北の佐川の"音曲捕り物帖"

NHKコンクール 連載 第八回
"NHK全国学校音楽コンクール
『高等学校の部』"

全国大会のTV生放送を聴きました
(2003.10.19up)

・前書き
10月13日(月)、NHK全国学校音楽コンクール『高等学校の部』(全国大会生放送)をNHK教育TVで見ました(聴きました)。最初20分ほど聞き逃したので3校目の途中からです。  
課題曲は現役女子高校生の詩に三枝成彰が曲を付けた、『あしたはどこから』。全体の流れを保つのが難しそうで、最後の”あさのひかり〜”のリフレイン部分も大変そうな曲です。

さすが全国大会、どの高校も大変上手でした。 声が前に出ているし、とにかく皆の表情が良かったのが印象に残りました。  
小中学生の演奏は(今年の演奏は見ていませんが)、先生に言われて(明るく響きを出すために)無理やり笑顔を作って頬がこわばってしまい、TVで見る度に何か思想統制されているような痛々しいような印象を受けるます。  
しかし、高校にもなると、さすがに表情も自然になり、心底歌うことを楽しんでいるように見受けられ、若者のはつらつとした感性がにじみ出てくるようで好感が持てました。高校の混声合唱の場合、男子生徒の中に一部無表情であったり、逆に見ているほうが赤面したくなるほど思い入れたっぷりに歌う輩(やから)が居たりして、声そのものも女声に比べると粗野で幼稚な場合が多く見受けられますが、今回、特に、松江北高校などは、男子生徒の歌う表情が非常に自然で、声も女声とよく混ざり合い、演奏にもその良さが良く表れていたような気がします。

我々も、もっともっと音楽を伝えるために、鏡の前で自然な表情づくりに励まなくてはいけないと反省しました。

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・本文
結果、どの高校もそれなりに個性があって楽しませてもらいましたが、金賞になった宮崎学園高校?の女声合唱(今年から男女共学になり、制服も新旧混在していたが、合唱は女声合唱でした)が最高でした。
何が良かったかというと、課題曲の持つ若者のさわやかな感情がごく自然に表現されていて、音楽そのものに感銘したからです。

コンクールですからどうしても技術面での比較になりがちですが、ここの演奏は、技術の高さや声の良さを感じさせない、まさに一枚上を行く演奏という感じでした。同声合唱だけに響きに統一感がありました。
混声合唱よりも同声合唱、ピアノ伴奏付よりも無伴奏、フルオーケストラよりも弦楽合奏を好む私としては、これしかないという演奏でした。
松江北高も混声として非常に良いと思いましたが、入賞出来ずに残念でした。中国大会では、同じホテルに宿泊し挨拶を交わしただけに親近感がありました。

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・おまけ1
今回は錦織健がゲストとして登場し、審査の間、司会者と共に過去の課題曲について色々解説していました。その途中で、ある高校合唱団のOB&OGが集まって作った合唱団というのが登場して過去の課題曲を披露しました。
(私は知りませんが、)上手な合唱団で、少人数でよく歌っていました。・・・が、直前の高校生の演奏を聞いた後では、経験を重ねてさらに上手くなったというよりも、歳を取るとこうなってしまうのか!という落差が目立ちました。 現役高校生のはつらつとした純粋さを際立たせるだけでした。特に歳とともに声が痩せて、しかもヴィブラートのかかったソプラノの声はいただけません。合唱にヴィブラートは要らない。
・おまけ2
毎年のことなのでしょうが、課題曲は混声、女声が同じ曲を演奏していました。残念ながら男声合唱団がいませんでしたが、これ、男声合唱版もあるのでしょうね。この課題曲を男声合唱で歌ったらどうなるのでしょう?聴いてみたい様な、聴かないほうが幸せなような・・・。
・おまけ3
NHKの小中高生の合唱コンクールは、正式名称はNHK全国学校音楽コンクールと言うのですね。知りませんでした。なぜ合唱コンクールではないのでしょうか?そういえば、初期のころは合唱ではなくて斉唱であったと言っていましたね。

(!斬捨て御免!、!問答無用!)

十手