半落ち
監督 佐々部清
出演 寺尾聡  原田美枝子  柴田恭兵  鶴田真由  伊原剛志  吉岡秀隆
 2004年初めての映画です。妻の希望で珍しく日本映画を見に行ってきました。「このミス」や「週刊文春」で2002年のミステリー第1位に輝いた作品の映画化です。主人公を寺尾聡が演じています。原作を読んだときは、主人公は優秀な刑事だったということから、顔の鋭い男を思い描いていたのですが、この映画を見て、あの朴訥とした感じが主人公のキャラクターになぜか合っていると思いました。取り調べを担当した刑事役の柴田恭兵も、いつも動き回っている刑事という印象とは異なり、抑えた演技でなかなかよかったです。検事役の伊原剛志は背広をびしっと着こなしていて、妻は見終わったあと「かっこいい」を連発していました。あんなかっこのいい検事が現実にいるのでしょうか。アルツハイマーの元裁判官の父親を持つ判事役の吉岡秀隆はちょっと若すぎるかなという感じです。もう少し、年上の役者でもよかったかなと思います。
 原作でもそうでしたが、映像で見せられるとよりいっそう感動してしまいます。涙が浮かんでしまいました。ただ、2時間という短い時間の中にいろいろなエピソードが盛り込まれすぎかなという気はします。
 先日芥川賞、直木賞の発表がありました。原作の感想でも述べましたが、根拠もなく直木賞の選考に際しけちをつけた選考委員に対し、また怒りがわいてきてしまいました。
ミスティック・リバー
監督 クリント・イーストウッド
出演 ショーン・ペン  ティム・ロビンス  ケビン・ベーコン
    ローレンス・フィッシュバーン  ローラ・リニー
 デニス・ルヘイン(角川文庫ではデニス・レヘイン。どちらが正しいのだろうか)原作ミステリの映画化です。
 3人の幼なじみジミー、ショーン、デイブが路上で遊んでいたとき、警官を思わせる男が近づいてきてデイブだけを車に乗せて連れ去ります。その子が戻ってきたのは4日後。誘拐され、監禁されていた4日間にデイブの身に何が起こったかは語られなくても分かりました。その日を境に彼らの少年時代は終わりを告げ、3人は離ればなれになります。25年後、大人になった3人はジミーの娘の殺害事件を契機に再び出会うこととなります。ジミーは娘を殺された父親として、ショーンは事件を捜査する刑事として、そしてデイブはその事件の容疑者として・・・。
 映画は、デイブの誘拐事件を描いてから25年後へと場面が移ります。その間の3人がどうなったかは描かれていません。しかし、デイブが殺人事件の容疑者として浮かんだ際、同僚から「友達だからかばうのか」と言われたショーンが、「あいつは友達ではない」と言い切った姿に、この25年間の3人の状況が窺い知れます。事件は彼らにそれぞれ影を落とし、事件の前のようには付き合えなくなっていたのでしょう。確かに幼い頃はあんなに仲良く遊んでいたのに、大人になったときには気軽に声をかけられないということがあります。特に彼らの場合は子供時代の記憶は忌まわしい事件の記憶と重なってしまうのでしょうから、なるべく忘れたいし、お互いに会うことで記憶を呼び覚ましたくはないという気持ちも強かったのでしょう。
 幼い頃の事件はそれぞれの心に大きな傷を残し、今また大きな悲劇を引き起こすことになります。あまりに悲しい話でした。
 娘を殺されて絶叫するジミー役のショーン・ペンははまり役でした。ケビン・ベーコンもこのところ「インビジブル」とか「コール」でアクの強い悪役を演じてばかりでしたが、珍しく冷静で孤独な男を押さえた演技で演じていました。ティム・ロビンスはあの童顔からいつも明るい性格の役を想像してしまうのですが、今回は今までとは違った白髪の交じったくたびれた役を演じています。3人ともそれぞれ素晴らしい演技でした。 
リクルート
監督 ロジャー・ドナルドソン
出演 アル・パチーノ  コリン・ファレル  ブリジット・モイナハン
 コリン・ファレル演じる主人公ジェイムズ・クレイトンはマサチューセツ工科大学の優秀な学生。彼には子供の頃飛行機事故で行方不明になっている父親があり、いまでもインターネットを通じて父親の情報提供を求めています。ある日彼のもとにアル・パチーノ演ずるCIAの採用担当者バークがCIAへの勧誘にやってきます。興味を示さない主人公に対し、バークは父親がCIAエージェントだったことをほのめかします。父親の行方を知りたい主人公は、CIAに入る決心をします。
 相変わらず、アル・パチーノは怒鳴っていますね。どうも、アル・パチーノとなると僕の印象としては「ジャスティス」や「狼たちの町」など、若き頃のいつもテンション高く怒鳴っている男という感じを持ちます。まあ、実際は「ゴッドファーザー」やアカデミー賞を獲得した「セント・オブ・ウーマン」のように渋い男を演じてもいるのですが。やはり僕の中では学生時代に見た「ジャスティス」の弁護士役があまりに強く心に残っているせいでしょうか。
 ネタばれになるので、内容についてはあまり話すことができませんが、「信じるなー自分の〈五感〉さえも」という惹句のとおり、いったい何が本当で何が嘘なのか、見ている僕らも騙されます。二転、三転のストーリーはおもしろかったのですが、ある人物はあんな複雑なストーリーを組み立てなくても目的は達成できたのではないかなと僕は思うのですが。
タイムライン
監督 リチャード・ドナー
出演 ポール・ウォーカー  フランシス・オコナー  ジェラルド・バトラー
    アンナ・フリエル
 フランス南西部のとある修道院遺跡の発掘現場で、ある時、14世紀の地層から現代の製品としか思えないメガネのレンズと"Help Me 1357/4/2"と書かれたメモが出土します。それは、発掘プロジェクトのリーダーで、スポンサー企業ITCを訪ねたまま行方不明になったジョンストン教授から教え子たちにあてたSOSでした。教授の息子クリスをはじめとする発掘チームは、ITCの社長から衝撃の事実を知らされます。教授は、ITCが極秘に開発した時空間転送装置で14世紀フランスに転送され、現地で消息を絶ってしまったというのです。そこでクリスは、他の仲間とともに教授の行方を追って中世フランスへと向かうのでしたが・・・。
 基本的に僕はこの映画のようなタイムトラベルものは大好きです。こうしたタイムトラベルもので一番興味があるのはタイムパラドックス、つまり、過去に旅行した者の手により過去の事実に変更が加えられると、それにより現在が変わってしまうのではないか、変わった現在では主人公は時間旅行をする必要がなくなるのではないか、時間旅行をしなければ過去は変わらないのではないか・・・と堂々巡りになってしまう点です。それを説明するのにパラレルワールドという概念が用いられることがあります。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」などはパラレルワールドの考えではないかと僕は思うのですが、この映画は違います。ネタばれになるのであまり話せませんが、最初にあるものが遺跡から発掘されるのですが、最後になってそれがこの物語で重要なことだったということがわかります。ちょっと感動しますね。有名な俳優は出ていませんが、ストーリーだけで十分楽しむことができました。
ニューオーリンズ・トライアル
監督 ゲイリー・フレダー
出演 ダスティン・ホフマン  ジーン・ハックマン  ジョン・キューザック
    レイチェル・ワイズ
 この作品はリーガル・サスペンスの第一人者であるジョン・グリシャム原作の「陪審評決」の映画化です。アメリカといえば訴訟社会で、ちょっとしたことでもすぐに訴訟になってしまうようです。自分が太って病気になったのはマクドナルドのハンバーガーを食べたせいだと言って、自分のことは棚に上げてマクドナルドを訴えるように。そしてアメリカの裁判といえば思い描くのは陪審員の前で検事と弁護士が丁々発止とやり合う場面です。
 さて、この作品に描かれるのは銃乱射事件で夫を失った妻が銃器メーカーを相手として損害賠償を求める裁判です。被告側には今までの裁判で評決をほしいままに操ってきたジーン・ハックマン演じる伝説の陪審員コンサルタント。原告側はダスティン・ホフマン演じる弁護士。そして、評決を操ろうとするジョン・キューザック演じる陪審員と評決を買わないかと原告・被告両方に持ちかけるレイチェル・ワイズ演じる謎の女。アカデミー賞俳優のジーン・ハックマンとダスティン・ホフマンの演技はもう言うまでもないのですが、ジョン・キューザックがなかなか良い味を出しています。いつも真面目な好青年という感じの彼が、陪審員の評決を操って大金を儲けようとする悪役(?)を演じています。
 ストーリーを話すとネタばれになってしまうので細かいことは言えないのですが、ミステリファンにもおもしろく見ることができる映画だと思います。素直には終わりませんよ。
 ところで、陪審員コンサルタントという職業があるのはびっくりですね。そのうえ、もし映画のような違法な工作がされるならば、裁判の公平さは全く保たれないですね。現在日本の裁判制度も改革の動きがありますが、日本も将来的にアメリカのような訴訟社会になっていくのでしょうか。
※ 出演者の中に懐かしい名前を見ました。被告の銃器メーカーの弁護士を演じていたブルース・デイビソンは、若き頃「いちご白書」や「ウイラード」の主演俳優でした。すっかり、いいおじさんになっていましたね。
シービスケット
監督 ゲイリー・ロス
出演 トビーマグワイア  ジェフ・ブリッジス  クリス・クーパー  エリザベス・バンクス
 1頭の馬とそれを巡る3人の男たちを描いた作品です。世界恐慌により、一家離散に見舞われたレッド、自動車会社の経営により巨万の富を得たが、交通事故により一人息子を失い、妻にも去られたハワード、食い扶持を稼ぐために西部劇の馬の調教師として各地を転々とする元カウボーイのスミス。この3人はそれぞれ人生に挫折し、絶望しています。そんな3人がシービスケットという名の小柄の暴れ馬の馬主、調教師、騎手として生きる勇気をつかんでいく姿が描かれていきます。
 この映画の宣伝文句に「一度や二度のつまずきは誰にでもある」とあります。そのとおりです。人生順風満帆な人なんてそうそういるものではありません。つまずいたら、自分自身で起き上がり、そしてつまずいている者を見たら手を差し伸べることも必要です。映画の中で右目が見えないことから、勝負に負けたレッドに対し、「裏切られた」と怒るスミスに対し、ハワードは言います。「ちょっとのケガで、命あるものを殺すことはない」 それまでは、成り上がり者としか見えませんでしたが、一気にいい男に見えてしまいました。

