北の佐川の"音曲捕り物帖"

leaflet 連載 第五十二回

『 日野原重明・小澤征爾 世界へおくる平和のメッセージ 』


待っていました小澤征爾のフォーレ・レクイエム。連載第三十四回で予告したこの秋の広島合唱界の一大イベント、聴きに行きました。
(2005.10.23up)

********************************************************************************

  ・10/21(金)広島県立総合体育館(グリーンアリーナ)にて18:30待望の開演となりました。  私は開演30分前位に会場に着きましたが、8000人の聴衆(翌日の中国新聞の記事による)でごった返していました。
  ・どこにステージを配置するのかと思っていましたが、楕円形のアリーナを横長に見て向こう正面にステージを置き、後ろの2階スタンドに向かって合唱団席を伸ばして有りました。  反対側の2階スタンドには来賓の秋篠宮夫妻が着席されました。
  ・私の席は、ステージから向かって上手側45度くらいの2階スタンドJ17列34番、右回りの競馬場で第4コーナーを回って最後の直線に入るあたりです。  紀子様を真横に見ながら、斜め上からステージ全体を見渡せるなかなか良い席でした。  今回、関係者の出入りが上手側からで、出番を待つ小澤征爾の姿が見えたりして面白かったです。  合唱団メンバーには知った方が沢山参加されており、双眼鏡を手にじっくりと観察させていただきました。
leaflet   ・『音楽や詩で生命の尊さを未来へ伝える被爆六十年記念イベント』ということで、聖路加国際病院理事長 日野原重明氏の創作詩朗読から始まり、ノーベル平和賞受賞運フォロー博士によるメッセージ、吉永小百合さんの原爆詩朗読、小澤征爾氏指揮によるフォーレ作曲「レクイエム」演奏、最後に広島インターナショナルスクールの子供たちを加えたフィナーレで「ひろしま平和の歌」を会場の皆で歌って終了しました。
  ・左の写真はその最後の「ひろしま平和の歌」を会場の皆で歌っているところで、Yahoo Japan のニュースに出ていた共同通信の記事の写真を拝借しました。あしからず。小澤征爾の手前が94歳の日野原重明氏。


  ・一番印象に残ったのは日野原さんの「平和の日を子どもたちが」と題した創作詩の朗読でした。平和に向けた純粋な訴えを強く感じました。
  ・音曲捕物帳の本題、フォーレのレクイエムはどうであったか・・・。  私の印象は、このイベントの趣旨に則った良い演奏であったと思います。  平和の祈りの場で行われたこの演奏の上手下手を論じることは意味が無いのでその点については発言を差し控えますが、私の席には生演奏のごく自然な響きが伝わってきました。  唯一オルガンだけは、本物のパイプオルガンを持ち込むわけには行かないので明らかに電気的な拡声装置が組み込まれておりところどころ響きに違和感がありました。

  ・400人を超える合唱団員は、広島のほか東京その他からの参加メンバーを加えて440人となった模様です。4つのグループからなっており、おそらく前日初顔合わせしたものと思われます。 広島分は3月のオーディションによる一般公募でしたが応募者多数につき採用枠を広げて250人が榊原哲先生の合唱指導で20回くらいの練習を重ねてきたと聞いています。
  ・PAが入っていたのかどうかは分かりませんが、まともな反響板も無い体育館でオーケストラの後ろに前後20段にも広がって立ち、遠くの指揮を見て歌うのは非常に難しかったでしょう。このメンバーでの、この人数での、この会場での、この配置での、演奏としては最上の出来であったのではないでしょうか。小澤征爾も総合的に判断して曲作りをしたのだと思います。 ・小澤征爾は指揮棒を持たずに指揮をすると聞いておりましたが、果たしてその通り、両手のひらを巧みに使っていつもの少し背を丸めた姿勢で指揮をしていました。 楽譜を置かずに暗譜で指揮していましたが、何故か指揮者用の譜面台が意味も無く置いてあったのが不思議です。

  ・中央に天吊りの大型スクリーンがあり、レクイエムの演奏中は、その様子を映し出していましたが、その前後は(意味不明な)アニメーションを流しており、日野原さんや吉永さんの詩の朗読の場面は一切放映していませんでした。なぜでしょう?
  ・後で聞いた話では、アリーナ席の第2コーナー及び第3コーナーの客席の人は、ステージの真横になるため日野原さんや吉永さんが詩を朗読するところはまったく見えず(マイクを通しているので声は聞こえますが)、逆に、フォーレのレクイエム演奏は中央の天吊りスクリーンを通してその様子を見ることは出来たけれど肝心の音があまり聴こえなかったそうです。

  ・「世界へおくる平和のメッセージ」は、後日NHKで放送されるそうなので、聴きに行けなかった人はそこで確認してください。生の演奏と、TV放送とでどのようにサウンドが違っているかも興味があります。パンフレットに記載されていた放映予定を下記に示します。
・NHK 衛星第2:11/3(木)15:00〜16:40
・NHK デジタル衛星ハイビジョン:11/10(木)20:00〜21:40
・NHK 総合(中国5県):11/12(土)19:30〜20:44
・NHK その他に総合(全国放送)にてドキュメンタリー番組の放送を予定(年末)   

********************************************************************************

(!斬捨て御免!、!問答無用!)

十手