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ソラリス
監督  スティーブン・ソダーバーグ
出演  ジョージ・クルーニー
 ポーランドの作家スタニスワフ・レムの「ソラリスの陽のもとに」の映画化。1972年にソヴィエトの監督アンドレイ・タルコフスキーにより映画化されたが、当時この映画は難解であるとされ、一部のファンの間での評判にとどまった。今回僕が見たのは、スティーブン・ソダーバーグがメガフォンをとったリメイク版。製作がジェームズ・キャメロン、主演にジョージ・クルーニーと期待を抱かせた映画だったが、ジョージ・クルーニーのファンには申し訳ないが途中で意識をなくした(寝てしまった。)。妻を自殺でなくした主人公の後悔と、妻への愛を描いていると思うが、最後の終わり方も僕の理解力不足かよく分からなかった。
デッド・コースター
監督  デヴィッド・エリス
出演  A・J・クック  アリ・ラーター
 デッド・コースターなどと変な邦題を配給会社でつけたから分からなかったが、実はファイナル・ディスティネーションの続編。前作は飛行機事故を免れた高校生たちに次々と死が訪れていくという話で、最後にめでたしめでたしとなったところで「ワッ」という終わり方だったが、今回はハイウェイでの自動車事故を免れた人たちに死が忍び寄ってくる話。前作で一人だけ生き残ったという設定で、前作の登場人物が重要な役割で出てきている。また、登場人物がなんらか前作の登場人物と関わり合いがあるという設定なので、前作をビデオで見てから見た方が楽しめる。監督が「マトリックス・リローデット」のセカンドユニットのアクション監督なので最初のハイウェイの事故のシーンは見ごたえがある。助かったと思ってほっとしたところに・・・というのはよくあるパターン。まあそれだけの話といえば話だが。
ターミネーター3
監督  ジョナサン・モストウ
出演  アーノルド・シュワルツェネッガー
 シリーズ第3作目。今回は監督が前回までのジェームズ・キャメロンから[Uー571」のジョナサン・モストウへと変わっている。
 物語は前作から何年か過ぎたときが舞台。「審判の日」は回避され、核戦争は起こらず、平穏な日々が過ぎていた。サラは白血病によりすでに亡くなり、ジョンは放浪の旅を送っていた。そこに2032年から新たなターミネーター「T−X」がジョンらを抹殺するために送り込まれる。それに対し人類抵抗軍もジョンを守るためにターミネーターを送り込んでくる。T−Xはターミネーターを破壊するためのターミネーターであり、T−850より遥かに上回る性能を有しており、ジョンらは危機に陥る。前作のラストでターミネーターが自らを破壊することにより、反乱を起こすコンピューター「スカイネット」は製造されず、「審判の日」は回避されたはずなのに、なぜ未来からターミネーターが送られてきたのか。単にアクションだけでなく、SF的観点にも目が配られており、なかなか楽しめた。特にT−Xを演じるクリスタナ・ローケンのどこか幼さを残した美しい顔が、予告編ではよく分からなかったが、とってもいい。逆にジョン・コナー演じるニック・スターは前作でジョンを演じたニック・ファーロンが成長したとはとても思えないくらいイメージが違いすぎる。ちょっと平凡なイメージになってしまった。そのうえあの戦う母親サラが死んだという設定で登場していないのは残念。でも、とにかく楽しめる作品である。
ザ・コア
監督  ジョン・アミエル
出演  ヒラリー・スワンク  アーロン・エッカード
 突然、人が倒れて死んだり、鳩が方向感覚を失って壁や人にぶつかってくる、という衝撃的な始まりでかなり期待を抱いたが・・・。ヒラリー・スワンク以外はいわゆる大物俳優が出ていないため、割と地味に感じる映画となってしまっている。同じように地球を破滅の危機から救う映画としては、最近では「アルマゲドン」があるが、こちらはブルース・ウィルスが主演で出るなどしており、それと比べるとかなり見劣りがする。地球を救うために出発するまでの過程も「アルマゲドン」の方が丁寧に描いている。泣かせるべきところは泣かせるお決まりのシーンもあるが、やはりもう一つという印象は拭えない。
踊る大捜査線2
監督  本広克行
出演  織田裕二  柳葉敏郎  深津絵里  いかりや長介
