2009年読了本マイ・ベスト10

順位 題名 著者 出版社
新参者 東野圭吾 講談社
Anaother 綾辻行人 角川書店
鷺と雪 北村薫 文藝春秋
身の上話 佐藤正午 光文社
WILL 本多孝好 集英社
横道世之介 吉田修一 毎日新聞社
デパートへ行こう 真保裕一 講談社
ダブル・ジョーカー 柳広司 角川書店
プリンセス・トヨトミ 万城目学 文藝春秋
10 吉祥寺の朝日奈くん 中田永一 祥伝社
番外 初恋ソムリエ 初野晴 角川書店
番外 刻まれない明日 三崎亜記 祥伝社
  今年読了した本は全部で111冊。1年で100冊という目標は達成することができました。今年刊行された本の中からベスト10を選ぶと、
 第1位は、東野圭吾さんの「新参者」です。この作品は、全体を通して一人暮らしの女性の殺人事件に携わる加賀が描かれるのですが、それぞれの章でその事件に関わりのある下町の人々の人生がものの見事に浮き彫りにされます。東野さんの筆力に舌を巻くばかりです。
 第2位は、綾辻行人さんの「Another」です。本格推理よりはホラー系の作品かと思いましたが、綾辻さんにものの見事に騙されました。久しぶりに綾辻さんの作品を楽しめました。
 第3位は、北村薫さんの「鷺と雪」です。ベッキーさんシリーズ第3弾で最終章です。しだいに戦争の色濃くなる時代に遼家のお嬢様とベッキーさんが遭遇する事件が描かれますが、なんといっても印象的なのは、ありえないようなラストです。
 第4位は、佐藤正午さんの「身の上話」です。買い物に出たまま不倫相手の男に会いに失踪してしまった女。なんだ、この迷惑な女はと憤りながらいつの間にかどっぷり物語の中に引き込まれました。
 第5位は、本多孝好さんの「WILL」です。「MOMENT」の続編。今回は幼なじみの葬儀屋の経営者森野が主人公です。もちろん、前主人公の神田もいい男になって再登場します。いいなあ、こういうラストって。
 第6位は、吉田修一さんの「横道世之介」です。単に横道世之介というどこといって特徴のない大学生の生活を描いただけの作品ですが、なぜか心温まる作品です。今まで重いテーマが多かった吉田さんの作品とは一味違います。
 第7位は、真保裕一さんの「デパートへ行こう」です。さまざまな理由で、閉店後のデパートに集まってきた人たちの人間模様を描く作品。複雑に絡み合った人間関係が明らかになるラストには温かな気持ちになれます。
 第8位は、柳広司さんの「ダブル・ジョーカー」です。魔王とあだ名される結城中佐によって創設されたスパイ機関"D機関"の暗躍を描くシリーズ第2弾です。今回はD機関と新たな諜報機関との対立や結城の若き日の活躍も描かれており、興味深い1作となっています。
 第9位は、万城目学さんの「プリンセス・トヨトミ」です。会計検査院の検査官が大阪のある財団法人を検査したら・・・。突拍子もない事実に、大阪の人がこの本を読んだらどんな感想を持つのでしょうか。
 第10位は、中田永一さんの「吉祥寺の朝日奈くん」です。恋愛小説として大きな話題を呼んだ「百瀬、こっちを向いて」に続く恋愛短編小説第2弾です。前作ほどではありませんが、今回も素敵な恋愛小説が収録されています。
 番外編は2作。まずは、初野晴さんの「初恋ソムリエ」です。「退出ゲーム」の続編で、青春ミステリとしては外せない1作となっています。続編が楽しみな作品です。もう1作は、三崎亜記さんの「刻まれない明日」です。10年前に3095人の人が忽然と消えた町の話です。「失われた町」と同じ世界が描かれる三崎ワールド全開の作品となっています。