連載 第九十七回
「 ヨーロッパを巡る音楽の旅行 」 マイケル・ウォン、 ヴォーカル&バイオリンリサイタル ・マイケル・ウォン(Michael Wong)とは誰か? ・6月17日(日)夕方17時30分から広島アステールプラザのオーケストラ等練習場で、表記のリサイタルがあり、聴きに行きました。 (2007.06.22up) |
◆さて演奏会本番、アステールプラザのオーケストラ練習室でのリサイタルです。 上段の固定席の他、フロアーに椅子を120席余りが並べて有りました。 ざっと見て、お客さんは約100名。 なんと、その内半数近くは、”外人さん”のようでした。
・パンフレットを開くと、最初のページに ”Special Thanks” として、この演奏会を開催するに当たってお世話になった方々の名前がずらっと並べて有り、特にその一番下に、最も感謝する相手として自分の奥様の名前が掲げられていました。 さすがに本場というか、日本人ではこうは作らないだろうなと感心しました。
・プログラムは、「 ヨーロッパを巡る音楽の旅行 」のタイトル通り、スペインの曲から始まって、フランス、イギリス、ドイツ、オーストリア、ロシア、最後にイタリアという多彩な選曲です。
◆演奏自体は、ウォンさんの歌唱のほか、ピアニストや友情出演エリサンタ・コルテスさんの美しいソプラノも加わって、充実した素晴らしいものでした。 私は前から2列目の席に座って演奏を聴きましたが、声の通りとホールの響きのバランスがよく、すっきりと美しい演奏を聴くことができました。 ウォンさんは、オペラ、ミュージカル、民謡などを それぞれの言語(スペイン、仏、英、独、露、伊、の6ヶ国語)で歌い分けていました。 英語は本物。 独、伊、仏、もそれらしく自然に聴こえました。 ロシア語とスペイン語は全く知らないので上手なのかどうかわかりません。
・ウォンさんの声は、よくコントロールされた素直で明るい発声で、柔らかく澄んだきれいな声はサイタルで歌曲を歌うにはピッタリです。 第1曲の有名なスペインの「グラナダ」から安定した歌唱でした。 どの曲も表情豊かで、しかも技術面でハラハラさせられるようなところの無い、安心して聴ける素晴らしい演奏でした。
・唯一違和感を覚えたのは、シューベルトの「An die Musik」。 じっくりと聴かせる演奏を期待していら、予想を超える速いテンポでサラリと歌い終わってしまいました。 まあこういう解釈も有りなのでしょうか。 今度、チャンスがあったら本人に意図を聞いて見ます。
◆ウォンさんのバイオリン独奏も有りました。 私でも知っている有名な曲です。 ヴォーカルの素晴らしさに比べると、こちらはオマケといった感も有りますが、ゆっくりとしたパッセージよりも速い動きの方が上手く聞こえました。 私はバイオリンまったく弾けないので分かりませんが、そうしたものなのでしょうか?
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◆ある方から2階席で録音したMDをCD-Rにダビングすよう依頼され、家に帰ってダビング作業をしながら試聴してみました。 遠くから録音している為に、ホールの残響に乗った軟らかい声は聞こえますが、どうしても直接的な生の声は余り聞こえてきません。 残念ながら、実際に私が前の席で聴いたのとはかなり違う印象を受けました。
・裏を返せば、Wongさんの声は、柔らかく澄んだきれいな声質であるために、ホールの残響に溶け込んでいるということでしょう。 リサイタルで歌曲を歌うのにはピッタリですが、オペラなどでオーケストラや合唱をバックにしてソロを歌うには、少々素直すぎるかもしれません。 もっと雑味のある、アクの強い、個性的な声質が必要かもしれません。
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◆遠く離れた日本の地で、自前でリサイタルを開き、これだけの曲を歌い切れる素晴らしいテノール歌手に乾杯です。
・なお、Wongさんは、合唱団”Polifonia Sacra"の定期演奏会【7/29(日)14:00- セシリアホール】に、メサイアのテナーソロとして出演されます。 ぜひ、聴きに行ってください。
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・しかしながら、これだけ歌えても声楽家としては食べて行けないというのが、いずこも同じ現実の厳しさなのでしょうか。
(!斬捨て御免!、!問答無用!)