 踊る大捜査線映画化第2弾。前作から5年後、一大観光名所となったお台場にある湾岸署では、家族のすり、少女暴行犯等様々な事件に追われていた。そんな中管内で殺人事件が発生する。警視庁では女性キャリアを本部長として派遣してくる。彼女は事件は会議室で起きると言い放ち、青島たちとぶつかる。そんな中で第2の殺人事件が発生し、捜査本部をあざ笑うように犯人たちから電話がかかってくる。そんな犯人たちに対するネゴシエーターとして真下が派遣されてくる。
果たして、青島たちは犯人を逮捕することができるのか・・・。
 相変わらずのメンバーがしっかり自分の役柄を理解して演じている。例のごとくスリーアミーゴズの存在は大きい。室井は相変わらずだが、今回新城警視正は、今までの青島との対立からは一歩引いた位置にいる。この映画においては、女性の沖田本部長がその役を演じている。でも一緒に行った娘が言っていた。「ラストがあれでは、結局女の人は駄目ってことになっちゃうよね。」 全く同感。まあ娯楽映画なんだからメッセージなんてなくていいんだけど。
パイレーツ・オブ・カリビアン
監督  ゴア・ヴァービンスキー
出演  ジョニー・デップ  オーランド・ブルーム  キーラ・ナイトレイ
 カリブ海の港町ポート・ロイアルは、ある日バルボッサ率いる冷酷な海賊に襲われる。海賊たちは美しい総督の娘エリザベスをさらい、逃走する。海賊たちの目当てはエリザベスが身につけていた黄金のメダルにあった。エリザベスにほのかな思いを寄せる鍛冶師の青年ウィルは彼女を救うため、一匹狼の海賊ジャック・スパロウと手を組んでバルボッサの後を追う。実は黄金のメダルは昔海賊船に襲われ意識を失って波間を漂っていたウィルがエリザベスの父たちの船に助けられたときに身につけていたものだった。その黄金のメダルには呪いをかけられているバルボッサとその仲間の呪いを解く鍵が隠されていた・・・。
 主人公はジョニー・デップなのかオーランド・ブルームなのか?話の筋からいけば、当然最後は総督の美しい娘とハッピーエンドとなるウィル役のオーランド・ブルームであろうが、そうとはっきり言えないほどジョニー・デップの存在感が大きい。いつもの二枚目役と違って、目の下に隈なんかつけてしまって、一瞬これジョニー・デップ?というような顔でコミカルな三枚目を演じている。僕などチョッとやりすぎじゃないとも思うのだけど。しかし、コミカルな役をやりながらもカッコいいところはきちんと押さえている(^^) オーランド・ブルームが食われてしまっているね。エリザベスを演じるキーラ・ナイトレイもただ単に綺麗であるだけでなく、気の強いところが出ており、役柄としては僕の好きな女性のタイプである(^^;  とにかく、単純に楽しめる映画である。
CUBE2
監督  アンドレイ・セクラ
出演  ケリー・マチェット ジェラント・ウィン・デイビス
 この映画は、東京では4月頃公開されており、最新映画とはいえない。通常であれば、こうした全国ロードショーをしないような映画は、僕の住む地方都市では見ることができないが、ある映画館で大作ではない単館でやるような映画を時々上映しており、今回はこの映画が一日1回夕方だけ上映されることになったので、仕事をそうそう切り上げ見に行った。さすがに、観客は少なく、10人にも満たない。しかし、こうした映画を地方でも見ることができるように上映しているこの映画館には拍手を送りたい。
 ストーリーは1998年に上映された「CUBE」と同じである。あるとき突然目覚めたら、そこは巨大な立方体「CUBE」の中だった。訳も分からず閉じ込められた8人の男女が、様々な危機を潜り抜けて脱出できるのか。果たしてこの「CUBE」とは何なのか。前作では何の解明もされなかった「CUBE」の秘密が、今回はラストで明らかにされているとパンフレットには記されているが、僕としては「え!何なの」という感じである。俳優が有名な人たちではないので、この俳優が演じているから、きっとこの人物は生き残るぞという先入観がなくていい。まあ、でも一般受けする映画ではないな。
コンフェッション
監督  ジョージ・クルーニー
出演  サム・ロックウェル ジョージ・クルーニー  ドリュー・バリモア 
     ジュリア・ロバーツ
 俳優ジョージ・クルーニーの初監督作品。ソダーバーグが製作総指揮をしている。1970年代を中心にアメリカのテレビ界で活躍した伝説のプロデューサー、チャック・バリスの自伝を元にテレビプロデューサーの顔と、CIAの工作員という裏の顔を持つ主人公を描いている。テレビプロデューサーとしては、「デート・ゲーム」を製作したが、これは日本の「パンチ・DE・デート」をはじめ、世界中のお見合い番組の元祖だそうである。こうした人気番組のプローデューサーが、果たして本人が告白したように裏の顔としてのCIAの工作員をプロデューサーとしての仕事の合間に行うことができたのか、僕としては俄かには信じられないが、映画としてはそのあたりのことはよくできている。俳優としては久しぶりにルトガー・ハウアーを見た。あの「ブレード・ランナー」で悲壮感漂うレプリカント役で印象的だった俳優である。しかし、年老いたなあ。もうすっかり初老の男であった。また、パンフレットを読むと、ブラッド・ピットとマット・デイモンがカメオ出演しているとあるが、残念ながら見ているときには気づかなかった。