 映画は、大恐慌の中、小柄ながら他の馬を圧倒して勝利するシービスケットの姿に当時の人々が夢を託し熱狂したという実話をもとにしています。そういえば、日本でもかつてハイセイコーという馬が日本中を熱狂させたことがありましたね。
ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還
監督 ピーター・ジャクソン
出演 イライジャ・ウッド  イアン・マッケラン  ヴィゴ・モーテンセン  
    オーランド・ブルーム  ショーン・アスティン  リヴ・タイラー  
    ヒューゴ・ウィービング  ミランダ・オットー
 壮大なるファンタジーの3部作の最終章です。公開二日目に娘がどうしても行きたいというので見に行ってきました。小学生の娘のために日本語吹き替え版を見ましたが、あの壮大な物語を字幕スーパーではきちんと理解できないのではないでしょうか。実際、かつて、職場の同僚が字幕スーパー版を見たが、話がよくわからないと言っていました。娘のような小学生なら尚更でしょう。
 3時間半という長い上映時間にトイレに行くのも我慢しなければなりませんでした。文庫版で9巻という長大な物語を3本の映画にまとめたのですから、長いのも無理もないのかもしれません。ましてやこれで全3話の最後ですからね。これでもか、これでもかと色々詰め込みすぎの感がしないでもありませんでしたが(特に最後はなかなか終わりになりませんでした)、映画の内容はとても楽しめました。特に、戦闘シーンのCGは素晴らしく、僕らを飽きさせませんでした。登場人物の中ではローハンの姫、エオウィンが美しいうえに気高く、人間的に大好きな女性でした。アラゴルンがアルウェンとエオウィンのどちらを選ぶのだろうと興味がありましたが、やっぱり予想どおりでしたね。それから、何といってもサムです。サムがいたからこそフロドの旅は成就できたのです。
 先日のアカデミー賞の発表で、作品賞、監督賞を始め、史上タイ記録の11部門で受賞しました。ただ、俳優部門では1部門も受賞していないところに寂しいものを感じましたが。
 「王の帰還」というのはそういうことだったんですね。    
ゴシカ
監督 マシュー・カソビッツ
出演 ハル・ベリー  ペネロペ・クルス  ロバート・ダウニー・Jr  バーナード・ヒル
 アカデミー賞女優ハル・ベリー主演のホラーです。
 ハル・ベリー演ずるミランダは刑務所の精神病棟を担当する精神科医。ある雨の帰り道、彼女は道の真ん中に下着姿で佇む少女を発見し、駆け寄るが、少女は突如火に包まれる。ふと気づくと彼女は病院の精神病棟に収用されており、夫殺しの犯人とされていた。
 ペネロペ・クルスが悪魔に犯されたという女囚を演じています。いわゆる、すっぴんでの熱演ですが、本当の顔(?)はそれほど綺麗でもないですね(トム・クルーズに怒られてしまうかな)。ホラーですがミステリーの要素もあって、楽しめました。ただ、途中でストーリーがわかってしまいましたが。(そういう意味ではいま一つでした)
 先日見たロード・オブ・ザ・リングのセオデン王を演じていた、バーナード・ヒルがちょっと顔を出しています。  
恋愛適齢期
監督 ナンシー・メイヤーズ
出演 ジャック・ニコルソン  ダイアン・キートン  キアヌ・リーブス
    フランシス・マクドーマンド  アマンダ・ピート
 ジャック・ニコルソン扮するハリーは、交際する女性は30歳以下の美女でなければ駄目と考える63歳の独身男。彼は付き合っている女性の別荘へと彼女とともにやってきたが、そこでダイアン・キートン演ずる彼女の母親エリカと鉢合わせしてしまう。あられもない姿でいる自分より年上の娘のボーイフレンドに唖然とするエリカ、一方気まずい思いのハリー。(まあ、たしかに付き合っている彼女の母親に下着姿を見られたら、これはやばいと思うのは当然だけど、その母親が自分より年下であれば、どう対応したらいいか戸惑ってしまうでしょうね。)そんなハリーが突然心臓発作に襲われ、そのままエリカの別荘で静養することになります。別荘で二人きりになった二人はやがてお互いを意識し始めます。さらに、ハリーの担当医となったキアヌ・リーブス扮するジュリアン医師がエリカに恋心を抱き、二人の恋の行方に大きく関わってきます。果たして二人の恋の行方は・・・。
 とにかく、ダイアン・キートンがいいですねえ。確かに顔なんか皺だらけだし、手など見ても年齢を感じさせますが、素敵に年を取ったという感じですね。以前からファンだったのですが、この映画で一層ファンになりました。恋に揺れ動く50代の女性を演じましたが、とっても可愛いです。それに、今年のアカデミー賞授賞式の際、他の女優たちがドレスで着飾る中で、ダイアン・キートンのタキシード姿は決まっていましたね。カッコイイの一言です。
 ハリーについては論評するまでもありません。男なんてこんなものです。いつまでも年老いてゆく自分のことは棚に上げて若い女性に恋するものです。自分が年老いていくことを自覚するのが怖くて若い女性を相手にしたいのかもしれません。今更言うまでもありませんが、ジャック・ニコルソンはこんなコミカルな役をやらせてもうまいです。ただ、できうることならば、ジャック・ニコルソンの汚いお尻は見たくなかった!
 今のところ今年見た中で一番の映画です。
ペイチェック
監督 ジョン・ウー
出演 ベン・アフレック  ユマ・サーマン  アーロン・エッカート
  「ブレードランナー」や「マイノリティ・リポート」など、その作品が数多く作品化されている、フィリップ・K・ディックの短編小説をジョン・ウー監督が映画化。
 多額の報酬と引き替えに3年間の記憶を消された男が、陰謀に巻き込まれたことを知り、失われた記憶を取り戻すため奔走する近未来SFサスペンスですが、主人公役のベン・アフレックに華やかさがないし、今一つ小粒な作品という印象を免れません。契約終了後に受け取った大金の代わりの19個のアイテムにしても、その使い方は無理あるなあと思わせるものもあり、作品にのめり込むことができませんでした。
 ユマ・サーマンが主人公の恋人役として、アクションシーンを演じていますが、彼女は「キル・ビル」以降、アクション女優の道を歩むことに決めたのでしょうか。
ホーンテッドマンション
監督 ロブ・ミンコフ
出演 エディ・マーフィー  テレンス・スタンプ  マーシャ・トマソン
 ディズニーランドの人気アトラクションをエディ・マーフィ主演で映画化したホラー・コメディです。とはいえ、日本のディズニーランドに「ホーンテッド・マンション」なんてアトラクションはないよなあ、アメリカだけのアトラクションなのかなあ、と思っていたら、あるんですってね。全然知りませんでした(^^; ディズニーランドに行っても、全然目につかなかったです。
 娘と見に行きましたが、小学生でも字幕で十分わかる映画です。単純に楽しみましょう。できれば、エディ・マーフィーのマシンガントークを聞きたかったのですが。 
グッバイ、レーニン
監督 ウォルフガング・ベッカー
出演 ダニエル・ブリュール カトリーン・ザース マリア・シモン
 アカデミー賞外国語作品賞にノミネートされた作品です。
 東西ドイツが統一される前の東ベルリン。主人公のアレックスの父は10年前に家族を捨てて西側に亡命、その反動で母クリスティーネは社会主義と結婚したと言われるほど愛国心の強い女性として生きています。そんなある日、アレックスが反体制デモに参加したところを偶然目撃したクリスティアーネはショックで心臓発作を起こし、昏睡状態に陥ってしまいます。その間にベルリンの壁が崩壊します。やがて8ヶ月後、クリスティアーネは奇跡的に覚醒するのですが…。
 昏睡中に東西ドイツが統一され、意識を取り戻した母が再びショックを受けないよう、消滅前の東ドイツを必死に見せ続ける息子の奮闘をユーモラスに、そして感動的に描いた映画です。
 母親に世の中の変化を見せないために、崩壊前の東ベルリン製の食品を探して東奔西走し、果てはゴミ捨て場から空き瓶を見つけてきて、それに中身を入れ替えたりします。また、隣のビルの壁にコカコーラの宣伝の垂れ幕が掲げられたり、目を離した間に母親が外に出てしまい外車が販売されているところを見られたりして、嘘が発覚しそうになるたびに、主人公は友人の協力を得て、自分が考える国の姿を架空のニュースとして描いていきます。
 こうして、物語は全体的にユーモラスに描かれていきますが、嘘をつくのも限界、もう母に話さなくてはと考えたとき、逆に母から話された事実は、ベルリンの壁がいかに人々を不幸にしたかを改めて僕らに訴えかけます。監督が声高に描いているのではないだけに、余計胸に響きます。
 東ドイツの独立記念日だと嘘をついて編集した画像をテレビに写していたとき、母親は主人公を見つめています。息子に感謝をしていたのでしょうね。不覚にも涙が出そうになってしまいました。おすすめです。

