連載 第六十一回
『 ”初心のうた”解説 』 3/8(水)、法政大学アカデミー合唱団とマツダ合唱団のジョイントコンサートを行います。この演奏会でマツダ合唱団が演奏する曲のパンフレット用の解説文を掲載します。 (2006.03.02up) |
(1)演奏会の紹介
法政大学アカデミー合唱団・マツダ合唱団 ”ジョイントコンサート”
(法政大学アカデミー合唱団 中国地方演奏旅行広島公演)
日時 : 2006年3月8日(水) 18:30開演
場所 : 廿日市文化ホール ”さくらぴあ 大ホール”
入場料 : 1000円(全席自由席)
プログラム :
第1ステージ 法政大学アカデミー合唱団
混声合唱組曲「柳河風俗詩」(北原白秋詩 多田武彦曲)
第2ステージ マツダ合唱団
混声合唱とピアノのための「初心のうた」(木島始詩 信長貴富曲)
第3ステージ 法政大学アカデミー合唱団
混声合唱とピアノのための「祈りの虹」(峠三吉詩 新見徳英曲)
第4ステージ 法政大学アカデミー合唱団・マツダ合唱団 合同ステージ
混声合唱組曲「IN TERRA PAX〜地に平和を〜」(鶴見正夫詩 荻久保和明曲)
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(2)「初心のうた」解説
初心のうた
混声合唱とピアノのための
木島始 詩
信長貴富 作曲
T.初心のうた
U.自由さのため
V.とむらいのあとは
W.でなおすうた
X.泉のうた
社会に対する鋭い視点によって今も色あせることのない木島始の詩に、合唱界で話題の新進作曲家、信長貴富が曲を付けた作品。 木島の詩は、さまざまな社会矛盾に対して冷静に真実を見つめ自ら未来を切り開いて行こうとする若者を応援し続ける。 信長の曲は、木島の詩の持つきびしい内面を、ストレートな若々しさと美しさを兼ね備えたメロディーで絶妙に包みこんでいる。
月刊雑誌『教育音楽』2001年8月号用の中学生向け付録楽譜の依頼を受けた信長が、木島の詩に作曲したのが、第1曲「初心のうた」である。 その後、東京で活動する混声合唱団エオリアン・コールから委嘱を受けて、改めて木島の「社会」をとらえた詩を生かすべく5曲からなる曲集として作曲し、同合唱団によって2002年6月に初演された。
木島始(きじま・はじめ、1928年-2004年)は京都出身で、東京大学英文科卒業の詩人、英米文学者、元法政大教授。 社会批判を含んだ鋭い視点を持ち、特に戦後詩運動で活躍した。 一方で児童文学や絵本も手がけ、米黒人文学やジャズに対する造詣も深い。
信長貴富(のぶなが ・たかとみ、1971年 - )は上智大学文学部卒業で、現在最も人気のある若手作曲家のひとり。 最初は別に職業を持つ、いわゆる日曜作曲家であったが、合唱コンクール課題曲の公募作品に入選を繰り返すなどして実力を上げ、現在は作曲に専念。 自身がベースを歌うためか、ベースパートの音付けに特徴があり、歌い手にも面白いハーモニーを有する。
・第1曲「初心のうた」:英文タイトルは、”SONG FOR A FRESH START”。 純粋に冷静に自分と周りを見つめて未来をつきとめようとする、そんな若者の力強い歩みが聴こえてくる曲。
・第2曲「自由さのため」:”酔いつぶされるな、泳ぎきる訓練で…”。 訓練で満足してはいけない。 泳ぎきること自体も目的ではないはずだ。 君には泳ぎきらなければならない訳がある。 それを見失ってはいけない。
・第3曲「とむらいのあとは」:”銃より ひとを しびれさす ひきがね ひけなくなる 歌…”。 歌は銃を打ち負かすためのものではない。 皆が銃を置き手を繋ぎ合ってひとつになるために歌おう。
・第4曲「でなおすうた」:”野戦の地から、被爆の地から、疎開の地から帰還した はずだった…”。 果たして、立ち返ったここは平和の地ではなかったのか!
・第5曲「泉のうた」:”踊れる ひろい 道”とは、争いのない平和な世界のこと。 その平和の地に向かう道を切り開いて行くのは自分たちだ、という若者の決意を歌う。
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(3)ひとこと
この演奏会でマツダ合唱団は”混声合唱とピアノのための「初心のうた」”を演奏します。パンフレットに載せる解説文を掲載しました。
ご存知のように、この曲集の第3曲、”とむらいのあとは”は、本年度合唱連盟コンクール課題曲のひとつになっています。
合同演奏では「IN TERRA PAX〜地に平和を〜」も歌います。
直前の紹介では有りますが、時間の取れる方はぜひ聴きにいらして下さい。
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(!斬捨て御免!、!問答無用!)