2024映画マイ・ベスト10

順位 映画名 監督
国内編1 キングダム 大将軍の帰還 佐藤信介
ゴールデンカムイ 久保茂昭
十一人の賊軍 白石和彌
ゴールドボーイ 金子修介
侍タイムスリッパー 安田淳一
室井慎次 敗れざる者 ・ 室井慎次 生き続ける者 本広克行
ラストマイル 塚原あゆ子
アイミタガイ 草野翔吾
 9 ミッシング  吉田恵輔 
10 正体 藤井道人
 海外編1 マッドマックス フィリオサ  ジョージ・ミラー 
2  デューン 砂の惑星 PARTⅡ  ドゥニ・ビルヌーブ 
3  オッペンハイマー  クリストファー・ノーラン 
4  グラディエーターⅡ 英雄を呼ぶ声  リドリー・スコット
5  お隣さんはヒトラー?  レオン・ブルドフスキー 
6  ジョーカー フォリ・ア・ドゥ  トッド・フィリップス 
7  コヴェナント 約束の脱出  ガイ・リッチー 
8  シビル・ウォー  アレックス・ガーランド 
9  フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン  グレッグ・バーランティ 
10  落下の解剖学  ジュスティーヌ・トリエ 
 番外 関心領域  ジョナサン・グレイザー 
 今年観に行った映画は58本。昨年(56本)と比較して2本増。
 まずは国内編です。第1位は「キングダム 大将軍の帰還」です。キングダムシリーズ最終作と謳われた作品です。今作は主人公の信より、今まであまり戦いの前面に出てこなかった大沢たかおさん演じる王騎と彼の愛する人を殺害した吉川晃司さん演じるほう煖との戦いがメインとなります。そして、今まで活躍のシーンがなかった要潤さん演じる王騎軍の副将・騰がその剣の技で大活躍を見せます。
 第2位は「ゴールデンカムイ」です。「キングダム」主演の山崎賢人さんがこちらでも主演しています。アイヌの隠し金を巡っての攻防が描かれます。原作のマンガでは映画となった部分はまだ始まったばかり。この後の話が映画ではなくWOWWOWでドラマ化とは残念。
 第3位は「十一人の賊軍」です。戊辰戦争のとき、旧幕府軍の奥羽越列藩同盟を裏切って官軍についた新発田藩という史実を下敷きにして、領内で旧幕府軍と官軍が衝突しないよう、官軍が領内に入るのを遅らせるため藩境の砦で旧幕府軍の長岡藩を偽って官軍と戦った罪人たちの戦いを描きます。捨て駒にされたことを知った仲野太賀さん演じる鷲尾兵士郎と山田孝之さん演じる駕籠かきの政の最後の戦いがカッコ良すぎです。
 第4位は「ゴールド・ボーイ」です。自殺をした女子中学生の母親から、お前が殺したと嫌がらせを受けていた中学生が主人公。彼が友人二人と撮った動画に実業家の婿養子が義理の両親を崖から突き落とすシーンが偶然撮られており、彼らはその婿養子を脅して金を得ようとするが・・・という話です。ネタバレになるので語れませんが、怖ろしいですねえ。
 第5位は「侍タイムスリッパー」です。今年はこの作品を忘れてはならないでしょう。最初は池袋ロサ1館だけで上映が始まりましたが、やがて評判を呼び、全国公開に拡大しました。2018年の「カメラを止めるな!」と同じ道筋をたどりましたね。大好きなタイムトリップものということで、全国公開になった初日に観に行きました。有名俳優もいないし(見たことのある顔ぶれは3人だけでした。)、ヒロイン役の役者さん自身が助監督を務めるという手作り感満載の映画でしたが、なかなか楽しめました。
 第6位は「室井慎次 敗れざる者」と「室井慎次 生き続ける者」の2部作合わせての順位です。警察を退職して田舎で暮らす室井慎次を描きます。テレビドラマ「踊る大捜査線」の出演者が顔を見せたり、小泉今日子さんが演じた日向真奈美の娘が登場したりとシリーズファンとして見逃せません。サプライズもありましたしね。
 第7位は「ラストマイル」です。海外資本の巨大ショッピングサイトから発送された荷物が爆発し、死者を出すという事件が起きる。新しくセンター長として赴任してきた舟渡エレナはその騒動に対処しなくてはならなくなる。捜査の結果、同じ爆弾が仕掛けられている荷物があと12個あることがわかる。果たして犯人は・・・というストーリーです。
 第8位は佳品から1作。「アイミタガイ」です。中学生の頃からの親友が仕事先の海外で事故死してしまい、それをなかなか受け入れられない女性を中心に描く群像劇ですが、彼女に関わる登場人物たちに実は繋がりがあったという点がラストで明らかになって、心が温かくなる作品です。