トーク・トゥ・ハー
監督  ペドロ・アルモドバル
出演  レオノール・ワトリング  ハビエル・カマラ  ダリオ・グランディネッティ
(ネタばれあり)
ともに愛する女性が昏睡状態となってしまった二人の男を主人公に描く愛の物語。アカデミー脚本賞、ゴールデン・グローブ外国語映画賞受賞作品である。
 病室のベッドに横たわる若くて美しい女性アリシア。彼女は4年前に交通事故に遭い、以来昏睡状態に陥ったままである。看護士のベニグノは彼女がバレエ・スタジオで踊る姿を見て心を奪われ、彼女が交通事故で昏睡状態に陥ってから4年間彼女を世話し続けるとともに、決して応えてくれることのない相手に向かって毎日語り続けていた。一方、女闘牛士のリディアもまた競技中の事故で昏睡状態に陥っている。彼女の恋人マルコは突然の事故に困惑し、悲嘆にくれていた。そんなベニグノとマルコは同じクリニックで顔を合わすうちいつしか言葉を交わすようになり、互いの境遇を語り合う中で次第に友情を深めていくのだったが…。
 僕にはこの映画の良さがわからない。パンフレットには有名人の賛辞として『「愛すること」を見事に描いた名作』だとか、『なんと慈しみ深い愛の物語なのだろうか」とか、絶賛の言葉が載っている(この映画のパンフレットだから批判的意見が載っているはずもなかろうが。)。確かに一つの愛の物語だろう。でも、僕からすればこれは偏執的な愛の物語だ。最初ベニグノがアリシアに近づこうとするのは、今でいうストーカーそのものだ(彼女の部屋から彼女の身につけるものを盗むことがストーカーと言わずして何と言おうか。)。
 ベニグノはいいだろう。自分が愛する人を看護することができるのだから(ただ、いくら愛していてもあれほどの看護ができるかという点はあるが、それはまた別の問題だ。)。しかし、アリシアにしてみればどうだろう。彼女は昏睡状態に陥る前には彼を愛していたわけではないのだから。いや、それよりほとんど彼のことは知らなかったのだから。たとえ、最後に昏睡状態から目覚めたのがベニグノの看護のためであったとしても、彼がアリシアにしたことを愛ということで許せるのだろうか。僕などベニグノの身勝手さに腹が立ってならなかった。 
閉ざされた森
監督  ジョン・マクティアナン
出演  ジョン・トラボルタ  コニー・ニールセン  サミュエル・L・ジャクソン
 ある夜、パナマの米軍基地から訓練に出たレンジャー隊7名が、嵐の密林地帯で行方を絶つ。17時間後、3名の生存者が発見されるものの、彼らはなぜか味方同士で撃ち合い、1名が死ぬ。重傷者を含む2名が生還したが、事件の調査を始めたオズボーン大尉の尋問に対し黙秘をする。訓練を率いたウエスト軍曹ら4名は依然行方不明のまま。そこでオズボーンの上官スタイルズ大佐は、かつてウエストに訓練を受けていた元レンジャー隊員で尋問術に長けた麻薬捜査官トム・ハーディを呼び寄せる。
 生還した二人の兵士の話により真実が二転三転し、謎が深まっていくサスペンス。登場人物の話が矛盾し、果たして事実はなんであろうかと観客にいろいろ考えさせるというのは、芥川龍之介の「藪の中」を題材にした黒澤明の「羅生門」と同じだ。これが真実かと何度も思わせながら、またひっくり返すなど、ミステリファンとして最後まで楽しめる作品。ただ一つ気になるのが、麻薬捜査官トムが捜査に呼び寄せられるところ。かつて行方不明になったウエストの訓練を受けていたとか、尋問術に長けているとか理由付けがなされるが、そんなことで、軍人でない第三者が事件に関わってこられるのかなあというのが一番の疑問。
シモーヌ
監督  アンドリュー・ニコル
出演  アル・パチーノ  レイチェル・ロバーツ  ウィノナ・ライダー キャサリン・キーナー
 完璧な美貌と演技力で世界中を虜にした女優が、実はCGで描かれた虚像だったことから巻き起こる騒動を描いたコメディ。