※レーニン像がヘリコプターに運ばれて撤去されていく場面がありましたが、社会主義の崩壊が現れているようで、一番印象深いシーンでした。
パッション
監督 メル・ギブソン
出演 ジム・ガヴィーゼル モニカ・ベルッチ
 キリストの最後の12時間と復活を描いた映画です。ユダの裏切りの場面から映画は始まりますが、ユダがユダヤ人ということから反ユダヤ主義を再燃させるという抗議が起こり公開前から論争となった映画です。キリスト教徒でなくても、キリストがユダの裏切りにより捕縛され、ゴルゴダの丘で十字架に磔の刑に処せられたことは知っていますが、このことだけに的を絞った映画というのは珍しいのではないでしょうか。
 それにしても、キリストが鞭打たれ、血まみれになっていくシーンや十字架に釘で磔にされるシーンはあまりに残酷で目を背けたくなるほどでした。あそこまで描かなくてはならなかったのでしょうか。(僕のとなりに座っていた女性は、鞭で打たれるシーンで手で顔を覆っていましたが、途中で席を外して当分帰ってきませんでした。)
 作品としては、権力者たちの自分の地位を守ろうとする利己主義やそれに踊らされる民衆の狂気や愚かさ、そして弟子であっても自分かわいさからキリストを裏切る姿を丹念に描いています。それにしても、あのユダが自殺したとは知りませんでした。
 僕自身は宗教というものは苦手です。というか恐ろしいと思ってしまいます。宗教というものは排他的ですからね。戦争の影には宗教があると思わざるを得ません。
ロスト・イン・トランスレーション
監督 ソフィア・コッポラ
出演 ビル・マーレイ  スカーレット・ヨハンソン  ジョバンニ・リビシ
(ネタばれあり注意)

 第76回アカデミー脚本賞受賞作です。
 主人公はウィスキーのコマーシャル撮影のため来日した、かつてのハリウッド・スターのボブ。彼は妻との心のすれ違いや異国にいる不安、異文化への戸惑いから気分がふさぎ込んでいた。一方、ボブと同じホテルに滞在するシャーロットは、仕事で多忙な夫にかまってもらえず、孤独な日々を送っていた。そんな二人が偶然言葉を交わすようになり、互いに惹かれ始めるが・・・。
 異国の地・東京で出会ったハリウッド俳優と若いアメリカ人の人妻が、互いに心を通わせていく中で次第に孤独や疎外感を癒していく姿を描いた映画です。これといった事件が起きるわけでもなく、二人の出会いと別れを淡々と描いています。二人の関係はどういったらいいのでしょうか。友情なのでしょうか恋愛なのでしょうか。二人でベッドに寝ころび、升酒を飲みながら映画を見ていますが、セックスをする関係まではいかなかったようですね。
 主人公の俳優ボブを演じるビル・マーレイといえば「ゴーストバスターズ」を見てからコメディアンという印象が強いのですが、この作品の中では、一転くたびれた哀愁漂う中年男を好演しています。
 ラストシーンで雑踏の中を歩くシャーロットの後ろ姿を見つけたボブがタクシーから降り、彼女を抱き寄せます。そして、彼女の耳に口を付けて何かを話すのですが、いったい何を話したのでしょうか。「君と出会えて楽しかったよ」とか「またアメリカで会おう」とかのありふれた言葉ではないのだと思うのですが。観客に考えさせる終わり方でした。

 外国人が描く日本人というと、どうしても侍、着物、芸妓といったものになりがちで、ちょっと現代の日本とズレているのではないのという印象を受けるのですが、ソフィア・コッポラの描く日本は主として新宿、渋谷、六本木の雑踏であり(例外的に京都がありましたが)、今回はそういう感じはあまり受けませんでした。
キル・ビル vol.2
監督 クエンティン・タランティーノ
出演 ユマ・サーマン  デヴィッド・キャラダイン  マイケル・マドセン
    ダリル・ハンナ
 もう何も考えずにB級作品を楽しんでくださいという映画です。vol.1の日本での評価は賛否両論だったようです。まあ無理もないですね。飛行機の中で日本刀持っていて平気なのとか、あんなに派手に人を殺してしまって警察はどうしたのとか、見れば見るほど変なとこはいっぱいありますが、結局これはリアルな世界ではなく、コミック的な世界を描いているのでしょうね。
 さて、前作で2人を殺し、復讐の相手はビルを含めあと3人となります。そして、前作の終わりでほのめかされたブライドの子どもは生きているのか。今回は、復讐とともに、この秘密が明かされます。
 この作品の中にも、タランティーノの趣味がそこかしこに出ています。日本の子連れ狼のビデオを見ているシーンが出てきたり、ゾンビ映画のようなシーンがあったり、カンフー映画やマカロニ・ウェスタンっぽいところもあります。前作のような何十人を斬り殺すというような残虐シーンは今回はありませんが、相変わらず日本刀は振り回します。結局、この映画はタランティーノのお遊びに観客が付き合ってあげたという感じです。

