北の佐川の"音曲捕り物帖"

連載 第八十三回

『 OBON 』


合唱交流会「世界の平和を語り、合唱する会」というものを聴きにいって、長良高等学校コーラス部の演奏する ” 平和への祈り「OBON」 -語りと合唱-  〜原爆で亡くなった広島のこども達に捧ぐ〜 ” を聴くことができました。
(2006.11.15up)

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合唱交流会 「世界の平和を語り、合唱する会」
 参加合唱団:
  ・長良合唱団・長良高等学校コーラス部
  ・ノートルダム清心高等学校合唱部
  ・エリザベト音楽大学附属音楽園合唱団”ブエリカンタンテス”
 日時:2006年11月4日(土)16:00
 場所:世界平和記念聖堂(カトリック幟町教会)
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  ◆お隣山口県で開催される国民文化祭に参加する 岐阜県の”長良合唱団・長良高等学校コーラス部”が、その前に広島に立ち寄り、地元の合唱団と平和について語り歌い合おうという趣旨の集まりです。
  ・実は、”長良高等学校コーラス部”の凄さを全く知らず、たまたまこの日の夕方に街中で用事(飲み)があるため少し早く出かけ、軽い気持ちでこの交流会を聴きに行きました。  実に素晴らしい交流会でした。

  ◆まずは交流会らしく、長良高等学校指揮者の澤島先生の指導による発声トレーニング。 短い時間でしたが、息や母音の整え方、女声らしい明るい響きのポイントなどを上手に教えてもらいました。
  ◆続いて、串山先生の短いスピーチと指揮で、エリザベト音楽大学附属音楽園合唱団”ブエリカンタンテス”の子供たちの演奏。 ”ブエリカンタンテス”の演奏を単独で聴くのは初めてでした。
  ・音楽大学附属音楽園合唱団というのでもっと凄いのかと思ったら、普通に子供らしい発音で、普通に音程がぶら下がっていました。 でもその中に、子供らしい、というか人間らしい素直さと純粋さが感じ取られてとても良い演奏でした。  串山先生の指導の方針なのでしょうか。  それと、外国語の歌詞の曲から日本語の曲に変わった途端、生き生きとした歌声になったのが印象的でした。
  ◆次は、門野先生のスピーチとノートルダム清心高等学校合唱部の演奏。
  ・合唱コンクール中国大会金賞の実力を聴かせてくれました。 後ろの聖歌隊席から無伴奏曲の演奏でしたが、遠いせいかアルトが少し頑張りすぎて地声が聞こえたのが少し気になりました。  頑張らなくても十分響いていました。
  ◆そして、澤島先生のスピーチと”長良合唱団・長良高等学校コーラス部”による演奏。 澤島先生を除く全員カラフルな浴衣姿です。
  ・演奏する曲は澤島先生自身の制作・構成による ” 平和への祈り「OBON」 -語りと合唱-  〜原爆で亡くなった広島のこども達に捧ぐ〜 ” というものです。
  ・今回がこの曲の通算25回目の演奏。  澤島先生は来年定年を迎えられるため、”長良高等学校コーラス部”の「OBON」を指揮するのは今回が最後になるかもしれないという思いもあって、この広島の地での演奏を望まれたようです。   
  ・曲自体は全て無伴奏で各地のわらべうたと民謡5曲ですが、広島の原爆で亡くなった子供がお盆に戻ってきて家族や友達と語らい歌って一時を過ごし帰って行くという構成で、曲間に語りを入れて演奏されました。  全員による最初と最後の短くて印象的な動きと後半の少人数のシンプルな踊りがこの演奏の一部として組み入れられ、全体を非常に印象深いものに仕上げていました。  その内容を言葉で表現してしまうと味気ないのでここまでにしておきます。
  ・1997年にブタペスト国際合唱コンクールでこの曲を初演し、国際民謡部門「金賞」を得たそうですが、確かに万国に共通する説得力を持った作品とそれにふさわしい素晴らしい演奏でうなずけます。
  ・合唱コンクール全国大会9年間連続金賞の実力が示すように歌唱力も抜群でした。  とにかく一糸乱れぬユニゾンが素晴らしかったです。  美しい合唱を構築するのは斉唱が下手ではダメだとは思っていましたが、改めてその重要性を確認しました。
  ・さらに、ステージ上での動きや表情、衣装や出入りのちょっとした仕草までも含めて、全てがひとつの芸術表現であることを痛感しました。
  ◆最後は、水嶋先生のスピーチと指揮による、”長良合唱団・長良高等学校コーラス部”による グレゴリオ聖歌の演奏。
  ・スピーチは少し長すぎましたが、この演奏もまた素晴らしかった。  グレゴリオ聖歌独特のゆれるような音律を細い糸が宙を舞うように一点の曇りも無く演奏していました。  何であんなに息の有った演奏が出来るのでしょうか。 アルトからソプラノまで全員の声が本当に一つになって聞こえてきます。  水嶋先生といつ練習したのでしょうか?  
  ◆終わりに、会場の皆さんと ”Silent Night"を歌ってお開きとなりました。
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  ◆今回、思いがけず良い演奏に接することが出来ました。  ”長良高等学校コーラス部”にとっても、これまでの25回の演奏の中でももっとも印象深いもののひとつになったのではないでしょうか。
  ・実は、”長良高等学校コーラス部”は、2000年の秋の国民文化祭広島2000「合唱の祭典」に呼ばれ、呉市文化会館でこの曲を演奏したそうです。  この催しには、私も県の合唱連盟委嘱曲を歌いに行きましたが、残念ながらその時は耳にすることができませんでした。

(!斬捨て御免!、!問答無用!)

十手