 かつては短編でオスカーにノミネートされたこともある映画監督ヴィクター・タランスキーだが最近では、手掛けた作品が立て続けに失敗し、また、再起を賭けた新作でもワガママ女優に降板され、映画会社の経営者で彼の元妻エレインは彼を解雇してしまう。しかし、そんなタランスキーの前に突然、謎の男ハンクが現われたことで状況は一変。ハンクが開発した女優創造PCソフト“シミュレーション1”を駆使してタランスキーはCG女優“シモーヌ”を創り出し、彼女を使って映画を撮り上げると、なんと映画はシモーヌの魅力によって大ヒットとなる・・・。
 「トゥルーマン・ショー」で風刺に満ちた虚像の世界を描いた「トゥルーマン・ショー」で脚本を担当したアンドリュー・ニコルらしい作品である。CG女優に振り回されるマスコミや大衆を大いに皮肉っていて見ていて愉快だ。
 ただ、主人公の映画監督タランスキー役にアル・パチーノはどうだったかなあ。アル・パチーノといえば、「狼たちの午後」にしろ「ジャスティス」にしろ、硬派の映画で常に怒鳴っているという印象が僕には強いが、とにかくコメディには今一つ似合わない気がする。
 ちなみにタランスキーの名はタランティーノとタルコフスキーからとったようだが、僕はタランティーノとロマン・ポランスキーから取ったと思っていた。
28日後
監督  ダニー・ボイル
出演  キリアン・マーフィー  ナオミ・ハリス
 霊長類研究所に動物愛護団体の活動家が侵入し、檻につながれていたチンパンジーを解放しようとする。ウイルスに感染しているから危険だという研究員の言葉に耳を貸さず、檻を開けた活動家にチンパンジーが襲いかかる。噛まれた活動家はウイルスに感染し、凶暴化して仲間に襲いかかる。それから28日後、交通事故で意識不明となり病院にいた主人公ジムが意識を回復したが、病院には誰もいず、街にも人の姿を見かけない。やがて入った教会でウイルス感染者に襲われたところをセリーナたちに助けられ、その後フランク親子という仲間を得て、彼らは無線で聞いた感染への対策を見つけたという軍隊のもとへ向かい始めるが・・・。
 この作品を劇場の予告編で見たときは、てっきり久しぶりのゾンビ映画かと思っていた。しかし、
感染者は撃たれると死ぬし、それにフラフラと歩くゾンビと違って走るんだよね。あんな勢いで襲いかかられてはたまったものではない。最後の方にいくと、凶暴化する感染者と同様、普通の人間もそもそも凶暴なんだという話になってしまうような気がして、ゾンビ映画みたいに感染者の群がる中、どうやって助かるのかという話を期待していた僕としては、ちょっと拍子抜けしてしまったが。ネタばれになるので、細かいことは書けないが、エンドクレジットのあとにもう一つのラストが上映される。僕としては、こちらの方のラストの方が、それまでのストーリーの流れからいっていいと思うのだけど、監督の考えは違ったようだ。
トゥーム・レイダー2
監督  ヤン・デボン
出演  アンジェリーナ・ジョリー   ジェラルド・バトラー
 テレビ・ゲームのヒロインとして誕生、英国貴族の娘にして、トレジャーハンターであるララ・クロフトを主人公にした第2弾。ギリシャ神話の伝説のパンドラの箱を巡って、それを生物兵器として利用しようとする科学者と英国女王から彼の野望を阻止することを依頼されたララ・クロフトとの戦いが描かれる。
 相変わらず、アンジェリーナ・ジョリーのスーパーウーマンぶりがすごい。ジェット・スキーを始めとして乗馬、棒術、オートバイ、高層ビルからのダイブとそのアクションシーンは見応えがある。彼女のそのスタイルの良さがよりいっそうアクションを引き立てている。僕からすれば、決して美人とはいえない顔だが、アンジェリーナ・ジョリーはその気の強さが顔に出ていて、ララ・クロフト役としてはぴったりである。男性としては、なまいきだけど助けてあげたい女性というところか。とはいっても、ララのように逞しくては逆に助けてもらうことになりそうだが。
マッチスティック・メン
監督  リドリー・スコット
出演  ニコラス・ケイジ  サム・ロックウェル  アルソン・ローマン
(ちょっとネタばれあり注意)
 主人公は病的な潔癖性の詐欺師ロイと、その相棒フランク。そんなペテン師の二人の前にロイの娘が現れる。娘には詐欺師としての隠れた才能があることが明らかになる。おりしも、二人は大金をせしめる計画を進めていたが・・・。
 映画の予告編で、この映画がいわゆる「騙しの映画」と宣伝されていたので、騙されてはなるものかと、始めから目をこらして見ていたら、途中で結末がだいたい分かってしまった。予告編であまりに言いすぎたのではないのかなあ。やっぱり何も知らないで見て、「ああ、そうだったのか!」と騙された方が気分がいい。その点はものの見事に観客が騙されるコン・ゲームものの1級品である「スティング」とはちょっと違う。