 復讐相手の一人、エル・ドライバーをダリル・ハンナが演じています。この作品で久しぶりに見ましたが、すっかり姉御という雰囲気になってしまいましたね。僕としては、「ブレード・ランナー」の妖艶なレプリカント役や、「スプラッシュ」の可憐な人魚役の印象が強かったのですが・・・。すっかり、変わってしまいましたね。 
ドーン・オブ・ザ・デッド
監督 ザック・スナイダー
出演 サラ・ポーリー  ヴィング・レイムス  ジェイク・ウェーバー
 サラ・ポーリー演じる看護婦のアナは、夫とともに寝ていたところをゾンビとなった隣家の娘に襲われる。息絶えたはずの夫もゾンビとなり、アナは必死に外に逃げ出すが、町は人間を襲うゾンビで凄惨な状況となっていた。アナは逃げる途中であった警官のケネスらとともにショッピング・モールへと逃げ込む。果たして、誰が生き残ることができるのか・・・。
 1978年公開のジョージ・A・ロメロ監督作品「ゾンビ」のリメイクです。当時は、公開されたことすら知らなかったのですが、その後80年代前半にブームとなったスプラッター映画のファンの同期入社がいて、夜酒を飲みながら彼の下宿で「ゾンビ」を始めとするスプラッター映画のビデオを見たものでした。血みどろの残虐描写には閉口しましたが、ゆっくりと確実にやってくるゾンビには恐怖を感じたものでした。
 今回の作品は、展開が早いです。映画が始まって5分ほどで、テレビCMにもあったゾンビの登場です。何故、ゾンビ化したのかという説明もありません。そして、ここが一番の驚きなんですが、ゾンビが走ります。ロメロ監督の「ゾンビ」ではゾンビは走ることはなかったのですが、今回は早いです。これでは、逃げることは難しいです。
 とにかく、いろいろ考えている暇はありません。怖がる映画です。(実は僕も、ここは絶対来るぞ!と思って目をつぶってしまったシーンもありました。あ〜怖かった。) 

※それにしても、サラ・ポーリーはよくこんなホラー映画に出演したものです。
ビッグ・フィッシュ
監督 ティム・バートン
出演 ユアン・マクレガー  アルバート・フィニー  ジェシカ・ラング
    ヘレナ・ボナム・カーター  スティーブ・ブシュミ  ダニー・デビート
    アリソン・ローマン  ビリー・クラダップ
 父エドワードが語る人生の物語は、覗き込んだ人の死に際を写す目を持った魔女のこと、一緒に旅をした見上げるような巨人のこと、人を襲う森とその先にある人々が裸足で暮らす美しい町のこと等々あまりに不思議な話です。奇想天外なこれらの話は子どもの頃には胸ときめかせて聞いたが、大人となりジャーナリストとして活躍する息子ウィルにはホラ話としか聞こえません。そんなある日、父の容態が悪化したことから、ウィルは妻を連れて故郷へ帰ります。

 ゴールデン・グローブ賞ノミネートのみで、アカデミー賞にはノミネートさえされませんでしたが、素敵な映画です。僕自身の今年今まで見た映画のベスト1となる作品です。ティム・バートン監督作品では、「シザーハンズ」のファンタジックな話とその美しい映像が大好きでした。この作品でも、エドワードが語るおとぎ話の部分の映像美は素晴らしいです。例えば、映画の予告編にもありましたが、サーカスの観客の中に見つけた妻となるサンドラに近づいていく際に、周りがストップモーションになってしまうシーン。宙に浮いたポップコーンを除けながらウィルがサンドラに近づいていきます。そして1万本の水仙の中で愛を語るシーン等々、数え上げればきりがありません。しかし、「シザーハンズ」と根本的に違うところがあります。「シザーハンズ」はその映像が悲しみを表していましたが、この物語は幸せや喜び、感動を表しています。
 この作品は父と息子の話です。いつまでもおとぎ話をする父親を嫌う息子。でも、誰でもあるのではないでしょうか。話をおもしろおかしく語るために、事実を少し大げさに言うことが。ウィルは父の軌跡をたどるうちにおとぎ話の中に真実が隠されていることを知ります。そして、最後の場面・・・正直のところ少し涙が出てきてしまいました。本当に素晴らしい映画でした。
クリムゾン・リバー2
監督 オリヴィエ・ダアン
出演 ジャン・レノ  ブノワ・マジメル  カミーユ・ナッタ  クリストファー・リー
 フランスのベストセラー小説を映画化した「クリムゾン・リバー」の続編です。今回ニーマンス警視役のジャン・レノとコンビを組むのは、「ピアニスト」のブノワ・マジメルです。この男、いい男です。年上のジュリエット・ビノシュ(「ショコラ」の女優さんです)といい仲だそうですが、ビノシュが見初めるのも無理ありません。僕からすればブラビよりいい男だと思うのですが。進学の専門の刑事を演じるカミーユ・ナッタは、知的な綺麗な女優さんです。ちょっとお気に入りです(^^;

とある修道院で、壁にキリスト像を打ち付けたところ、血が流れ出すという奇怪な事件が起きる。パリ警察から派遣されたニーマンス警視が捜査を開始し、壁の中に埋め込まれた死体を発見する。一方、若手刑事のレダは麻薬事件の捜査中、車の前に飛び出してきたキリストと同じ姿をした男を病院に運ぶが、その男はやがてニーマンスが捜査する修道院の事件の捜査線上に浮かんでくる。そして、続けざまに起きるキリストの12使徒と同じ名と職業を持った男たちの惨殺事件。その現場に現れる修道服姿の底知れぬパワーを持った男たち・・・。
映画の予告編で、修道服姿の男たちがミステリアスで、これはおもしろそうだと思って見に行きました。キリストの12使徒、黙示録の天使たち、キリスト教の異端派といった聖書の世界の謎が現代に甦ります。驚異的な走力、ジャンプ力、いくら殴っても痛みを見せない修道服の男たちは、一体何者なのか興味津々だったのですが、最後は、ちょっと肩すかしという感じでした。

(以下ネタばれです)

