連載 第153回
広島県立 広島観音高等学校 音楽部OB合唱団
第9回祈念コンサート

 〜 今年も”レクイエム 碑(いしぶみ)”を歌いました 〜
                       (2010.08.09 up)    
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   ◆広島原爆の日を1週間後に控えた8月1日、恒例の観音高校音楽部OB合唱団によるレクイエム「碑」の演奏会が有り、私もメンバーとして歌いました。   
   ・今年で9回目の演奏会になりますが、私が参加するのは8回目です。 今回は地元の「広島テレビ放送(HTV)」の取材が入り、8月6日の原爆の日に全国放送やローカルニュースで、観音高校音楽部OB合唱団のレクイエム「碑」演奏の取り組みが紹介されました。 練習風景や指揮者の益田遙先生のインタービューを織り交ぜて演奏会当日の様子を放映していました。 あまり練習に参加しなかった私は、本番演奏の映像にもほとんど映りませんでした。   
   ◆今回のもうひとつの特徴は、観音高校の企画で、平和学習の一環として現役の1年生約300人にレクイエム「碑」の演奏を聴いてもらったことです。 演奏会当日の午前中、観音高校1年生をこのホールに登校させ、レクイエム「碑」の生みの親でもある山本定男氏の語りの後、我々の演奏を披露しました。   
   ・山本さんは観音高校(旧制二中)OBで、原爆投下時2年生で前日には同じ本川沿いで奉仕活動をしたという経験を持ち、レクイエム「碑」を委嘱し初演の指揮を勤められた方です。(初演は1970年広島メンネルコールによる男声合唱版でおこなわれた)   
   ・山本さんのお話は非常にインパクトの強いものであり、それを聴いたあとでの演奏は目が潤み鼻水が出るのを抑えるのに皆大変だったようですが、私は冷静に演奏しました。 聴き手の観音高校の1年生にどう受け止められたかは、今のところ良くわかりません。   
   ◆こうして、先に「碑」の演奏を行ったため、当日のステージリハがほとんどない状態で午後の本番に突入しました。   
   ・広島二中校歌、広島観音高等学校校歌、に続く第1ステージは全9曲、なぜかめずらしく全て日本人の作詞作曲による日本語の曲でした。   
   ・「ゴンドラの唄」(いのち短し 恋せよ乙女・・・)、「北の国から」(ああ〜・・・)、といったポピュラーな曲は一見受け狙いの選曲のように思えますが、それぞれ"林 光"、"松下 耕"の編曲で、シンプルだけれども非常に味わいのある曲に仕上げられており、歌っていても心地よかったです。   
   ・”YELL”、”手紙”、”海はなかった”、という新旧Nコン課題曲の演奏も、若い人達をターゲットにするとともに、歌い手にとってもかつての青春時代を思い起こさせる選曲でした。 高校の合唱クラブで同時代を過ごしたメンバーならではの演奏が出来たのではないでしょうか。(私は高校時代 音楽部では有りませんでしたが・・・)   
   ・1ステ最後はカンタータ「土の歌」より、”地上の祈り”、”大地讃頌”。 地上の祈りについては大地讃頌の前にこんな素晴らしい曲が置いてあったとは全く知りませんでした。聴いたことの無い方は是非!   
   ◆2ステは、レクイエム「碑」   
   ・歌い続けて9年(8年)目。 何度歌っても、歌うたびに感動する曲です。 世の中には名曲と呼ばれる鎮魂歌(レクイエム)が沢山あってあちこちで盛んに演奏されており、私も何度も参加しています。 素晴らしい曲、素晴らしい演奏で、感動することはしばしばですが、心の底から涙が湧き出て途中で演奏できなくなるレクイエムは、この「碑」以外にはありません。 レクイエムといっても、ミサ文ではなく日本語で語られる物語で直接的に理解しやすいせいでしょうか。   
   ・午前中に、現役高校生向けに歌っているため、本日2回目の演奏となり、益田先生やソプラノメンバーなどは大変だったことでしょう。 テナーパートは全体に音が低く、大した事はありません。 今回は皆多少は冷静に演奏できたようです。   
   ・歌い続けて9年(8年)目。 直接的には被爆した旧制広島二中の生徒を鎮魂する曲ですが、いまだに世界中で核兵器の脅威が続いており、軍事力に頼らない核兵器のない平和な世界を実現する為に、被爆地から訴え続けています。 この活動に対して、昨年12月には「広島ユネスコ教会活動奨励賞(社会部門)」を受賞しました。   
   ◆来年は第10回の”記念”演奏会となります。 実行委員の方々は益田先生と共々、そのあり方の検討を既に開始されています。 今年の入場者数は約480名だと聞きましたが、来年度は広島県民文化センターホール(530席)には入りきらないのは間違いないと思います。    
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   ◆昨年米大統領が核兵器のない世界を目指すことを表明し、今年の被爆65年式典で国連事務総長が10年後の核廃絶を誓った中、肝心の日本の首相が”核抑止力は必要”と発言したという報道を聞いたときには愕然としました。 今の日本の政府は、核廃絶・世界平和を目指す将来展望はないのでしょうか?? 各国が互いに爆弾を片手に抱えて肩を並べている現実から脱却するために積極的に行動する気はないのでしょうか!   
   ・平和を祈念する観音高校音楽部OB合唱団の活動は、まだまだ終えることが出来そうにありません。

(!斬捨て御免!、!問答無用!)

十手