北の佐川の"音曲捕り物帖"

leaflet 連載 第四十四回
『原爆死没者のためのREQUIEM:FAURE(エリザベト音楽大学同窓会)』

(2005.08.06up)

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・『 原爆死没者のためのREQUIEM:FAURE 』
会場:エリザベト音楽大学セシリアホール
日時:7月31日(日)16:00開演
演奏曲目:
ラシーヌ賛歌・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フォーレ
レクイエム (全曲・オーケストラ付)・・・・・フォーレ
指揮:榊原 哲 (エリザベト音楽大学非常勤講師)
オーケストラ:エリザベト音楽大学同窓生
ソリスト:ソプラノ.杉浦由美子、バリトン.小島克正、オルガン.日山かおる
混声合唱:エリザベト音楽大学同窓生
主催:エリザベト音楽大学同窓会
入場料:無料

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   連載 第四十二回の最後の部分で紹介した標記演奏会にエキストラとして参加しました。
今年、広島でフォーレのレクイエムと言えば、秋に行われる小澤征爾指揮の演奏会がもっぱらの評判です。
一方、こちらのフォーレクは、エリザベト音楽大学同窓会の主催で、幟町教会で昨年行われ演奏会に引き続き今年も開催されるものです。
   同校の同窓生ではない私ですが、例によって男声不足。「出来ればぜひ」とのお誘いがあり、6/12(日)から練習に参加しました。 男声が少ないとは思っていましたが、入ってびっくり、女声数十名に対して男声数名。しかもソプラノとアルトの間に挟まれたど真ん中に座らされています。一瞬このまま帰ろうかと思いました。

   それはさておき、指揮者は(私は知りませんでしたが)あの小澤征爾のレクイエムの合唱練習を指導されている榊原 哲先生です。 小澤征爾のレクイエムの合唱指導で、非常に評判がよろしいとうかがっておりますが、期待通りのすばらしい指導ぶりでした。
練習では、フォーレの持つ独特な繊細さを引き出すべく、発声法からラテン語&フランス語の発音まで含めて各パートをじっくりと指導してくださいました。 妥協はありません。女声の1/10の人数の男声に対しても限りなくppを要求されます。 特に第1曲目冒頭のくだりなど、聞こえすぎると指摘されます。非常に中身の濃い緊張感のある練習でした。参加してよかったです。

   さて、本番でも男声が中央に位置し、さらに私はその真ん中でしたので、前後のオケとパイプオルガン、左右の合唱に挟まれた絶好のポジションで、周りの響きを心地よく聴きながら気持ちよく歌うことが出来ました。
   …が、実は例の男声不足ということで、直前のゲネプロの時からさらに男声が集められ急に3倍位に増えました。 本番当日だけの参加者もいらっしゃいましたが、そこはさすがに専門家、またはそれに準ずる実力者が集められたわけですから、1〜2回の合わせだけで十分なのでしょう。
   しかしながら、さすがにそれまでの練習で積み上げてきた細やかなフレージングやラシーヌのフランス語の微妙なニュアンスまでは再現しきれません。 というか、腕に自信のあるソリストの集まりみたいなもので、皆さん歌う歌う!
   ということで、それまでの練習とは異なった、かなりダイナミックなフォーレのレクイエムとなってしまいました。 私も(一人ppで歌うのが馬鹿らしくなり…、もとえ、)ついつい周りにつられてfで歌ってしまいました。

客席からどのように聴こえたかは判りませんが、もっともっと繊細な音楽になるはずでした。 このホールの響きの良さを生かして、ppの効いた澄んだ音楽が表現できるものと期待していました。 あの練習のときに要求された、それこそ針の穴に糸を通すような響きの集中とppは何だったのでしょうか?
これで良かったのかなあ?、榊原先生これで満足していらっしゃるのかなあ?、これで戦没死没者のための祈りになったのかなあ?、などなど考えながら帰途に就く私でありました。

   榊原先生が指揮をされるということで、10/21の小澤征爾のレクイエムで歌われる方も多く聴きにこられていたようですが、私もそのチケットをゲットしています。 10/21の演奏がどのようになるか楽しみです。

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(!斬捨て御免!、!問答無用!)

十手