それに今でもわからない点ですが、そもそも最初の壁に塗り込まれた死体の事件の時に、なぜ修道院長は警察に通報したのでしょうか。通報しなければニーマンスたちが事件に関わることもなかっただろうに。修道院長は犯人たちの一味ではなかったの?
デイ・アフター・トゥモロー
監督 ローランド・エメリッヒ
出演 デニス・クエイド  ジェイク・ギレンホール  イアン・ホルム  
    エミー・ロッサム
 主人公のジャック・ホールは、古気象学の専門家。彼は、南極で大きな氷棚が崩落したことから、地球温暖化の危険を説くが、政治家は耳を貸そうとしない。その間にも、異常気象が続き、ついに地球は急激な氷河期へと突入していく。彼は、ニューヨークの図書館に避難した息子を救助するため、異常低温の低気圧が襲うニューヨークへと向かう。
 こうした危難に遭遇したときに、人はどうそれに向かい合うのかを一つの家族を中心に描いた映画です。日頃すれ違いの父と子でありながら、子供のために危険を承知で救助に向かう父。心に思う女性を助けるため、薬を求めに外へ出て行く息子とその友人たち。難病の患者のため、避難せずにつきそう医者の母。それぞれこの映画の登場人物たちは皆、その危難に立ち向かっていきます。僕自身を振り返ってみると、果たして立ち向かえるかなあという弱気になってしまいますが・・・。娘に話すと、「どうせ主人公たちは助かるんでしょう」と身もふたもないことを言いましたが、やっぱり感動しますよ。
 CGはすごいの一言です。竜巻に襲われるサンフランシスコ、大津波に襲われるニューヨークと、その映像は見事です。ある映画で(映画名をいうとその映画を見ていない人にネタばれになってしまうので、敢えて伏せます)、砂浜から自由の女神が顔を覗かせている場面がありましたが、今回は雪の中から顔を覗かせています。ある映画の衝撃度には負けますが、世界破滅の象徴ですね。
トロイ
監督 ウォルフガング・ペーターゼン
出演 ブラッド・ピット  エリック・バナ  オーランド・ブルーム
    ダイアン・クルーガー  ブライアン・コックス  ピーター・オトゥール
 トロイ戦争を題材にした映画です。3人の女神(ヘラ、アテネ、アフロディテ)がパリスに一番美しいのは誰かと聞き、それに対しパリスが選んだアフロディテが褒美に世界で一番美しい女性を与えるといったことから始まったギリシャ神話で語られるトロイ戦争ですが、この映画では神話的な部分は全く描いていません。基本的には、ブラッド・ピット、オーランド・ブルーム、エリック・バナら男優陣を全面に押し出した映画といえるのではないでしょうか。ただ、ブラッド・ピットやオーランド・ブルームのファンの女性には役柄的に不満が残るでしょうね。ブラビ演じるアキレスが名誉欲は強いし、やたらと女好き。オーランド・ブルームときたら、人妻に手を出してトロイ戦争の原因を作ってしまう役だし、1対1の決闘で負けそうになって兄にすがりつくなど、見ていて本当にだらしない役でしたね。役柄のうえでのことですが、ちょっとイメージを壊してしまったのではないでしょうか。それに比べて男を上げたのはヘクトルを演じたエリック・バナです。バカな弟のために戦う姿には感動してしまいます。
 トロイ戦争といえばトロイの木馬ですが、最後に少しだけの登場です。そして、アキレスはやっぱりアキレスでした。

 ジュリー・クリスティがアキレスの母親役、ピーター・オトゥールがトロイの王役で出演していますが、懐かしいですね。
ブラザーフッド
監督  カン・ジェギュ
出演  チャン・ドンゴン  ウォンビン  イ・ウンジュ  コン・ヒョンジン
 朝鮮戦争を題材に兄弟愛、家族愛を描いた作品です。主人公は韓国のイケメン俳優として知られるチャン・ドンゴンとウォンビンですが、二人の体当たりの演技が光ります。弟を除隊させるために危険な任務を進んでやろうとする兄。しかし戦争のなかでしだいに兄は変貌を遂げ、兄弟の溝は深まっていきます。
 北朝鮮と38度線で国境を有し、いまだに緊張状態が続いている韓国では、戦争がすっかり風化してしまっている日本と異なり、徴兵制度もあり、戦争は身近にあるといえます。そして、彼らにとって最大の不幸は、北朝鮮と韓国は同じ民族でありながら殺し合いをしてしまっていることです。映画で描いていることが事実に近いことならば、朝鮮半島の統一など難しいのではないのかと思ってしまいます。朝鮮戦争は民主主義と共産主義の戦いといわれますが、結局はアメリカと中国・ソ連との争いを同じ民族同士で行わされてしまったといえるのではないでしょうか。
 確か、映画のなかにこんなセリフがありました。

   “同胞が殺し合うほど思想って大事なものなのか”

 思想のところを宗教と変えても同じだと僕は思うのですが、世界ではこれで殺し合いが続いています。相手の考えを排他的でなく認め合うということができないのでしょうか。
 映画は、あの「プライベート・ライアン」をも凌ぐといわれるほどのリアリティある戦闘場面を描いていきます。悲惨なシーンが多いですが、これが本当の戦争なのでしょう。兄弟愛を強調するために、あまりに兄をスーパーマン的に描いている嫌いはありますが、もう本当に泣かせます。エンドロールの最中にハンカチを出して涙を拭ってしまったくらいです(同じ映画を見に来ていた友人と劇場の出口であって、二人で思わず「泣いたなあ」と言い合ってしまいました。)。
 とにかく、この映画を見て、もう一度みんなに戦争の悲劇というものを知ってもらいたいと思います。
みなさん、さようなら
監督  ドゥニ・アルカン
出演  レミ・ジラール  ステファン・ルソー  マリー=ジョゼ・クローズ
 第76回アカデミー賞最優秀外国語映画賞を日本の「たそがれ清兵衛」等と競って受賞した作品です。
 病気で命が果てようとしている一人の男性の人生の終焉の時を元妻や息子そして友人たちとのふれあいを通して、ユーモア溢れるタッチで描いた作品です。
 ある日、ロンドンで働く証券ディーラー、セバスチャンは、カナダ・モントリオールに住む母ルイーズから彼の父の病状が悪化しているので帰ってきて欲しいとの連絡を受ける。その父、大学教授のレミは女ぐせが悪いために、これまでさんざん家族に迷惑をかけてきた人物。セバスチャンは、そんな父のような人間にはなるまいとこれまでの人生を歩んできたのだった。帰国して父が末期ガンと知ったセバスチャンは、“友人を呼んで楽しい病室にして”という母の頼みを聞き入れ、病院の経営者や組合に働きかけてフロアを借り切り、改装し、友人達に声をかける。
 父と息子の物語です。天の邪鬼な僕としては、それまで父に反目していた息子が、父が残り少ない命ということで、ああも簡単に父のために何でもしてやろうとするかなと思いますが、父親の人生の残り僅かなときになって、ようやく分かり合えるというのはちょっと哀しいですね。まあ、父親と息子というものはそんなものなのでしょうか。
 病床に伏すレミのために友人達が各地から集まってきます。かつての愛人や妻が一緒にわいわいするというのは日本人としては不思議に思うところです。それにしても、果たして僕の死に際しては、どれだけの人が来てくれるのでしょうか。それを考えると、レミをとてもうらやましく思ってしまいます。