 そうはいっても、最後の1年後のシーンで、この映画はとても後味のよい終わり方となっている。ロイの潔癖性も治ったようだ。
リーグ・オブ・レジェンド
監督  スティーブン・ノリントン
出演  ショーン・コネリー  リチャード・ロクスバーグ  ペータ・ウィルソン
     スチュアート・タウンゼント
 世界的に有名な小説の主人公たちが力を合わせて、世界を救うというお話。
 登場するのは次の7人。
   H・R・ハガード「ソロモン王の洞窟」のアラン・クオーターメイン
   ジュール・ベルヌ「海底二万里」のネモ船長
   ブラム・ストーカー「吸血鬼ドラキュラ」のヒロイン、ミナ・ハーカー
   H・G・ウェルズ「透明人間」のロドニー・スキナー
   マーク・トゥエイン「トム・ソーヤの冒険」のトム・ソーヤ
   オスカー・ワイルド「ドリアン・グレイの肖像」のドリアン・グレイ
   R・L・スティーブンソン「ジキル博士とハイド氏」のジキル
 それからネタばれとなるので言わないが、ある有名な本の中から悪者が出てきている。
 しかし、はちゃめちゃな話である。トム・ソーヤは子供ではないし、ハイド氏はあんな化け物みたいに変身したのかなと思う。そのうえ、ネモ船長はインド人だったっけ?
 とにかく、あまり細かいことは言わずに、単純に映画館で楽しむ映画である。最後の終わり方は続編があるかなと思わせたが、息子の情報だと、海の向こうではあまり興行収入が良くなくて、続編は作られないことになったようだ。
インファナル・アフェア
監督  アンドリュー・ラウ アラン・マック
出演  アンディー・ラウ  トニー・レオン  ケリー・チャン  サミー・チェン
 警察とマフィアのそれぞれの潜入者として10年の時を過ごし、今ではそれぞれの世界である程度の地位を築き上げた二人の男が主人公。警察官としてマフィアへの長年の内通捜査による精神的疲労から精神科医に通うヤンを「HERO」の残剣役のトニー・レオンが演じる。一方、警察官として順調に出世し、地位も名誉も得たマフィアの男ラウをアンディー・ラウが演じる。
 ある日ヤンからの情報で大きな麻薬取引の検挙を警察は図ったが、ラウからの情報により、検挙に失敗する。警察、マフィアとも内通者がいることに気づき、それぞれヤンとラウに内通者探しの任務を負わせる・・・。
 とにかく、二人の主人公の魅力いっぱいの映画である。僕としては、トニー・レオンの優秀な警官でありながらマフィアとして悪事も働かねばならず苦悩する表情、その憂いを含んだ表情に何ともいえず惹かれる。ただ、女性精神科医に自分の身分を告白して精神の安定を得ることができるヤンに対し、そういうこともできず、ただ一人耐えていかなければならないラウに魅力を感じる女性も多いかもしれない。ラストは僕としてはそれはないだろうと思ってしまう終わり方である(何故かは映画を見ること。決して期待はずれということではない。)。
 ワーナー・ブラザースがリメイク化権を獲得し、ブラット・ピットが出演する可能性があるようだが、ピットが演じるとすれば、やはりヤンの方だろうなと思う。では、ラウは誰だろう。色々考えるとおもしろい。
 それから蛇足であるが、女優陣はこの映画では陰が薄いが、でもみんな綺麗な人だった。
S.W.A.T
監督  クラーク・ジョンソン
出演  サミュエル・L・ジャクソン  コリン・ファレル  ミシェル・ロドリゲス
 国際指名手配犯である麻薬王アレックスが逮捕される。アレックスは詰めかけた報道陣の前で高らかに宣言する。「自分を逃がしてくれたやつに1億ドル払う。」ロサンゼルス警察のSWATはアレックスを連邦刑務所への護送任務に就くが、1億ドルを目当てにギャングたちが次々と彼らを襲ってくる・・・。そして最後にアレックスを奪還したのは何と・・・。
 とにかく、単純にアクションを楽しむ映画。最近やたらと映画に出ているコリン・ファレルが主演。「マイノリティー・リポート」、「デアデビル」と悪漢役で、アクが強い役が続いたが、今回は正統派のSWATの若き精鋭を演じている。やはり善人の方が似合っているかな。また、ミッシェル・ロドリゲスは相変わらず逞しい女を演じている。
ティアーズ・オブ・ザ・サン
監督  アントワン・フークア
出演  ブルース・ウィリス  モニカ・ベルッチ トム・スケリット
