北の佐川の"音曲捕り物帖"

leaflet 連載 第七十回

『 合唱団ある第20回定期演奏会 』


”ある”の凄い演奏を聴きに行きました。
(2006.06.18up)

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   合唱団ある第20回定期演奏会

 日時:2006年6月17日(土) 開演18:30
 会場:アステールプラザ 大ホール(広島市中区)
 プログラム:
   1.When David heard (作曲:ウィテカー)
   2.合唱のためのコンポジション 第16番 (作詩:木島 始〔第2楽章〕、作曲:間宮芳生)
   3.唱歌の四季 (編曲:三善 晃)
   4.3群の混声合唱とピアノのための あなた (作詩:谷川俊太郎 作曲:三善 晃)

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  第20回の定期演奏会をアステールプラザへ聴きに行きました。
開演10分ほど前に着くと、大ホールは既にほぼ満員、しかも若い人が多いのには驚きました。
パンフレットを開くと、アンケート用紙のほか、演奏会のチラシが合計14枚挟み込まれていました。  中には来年1月のの演奏会のチラシまでありました  大相撲の懸賞本数では有りませんが、この合唱団の実力と人気を物語っているような気がしました。

  1ステ:
パンフレットの解説によると、ここ2年ほど日本で演奏されるようになった米国の若い作曲家の作品。
15分を超える無伴奏の大曲でしたが、端正な指揮に導かれ、最後まで緊張感の持続した芸術性の高い演奏だったと思います。
途中で中だるみしないのは、さすが”ある”です。

  2ステ:
恐れていた通りの、私のような凡人にはまったく理解の出来ないステージでした。
分かりやすく言えば、前衛的な抽象画を前にして、何がなにやら全く理解できず、コメントのしようが無い状態でした。  曲も演奏も、”凄い”というのは良く分かりましたが、”素晴らしい”かどうかは私には分かりません。
また、今回20回目の節目の定期演奏会にこの曲を演奏して、何が伝えたかったのか分かりません。

  3ステ:
15分の休憩を挟んだ後の、三善晃編曲のおなじみの組曲。
一糸乱れぬユニゾン、高音域でも決して叫ぶことの無い余裕のハーモニー。
実は結構難しい曲のはずですが、それを全く感じさせることの無い演奏で、あまりにも簡単そうに歌うので、かえって面白味がありませんでした。  ”ある”さんには、それなりに歌い応えのある曲でないと似合わないということでしょうか。

  4ステ:
同じく三善晃作曲の3群の混声合唱とピアノのための曲。
混声合唱を左右と中央の3群に分けて配置。  表面的に分かりやすい詩の内容のせいもあってか、明瞭な日本語で表現される味わいのある演奏でした。  私には、このステージが一番良かったかな。

  アンコール:
最後に、20回記念ということで一部OB&OGを交えてのアンコールが3曲ありました。

総勢七十余名、オケピットを迫り上げてそこに山台を組み、かなり前に並んでの演奏でした。  全てのステージで衣装を替え、出入りにも趣向を凝らしたりして、意欲的な演奏会だったと思います。
少し気になったのが、演奏後の団員の表情です。  1、2ステは、まだ次があるから表情を崩せないのかなと思っていましたが、メインの4ステの演奏が終了して指揮者がタクトを下ろして弛緩しても、団員の方は全くといっていいほど表情を変えません。  アンコールの時も、指揮者は1曲終わるごとに、にこやかな表情に変わるのに、団員は黙って正面を向いて立っているだけという印象を受けました。  何故でしょうね?  
 
以上、”ある”の凄い演奏会でした。  

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  実は、今まで”ある”の定期演奏会を聴きにいった事はありませんでした。  どうも、難しい曲ばかり演奏するという印象があり、なかなか足が向きませんでした。
  今回、招待状が手に入り、初めて聴きに行きましたが、やはり、その凄さに感心はしたけれど、感動はしませんでした。
  この合唱団の持つ技術と芸術の高みに全くついて行ってない私は、この演奏会を聴きに行く資格が無いのかな?  また、団員の中に、他の演奏会で一緒に歌った事のある方が何人かいらっしゃいますが、その人たちが遠く感じるな!  ・・・などと思いながら、一人夜道を自宅に向けて自転車を走らせる私、北の佐川でありました。

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(!斬捨て御免!、!問答無用!)

十手