※蛇足です
 息子役の俳優が「Xファイル」のモルダー役のディビッド・ドゥカブニーに似ています。
 最後の父親の死は安楽死ですが、日本との考え方の違いはあるのでしょうが、あれって罪に問われないのでしょうか? いくらなんでも素人の人がやっていいものなのでしょうか。
 父親と息子の映画といえば、最近見た映画では「ビッグ・フィッシュ」がありますが、ファンタジー好きな僕からすると「ビッグ・フィッシュ」の方に軍配です。
リディック
監督  デヴィッド・トゥーヒー
出演  ヴィン・ディーゼル  ロード・マーシャル  ジュディ・ディンチ
     カール・アーバン   キース・デヴィッド  タンディ・ニュートン
 テレビコマーシャルで映画評論家のおすぎがおもしろいと言っていたので、期待して見に行ったのですが、僕としては今ひとつの映画でした。SF映画ですが、見てみると単に宇宙を舞台にした主演のヴィン・ディーゼルのアクション映画といった感があります。予告編を見た限りではもう少しおもしろいかなと思っていたのですが・・・。「ピッチブラック」という映画の続編ということですが、残念ながら見ていません。 前作を見ているとまた少しは印象が変わるのでしょうか。
LOVERS
監督  チャン・イーモウ
出演  金城武  アンディ・ラウ  チャン・ツィイー
 「HERO」に続くチャン・イーモウ監督の「LOVERS」を見てきました。
 物語の舞台は中国・唐の時代。政治の腐敗で反政府勢力が乱立する中、その最大勢力「飛刀門」と政府の捕吏との闘いが続いていた。「飛刀門」の頭目を倒すべく、盲目の踊り子に密命を帯びて近づく二人の官吏。
 「HERO」のスタッフ・チームが制作しただけあって、その映像美は目を見張るものがあります。特に「グリーン・ディスティニー」でもありましたが、中国らしい竹林の中での闘いは特に鮮やかです。竹のしなりを利用した闘い、竹から竹へと飛び移るワイヤーアクションは見事としかいいようがありませんが、その映像は僕にすれば「HERO」の落ち葉が吹雪く中での闘い、そして湖上での静寂な中での闘いに匹敵するか、それ以上のものがあります。見応えありましたね。また、映像美の一翼を担うワダエミの衣装も今回も素晴らしいものがあります。特に、竹林の中に編み笠で佇んでいた飛刀門一派の衣装が一番印象的です。竹林の緑と同じ緑色でありながら竹林の緑の中に映えるんですよね。ワダエミの衣装なくしてはこの映画は成り立たないのではないかと思えるほどです。
 さらに牡丹坊のシーンでのチャン・ツィイーの舞踏も見事です。「グリーン・ディスティニー」、「HERO」に次ぐこの作品でのアクションはもちろん素晴らしいですが、それだけの女優ではないですね。今後も期待できます。
 物語としては、「LOVERS」と同時に「謀」とあるごとく、様々な謀が物語の中に隠されています。ちょっとしたことをいうこともネタばれになるので、ストーリーは詳しく話すことができません(せいぜい上に書いたぐらいです)。実際のところ、ストーリー的には、どうして○○は、○○に○○を○○しろと言ったのか非常に疑問です(ネタばれになるので○○の内容は書けません)。深く考えるとストーリーが破綻しているのではないかと思われるところもありますが、そこはこの作品にとっては些細なことなのでしょう。主題はこの日本題名に隠されているのですから(現題は「十面埋伏」といい、四方八方に伏兵が隠れているということだそうです。日本題の方がずっといいですね)。
 とにかく、あの映像美だけでも見る価値があります。それだけでなく、中国のワイヤーアクションファンはもちろん、チャン・ツィイーファンも見るべきです。
ヴァン・ヘルシング
監督  スティーヴン・ソマーズ
出演  ヒュー・ジャックマン  ケイト・ベッキンセール  ウィル・ケンプ
     リチャード・ロクスバーグ  デヴィッド・ウェンハム
 ローマ法王庁の密命を帯びてモンスター退治をするヴァン・ヘルシングを主人公とする、見て楽しんでくださいという娯楽大作です。最初からジキルとハイド氏が出てきたかと思えば、狼男、フランケンシュタイン、そしてドラキュラと、ヨーロッパのモンスター総出演です。
注目は、主人公ヴァン・ヘルシングを演じるヒュー・ジャックマンよりは、アナ王女を演じるケイト・ベッキンセールです。前作の「アンダーワールド」に次いでまたもや闘う女性を演じてくれました。意志の強そうな顔立ちをしているので、闘う女性は似合います。ただ、どちらかといえば、「アンダーワールド」の皮のぴったりしたスーツに身を包んだベッキンセールの方が僕自身は好きですが。
 フランケンシュタインは、今までも恐ろしい怪物というよりは、見た目の恐ろしさとは異なる優しい心の持ち主というイメージが定着していますが、この作品でも、フランケンシュタインは心は怪物ではありません。人間的です(いや、人間的というと逆にひどいイメージになってしまうかな)。雑誌に印象的な登場人物として、ヴァン・ヘルシング、アナ王女に次ぐ第三位と高く評価されていました。
 なお、「ロード・オブ・ザ・リング」でファラミアを演じたデヴィッド・ウェンハムがヴァン・ヘルシングとモンスターに立ち向かう修道僧役を演じていますが、「ロード・オブ・ザ・リング」の凛々しい王子役と異なって、怖がりでコミカルな役を演じています。まさか同じ人物とはパンフレットを読むまでわかりませんでした。
バイオハザードUアポカリプス
監督  アレクサンダー・ウィット
出演  ミラ・ジョヴォヴィッチ  シエンナ・ギロリー  カルロス・オリヴェイラ
     ト−マス・クレッチマン  ジャレッド・ハリス
 前作では、最後にアリスが病院から町へと出てみると、そこはウイルスが蔓延し、廃墟と化していたところで終わりましたが、今回はその後のストーリーが語られます。ラクーンシティは、ウイルスによりゾンビ化した人間であふれ、町は封鎖されますが、その中にアンブレラ社の科学者であるアシュフォード博士の娘が取り残されてしまいます。彼女を助ければ脱出の手助けをすると博士に言われたアリスは刑事のジルらとともに少女を助けて町からの脱出を図ります。しかし、アリスらの前には、ゾンビ化した犬や怪物、そしてアンブレラ社のネメシス計画によって生み出された闘う兵士ネメシスが立ちふさがります。
 相変わらず、ミラ・ジョヴォヴィッチが強いです。「トゥーム・レイダー」のアンジェリーナ・ジョリーのように見た目が強そうな女性とは異なり、あのスレンダーな体で敵に立ち向かっていきます。そのうえ、今回はジルというまた強い女性が出てきて、男たじたじです。ジルという女性もゲームでは何回か登場しているらしいので(ゲームをしたことがない僕にはわかりませんが)、今後も重要な役どころとなっていくのでしょうか。
 闘う兵士として改造されたネメシスが出てくるなど、前作よりゲームっぽい雰囲気になっていましたが、僕としては前作のホラー色が強い方が好きですね。
ヴィレッジ
監督  M・ナイト・シャマラン
出演  ホアキン・フェニックス  エイドリアン・ブロディ  ウィリアム・ハート
     シガニー・ウィーバー  ブライス・ダラス・ハワード  ジュディー・グリアー
 深い森に囲まれた人口60人ほどの村。そこでは人々は互いに助け合いながら自給自足の生活を送っていた。その村には奇妙な掟があった。「森に入ってはならない。彼らが待っている。」「不吉な赤い色を封印せよ。彼らを呼び寄せる。」「警告の鐘に注意せよ。彼らがやってくる。」果たして、彼らとは何者なのか。この掟はいつ、なぜ作られたのか。
 パンフレットの最後に監督からのメッセージがあります。「ご覧になった皆様、ストーリーの全貌については明らかになさいませんよう、謹んでお願い申し上げます。」 
 確かに、この映画はストーリーを話してしまうと、まだ見ていない人の興味を削いでしまうことになります。推理小説を読んでいて、他人に犯人の名を言われてしまうようなものです。したがってストーリーを話すことは止めましょう。ただ、これだけは言ってしまうと、テレビCMや映画の予告編を観た人はこの映画をホラーととらえるかもしれませんが、実はラブ・ストーリーです。
 この作品の中で重要な役を演じるノア役で「戦場のピアニスト」でアカデミー賞を受賞したエイドリアン・ブロディが出演しているほか、ウィリアム・ハートやシガニー・ウィーバーなどの芸達者が脇を固めています。なんといっても注目は、アイヴィー役を演じたブライス・ダラス・ハワードです。あのロン・ハワード監督の娘ですが、盲目だが愛する人のためにある決意をする気丈な女性を見事に演じています。とても素敵ですよ。
 作品としては、残念ながら「シックス・センス」は超えられなかったと僕は思うのですが・・・。

※1つ書き忘れました。盲目の娘ということがこの作品における重要なところです。目が見えてはいけなかったのです。  
アイ,ロボット
監督  アレックス・プロヤス
出演  ウィル・スミス  ブリジッド・モイナハン  アラン・ティディック
     ジェームズ・クロムウェル
家庭用ロボットが人間のパートナーとして普及している2035年のシカゴ。次世代ロボットNS−5型の出が目前に迫ったある日、ロボットたちの生みの親であり、ロボット工学の第一人者であるラニング博士が殺されるという事件が起きる。容疑者はNSー5型ロボットのサニー。ロボット三原則により絶対に人間に危害を与えるはずのないロボットに殺人を犯すことができるのか。捜査を開始したロボット嫌いのシカゴ市警のスプーナー刑事に様々な妨害がなされる。

 アイザック・アシモフの“ロボット三原則”といえば、SFファンならずといえども、広く知られている原則です。
 1 ロボットは、人間に危害を加えてはならない。
 2 ロボットは、人間から与えられた命令に服従しなければならない。
 3 ロボットは、前第一条及び第二条に反するおそれのない限り、自己を守らなければならない。
 ロボットといえば無機質な感情を持たない機械として描かれるのが通常ですが、この作品に登場するNS−5型ロボットのサニーは怒りという感情を表し、スプーナーのウインクの真似をしたり、その意味を考えたりするようになります(これが後半、大きな伏線になるのですが)。
 果たしてロボットと人間は共存していけるのかという問いかけを根底にして、物語は、ロボット3原則を巧みに取り入れて展開していきます。最終的にはハッピーエンドの終わり方をするのですが、最後のシーンは印象的です。その後ロボットと人間はどうなっていくのでしょうか。