 ブルース・ウィリス扮するウォーターズ大尉とその部下7人は、内戦の起こったナイジェリアで、医療奉仕団のスタッフとして働くアメリカ人の女性医師モニカ・ベルッチ扮するリーナ・ケンドリッチの救出を命じられる。避難民も一緒にと主張するリーナを無視し、彼女だけをヘリに乗せ、国境に向かう途中、空から避難民の虐殺を見た大尉はヘリに避難民のいる場所に戻るよう命ずる・・・。
 民族と宗教というのは反発しあうと恐ろしい。特に僕に言わせれば宗教は。自分たちが信じるものが正しい神であり、相手の信じる神は悪魔となる。したがって、信じる宗教が違うものが反発しあうと、その結果はこの映画のようにむごい結果となる。
 戦争は、どちらが正しいということはありえない。虐殺をされている村をウォーターズ大尉は部下とともに救い、それに対し、リーナは良いことをしたと言う。だが、その言葉に対し、大尉は言う。「良いことをしたのかどうか。」・・・。そのとおりである。戦いをしている一方から見れば、良いことをしたのだろう。でも、相手から見れば、それは悪魔の行為なのである。戦争に正義などない。そういうことを考えながら見るべき映画である。
 そういうことを念頭にして見ても、ブルース・ウィリスはともかく、とにかく部下たちがあまりにかっこよすぎるなあ。避難民を救うために命令に背く隊長のウォーターズ大尉に従っていくのだから。危険であることを承知で・・・。避難民を守り、倒れていく兵士たち。泣かせるシーンだと分かっていながら、思わずぐっときてしまった。
 なお、この映画の脚本は当初「ダイ・ハード」の最新作として用意されていたというが、ジョン・マクレーンはいつも孤独(もしくは一人の協力者とともに)に戦っており、この映画のように部下を統率としてというキャラクターではない。どうこの脚本は料理される予定だったのだろう。興味深い。
 最後に、モニカ・ベルッチは戦場でありながら、胸の谷間を見せすぎるのではないかなあ。
“アイデンティティー”
監督  ジェームズ・マンゴールド
出演  ジョン・キューザック  レイ・リオッタ  アマンダ・ピート
 豪雨のために交通が遮断され、さびれたモーテルに泊まることになった10人の男女。若いカップル、わがままな女優とそのマネージャー、囚人と彼を護送する刑事、子供連れの夫婦など。その中で彼らが、一人、また一人と残虐な手口で殺されていく。犯人は誰で、その動機は何なのか?  設定は、ミステリ・ファンにはたまらない嵐の山荘もの。そのうえ、10人の男女(モーテルの管理人を入れると11人だけど)が、次々と殺されていき、死体の傍らにはモーテルのルームキーが10、9、8と死の順番をカウントダウンするように置かれていた・・・なんて、これは「そして誰もいなくなった」だ。いろいろな映画の紹介で最後に大どんでん返しと書いてあるのを読めば、見逃すわけにはいかない。

(ちょっとネタばれあり注意)
 映画の最初に精神科医らしき人が連続殺人犯の話を録音したテープを聴いているところがある。それから、そもそも“アイデンティティ”という題名。僕には、これらから、もしかしたらこうかなという映画の設定が分かったしまった。パンフレットの表紙に書いてある「ここに集まったのではない。ここに集められたのだ。」というのは、こういうことだったのか。しかし、最後のどんでん返しは・・・う〜ん、そうきたかという感じだ。
 なお、パンフレットは絶対映画の前に読んでは駄目である。読んでしまうと内容がある程度分かってしまって、おもしろみが薄れてしまう。
死ぬまでにしたい10のこと
監督  イザベル・コヘット
出演 サラ・ポーリー  レオノール・ワトリング  デボラ・ハリー
 話はがんで2、3ヶ月の余命と診断された女性が、幼い子どもや夫に打ち明けることなく、残された時間で本当にしたいことをリストに挙げ、そのささやかな願い、家族への溢れる愛情、そして女としての切ないまでの願いを実行していくなかで、初めて生きる喜びを実感するというもの。
 死というものなど自分には関係ないと考えもしなかった若い頃とは違い、人間ドックを受ければ体中にいろいろ問題が指摘されるこの頃では、この先どのくらい生きることができるのだろうかと時に考えてしまう。そのため、この映画の予告編を映画館で見て非常に気になってしまい、どうにか上映最終日に見に行くことができた。
 僕であったら果たして、したいことは10個で済むだろうか、あれもしたい、これもしたいということにならないだろうか。それより、この映画の主人公のように、したいことをノートに書き綴るような冷静さがあるだろうか。逆に落ち込んで、そんなこと考えるどころではなくなってしまうのではないだろうか。とりあえず、今のうちに死ぬまでにしたいことを考えるかなあ。

