連載 第154回
アンサンブルひなた ” First Concert ”

 〜 広島を中心に活躍されているエリザベト音楽大学出身の”若手”声楽家4名によるアカペラヴォーカルアンサンブルの演奏会を聴きに行きました 〜
                       (2010.10.23 up)    
leaflet
   
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    アンサンブルひなた ”First Concert”   
     日時:10月22日(金)開演19:00 開場18:30   
     場所:聖ラファエル教会(広島市南区段原4-2-3)   
     チケット:1000円(当日1500円)   
     メンバー:昆野智佳子(S) 中川詩歩(A) 田尻健(T) 今田陽次)B)   
     ゲスト:上垣内寿光(ギター)   
    プログラム   
     1ステ グレゴリオ聖歌に基づくモテット   
      ・Ubi caritas/J.G.シュテファンス、Hodie christus natus est/N.ラクール  他   
     2ステ J.ダウランド作品・ギターと歌   
      ・流れよ、わが涙、戻っておいで、甘い愛  他   
     3ステ アジアの歌   
      ・あんたがたどこさ/熊本県民謡、アリラン/韓国民謡、Dravidian Dithyramb/北インド舞踏音楽  他    
     
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   ◆”アンサンブルひなた”の演奏会を聞きに行きました。広島を中心に活躍されているエリザベト音楽大学出身の”若手”声楽家4名によるアカペラヴォーカルアンサンブルです。   
   【 アンサンブルひなたHP:http://hinata_utaneko.monotukuru.com/ 】   
   ・私も素人ながらヴォーカルアンサンブルをたしなんでおり、その参考にという思いも有り、楽しみに聴きに行きました。   
   ・演奏会場は、広島市南区段原にある聖ラファエル教会の礼拝堂。 3年ほど前に、橋本勇夫さんのギターのコンサートを聴きに行ったことのある場所で、門野光伸先生がバリトンソロでゲスト出演されました。そのときの印象は、ギターは綺麗に響くのですが、バリトンの声の方は響きが濁る印象でした。   
   ◆1ステは”グレゴリオ聖歌に基づくモテット”。グレゴリオ聖歌のよく知った旋律が男声、女声のユニゾンから始まりアンサンブルが心地よく展開して行きます。   
   ・といいながら、やはり第1ステージの出だしというのは調子が出るまでに少々時間が掛かる様でした。   
   ・それと、懸念していた通り、低音の響き(男声の声)に濁りが混ざって聞こえるような印象を受けました。天井の高い綺麗な礼拝堂で中高音はよく響くのですが、壁や柱は石造りでなく張りぼてのため低い音はビビリが出るのでしょうか?今一歩スッキリとしませんでした。   
   ・それはさておき、さすが皆さん専門家でそれぞれが自信に満ちてしっかりと演奏されるため、安心して音楽を楽しむことが出来ました。(他人事では有りませんが、聴いている方がハラハラするようなアンサンブルの演奏が時々有りますよね。)   
   ◆2ステはゲストにギタリストの上垣内寿光さんを加えてのJ.ダウランドの作品でした。   
   ・ダウランドの曲自体は暗いイメージのものが多いという解説がありましたが、上垣内さんのギター演奏は非常にノリが良く、そのギターの音色がアンサンブルひなたの若くて明るい声質によくマッチして心地よかったです。   
   ・この方、サウスポーなんですね。演奏中はまったく気がつきませんでしたが、後で他の方から言われて、そう言えばギターを逆に構えていたなと気付きました。   
   ◆10分間の休憩を挟んで3ステは”アジアの歌”。   
   ・ひょうきんな”あんたがたどこさ”で始まって、しっとりとした曲を挟みながら、最後はタンバリンを加えた楽しいインドの舞踊音楽での締めくくりでした。   
   ・エンターテインメントとして、ここまで出来るというのは凄いと思いましたが、ちょっとわざとらしさが感じられました。   
   ・最後も、鳴り物入りで派手に終わるよりも、せっかくの上質なアンサンブルをじっくりと聴きながら終わりたかったと(個人的には)思いました。   
   ◆総括   
   (1)ビブラートの無い統制のとれた、若々しくも落ち着きのある歌声が素晴らしかったです。   
   (2)各パートのバランスもよく考慮されていて、1ステでは内声のアルト&テナーが爪を隠した鷹のごとく控えめな音量で全体のバランスをとる辺りはさすがでした。 もちろん、ソロ部分ではその素晴らしい実力をしっかりと堪能させてもらいました。   
   (3)指揮なしで曲の縦の線が綺麗に揃うのも、”さすがプロだなあ”、と感心しました。 まあ、それがアンサンブルの醍醐味でしょうが、これがなかなか難しいといつも感じています。    
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   ◆・・・と、褒めただけで終わったのでは、音曲捕り物帖を御覧の諸兄は物足りないでしょうから、最後に一言。   
   (4)プログラムがお粗末でしたね。 シンプルなのは結構ですが、間延びしたレイアウトや何のヒネリもないフォント、白い紙では寂しいから色紙にしてみただけの黄色い用紙。 中を開くと横にずれて偏った文字列。  また、チラシ、チケット、プログラム、歌詞対訳表、これらの意匠デザインも全くバラバラでなんら統一感が有りませんでした。 演奏が素晴らしかっただけに、この落差は少々気になりました。 ここまで気配りできるようになれば本物だ!と思います。   
   

(!斬捨て御免!、!問答無用!)

十手