北の佐川の"音曲捕り物帖"

連載 第八十回

『 木下牧子作曲 ”めばえ” 』


あなたは、混声合唱? 女声合唱? それとも男声合唱?
(2006.10.14up)


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  ◆今年度のコンクールも無事?終わり、マツダ合唱団はクリスマスコンサートや来年予定している第4回演奏会に向けた練習へエネルギーをシフトしている状況です。
  ・そんな中、次回コンサートの選曲のために、楽譜やCDを持ち寄って検討会を行うことになりました。  事前に借りて聴いたCD(実際はCD-R)のひとつが、木下牧子無伴奏作品集「祝福」(指揮 当間修一/大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団)です。
  ・指揮者の当間修一さんについては、最近知人からそのHPに”発声講座”があって参考になると教えてもらっていました。  ”ヴォーチェ・デ・フィンテ”を基本に据えた発声の考え方で、テナーである私個人的には非常に参考になる内容でした。  (そういえば、先週末にTV 放送が有った、NHK音楽コンクールの高校の部の審査員に当間さんの顔が有りました、初めて拝見しました。)
  ・このCDはそのサブタイトルの通り木下牧子作曲の無伴奏作品ばかりを集めたもので、大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団の演奏で、混声合唱、女声合唱、男声合唱のいろいろな曲が入っており、予想通りの柔らかく艶やかでスッキリとした演奏でした。  これが合唱の全てではないし、好き嫌いがあるかもしれませんが、ひとつのスタイルを完成させていると感じました。
  ・その中のひとつに、女声4部合唱曲”めばえ”というのがありました。   

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  めばえ (みずかみ かずよ 詩)   
    みごもる  ははのだいちは  そこぶかくたいどうをはじめた   
    いてついた  かたいつちのおもては  つかれきって  ねむったままだけれど・・・・   
    きびしいさむさからまもられて  ふくらみつづけた  ちいさないのちたち   
    おしあい  へしあい  ぐいぐいと  あふれるちからで  くらやみから  ひかりへむかって  のびあがってくる   
    つたわる  つたわる  ちからづよいこどう   
    ふるえる  ふるえる  ゆるみはじめたたいき   
    はるのめは  やがて  いっせいに  うるむ
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  ・私は、大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団のこの演奏を聴いて、いたく気に入ってしまいました。  めばえという詞の内容とマッチした清楚な演奏は無伴奏女声合唱ならではのものです。

  ◆ところが、同時に借りた、「(混声合唱のための)木下牧子アカペラ・コーラス・セレクション」という楽譜には、この曲の混声合唱版が載っていました。  この曲は詩の内容から見て女声合唱のものでしょう・・・、と思いながら混声合唱版の楽譜を眺めましたが、幸い、バスパートの最低音は”変ロ”止まりで極端に低い音は無く、おそらくすっきりした編曲なのでしょう。  さらに、インターネットで調べてみてびっくり。  無伴奏男声合唱版も有りました。
  ・皆さんは当然ご存知だったのかもしれませんが、実はこの曲、元々、平成9年度のNHK学校音楽コンクールの高校の部の課題曲として作曲された委嘱作品で、無伴奏混声四部合唱版・女声四部合唱版・男声四部合唱版が同時にリリースされたもののようです。  ということは、ひょっとして崇徳グリーもコンクールでこの曲を歌ったということですかね・・・。
  ・大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団演奏の女声4部合唱版”めばえ”を聴いた今、混声版および男声版の”めばえ”を聴いてみたいような、聴きたくないような、そんな気持ちです。
  ・(実は、男声合唱団で女声合唱曲を演奏するということに密かに興味を覚えています。)

  ◆といったことで、Midiで女声合唱の繊細さを表現してみました。  手元にある楽譜は混声版のみなのでインターネットで探ってみると、混声版と男声版のmidi演奏がありました。  混声版と男声版とでは、かなり違いが有るようです。  男声版のmidiファイルを無理やりコピーし、オクターブ上げて女声合唱のつもりでチューニングしてみました。  なかなか、透明で緻密な響きを表現するのは難しいものです。  BGMのコーナーに入れております。  御笑納下さい。

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  ◆以前にも同じような事を書いたことがあるかもしれませんが、最後に私の合唱に対するスタンスの一端を一言。

   ●男声合唱・・・歌うもの。
   ・男声合唱を歌うのは限りなく楽しく気持ち良いです。  特にトップテナーは心地よい疲労感と共にストレス発散にぴったり。  歌った後の一杯も最高!  ただし、他人が男声合唱を熱唱しているのを見るとしらけてきます。
   ●混声合唱・・・聴くもの。
   ・女声と男声がバランスして、華やかさと迫力が共存した表現力の大きさは随一で安心して聴けます。  ただし、内声のテナーを歌っていると欲求不満に・・・。  特に大人数の中で歌うと、埋没感を感じてしまいます。
   ●女声合唱・・・見るもの。
   ・もちろん男である私に参加する資格はありません。(最近はそうとも言えない合唱団も多々有りますが)  聴くのも、どうも眠たくなるか耳を覆いたくなるかのどちらかで・・・。  ただし、女声合唱団を眺めるのは好きです。(除く、ママさんコーラス)

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(!斬捨て御免!、!問答無用!)

十手