思い出のシネマ

遊星からの物体X
監督 ジョン・カーペンター
出演 カート・ラッセル
 SFホラーの古典「遊星よりの物体X」のリメイク。10万年前に地球に飛来した謎の巨大UFOを氷の中から発見した南極観測隊のノルウェー基地が全滅。やがてノルウェー隊の犬を媒介にしてアメリカ基地に未知の生命体が侵入した。それは次々と形態を変えながら隊員たちに襲いかかる……。
 様々な形態に変化するために疑心暗鬼の中で行われるエイリアン捜しはかなりスリリングである。そのうえ無線が破壊され、いわゆる嵐の孤島と同じで、助けを呼ぶことができない状況でのエイリアン探しは恐怖である。自分の隣にいる人が実はエイリアンであり、ふと目をそらしたときにエイリアンに変化して自分に襲いかかってくるのではないかと思うと、僕であったら、とてもじゃないが誰も信じられない。精神的緊張から冷静さを失って殺し合いをしてしまうのじゃないかなあと密かに恐れてしまう。
黄泉がえり
監督 塩田明彦
出演 草g剛  竹内結子  石田ゆり子  哀川翔
 梶尾真治原作の映画化。原作では死者が甦る原因を宇宙からやってきた意識をもつ「もの」として描いているが、映画ではその点は省略されており、あくまで甦った者とそれを迎えるその回りの人との関係を感動的に描いている。
 物語は九州の阿蘇地方で突然死者が甦るという現象が次々と起こることから始まる。彼らは死んだ当事の姿のまま彼らを想い続けていた人の前に現れる。甦った人を前にして、喜ぶ家族、戸惑う回りの人。彼らはどうして生き返ったのか?
 プロデューサーが涙が自然に湧き出て、見終わって心が透き通っていくような、そんな気持ちになりたかったと言っているように、確かに映画館でも大勢の人が涙を流していた。僕自身も田中邦衛演ずる医師の出産の際に亡くなったろう者の妻が甦ったとき、ろう学校の先生をしている娘が母に手話で「お母さんのことを聞いてこの仕事を選んだ」と伝えたときは不覚にも涙が出てしまった。一緒に見に行った僕の娘はそれほど感動もしていなかったようであるが。
 見ていない人のために言えないが、この映画にはアレッと思うことがあるが、よく見ておいて欲しい。ストーリーの重要な部分と関係がある。