本明  小日向文世  ベンガル 木野花
 航空会社に勤務する人たちは、周りから見れば華やかな職業に見えます。パイロットやキャビン・アテンダント(スチュワーデスさんという言葉が懐かしい。)を見ると、かっこいいと憧れますよね。でも、この映画は、ただ単にかっこいいだけでなく、飛行機を安全に、そして快適に飛ばすために、裏ではいろいろな人々の奮闘する姿があるんだということを描いていきます。
 工具一つ見あたらないだけで、全員で探す整備の人たち。確かにその工具が飛行機の機器の中に誤って入ったら大事故になるでしょうから、真剣になるのももっともですね。乗客に常に笑顔で応対するキャビン・アテンダントが裏では青竹踏んで足の疲れを取っていたり、自分たちの食事を掻き込むようにして食べている姿には笑ってしまいますが、華やかさの裏ではこんなこともあるんだ、大変だなあと再認識です。いろいろ理不尽なことを言う人もいるだろうからクレームヘの応対も大変でしょうね。寺島しのぶさん演じたキャビン・アテンダントの毅然とした態度は見習わなければなりません。綾瀬はるかさんのCAはご愛敬。実際にあんなCAが乗っていたらご愛敬ではすみませんけど。
 製作がフジテレビらしい映画といったらいいのでしょうか。見て楽しんで笑える映画です。ストレス解消にはもってこいですね。
猟奇的な彼女 in NY
監督  ヤン・サミュエル
出演  エリシャ・カスバート  ジェシー・ブラッドフォード  オースティン・ベイシス  ジョアンナ・グリーソン
     ジェイ・パターソン  ウィリアム・アバディー
 チョン・ジヒョンが主人公を演じ、大ヒットとなうた韓国映画「猟奇的な彼女」のハリウッドリメイクです。日本では未公開、というよりアメリカでも未公開だったようです。DVDでレンタルされているのを知って、借りてきました。
 ストーリーはだいたいそのまま。主人公の女性が酒癖が悪い女の子であるのも変わりません。相手の男性も気の弱そうな感じなのも同じです。ただ、韓国版では彼女は暴力的ですぐに彼を殴ったのですが、ハリウッド版では海に落としたりはしますが、殴ったりはありません。これがお国柄でしょうか。韓国版は確かにかわいい女性でありながら、暴力がすぎました。でも、逆にあんなかわいい女性が暴力をふるうというイメージと実際のギャップが人気を呼んだのでしょうけど。アメリカではあそこまでは共感できないのでしょう。でも、ラプストーリーとして十分楽しむことができます.
 女の子を演じたのは、エリシャ・カスバート。大ヒットテレビドラマ「24」でジャック・バウアーの娘、キンバリー・バウアーを演じた女優さんだそうです。
REC
監督  ジャウマ・パラゲノ  パコ・プラサ
出演  マヌエラ・ベラスコ  フェラン・テラッサ  ホルヘ・ヤマン・セラーノ  カルロス・ラサルテ  パブロ・ロッソ
 「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」をはじめ最近評判の「パラノーマル・アクティビティ」など、手持ちカメラにより撮影された映画が増えています。この作品は、息子からその系統の映画の中でも、「これは怖かった」と推薦があった映画です。
 消防署に取材に行つた女性レポーターとカメラマンが、消防の出動に同行して行ったビルの中で経験する恐怖を描いたスペイン映画です。カメラマンが持つビデオカメラで撮影された映像がそのまま映画となってるので、臨場感があります。
 あるビルからものすごい悲鳴が聞こえたという連絡を受けて、警察と消防が駆けつけます。悲鳴が起こった部屋にいた女性に警官が近づくと、突然女性は警官に噛みつきます。傷ついた警官を外に出そうとしたところ、いつの間にかビルは警官隊によって封鎖され、中にいた人々は出ることができなくなってしまいます。