 蛇足
  ・ 隣人役で「トーク・トゥ・ハー」のレオノール・ワトリングが出ていたが、相変わらず綺麗だ。
  ・ 患者の目を見てガン宣告ができない医師が、アンを治療することで患者とまっすぐ向き    合おうとするが、なかなか忘れがたい役者だ。
 
 ※主人公アンの死ぬまでにしたい10のこと
   1 娘たちに毎日「愛している」という
   2 娘たちの気に入る新しいママを見つける
   3 娘たちが18歳になるまで毎年贈る誕生日のメッセージを録音する
   4 家族でビーチに行く
   5 好きなだけお酒とタバコを楽しむ
   6 思っていることを話す
   7 夫以外の男の人とつきあってみる
   8 誰かが私と恋に落ちるよう誘惑する
   9 刑務所にいるパパに会いに行く
  10 爪とヘアスタイルを変える
マトリックス・レボリューションズ
監督  ウォシャウスキー兄弟
出演  キアヌ・リーブス  ローレンス・フィッシュバーン  キャリー=アン・モス
     ヒューゴ・ウィービング  モニカ・ベルッチ
(まだ見ていない人は読まないように! ネタばれなくしては語れない。) 

 「マトリックス」シリーズの最終作。とにかく、三部作が終わっても分からないことだらけであった。どうしてネオは現実世界においても特殊な能力を使うことができるようになったのか。ネオを浸食したスミスはどうして爆発(?)してしまったのか。それにより現実世界でのネオはどうなったのか。死んでしまったのか?それとも・・・。
 たぶん、ネオは、コンピューターにとっても脅威となってきたスミスを排除することを条件にザイオンへの侵略の停止を申し入れたのだろうが、果たしてこれでコンピューターと人間との戦いが終わるほど、ことは単純ではないだろう。人々は今後も当然コンピューターのエネルギー源となっている人間を救おうとするだろう。(ただ、ここで気になるのは、最後にオラクルとアーキテクトとの間で、自由になりたいものはそうするというような意味の会話があったと思うが、プラグに繋がれている人を解き放つということか?ただ、エネルギーを生み出す元だからそういうわけにはいかないだろうな。)  であれば、再び戦いが始まるのは想像に難くない。決して人間にとって未来は明るいわけではないのである。
 アクションシーンは莫大なお金をかけただけあって映像としては第1作、第2作を遙かに凌ぐスケールだ。しかしながら、シリーズのどれがおもしろかったといえば、やはり何といっても第1作である。とにかく、マトリックスという仮想現実の世界というあの着想には驚かされた。
 
 ※ APU部隊のリーダーの「ミフネ」は完全に三船敏郎へのオマージュだ。演じる役者の顔も  どことなく似ている。
 ※ 前作のリローデットでも見せたが、トリニティーの「スコーピオンキック」はかっこいい。あ   んなこと本当に本人がやっているのだろうか。そんなトリニティーを演じたキャリー=アン・モ  スが妊娠して相当太ってしまったそうだが、想像したくない。
 ※ ネオのカンフーシーンはどうして相変わらずギクシャクした感じなのだろう。
キル・ビル Vol.1
監督  クエンティン・タランティーノ
出演  ユマ・サーマン  ルーシー・リュー  千葉真一  ダリル・ハンナ
     デヴィッド・キャラダイン  マイケル・マドセン  栗山千明
過去を捨てた女が結婚式を挙げようとしたとき、かつての仲間が現れ、結婚式に参列していた人々を惨殺する。彼女も頭を撃ちぬかれたが4年間の昏睡の後目覚め、夫、お腹のなかにいた子供の復讐を始める。
もうとにかく、ハチャメチャな映画である。なにせ日本刀を振り回しての斬り合いがすごい。足が飛び腕が飛ぶなんて序の口、頭ははねられるし、血しぶきはドバッと出るし、あたり一面血の海だ。この主人公の使う刀を作ったのが、千葉真一扮する服部半蔵。なんと服部半蔵だ。もう笑ってしまった。刀は堂々と飛行機の中に持ち込んでいるし、細かいところには全く拘っていない。ルーシー・リュー扮するオーレン・イシイの生い立ちはなんとアニメで描かれているし、いったいこの映画は何なんだ。そのうえ、オーレン・イシイとの対決が終わったあとに流れてきた音楽はなんと梶芽衣子のド演歌、さらに、最後のエンド・クレジットで流れた歌も、梶芽衣子の「女囚さそり」シリーズの主題歌だった。クエンティン・タランティーノも相当日本にはまっているなあ。
本当にどうでもいい映画だけど、Vol.1を見てしまった限りは、この後どうなるか興味もあるし、続きも見なくては。うまく制作会社にやられてしまったなという感じである。
