北の佐川の"音曲捕り物帖"
連載 第九十二回
『 エリザベトシンガーズ定期演奏会 』
・”エリザベトが世界に発信するプロフェッショナル・チェンバークワイヤ” です。
(2007.1.29up)
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◆エリザベトシンガーズ定期演奏会
指揮 藤井宏樹
演奏 エリザベトシンガーズ
日時 2007年1月27日 18時30分開演
会場 エリザベト音楽大学セシリアホール
プログラム
ブルックナー モテット集
三善晃 嫁ぐ娘に
林 光 原爆小景[完結版] 混声合唱のための より
武満徹 混声合唱のための「うたT・U」より
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◆ちょうど招待状が手に入り、約2年ぶりにエリザベトシンガーズの演奏会を聴きに行きました。
◆1ステ、ブルックナーのモテット。ブルックナーの無伴奏合唱曲は良いですね。 響きの良いこのセシリアホールによくマッチし、西洋音楽らしい豊かな音楽が会場にあふれていました。 おしむらくは、第1曲目のアヴェ・マリアの出だしのピッチが少し合わなかったところでしょうか。 最初の曲の出だしというのは難しいものですね。
◆2ステ、「嫁ぐ娘に」。 有名な曲なのかもしれませんが、私は初めて聴きました。 少し重ためな曲でしたが、2〜3回聴けばそのよさが理解できるかもしれません。
◆3ステ、「原爆小景」。 申し訳ありませんが、凡人の私にはこういった無調性というか、そういう音楽は理解し難く、このステージが終わるのをじっと耐えていました。 (理解することは出来ませんでしたが、原爆の悲惨さみたいなものは十分感じることが出来ました。 それで良いのでしょうかね。)
・それにしても、この調性の分からない曲をどのようにして練習するのでしょうか。 団員の中には広島在住でない方もいるみたいだし、合わせの練習回数は少なく大変であっただろうと想像します。 そういえば、演奏中に男声が音叉を耳に当てて音を確認していました。
◆4ステ、武満徹の「うたT・U」。 ”翼”、”小さな空”など聴いたり歌ったりしたことのある曲が並んでおり、自然とコメントも厳しくなりそうでしたが、ごく自然な演奏で素敵でした。 実際演奏するのは難しい曲ばかりだと思いますが、その難しさを表に出さないところがプロの実力といったところでしょうか。
・藤井宏樹さん(初めて拝見しました)の指揮は、かなりゆったりと、時に大きく振られるため打点が分かり難そうでしたが、それなりにまとまり、間の取り方や強弱の変化も無理な誇張が無く、スッキリとした演奏に仕上がっていました。
◆以上、全曲無伴奏の混声合唱でした。 ブルックナー、三善晃、林光、武満徹 という名前が並ぶと、素人の私としてはちょっと引いてしまいましたが、この4人の曲を順番に並べて上手く「起承転結」が構成されていたように思います。 最後が、武満徹の「うたT・U」で終わってくれてよかったです。 もし、林光の「原爆小景」で終わっていたら寝心地が悪かったかもしれません。
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◆メンバーは18名、内8名は客員だそうです。 ということは正団員は10名。 ベースがしっかりとしていて好印象でした。 ソプラノはパートソロ部分でもう少しユニゾンがそろっていて欲しい気がしました。 いずれにしても、1ステから4ステまでいろいろな曲をこなせる高い実力を持った、我々から見たら雲の上のような合唱団です。
・しかし、何か芯になるようなものが欲しい気がしました。 現在、常任指揮者不在?で演奏メンバーも4割が客員という状態で、このエリザベトシンガーズはプロとしてどの方向を目指しているのでしょうか? テクニックが有って器用に何でもこなせる上手な合唱団に留まっているような気がしてなりません。 常任指揮者か音楽監督か、又は核となる固定メンバーがリードしていって、”広島にエリザベトシンガーズあり”と誇れるような個性的なプロ合唱団になってもらいたいです。
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◆以上、今年度初の音曲捕物帖でした。
・『 明けまして、相も変わらず、問答無用。 今年もよろしく、切り捨て御免! 』 (北の佐川)
(!斬捨て御免!、!問答無用!)