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参考書ガイド

沖縄語と言っても、本島中南部、北部、宮古、八重山、与那国でかなり異なり、沖縄県人同士でも理解できないほどです。その全てを学ぼうとするのは無謀なことですし、私のような県外人には、まず本島中南部、特に那覇首里周辺の沖縄語を勉強することとします。琉球王国時代には、政治、文化の中心であった那覇、首里の言葉は、一種の共通語として諸島の人たちにも使われていました。ここで紹介した本も、那覇方言が中心です。私が実際に読んだり、使ったりしての体験をお話しします。

1.「沖縄語辞典ー那覇方言を中心にー」
   内間直仁、野原三義 研究社 3,200円


『沖縄語辞典』(国立国語研究所編)が有名ですが、現在古本でしか手に入れることができません。アマゾンで調べてみると、定価が5,200円なのに1万円から4万円という高額になっています。これでは手軽に買うわけに行きません。私も持っていません。再版の発行をチェックして、買って手元に置いておきたいような気がします。

それに代わるのが本書です。沖縄語の見出しはカタカナですが、巻頭の凡例にその説明が載っています。この辞典を買って、沖縄語の文章の単語の意味を調べようとしても、フランス語、ドイツ語やロシア語などのように、動詞や形容詞の原型(終止形)を知らなければ、辞典を引けません。そこで、いきなりこの辞典を購入するより、後述の2冊の入門書から、辞典なしにスタートした方がよいでしょう。


2.「沖縄口(うちなーぐち)さびらー沖縄語を話しましょう」
    船津好明 中松竹雄(監修) 琉球新報社 1,429円


このサイトで使用している沖縄文字の考案者である船津さんが書いた本です。船津さんは沖縄県人ではないのですが、沖縄に転勤されたときに、短期間で沖縄語を習得されたようです。独特の発音を表す沖縄文字について、その意味と正しい書き順、発音法が丁寧に解説されています。各章に配置されている例文が豊富です。長幼の序を大切にする沖縄文化では、非常に精緻な敬語あり、詳しく書かれています。また、巻末の動詞活用表は、初学者にはとてもありがたいものです。

各章に配列されている練習問題は初心者にはかなり難しいと思います。私自身、正しく答えが書けたのは、半分くらいでした。だれか沖縄語を話せるひとか、先生が付いてのテキストとしては最適ですが、独習者が初めにこの本を手に取ると、???が多く、挫折するかもしれません。


3.「沖縄語の入門(CD付改訂版)-たのしいウチナーグチー」
    西岡敏、仲原穰 白水社 2,200円


最初の一冊としてお勧めなのがこの本です。なんと言ってもCDが付属しているので、生の沖縄語を聞けるのがこの本の利点です。沖縄語の発音で私たち「ヤマトゥ ッチュー」(沖縄県以外の日本人一般を指す)が知らない声門閉鎖音(グロッタル・ストップ)の発声が実際に聞けるのは貴重です。喉を一旦閉めてから、パッと開きながら発音するのです。「ワー」(私)「ッワー」(豚)の微妙な違いが分かります。なお、ここでは声門閉鎖音を上の「沖縄語辞典ー那覇方言を中心にー」に表の記法で「ッ」により便宜的に書きました。


4.ウチナーグチ(沖縄語)練習帖(生活人新書)
   高良勉 日本放送出版協会 734円


日常会話例文がエピソードを交えて書かれています。父親に食事を運んで、「うさがれー」(召し上がれ)とまあまあの丁寧語で言ったのに、「たーんかい、むぬいちょーが!」(誰に向かってもの言ってるか!)と怒られ、どんぶりを投げつけられそうになったそうです。「うさがみそーれー」(お召し上がりください)と言うべきだったなどは、面白く読みました。琉球・沖縄の文化にも触れていて、気楽に読めます。ただ、この本で沖縄語を勉強するのは無理です。2と3の本に加えて読むべき本です。


5.「沖縄語を話す会会報」PDFファイル
   (メニューからアクセスしてください)