(蛇足)
 主人公の名前が呼ばれるときに、字幕は×××になるし、音声もピーと入るがどうしてだろう。
疑問だ。後編ではこのことが解き明かされるのだろうか。
 「スプラッシュ」、「ブレード・ランナー」のダリル・ハンナを久しぶりに見たが、手に血管が浮き出しているところを見ると、さすがに歳をとったなあと思わざるを得ない。
フォーン・ブース
監督  ジョエル・シューマカー 
出演  コリン・ファレル  フォレスト・ウィティカー  キーファー・サザーランド
 主人公は自称一流のパブリスト。タイムズスクエアを携帯電話片手にアシスタントの若者を連れて、我が物顔に歩いている。彼は、クライアントの新進女優をものにしようと、犯罪多発のため撤去間近な公衆電話に立ち寄り、電話をかけるがうまくいかず、受話器を置くが、その時、電話が鳴り思わず受話器を取ってしまう。すると相手は電話を切ると殺すと脅迫してきた・・・
 全編、電話ボックス周辺だけで話が展開する。たまたま鳴った電話に出ただけなのに、相手が自分のことを知っているという恐怖、そればかりでなく、どこからかライフルで狙われているという恐怖が主人公を襲う。
 携帯電話を使用している主人公が何故に電話ボックスに入ることになるのかという理由はなかなか考えている。結婚指輪を外すところも芸が細かい。結婚指輪を外さないと浮気の電話ができないところが、他人からは尊大だと思われている主人公が実は小心者だということを表しているのではないだろうか。(だから、結末はああいうところに落ち着くのか。)
 この映画を高く評価できないのは、犯人の動機が今一つ分からない点にある。こんな世の中のこと、ああいう動機のもとに行動する人もいると思えばそれまでだが、であれば最後の状況(主人公がどうなるか)はやっぱり納得できない。
 最近の映画には珍しく上映時間が1時間30分にも満たない短い時間の中で、うまく纏められていたと思う。実際にこんな短い時間で解決はしないだろうけど。 
コール
監督  ルイス・マンドーキ
出演  シャーリズ・セロン  ケヴィン・ベーコン  ダコタ・ファニング  コートニー・ラヴ
 裕福な医者の夫と妻と娘の三人家族。ある日、夫が講演で留守中に突然現れた男たちによって娘が誘拐され、妻も男により自宅に軟禁される。しかし、ここで犯人たちには予想外の事実が判明する。娘には喘息の持病があり、発作を止める薬がなければ死に至る危険性があった。一方ホテルに滞在する夫の元にも犯人の一味の女が現れ、拳銃を突きつけ部屋に軟禁する。3つの場所、3人の誘拐犯、3人の人質、それぞれを結ぶのは30分ごとの携帯電話での連絡・・・。
 シャーリズ・セロン、ケヴィン・ベーコンとそれなりの俳優は出ているが、なんといっても娘アビー役を演じたダコタ・ファニングである。演技がうますぎるばかりでなく、その存在感は完全に他の役者を食ってしまっている。「アイ・アム・サム」で天才子役といわれたが、その名に恥じない演技である。彼女のための映画といっていいだろう。
ブルース・オールマイティ
監督  トム・シャドヤック
出演  ジム・キャリー  モーガン・フリーマン  ジェニファー・アニストン
 ジム・キャリー演じるブルースは、地方テレビ局に勤務するレポーター。引退するアンカーマンの後任を狙っていたが、そのポストをライバルに奪われる。それを知ったブルースは生放送中にキレて禁止用語を連発し、テレビ局を首になってしまう。神に対し悪態をついていたブルースの前に神が現れ、「文句があるなら君がやれ」と1週間のバカンスに出かけてしまう。全能の力を持ったブルースは、その力を使い、アンカーマンの座を得るが・・・。
 こういったファンタジックな映画は大好きです。自分自身が全能の力を持ったらと考えるだけで愉快です。やはり、ブルースと同じような使い方をしてしまうだろうなと笑ってしまいます(どこかとは言いませんが・・・)。人の意志は操れないというところがミソです。だから、自分から離れていく恋人を引き留めることができないということですね。全能の神であるならば当然、人の意志だって操れなくてはおかしいと思いますが、そうだと映画になりません。
 僕としてはちょっとジム・キャリーの演技が鼻につくのがこの映画のマイナス点ですが、でも見終わったあと暖かい気持ちにさせてくれる映画です。
 蛇足ですが、ブルースの恋人役を演じていたジェンファー・アニストンはブラッド・ピットの奥さんだそうです。綺麗なとても雰囲気のいい女優さんですが、絶世の美女というわけでもありませんね。