※2000年代のコンバースのスニーカーを愛用し、颯爽とオートバイを乗り回すレトロな刑事のスプーナーが、最先端の技術で作られたロボットに立ち向かうというところが、あまりに対照的でおもしろい設定です。     
テイキング・ライブス
監督  D・J・カルーソー
出演  アンジェリーナ・ジョリー  イーサン・ホーク  キーファー・サザーランド
     ジーナ・ローランズ  オリビエ・マルティネス
 誰かを殺しては、その被害者になりすまし、別の人生を生きるため殺人を続けるシリアルキラーと、アンジェリーナ・ジョリ演じるFBIの天才女性プロファイラー、イリアナの攻防を描いたサスペンス映画です。
 闘う女アンジェリーナ・ジョリーが今回演じるのは、モントリオール警察の要請で殺人事件の捜査にやってきたFBIの特別捜査官です。この作品では「トゥーム・レイダー」のときのような、ただ強い女だけではなく、人を愛してしまって苦悩したりと人間らしいところを出しています。
 この映画の売りは、イリアナの回りで犯人がなりすましているのは誰かということにあるのでしょうが、出演者を見れば、残念ながら簡単に予想がついてしまいます。最後もサプライズを狙ったものなんでしょうが、僕が犯人なら絶対にあのような行動はとらないです。というより、被害者になりすまし人生を生きていくような利口な犯人ならあんなことはしないはずですね。次々と人を殺しては、被害者の人生を生きる男という設定としては面白かったのですが、ストーリー的にはちょっと残念な結果になってしまいました。
インファナル・アフェア 無間序曲
監督  アンドリューラウ  アラン・マック
出演  エディソン・チャン  ショーン・ユー  アンソニー・ウォン
     エリック・ツァン  カリーナ・ラウ  フランシス・ン
 2003年の僕自身の映画ベスト10の5位にランクされた作品の続編です。通常続編は前作を上回らないというのが定説ですが、この作品は違いました。前作に勝るとも劣らないできばえです。間違いなく、今年度もマイベスト10に入る作品です。
 描かれているのは前作から11年前のイギリスからの返還を目前とした香港です。前作では香港マフィアに潜入した捜査官と警察に潜入した香港マフィアの二人の苦悩を描いていましたが、今回物語は、二人の若者がそれぞれ警察と香港マフィアに潜入する直前から話は始まります。前作でチョイ役で主人公たちの若きころを演じたエディソン・チャン(ラウ役)とショーン・スー(ヤン役)が今回は主役としていい演技をしています。マフィアのボスの私生児でありながら、善人でありたいと苦悩するヤン、決してかなうことのない恋に苦しむラウ、ともに心打たれる演技でした。脇を固めるウォン警部役のアンソニー・ウォンとサム役のエリック・ツアンも前作に引き続き見事な演技を見せています。さらに今回、彼ら以上に印象深かったのは、2代目のマフィアのボス、ハウを演じたフランシス・ンです。感情を表に出さない非情さと見るからに切れ者という見た目で強い印象を僕たちに残します。
 それにしても、当初この続編が考えられていなかった(パンフレットに掲載されている監督の話では、3作目は構想としてあったらしいです。)にもかかわらず、ストーリーをうまく考えています。どうして二人が相手方に潜入することになったのか、ウォン警部とサムとの間に実はあんな関係があったのかなどが描かれていることから、この作品はシリーズ全体の深みを増す役割を果たしているといえます。
 エンドロールの後に第3作「インファナル・アフェア 終極無間」の予告が流れました。それによると次作では再度トニー・レオンとアンディ・ラウが登場するようです。シリーズ最終章、待ちきれません。
エクソシスト ビギニング
監督  レニー・ハーリン
出演  ステラン・スカルスゲールド  ジェームズ・ダーシー  イザベラ・スコルプコ
 メリン神父は第二次世界大戦中、ナチスの残虐行為から信徒を救えなかった自責の念から、神への信仰を失っていた。ある日、考古学の知識を見込まれて、ケニアで発見された教会の発掘作業に加わることとなる。発掘現場の村でジョセフという少年と知り合うが、やがて彼の周囲で異常な事件が起こり始める。
 「エクソシスト」シリーズの4作目であり、最新作です。1973年に公開された「エクソシスト」は当時衝撃的な映像で一大ブームを巻き起こし、そのテーマ曲「チューブラ・ベルズ」は今でも心に強く残っています。今回描かれるのは第1作から25年前のメリン神父(第1作で悪魔にとりつかれたリーガンに対する悪魔払いの最中に命を落とした神父です)の過去です。
 正直のところ、オカルトホラーとしての怖さは 1作目に全く及びません。前半は、ホラーというより、ナチから信徒を救えなかったメリン神父の苦悩が描かれています。ホラーというより、その部分は人間ドラマといった方がいいかもしれません。また、一説では映像が地味だったということから監督がポール・シュレイダーからレニー・ハーリンに変更になったという噂がありますが、その割にはレニー・ハーリンに代わっても、やっぱり地味な感じは変わらない気がします。最後に○○に乗り移った悪魔バズズが神父を襲う場面の映像がレニー・ハーリンらしいといえばらしいと言えるのでしょうか。
2046
監督  ウォン・カーウァイ
出演  トニー・レオン  コン・リー  フェイ・ウォン  チャン・ツィイー  
     木村拓哉  カリーナ・ラウ  マギー・チャン
 1960年代の香港。一人の男が2046年を舞台にした近未来小説を書いている。タイトルは「2046」。小説の中の登場人物は〈2046〉という謎の場所を目指しミステリートレインに乗り込む。〈2046〉に行けば失われた愛を見つけることができると信じて人はミステリートレインに乗り込む。しかし、それが真実かどうかはわからない。なぜならそこから帰ってきた人はいないから。たった一人の〈男〉を除いては。今、〈男〉は、再び〈2046〉に向かう列車の中にいた。
 正直のところ、よくわからない映画でした。小説を書く男の愛の遍歴が中心の話と思いますが、その男の現在と小説の中の〈男〉の未来がどう交錯しているのか。小説の中の木村拓哉演ずる〈男〉が、トニー・レオン演ずる主人公自身らしいのですが、現実と、小説中の近未来とがいったいどういう関係にあるのか僕には理解できませんでした。
 TVコマーシャルを見ていると、てっきり近未来を描いたSFだと思って、映画館に見に行ったのですが、列車の中でのキムタクと女性型のアンドロイドとの愛(?)が描かれる近未来の部分は、映画全体の上映時間から見ると僅かな時間に過ぎず、その多くはトニー・レオン演じる主人公の愛の遍歴を描いていたと言えます。
 もともと、ウォン・カーウァイ監督は脚本を用意しないということですので、最初からきちんとした話ができていたわけでなく、撮影のたびに監督の考えで話が作られていったようです。そんなことも原因かなとも思うのですが、どうも現実と小説の中の近未来との話がすっきり関わり合いがあるようには思えないのです(近未来の話が描かれない方がすっきりすると思うのですが)。
 トニー・レオンが口髭で女ったらしという役柄は似合わないですね。やっぱり、影のある役の方がいいです。
 一方、日本人に気になるキムタクですが、ファンには悪いのですが、相変わらずの演技という感じです。外国人監督の前でいつもと違う演技を見せてくれるかと期待したのですが、全然変わりがないですね。期待はずれでした。
シークレット・ウインドウ
監督  デビッド・コープ
出演  ジョニー・デップ  ジョン・タトゥーロ  ティモシー・ハットン  マリア・ベロ  
 作家のモート・レイニーは、妻との離婚調停に悩み、執筆にも行き詰まっていた。そんなある日、モートのもとにジョン・シューターと名乗る男が訪れ、モートが自分の小説を盗作したと詰め寄る。最初は全く取り合わないモートだったが、シューターが置いていった彼の原稿の内容は、モートが以前書いた「秘密の窓」と瓜二つだった。それ以来、シューターは、モートの元にたびたび現れ、自分の名前で結末を書き換えて出版しろと言うのだが・・・。
 はっきりいって、期待はずれです。ジョニー・デップ主演で、スティーヴン・キングの原作ということで期待度が高かったのですが、裏切られました。映画を見る前に買ったパンフレットには封がしてあり、思いがけないエンディングが待っているのかなと思ったのですが、見始めてすぐに内容がわかってしまいました。ありふれた設定です。
 ラストもいまひとつ。ラストはキングの原作と異なっています。キングの原作は「ランゴリアーズ」の中に「秘密の窓、秘密の庭」という題名で入っています。「ランゴリアーズ」は、読んでいたのですが、そちらは未読でした。今回、本棚から引っ張り出して、ラストの部分だけ読んでしまいましたが(邪道ですが)、キングの原作の方がよかったのではないでしょうか。
オールド・ボーイ
監督  パク・チャヌク
出演  チェ・ミンスク  ユ・ジテ  カン・ヘジョン
平凡な人生を送っていた男オ・デスは、ある日誘拐され、監禁される。理由もわからないまま監禁され続けた15年後、今度は突然解放される。寿司屋で知り合った女性板前のミドの助けを得て、監禁をした犯人捜しをするが、そんな彼の前にウジンという男が現れ、5日間で監禁をされた理由を解き明かせ、解き明かすことができれば自分は死ぬ、そうでなければデスたちを殺すという。理由を探すデスたちであったが・・・。

