2008年読了本マイ・ベスト10

順位 題名 著者 出版社
名前探しの放課後 辻村深月 講談社
告白 湊かなえ 双葉社
造花の蜜 連城三紀彦 角川春樹事務所
百瀬、こっちを向いて。 中田永一 祥伝社
田村はまだか 朝倉かすみ 光文社
阪急電車 有川浩 幻冬舎
チェーン・ポイズン  本多孝好 講談社
みなさん、さようなら 久保田健彦 幻冬舎
スタンド・バイ・ミー 小路幸也 集英社
カラスの親指 道尾秀介 講談社
ジョーカーゲーム 柳広司 角川書店
おそろし 宮部みゆき 角川書店
モダンタイムス 伊坂幸太郎 講談社
 今年読んだ本(文庫化されたものを除く。)の中から10冊を選ぼうとしましたが、今年も10冊に絞りきれず順位なく13冊を選びました。
 辻村さんは、後半に「ロードムービー」と「太陽の坐る場所」が相次いで刊行されましたが、僕としては昨年末に刊行された「名前探しの放課後」を一押しです。青春ミステリとしては、これが一番です。
 この中での一番の衝撃作といえば、湊かなえさんの「告白」です。様々なところで話題となっていますが、女性教師の復讐劇が嫌な読後感をもたらしましたが一気読みでした。
 連城三紀彦さんの「造花の蜜」は発売日が10月31日のため「このミス」では上位にあげられませんでしたが、発売日さえ早ければもっと評価されてよかった作品です。どんでん返しの連続がページを繰る手を止めません。
 恋愛小説なら中田永一さんの「百瀬、こっちを向いて。」が一番です。以前アンソロージーに収められた表題作他3編からなる短編集です。中田永一はある有名作家の別ネームといわれていますが、誰なのかも興味があるところです。
 「田村はまだか」は初めて読んだ朝倉かすみさんの作品です。田村という同級生を待つ男女の人間模様の描き方がうまいです。
 「阪急電車」はやはり初めて読んだ有川浩さんの作品です。こちらは阪急宝塚駅と西宮北口駅を結ぶ、駅数8駅という関西のローカル線“阪急今津線”を舞台に一駅ごとに繰り広げられる、様々な人たちのエピソードが描かれます。それぞれの登場人物のキャラクターが魅力的です。
 本多孝好さんの久しぶりの作品は「チェーン・ポイズン」です。どこがミステリだ?と読んでいたら見事に騙されました。
 「みなさん、さようなら」は、デビュー作3作がすべて賞を取ったという久保田健彦さんの作品です。団地から外に出ることができなくなってしまった男の子を主人公にした物語です。男の成長物語ということだけではなく、団地という世界を舞台にした懐かしさを感じさせる話です。
 「スタンド・バイ・ミー」は、小路幸也さんの東京バンドワゴンシリーズ第3弾です。もう何も言うことはありません。長くこのシリーズが続いてくれるのを期待するばかりです。
 道尾秀介さんは、「カラスの親指」と「ラットマン」の両方ともおもしろかったのですが、読者をよりアッといわせるという点から「カラスの親指」を選びました。でも「ラットマン」でもおかしくありません。
 「ジョーカーゲーム」は、D機関の発案者結城中佐とその機関員の魅力で読ませる作品です。
 「おそろし」は、宮部みゆきさんお得意の時代物です。三島屋のおちかというまた新たな魅力的な主人公の登場です。宮部さんは時代物で少女を主人公にするのがうまいですよねえ。シリーズ化のようなので続編にも期待です。
 さて、外してはいけないのは伊坂幸太郎さんですが、実はこれを書いているときは「モダンタイムス」はまだ読了していません。とはいえ、半分ほど読んだところで、ここまで惹かれるくらいなので、先ず間違いなくおもしろいだろうということで入れました。伊坂ファンなので許してください(笑)