東京を中心とする首都圏にお住いの沖縄県人や沖縄語に興味を持つ人たちの集まりである「沖縄語を話す会」(会長 山路安清)がホームページで公開している会報のPDFファイルです。各号とも沖縄語での随筆、随想が沖縄文字を使って書かれたA4版5、6ページほどのものです。1号から現在の最新版20号まであります。各号の巻末には本文中に使用されている沖縄語の語句説明があり、親切な作りになっています。筆者は沖縄県人や、沖縄語の勉強をしているひとたちで、心打たれる素晴らしい文章が掲載されています。リーディングの副教材に最適です。

6.「しまくとぅば読本」、「しまくとぅばハンドブック」PDFファイル
    沖縄県文化振興課
  「豊見城市しまくとぅば読本」PDFファイル
    豊見城市教育委員会文化課
            (リンク集でアクセスしてください)

沖縄県と豊見城市で作ったPDFファイルです。豊見城市の方は市内5か所の方言とその音声入りです。なんといってもパソコンやタブレットさえあれば、無料で手に入るのがありがたいところです。内容は日常使われる会話中心で、文法解説はありません。この「読本」では、沖縄語でなぜそのように言うのかが分かりません。2と3の書籍を読んで勉強した後でこのPDFを見ると、活用例としてよく分かります。

7.Okinawan-English Wordbook
       Mitsugu Sakihara University of Hawai'i Press 1,984円(アマゾン)

英語が得意なひとであれば、1の辞典と併用するととても役に立ちます。1に掲載のない言葉も多く、特に巻末の英語・沖縄語は1の補完として便利です。

8.沖縄語リアルフレーズBOOK
   比嘉光龍 研究社 1,400円

日常会話の本です。音声はインターネットでダウンロードできるので、ありがたいです。豊富な会話シチュエーションは面白いです。共通語と沖縄語の不一致や、ネイティブの女性に確認されたようですが、首里言葉に堪能なひとからは、誤りが散見されると言われました。それに漢字とルビのずれ、当て字もあります。それでも貴重な資料であることは間違いありません。日常表現の参考には十分なります。

9.ふる里の民話 「うちなー口」で語り聞かせる
   長田昌明 編著 わらべ書房 2,100円
収録20話中7話が音声CD収録です。なぜ7話が選ばれたのかは不明です。平仮名表記の沖縄語の発音では表せない「音」が、CDで分かります。本を閉じて、耳だけで朗読を聞いてみるのもいいでしょう。

10.文でおぼえる うちなーぐち
        比嘉 清 南謡出版 1,600円
比嘉さんの沖縄語に対する熱が伝わる本です。沖縄語について、とても詳しい解説と例文がある力作です。ただ、発音に即した表記でないため、全くの初学者が取り組むにはハードルが高いでしょう。比嘉さんの提案する「書き言葉」の表記法を十分に理解して読む必要があります。

結論

私が実際に沖縄語の勉強を始めての体験からは、2と3を併用して勉強し、リーディングの訓練に5を活用し、その時に分からない言葉があったら、1の辞典を必要に応じて引くとよいでしよう。

以上は沖縄語を独習するための書籍ですが、沖縄県人で沖縄語を話せるひと(若い沖縄県人は話せない場合が多いです)に教わるのがベストですが、そのような機会はなかなかありません。それに、各地の方言の違いが大きいので、那覇・首里言葉を正しく話せるひととなると、探すのも難しいです。首都圏に住んでいるひとなら、私のように「沖縄語を話す会」に参加するのがベストです。それも無理ならば、リンク集で紹介した沖縄県の放送局サイトにアクセスして、生の沖縄語を録音し繰り返し聞き返してみましょう。


沖縄語に限らず、語学の勉強ではいつか必ず壁に当たり、飽きてきたり、挫折する状況が訪れます。自転車に乗る練習と同じです。乗れないからと諦めたら、そこで終わりです。しかし、一旦乗れるようになったら、元の「乗れない状態」に後戻りすることはありません。あせらず、気長に、粘り強く、私と一緒に勉強を続けて行きましょう。語学に王道なし!ですね。

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