 噛みつかれることによって、しだいに感染が広がり、人々が凶暴化していくところは怖いです。特にいたいけな少女までが血だらけになって噛みつくのですからね。思わず目を背けてしまいました。騒動の原因については、示唆されましたが、はっきりとは描かれず、消化不良のまま終わります。昨年「REC2」が公開されましたが、この作品の終了直後からの話だそうです。DVD化されたら観なくては。
セブンデイズ
監督  ウォン・シニョン
出演  キム・ユンジン  キム・ミスク  パク・ヒスン  チャン・ハンソン  チェ・ミョンス  チョン・ドンファン
 驚異的な勝訴率を誇るやり手の女性弁護士ユ・ジヨンは娘と二人暮らしのシングル・マザー。ある日、娘が運動会のさなか、何者かによって誘拐される。誘拐犯の要求は、翌週に二審が開かれる殺人事件の裁判で、被告人の無罪を勝ち取れというもの。しかし、証拠は被告の有罪を示すものばかりで、逆転無罪の判決を得るのは困難な状況だった。ジヨンは、友人のキム刑事の力を借りて事件を洗い直すのだが・・・。
 娘を誘拐した犯人は誰なのか、果たして被告人は無罪なのか、ミステリータッチで物語は進みます。被告人がいかにも犯罪者という面構えで、本当に無罪なのかと思わせたりしながら、観客を煙に巻いていきます。
 検事に対して被告人を無罪にしろという要求ならば、検事は追及に手心を加えればいいのですが、弁護士に対して無罪にしろというのは、今回の事件のように証拠が圧倒的に被告人に不利な状況の下では、本当は無理な話です。努力したって、無罪の証拠が出てくるとは限りませんからねえ。そこで、前提として勝訴率がほぼ100%という有能な弁護士ということを謳っているのでしょうけど。誘拐犯は無罪を勝ち取れない場合は、どうするつもりだったのでしょう?と余計なことを考えてしまいます。それにしても、誘拐犯の目的があそこにあったとは、なかなかミステリとしても捻りが効いていました。
 ユ・ジヨンを演じるのは「シュリ」「LOST」のキム・ユンジン(「LOST」で国際的俳優となりましたが、「シュリ」の北朝鮮のスナイパーの方が僕としては印象深いです。なにせ、あの映画から韓国映画を観るようになったのですからね。)です。この映画は2007年制作だったのがようやく2009年秋に公開になったのも「LOST」で人気が出たせいでもあるのでしょうか。
 ジヨンを助けるキム刑事を演じるパク・ヒスンは、雨上がり決死隊の宮迫さんに雰囲気が似ていますね。
 韓国のこういったサスペンス系統の作品はどうも凄惨な殺害場面が多いです。この作品でも、惨劇場面は目を背けたくなりますし、惨殺死体をそのまま映すのも参ってしまいますねえ。
やさしい嘘と贈り物
監督  ニコラス・ファクラー
出演  マーティン・ランドー エレン・バーンスティン  アダム・スコット  エリザベス・バンクス
 映画の舞台となる季節、クリスマスシーズンにふさわしいファンタジーであり、心温まる感動作です。 
 小さな町でスーパーに勤める老人、ロバート。彼は、クリスマスプレゼントを自分から自分に贈るという孤独な毎日を送っていた。そんな彼の前に、ある日、メアリーという老婦人が現れる。出会ったときから食事に誘うメアリーの積極さに戸惑いながらも、ロバートはしだいにメアリーに魅かれていく。デートを前に、同僚から様々なアドバイスを受けた甲斐もあって二人の間はうまく進んで行ったが・・・
 この映画を観る前に公式ホームページは見てはいけません。この映画にはある謎があります。観ているうちに、すぐ想像できてしまうのですが、公式HPでは、それをトップページで明らかにしてしまっています。そのうえ、劇場用予告編でもすっかりネタばれで、ストーリーを説明しています。よけいなおせっかいですねえ。それは、それぞれ観た人がそうだったんだぁと気付けばよいことです。ちょっと、興ざめです。配給会社の担当者さん、全然映画のことをわかっていません。
