北の佐川の"音曲捕り物帖"

連載 第参回 (2003.07.29up)
おかあさんカンタート??

7/26/27の二日間、広島のアステールプラザで”第17回おかあさんカンタートin広島”というイベントが開催されました。
この催し物は、北は北海道から南は九州まで、約700人ものおかあさんコーラス関係者が集まって、著名な指導者の下で、コーラスクリニックとセミナーを受講するというものです。
初日の午後、故あって私も少しだけセミナー補助員役でお手伝いするチャンスを得て参加しました。

しかも、あの有名な”松下耕先生”のセミナーを会場内で聞くことが出来ました。
私の所属する”マツダ合唱団”が、今年参加する合唱コンクールの自由曲に松下耕作曲の作品を選んでいるため、参考になる点がいくつか有りました。
それについては、別途合唱団のほうへフィードバックしていきます。
まあ、”マツダ合唱団”の指導者である”門野先生”が、この”松下耕先生”のセミナーの司会者でしたから、私のようなものがあれこれでしゃばる必要は無いかもしれませんが・・・。

閑話休題。
元々、私が歌(合唱)を始めるにあたって、混声合唱と男声合唱の選択肢がある中、迷わず男声合唱の方に身を投じた人間ですから、女性は苦手で、女声合唱に関しても、当然歌えるわけも無ければ聴く気も無い・・・、というのが本音でした。
私の持つ女性コーラスのイメージは、児童合唱団の延長のような幼い声か、逆に演歌歌手の集まりのようなドスとヴィブラートの効いた声のどちらかで、じっくり聴こうという気にはなれませんでした。

しかし、ここ最近、女声合唱に対して認識を新たにしております。
6月の初旬、我々の指導者である”門野先生”が以前から指導していらっしゃる”聖母コーラス”の定期演奏会に賛助出演し、女性コーラスをじっくり聴くことが出来ました。
門野先生の誠実さと調和したかのように、この合唱団のコーラスは、本当に心のこもった純粋なものでした。特に邦人作品を(もちろん日本語で)歌うときには、歌い手の”女性の”優しさがごく自然にそのハーモニーの中に織り込まれた感じで、本当に暖かい気持ちに包みこまれました。
技術的なことを超越した女性コーラスならではのすばらしさでした。そしてその時、この響きに男性の声が被さってはいけないと感じました。男性の声が混ざると女性コーラスの純粋さが失われる。混声合唱は”濁っている!”と思わざるを得ませんでした・・・ 。

そして今回、”おかあさんカンタート”を聴講した訳です。前日のスタッフ事前打ち合わせで助言を受けたとおり、おかあさんコーラスの参加者はわがままで物怖じせず、”楽譜が無くなった”、”トイレはどこか”など、補助役の私に言い放題でした。
しかしながら、松下耕先生は手馴れたもので、というか、巧みな話術で、おかあさん達をたっぷり笑わせながら240名もの参加者の集中力を維持する努力をしていらっしゃるように見受けられました。
が、この寄せ集めの合唱団、一旦おしゃべりを止め、歌い始めると、さすがにやる気で集まった精鋭ぞろいらしく、清らかな”おかあさん”らしい女声合唱を聞かせてくれました。200人以上のメンバーが始めて集まってここまで歌えるとは御見それしました。そして、先の聖母コーラスの時と同じく、心のこもった優しい歌声に満ち溢れていました。ある意味、私が男声合唱を好むのと同じような、純粋さ・清らかさを感じました。

皆さん、女声コーラスをじっくりお聴きあれ。

P.S.
『閑話休題(かんわきゅうだい)』:話を本筋に戻すとき、または本題に入るときに用いる言葉。『閑話=無駄話』をしてる間に『休題=本題をおろそかにしていた』ということでしょうか。

(!斬捨て御免!、!問答無用!)

十手