連載 第九回
"秋たけなわ、男子校の合唱祭!" 広島市の男子校の文化祭で行われた、”中学音楽祭”と称する、クラス対抗合唱祭を聴きました。 (2003.11.09up) |
・前書き
・秋たけなわ、芸術の秋、スポーツの秋、そして食欲の秋です。 西条の酒祭りは終わりましたが、新酒が出回るのはこれからが本番。日本酒好きの私には待ちに待った季節の到来です。日本酒&ビールは出来たて、絞りたてが断然美味しいです。はい。
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・本文
・先週末(11/1)広島市のある中高一貫男子校の文化祭で行われた、”中学音楽祭”と称する、クラス対抗合唱祭を聴きました。 中1から中2、中3と各学年それぞれ数クラスの生徒が学年別の課題曲と自由曲をステージで演奏し、教員および一般参加者(父兄)からなる審査員が投票して、学年別の金賞銀賞と総合優勝をつけるという"本格的”なものです。 少々遅れて行ったため、中1の最後のクラスと、中2、中3を聴きました。
・中学生(男性)は変声期を迎えますが、中1は正にこれで、声変わり前の生徒は女声のように1オクターブ上の声を出すため、ユニゾンの部分で1オクターブ違いの高音と低音が混ざって聞こえてきて笑えました。 変声期で実際に声が出ないのが半分、恥ずかしさが半分といった感じで、初々しくてよかったです。
・中2になるとほとんどの生徒が変声期も終わり、地声ながら力いっぱい歌っていました。 体育館のステージから倍音が聞こえてきたのには驚きました。まだ幼いとはいいながら、男性四十数名が声を合わせて歌うのを真近で聴くと、なかなか迫力があり、こちらも力が入ってきます。 中2では、クラスによって合唱の上手い下手の差が大きかったようです。これは、担任教師の力の入れようによるもののようです。
・そして、いよいよ中3。 発声は相変わらず地声ですが、指揮も滑らかになり、自由曲もアカペラ男声4部合唱を選曲するクラスが登場します。 その心意気よし、といったところです。 お馴染みの”いざ立て戦人よ”や、メンデルスゾーンの”おお 雲雀”などを無伴奏で歌っていました。 実際の演奏は、あまりの下手さに、思わず壇上に上がって一緒に歌いたくなる衝動に駆られるほどでしたが、でも皆良かったです。
・男子校の合唱祭、もっとダラダラとしてやる気の無いものかと思っていましたが、どうしてどうして、整然と並び、指揮者に向けて姿勢を揃え、皆、口を大きく開けて真剣に歌っていました。 その姿を見ていると、こちらまで身震いする想いでした。 発声的にも、音楽表現的にもまったくお話にならないと言ってしまえばそれまでです。が、一生懸命力を合わせて歌う姿に、掛け値なしにジーンと感動してしまいました。
・指揮、ピアノ伴奏共に全て各クラスの生徒で、はっきり言って指揮はほとんど下手でした。 でも、皆の前で一生懸命腕を振って、演奏終了後にステージから降りてくるときの安堵したような照れ笑いの表情に、好感が持てました。 また、ステージ袖で待機している先生が、歌い終わった各クラスの生徒たちに、『ヨシ! ヨシ! よくやった!』と毎回声を掛けているのも印象に残りました。 多少上手い下手はあるものの、各クラスにピアノを弾ける人が、一人二人は居るというのも驚きました。
・自分自身も最近合唱コンクールに参加して歌った後だけに、聞き手に感動を与えるとはどういうことかについて改めて考えさせられました。
冷静なテクニックも必要でしょうが、歌い手がどれほど一生懸命取り組んで、自分自身が感動しているか?それが演奏ににじみ出て、聴き手は感動するのでしょう。 いまさらではありますが、そんなことを再確認させられた演奏会でした。
・おまけ
このHP、”音曲捕り物帖”と題し、さらに偉そうげに”斬捨て御免”、”ご意見無用”などとも書いておりますが、他人の批判を目的としたHPでは有りません。 逆に、見聞きした音楽の中から”良かった探し”をして、楽しもうというものです。
・お恥ずかしい話、昔は、”自分が歌うのは好きだけれども、他人が歌うのを聞くのは嫌い”という、よく在りがちな典型的な自己中心的なスタンスでした。 しかし、最近ようやく、他の人が歌うのを聴く事に興味を覚えるようになりました。 いろいろな演奏の中の良かったところを探し出して、心豊かになろうと”良かった探し”をしているわけです。 今回のように、あまり”上手すぎない”児童合唱や、ママさんコーラスを聴くのが好きです。思わぬ発見、感動が待っています。 同じ演奏を聴いても、評論家気取りで粗を探して自分自身がいやな気分になるよりも、良いところを探し出して良い気分になるほうが幸せですよね。
(!斬捨て御免!、!問答無用!)