 単なる酔っぱらいのくたびれた男に過ぎなかったデスが、15年の監禁生活の中で復讐の鬼と化していく様子は鬼気迫るものがあります。それを演じたチェ・ミンシクは「シュリ」で北朝鮮の工作員の隊長を演じた人ですが、金槌一本で大勢の男たちを相手に立ち回りをするシーンなどその演技は見事としか言えません。
 途中で「あれ!もしかしたら」と、この映画の大きな秘密に気づいたのですが、それをあんな形でラストへ持って行くとは思いもしませんでした。何故15年監禁したのか、そして15年が過ぎて解放したのか、あまりに衝撃的なラストです。「この映画の結末を絶対に口外しないでください。秘密を漏らすと15年監禁されることがあります」とのことなので、詳しいことは言えませんが、人の憎しみというものはそれほどまでに深くなるものなのでしょうか。そして、デスを監禁した者も、憎しみの裏には大きな救えない哀しみを持っていたのですね。やりきれないラストです。
 音楽も非常に印象的で、効果的に使われています。見終わった後にも心に残ります。

 日本の漫画が原作だそうですが、監禁された理由やラストは違っているそうです。漫画の方も読んでみたいですね。
ソウ
監督  ジェームズ・ワン
出演  ケアリー・エルウェズ  ダニー・グローヴァー  リー・ワネル
     モニカ・ポッター
 老朽化した集団用バスルームで目を覚ました二人の男、アダムとローレンス。二人とも足を鎖で部屋の対角線上にあるパイプに繋がれている。部屋の中央には頭を拳銃で撃ちぬいた一人の男の死体が横たわっていた。彼らに残されたカセットテープは、ローレンスがアダムを殺さないと、ローレンスの妻と娘が死に、ローレンス自身も命がないことを伝える。脱出する道具がないか、二人が探し出したのは二本のノコギリだった。
 物語は犠牲者、アダムとローレンスの話と奇妙な目的の下に殺人を続ける連続殺人鬼“ジグソウ”を追う刑事の話が描かれていく。二つの話が交錯するときに思いもしない結末が現れます。
 二人を拘束したのはジグソウであることは早い段階で明かされます。しかし、二人には身に覚えがありません。ジグソウの殺人の目的は“命を粗末にしている人間に、その大切さを教えること”です。果たして、二人にはジグソウに拘束される理由があるのか。
 久しぶりに、こうしたホラーというかスリラー作品をおもしろく観ました。結末には実に見事にやられたという感じです。絶対これは、あれがこれでああなってこう終わるだろう(ネタばれになるので何も書けません)と僕自身は途中で結末がわかったと高をくくっていたのですが、予想が見事に裏切られました。観終わって冷静に考えると、あれがこうならそれはああだろう(またまたネタばれとなるので何も書けません)と言えるのですが、真実が現れたときの衝撃は大きかったですね。
 観客をミスリーディングするとともに、真実を示す伏線も張ってあって、なかなかの作品でした。無名の監督と脚本家という大学時代の同級生二人が、わずか18日で撮り終えたそうですが、おもしろさはお金をかけるよりもアイディアということを示した作品です。
 ミステリ好きには超オススメです。今年僕の選ぶ映画のベスト10に入る作品。

 なお、入場前にパンフレットを購入したのですが、女性スタッフの人が中を開くと真実がわかってしまうので、観終わってから見てくださいと言ってくれました。確かにぱっと開くと真実が目に飛び込んできてしまいます。ラストの衝撃が全くなくなってしまうので、今から観る人は気をつけた方がいいですね。
ターミナル
監督  スティーブン・スピルバーグ
出演  トム・ハンクス  キャサリン・ゼタ=ジョーンズ  スタンリー・トゥッチ
     チー・マクブライド  ディエゴ・ルナ  
(ちょっとネタバレがあるので、未見の人は注意してください)
 ある約束のためアメリカのJFK空港に着いたビクター。彼は母国での突然のクーデターにより、パスポートが無効となり、アメリカに入国することを拒否される。帰国することもできず、彼に行動が許されたのは、国際線乗り継ぎロビーの中のみ。彼は毎日入国申請をしながらターミナルでの生活を始める。空港内をうろつく彼がトラブルの種と感じた国境警備局のディクソンは、彼を空港外に逃がして、管轄外で逮捕させようとするが、ビクターは「僕は待つ」とターミナル内に留まる。そんなある日、彼はフライト・アテンダントのアメリアと出会う。
 スピルバーグお得意のヒューマンドラマです。スピルバーグは、「歴史に残るような作品ではなく、重大な問題を抱えたものでもないもの。人々を笑わせて、泣かせて、人生っていいものだなと思える作品を撮りたかった。・・・映画というのは、困難な時代を生きる人々を微笑ませる役割を担っているからです」と言っていますが、まさしくそんな作品に仕上がっています。仕事を見つけ、友人ができ、恋をし、そしてターミナルの中で存在する場所を得ていくビクターを見ていて、笑い、感動しました。最後にビクターがターミナルの外に出て行く際に、ターミナルに働く人々が仕事をうっちゃって彼を見送る場面は最高でした。おとぎ話なんでしょうが、映画を見ている間は人生って捨てたものではないなと思わせてもらいました。
 主人公を演じているのがトム・ハンクスということからも安心して観ることができます。インドからきた老清掃夫や空港職員に恋するフード・サービスの職員など様々な人種の脇役もそれぞれ人間味溢れるいい味を出しています。また、キャサリン・ゼタ=ジョーンズは、この作品では、今までのような妖艶な役ではなく、妻子ある男との恋に悩む弱い女を演じています。僕としては今回のアメリア役で初めてキャサリン・ゼタ=ジョーンズってこんな綺麗な人だったんだと思いました。
 とてもおもしろく観ることができた映画ですが、ちょっと残念だったのは、ラストの約束を果たす場面ががさらりとしすぎていたかなという点です。それにアメリアとはああなってしまうなんて、中途半端です。もう少しドラマティックな展開があってもよかったのではないでしょうか(でも、あれが落としどころなんでしょうかね)。

 この映画を見ると、やっぱり英語が話せなくてはなあと思ってしまいます。僕だったら、きっと空港の中で迷子です。それに入国するときは「Sightseeing」と言えばいいとばかり思っていましたが、映画の中では「Business or Pleasure」と聞かれていましたから、「Pleasure」と答えるんですね。