2018映画マイ・ベスト10

順位 映画名 監督
 邦画    
万引き家族  是枝裕和
カメラを止めるな!  上田慎一郎
ルームロンダリング 片桐健滋 
空飛ぶタイヤ  本木克英 
祈りの幕が下りる時 福澤克雄 
次点 今夜、ロマンス劇場で  武内英樹 
次点 妻よ薔薇のように 家族はつらいよ3  山田洋次 
洋画    
グレイテスト・ショーマン マイケル・グレイシー
ボヘミアン・ラプソディ ブライアン・シンガー
スリー・ビルボード マーティン・マクドナー
アリー スター誕生 ブラッドリー・クーパー
ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男 ジョー・ライト
1987、ある闘いの真実 チャン・ジュナン
ヒトラーと戦った22日間 コンスタンチン・ハベンスキー
恐怖の報酬 ウィリアム・フリードキン
ペンタゴン・ペーパーズ スティーブン・スピルバーグ
10 アベンジャーズ インフィニティ・ウォー アンソニー・ルッソ
 今年観た映画は59本。ほぼ昨年と同じです。
邦画
 邦画は30本と、洋画を上回りました。こんなことは初めてです。その中では第1位は、今年はやはり、カンヌ映画祭でグランプリを受賞した是枝監督の「万引き家族」でしょう。家族と言いながら実は血のつながっていない者たちが「家族」という名の中で暮らしていく様子を描いていきます。何と言っても今は亡き樹木希林さんが入れ歯を外して演じた祖母の演技が光ります。
 そして、第2位は大きな話題となった上田慎一郎監督の「カメラを止めるな!」です。低予算でわずか2館の上映から始まったこの作品が、SNSなどで評判が拡散し全国ロードショーまでになったのですから、SNSというツールに驚くばかりです。内容はミステリ好きには嬉しいミスリーディングがあったり、伏線が様々に張られていたり、ふたを開けたら実はという点がいっぱいの作品で堪能しました。
 第3位は意外に面白かった「ルームロンダリング」です。幽霊が見える主人公とルームロンダリングという設定がまずうまいです。幽霊とは話せるが現実世界では人間関係をうまく築くことができない主人公を演じた池田エライザさんの演技が新鮮でした。彼女の叔父役を演じたオダギリジョーさんの存在感が抜群でしたね。
 第4位、第5位は「空飛ぶタイヤ」と「祈りの幕が下りる時」。それぞれ池井戸潤さん、東野圭吾さんの原作の力によるところが大きかったと思います。前者は池井戸さんお得意の小さな運送会社が大企業と闘う話で、観終わった後すっきりします。後者は加賀恭一郎シリーズ最後の作品で集大成となるため、加賀を演じた阿部寛さんも熱演です。
 次点は僕好みのファンタジー作品である「今夜、ロマンス劇場で」です。ウディ・アレンの「カイロの紫のバラ」へのオマージュ作品です。お姫様役を演じた綾瀬はるかさんがピッタリの役どころです。加藤剛さんの遺作になってしまいました。
 同じく次点は「家族はつらいよ」シリーズ第3弾の「妻よ薔薇のように」です。妻の立場にまったく理解を示さない長男に対し、妻が反撃ののろしを上げ、家出をしてしまいます。残された男たちのあたふたぶりが愉快です。

洋画
 洋画は28本です。その中で第1位は「グレイテスト・ショーマン」です。主人公を演じたヒュー・ジャックマンの歌声も素晴らしかったですが、それ以上に女性でありながら髭面のキアラ・セトルが歌う「THIS IS ME」には圧倒されました。
 第2位は先月公開されてから爆発的ヒットとなっている「ボヘミアン・ラプソディ」です。クイーンのフレディ・マーキュリーの人生を描いたものですが、何と言っても、クイーンの曲が印象的です。特にラスト、20分強続くライヴ・エイドのシーンは感動です。
 第3位は惜しくもアカデミー賞作品賞を逃した「スリー・ビルボード」です。個人的には受賞作の「シェイプ・オブ・ウォーター」よりも、こちらに軍配を上げたかったのですが。町を敵に回しながらも娘を殺害した犯人を捜す母親を演じたフランシス・マクドーマンドが素晴らしいです。アカデミー主演女優賞受賞も当然です。
 第4位は先日観に行ったばかりの「アリー スター誕生」です。4度目の映画化になりますが、前回はバーブラ・ストライサンドが演じた役を今回はレディー・ガガが演じます。今まで彼女の曲を真剣に聞いたことはなかったのですが、いやぁ〜素晴らしい歌唱力ですね。彼女の歌声に圧倒されます。監督とともに相手役も演じたブラッドリー・クーパーの歌もなかなかのものでしたね。二人のデュエット曲「シャロウ」も良かったですが、個人的には「オールウェイズ・リメンバー・アス・ディス・ウェイ」がお気に入りです。
 第5位から第7位までは硬派な映画が並びました。第5位は「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」です。第2次世界大戦の際、ヒトラーと対決したイギリス首相・ウィンストン・チャーチルを描いたものですが、演じたゲイリー・オールドマンの演技に大拍手です。それとメイクアップをした日本人がアカデミー賞を受賞したのも嬉しいところです。
 第6位は韓国映画の「1987、ある闘いの真実」です。1987年のチョン・ドファン軍事政権下の韓国を描いたほぼ実話に基づく作品です。反体制派だと見做されて拷問によって死亡した学生の死を隠ぺいしようとした当局に立ち向かう人々を描きます。日本ではバブルで浮かれていた時に隣の韓国では政権に対する大規模なデモが起こっていたことにびっくりです。
 第7位はソ連映画の「ヒトラーと戦った22日間」です。第二次世界大戦下の1943年、ポーランドに作られたユダヤ人強制収容所で実際に起こった脱走事件を描いた作品です。脱走事件といっても「大脱走」のような爽快感はありません。結末はあまりに悲惨です。
 第8位は「恐怖の報酬」です。元々は1977年に公開されたのですが、その年はあの「スター・ウォーズ」の熱狂の中、日本では監督に無断でカットされた短縮版で公開され、案の定興行的に失敗してしまった作品です。今回監督自らの手によるデジタル化がなされた完全版となりました。ニトロを積んだトラックで嵐の中、吊り橋を渡るシーンに手に汗握ります。
 第9位は「ペンタゴン・ペーター」です。政府の機密文書を報道しようとするアメリカの報道の自由を象徴する作品です。アカデミー賞俳優であるトム・ハンクスとメリル・ストリープの共演も見ものでした。
 第10位は「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」です。アベンジャーズシリーズ最新作です。地球侵略に来たサノスに対し、袂を分かっていたアイアンマンとキャプテン・アメリカが協力して対峙します。圧倒的な映像で、これこそ映画館の大きなスクリーンで観るのに最適です。次回が大いに気になるラストに来年が待ちきれません。