北の佐川の"音曲捕り物帖"

leaflet 連載 第七十六回

『 ”レクイエム 「碑」”・・・暑い日の熱いコンサート 』


原爆の日の8月6日に行われた広島県立広島観音高等学校音楽部OB合唱団 第5回祈念コンサートに出演しました。
(2006.08.07up)


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広島県立広島観音高等学校音楽部OB合唱団 第5回祈念コンサート
レクイエム 「碑」
 2006年8月6日 13:30開演
 広島県民文化センターホール
 指揮:益田 遙
  プログラム
   T.千万の、広島二中校歌、観音高校校歌、アヴェヴェルムコルプス、ラクリモザ(レクイエムより)、浜辺の歌、椰子の実、埴生の宿、小さな空、夢みたものは
   U.組曲「碑のねがい」 〜混声合唱とピアノのために〜 詩:半田亨雄 曲:蒔田尚昊 「委嘱作品」
    (1.きみが見た夢 2.うたってください 3.相生橋 4.こもりうた 5.八月の空)
   V.混声合唱のためのレクイエム「碑」 詩:薄田純一郎 曲:森脇憲三
    (1.序章 2.点呼 3.爆発 4.川の中で 5.時間割 6.まさちゃん お母さんよ 7.船の中で 8.全滅 9.終章)   

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  ◆私がこの演奏会に参加するは これで4回目です。
  ・この日はちょうど原爆の日に当たるため、朝8時から平和公園内本川沿いの旧制広島二中の慰霊碑で行われた慰霊祭にみんなで参加しました。  雲ひとつ無い真っ青な空のとても暑い朝でした。  在校生たちと一緒に校歌を歌ってから演奏会場の県民文化センターへ移動しました。

  ◆午前中の練習・リハーサルを終えて、午後1時半に開演。  客席は9割弱の入りで、旧広島二中遺族会の方をはじめ年配の方が大勢聴きに来てくださいました。
  ・毎年広島二中の慰霊祭で歌っているという仏教聖歌「千万の」で始めて、第1ステージは、ラクリモザ(モーツァルトのレクイエムより)、小さな空、夢みたものは、等 慰霊の日にふさわしい曲を歌いました。  服装も、例年のような前半のカラフルな衣装は着ず、全ステージ黒白のみで通しました。
  ・第2ステージは、観音高校OBの作曲家蒔田尚昊氏に委嘱して完成した、団員の半田亨雄氏の詩による組曲「碑のねがい」の全曲初演です。  昨年までの3曲に新たに2曲(第1曲「きみが見た夢」、第4曲「こもりうた」)を加えて全5曲の組曲として完成したものです。  「きみが見た夢」に始まり、限りなく静かで美しい「こもりうた」を経て終曲「八月の空」に続くところが絶品です。
  ・10分の休憩を挟んだ後の第3ステージは、レクイエム「碑」全9曲の演奏。  この組曲は、観音高校の前身である広島二中の1年生343名が建物疎開の作業中に原爆投下で犠牲となったことをモチーフとしたレクイエムで、祈念コンサートで毎年歌い継いでいる曲です。

  ◆この祈念コンサートは、毎年8月の原爆の日の前後に、観音高校音楽部のOB合唱団が母校の先輩達の死をテーマとした”レクイエム 「碑」”を歌うという、ある意味特殊な演奏会です。  したがって、歌う方はそれなりの覚悟をもって臨みますし、聴きに来られた方も結果としてかなり強い印象をうけられたことと思います。
  ・今回は、ちょうど原爆の日の8月6日の演奏会であるため、何時もに増して熱のこもった演奏になったような気がします。
  ・合唱団員は、観音高校音楽部のOB・OGの他、その家族や私のような音楽部所属でなかった関係者を含めて総勢約50名。  その内の十数名は東京や関西に在住の遠方団員で、演奏会の前日に1年ぶりに一緒に歌う方も何人かいらっしゃいました。  しかし、本番までほとんど一緒に練習する機会の無かった遠方団員の方とも自然と呼吸が合い一体になれる不思議な体験です。
  ・祈念コンサートとして指揮者、演奏者の平和への思いが一致することにより、すごいエネルギーが演奏の中に込められ熱い力となって聴き手に伝わってゆくのを、自分自身歌いながら感じました。  この演奏会に限らず、曲に対する演奏者の思いの深さの重要性を改めて実感する演奏会でした。
  ・お客様に聴いていただく立場の演奏者として冷静さを失ってはいけないと思いつつ、「碑のねがい」の”八月の空”や、レクイエム「碑」を歌う時には、皆、今朝の慰霊祭の暑さと青い空の輝きを思い出し、こみ上げてくる思いを抑えることが出来なくなってしまいました。  結果、途中歌えなくなる人が多数いました。  しかし、その思いはお客様にしっかり伝わったものと確信しています。
  ・聴きにきてくださった皆様、本当に有難うございました。

  ◆打ち上げは、委嘱曲作曲の蒔田先生や、裏方をお願いした方などを含め多くの人の参加を得て、和やかな雰囲気で行われました。
  ・年間を通じて指導・指揮してくださった益田先生や、この演奏会のために遠くから参加した遠方団員の皆さんをはじめ、打ち上げ参加者五十数名全員のスピーチがありました。  私など未だに顔と名前が一致しない方が沢山いらっしゃいますが、この演奏会に懸ける思いは皆同じで、そのどれもが、熱く心のこもったものでした。  そしてその言葉は、次回の祈念コンサートの決起集会を意味するものでもあったような気がします。

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  ◆なお、観音高校音楽部OB合唱団は、呉市のある中学校から依頼を受け、9月下旬にその学校の音楽鑑賞会でレクイエム「碑」を演奏することになっています。  実は、私自身は他の行事と重なってこの演奏会に出られるかどうか微妙なところですが、今回の祈念コンサートと同じく、原爆の悲惨さ、平和の尊さを熱い気持ちで生徒さん達に伝えられる事を願っています。

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(!斬捨て御免!、!問答無用!)

十手