 第9位は「ミッシング」です。弟に娘を預けて、好きなアイドルのライブに行っている間に娘が姿を消してしまい、半狂乱になる母親を石原さとみさんが演じます。これまでとは異なる役柄を演じる石原さんの演技が見応えがあります。彼女の代表作になるのではないでしょうか。
 第10位は「正体」です。一家3人を惨殺したとして死刑判決を言い渡された男が無実を証明するために脱獄し、警察の追跡から逃れながら無実を証明してくれる人を探す物語です。様々な人間に扮して、逃亡を図りますが、演じた横浜流星さんの演技が光ります。

 続いて海外編ですが、今年はアカデミー賞に輝いたエマ・ストーン主演の「哀しきものたち」や、ホアキン・フェニックス主演の「ボーはおそれている」に票が集まりそうですが、私個人としてはどちらも変わった作品で馴染めませんでした。
 第1位は「マッドマックス フィリオサ」です。「マッドマックス 怒りのデスロード」に登場した女戦士フュリオサを主人公にしたその前日諄に当たる作品です。前作でフュリオサを演じたシャーリーズ・セロンに代わり、アニヤ・テイラー=ジョイが若きフェリオサを演じます。あんなか細い女性がフュリオサを演じるのかと最初は懐疑的だったのですが、なかなか見事にアクションもこなし、若きフィリオサを演じ切っていましたね。
 第2位はシリーズ第2弾の「デューン砂の惑星 P A R TⅡ」です。前作でハルコンネン家によって父を殺され、国を滅ぼされたポールが砂漠の民・フレメンとともにハルコンネン家に立ち向かいます。迫力あるVFXの映像に目を見張ります。
 第3位は原爆の生みの親、オッペンハイマー博士を描いた「オッペンハイマー」です。原爆となれば世界で唯一の被爆国である日本国民としてはある意味観るのが辛い作品でしたが、原爆を作ったことにより未曾有の悲劇を起こしたことに苦しむオッペンハイマーが描かれる人間ドラマとなっています。
 第4位は「グラデイエーターⅡ 英雄を呼ぶ声」です。2000年に公開され、アカデミー作品賞、主演男優賞ら5部門を受賞したリドリー・スコット監督作品です。今回の主人公は前作でラッセル・クロウが演じたマキシマスの息子であるルシアスです。父親同様グラデイエーターとして頭角を現し、圧政のローマの中で立ち上がります。前作を観ていないので比較はできないのですが、ハリウッドの作る歴史ものは迫力あります。
 第5位は「お隣さんはヒトラー?」です。第二次世界大戦中、ナテスによるユダヤ人虐殺を生き抜いたポリスキーは今は南米で一人静かに暮らしていた。そんな彼の家の隣にドイツ人らしき男が引っ越してくる。彼を観察するうちに男は自分たちユダヤ人を殺害したヒトラーではないかと疑心暗鬼になるという話です。二人にとって戦争は人生を大きく変えてしまいました。
 第6位は「ジョーカー フォリ・ア・ドウ」です。共演がレディー・ガガという豪華配役でしたが、 ミュージカル調の設定で歌手であるレディー・ガガはともかく、ホアキン・フェニックスも歌を歌うなど、なんだか前作n雰囲気と異なり、前作ほどの衝撃作とはなりませんでした。
 第7位は「コヴェナント 約束の脱出」です。アフガン戦争からアメリカが撤退した後、戦場で自分の命を救ってくれた軍の通訳をしていたアフガニスタン人がアメリカ軍の通訳をしていたことで命を狙われていることを知り、アフガンに救出に向かう実話を
もとにした作品です。
 第8位は「シビル・ウォー」です。アメリカの内戦を描いた作品です。先頃の大統領戦ではトランプが圧勝しましたが、 トランプはアメリカの分断が大きくなるような主張をしており、今後アメリカの分断が現実に内戦に到るのではないかと想像させる作品です。
 第9位は「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」です。かつて、「カプリコン1」という火星着陸を偽装するという設定の映画がありましたが、この作品は人類初の月着陸が失敗した場合に備えて、セットで月着陸を偽装した映像を製作するが・・・という作品です。
 第10位は「落下の解剖学」です。父母と息子の3人で暮らす中、息子が犬の散歩から帰ってくると父が転落死しているのを発見する。事故か自殺か、はたまた殺人か。前日夫婦が争っていたという情報を得た警察は妻を逮捕するが・・・という話です。かなりの部分が法廷での検事、弁護士の丁々発止のやり取りとなっています。
 番外は「関心領域」です。これも第5位の「お隣さんはヒトラー?」と同様ナチスによるユダヤ人虐殺を背景に描く作品です。強制収容所の隣に住む所長の家族の生活を描きますが、彼らにとっては収容所の中で何が行われているのかは、関心がなく、彼らの関心はユダヤ人から奪った服や装飾品のこと。所長の息子がユダヤ人の歯で遊ぶシーンは衝撃です。