 ロバートを演じているのは、僕らの年代ではテレビシリーズのスパイ大作戦で変装の名人を演じたのが印象に残るマーティ・ランドーです。一方、メアリーを演じているのは、「エクソシスト」で悪霊にとりつかれた少女の母親役をしていたエレン・バーンスティンです。二人ともすっかり皺のよく似合う年齢になっていますね。これから、僕たちも彼らのように皺が似合う年代に向かっていくことを考えると、ちょっと悲しい話です。お互いに相手を思いやることができるでしょうか。
ザ・ロード
監督  ジョン・ヒルコート
出演  ヴィゴ・モーテンセン  コディ・スミット=マクフィー  ロバート。デュヴァル  シャーリーズ・セロン
     モリー・パーカー  ギャレット・ディラハント
 コーマック・マッカーシー原作、同名小説の映画化です。とにかく暗い映画です。スクリーンもカラーを押さえたモノクロのような色彩で荒廃した地球を描いています。
 滅亡に向かう地球で、南に向けて旅をする父と子。生き残った者の中には、他の人間を食べて生きている者たちもいるという凄惨な世界で、父は息子を守りながら旅を続けます。
 食料もない世界で、生きていくために人肉を食べることが一概に悪とは決めつけられないのですが、やはり観ているこちらとしては辛いです。地下に食料として“貯蔵"されている人間たちの姿には目を背けてしまいます。
 自分たちの食料を盗んだ者にもやさしい息子と、そんな息子に生きることの厳しさを教えようとする父親。こうした父子のロードムービーには、今は大きくなってしまった自分の息子たちの子どもの頃を重ね合わせて、グッときてしまいます。ただ、あのラストはどうなのかなあと首をかしげてしまいます。いったい彼らは何者? なぜ二人の後をつけてきたのか? この後明るい未来は待っているのか等々・・・、こんな急な終わり方はないだろうとがっかりです。
 日本でもテレビドラマの子役の演技が絶賛されていますが、この映画の子役もまたうまいですねえ。評判になるのもわかります。でも、逆に子役のうまさに寄りかかりすぎたという感じもしないでもありませんけど。
 絶望のあまり家から出て行った帰ってこなかった母親役を、どこかで見た女優さんだなあと思ったら、シャーリーズ・セロンが演じていました。彼女がよくこんなちょい役で出演したものです。「L.A.コンフィデンシャル」「メメント」等のガイ・ピアースも最後にちょっと顔を出しています。
運命のボタン
監督  リチャード・ケリー
出演  キャメロン・ディアス  ジェームス・マースデン  フランク・ランジェラ  ホームズ・オズボーン
 「ボタンを押したら100万ドルが手に入る。しかし、あなたの知らない人が死ぬ。」と言われたら、果たしてボタンを押すことができるでしょうか。う〜ん・・・知らない人ですからねえ。いったいどこで死んだかも自分ではわからないのだから押してしまうかも。などと、主人公を自分に置き換えていろいろ考えることのできるサスペンスタッチの出だしに、おもしろそうだと思ったのですが・・・。
 なんと、ボタンはあっという間に(あっけなく)押されてしまいます。そして、ここから話はSFへ。別にサスペンスがSFになってもいいのですが、話が全然わからなくなってしまうんですよねえ。この展開はいったい何だ!自分の理解力のなさのせいで話がわからないのかと思ったら、他の人の感想でも話がわからないという感想が多くて安心しました。
 いつもはコメディエンヌ役の多いキャメロン・ディアスがボタンを押す奥さん役で出演しているのですが、やっぱり似合いません。キャメロン・ディアスのあの特徴ある顔は、笑顔が似合うのですが、今回は暗い顔ばかり。違う役を演じたいという気持ちもわかりますが、この作品は失敗だったのでは。
 映画館で観なくてよかったと思ってしまった1作です。
フローズン
監督  アダム・グリーン
出演  ケヴィン・セガーズ  ショーン・アシュモア  エマ・ベル  エド・アッカーマン  ケイン・ホッダー
 係員の勘違いでスキーリフトの上に取り残された男女3人の恐怖を描いた作品です。
 スキー場は休みに入り、 1週間後でないと再開しない。飛び降りようにも相当の高さがある。さらには寒さと、地上にいるオオカミの群れが彼らの恐怖を増します。その中で、彼らはいったい無事に脱出できるのか、だだ単にそれを描いただけの映画です。お気楽な3人に感情移入もできず、無名監督(ホラー界期待の新鋭監督のようですが)の手になる有名俳優の登場していない映画なので、このシチュエーションの恐怖を感じたい人だけ観ればいい映画でしょう。
NECK
監督  白川士
出演  相武紗季  溝端淳平  平岡祐太  栗山千秋  細川茂樹  坂東英二  佐藤二朗  板尾創路
     温水洋一  鈴木一真  渡部豪太
 舞城王太郎さんの書き下ろし原案を映画化したホラー・コメディです。お化けを生み出す装置の研究開発に熱中する風変わりな女子大学院生と彼女の実験に巻き込まれる人々の繰り広げるドタバタ騒ぎが描かれます。
 小学生の頃の恐怖体験から、頭で考えた怖い想像が首から下で暴走しお化けを生むと考えた杉奈は、ネックマシーンを開発し、彼女に恋する首藤を実験台にお化けを作り出そうとしたが、ものの見事に失敗。首藤からホラー作家・越前魔太郎に協力してもらうことを助言された杉奈は、彼に会いに行くが、なんと彼は杉奈の幼馴染の古里崇史で、彼女の悪戯でいまだに暗い部屋で寝ることも布団を被ることもできない怖がりだった・・・。
ちょっとおかしな女の子、杉奈を演じるのは相武紗季さん。娘に言わせると、相武さんは女性に人気がないそうですが、役柄的に嫌な女の役が多いせいじゃないでしょうか。この作品のようなコメディエンヌっぽい役柄の方が彼女にお似合いな感じがします。
 杉奈に一目惚れの大学生は溝端淳平くん、杉奈のせいで幼い頃にトラウマを抱えることになった幼馴染に平岡祐太くん。この2人とも、人がよさそうで、気が弱く杉奈に翻弄される役柄にぴったりです。忘れてならないのは、細川茂樹さん。あの気障な役はやっぱり細川さんをおいてほかにはいないと思わせますよ。何も考えず笑いたいときにどうぞという映画です。
 2010年2月に上演された舞台版「NECK」は、映画版と同じモチーフですが、ストーリーは異なるようです。溝端淳平くんは舞台版にも出演しています。 
苦い蜜
監督  亀田幸則
出演  金子昇  池上季実子  田中健  中西良太  高橋ひとみ  島田順司  犬塚弘  渋谷琴乃  原幹恵
     森本タロー  アーサー・ホランド  葉月パル
 仙台市内にあるバー“リボルバー”には、常連客が集まり、マスターが書いたミステリーが候補となっている新人賞受賞の発表を待っている。そこに一人の青年がやってくる。彼が訪れた目的は、1年前の開店記念パーティーの席上で起こったビートルズのプレミアレコードの紛失事件の真相を明らかにして、犯人とされた友人の冤罪を晴らすこと。
 舞台はバーの中だけというワン・シチュエーションものです。最近で言うと「キサラギ」と同じタイプの作品です。もともと舞台劇が原作ということもあってか、セリフを言いながら歩き回ったり、ことさら大げさに見える演技をしたり、まるで映画でありながら舞台を観ているようです。
 それぞれが事件を推理する中で新たな事実が明らかになってくるのですが、ミステリーとして見ると、なぜ、事件が起こったときに倒れた社長は、病床で「パラソルチョコレート」と言えるのに犯人の名前は言わないのか、なぜ自分の幼いときのエピソードを書いた手紙をマスターに送ったのか等々不自然な設定も多く、いまひとつという感は拭えません。
 また、最大の謎である、消えたレコードの行方を探偵役の青年は指摘せずに退場してしまい、結局真犯人は誰だったのかがはっきりしません。話の流れからは、犯人は当然○○なのでしょうが、やっぱりミステリーである限り、ラストでスパッと犯人を指摘してほしいですね。

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