連載 第149回
” 大阪大学混声合唱団 第51回定期演奏会 ”

 〜 伊丹市でおこなわれた演奏会を わざわざ広島から聴きに行きました。 注目は、4ステ 佐藤賢太郎作曲の”Requiem Pacis”です!  〜
                              (2009.12.28 up)    
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  ◆ 大阪大学混声合唱団 第51回定期演奏会   
      2009年12月23日(祝・水) 17:30開演   
      伊丹市立文化会館いたみホール    
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   ◆故有って、わざわざ広島から上記の演奏会を聴きに行きました。 午前中仕事があったため、午後から新幹線で日帰りしました。   
   ・大阪大学混声合唱団、略して ”阪混(はんこん)”と呼ぶそうです。 大阪大学には男声合唱団を含めていくつかの合唱団があるようですが、この”阪混”は今回が51回目の定演という事で歴史ある合唱団だと思います。 団員は80名弱、男女比率は5対3で男声が多いというめずらしい?混声合唱団です。   
   ・いたみホールは、客席の床も木のフローリングで出来ており、天井が高くて内装も明るく良く響く気持ちの良いホールでした。 客席数は1200席位。   
   ◆第1ステージに先立って学生歌?の演奏から始めるという古典的な大学合唱団の演奏スタイルで、懐かしくも古めかしい雰囲気を醸し出していました。   
   ◆1ステは副指揮者(学生)によるアラカルトステージ。   
   ・木に竹を接ぐように無理矢理こじつけた曲の組み合わせでしたが、それぞれの曲は面白く、最初ちょっと声に硬さの見られたメンバーの力みをほぐすのにもちょうど良かったと思います。 ライオンキングのテーマ曲、”Circle of life”の手拍子や最後の決めのポーズを恥ずかしげもなくスカッと決められる辺りは若者の素晴らしいところです。(実際は何度も練習をしたのでしょうが)   
   ◆2ステは、谷川俊太郎作詞 三善 晃作曲によるピアノ伴奏付きの曲集「木とともに人とともに」 。   
   ・女声の人数は少ないのですが上手な人が多いようで、すっきりとした綺麗なメロディーが聴こえてきました。   
   ・男声陣は、特にテナーの生の声が少々目立ちましたが、”無駄に人数の多い”と自ら言う割には、場をわきまえた突出することのない上手な演奏だったと思います。   
   ◆3ステはクリスマス曲。   
   ・前半はちょっと凝った編曲でしたが80人で演奏するには無理が有ったかな? 後半は今回で卒部するメンバーだけでジャジーな編曲物を演奏していましたが、少人数と言っても20名以上はいた為、ちょっと乗り切れていなかったかな? という印象です。   
   ◆4ステは、佐藤賢太郎という気鋭の作曲家による、”Requiem Pacis”。   
   ・充実して幸せに最後を迎えたいという気持ちを込めてPacis(=平和)という題名を付けたそうで、レクイエムとしてはどの曲も明るく出来ており、終曲の”In Paradisum”も結構にぎやかな曲でした。   
   ・ソプラノ独唱+混声合唱+オルガンの組み合わせで本邦初演。 しかも本来はオケ付きの曲をオルガン伴奏用に編曲したものだそうです。 全5曲でテキストはラテン語のミサ通常文だと思います。   
   ・よく知りませんが、第4曲が”Subvenite”となっており、終曲”In Paradisum”の最後に1曲目の”Requiem aeterunam”のモチーフが戻ってきて全体を締めくくるという構成の曲でした。   
   ・作曲者の佐藤賢太郎さんは元々映画監督を目指していたそうで、映画音楽にも使えそうな耳に優しくてしかもスケールの大きな曲でした。 繰り返し聴いたら飽きるかどうかはわかりませんが、初めて聴いた印象では非常に良くまとまった良い曲だな、というのが感想です。   
   ・全体として、ヒステリックなところがなく、阪混の若々しい声で歌うのにピッタリの曲でした。 ソプラノソロをした平野さんは阪混ソプラノパートのボイトレをしている方だそうで、ビブラートを抑えた清らかな美声の持ち主でした。 ソプラノパートが上手なのはこの方の影響でしょうか。   
   ◆阪混の演奏は、女声が少ない割にはヒステリックなところも無く、男声がでしゃばることもないバランスのよい演奏でした。 人数が多い割りにはすっきりしており、ビブラートの無い若々しい声で、かといって中高生のような青臭さも無く、聴いていて羨ましくも好感の持てるサウンドを持っています。 指導者が良いのでしょうかね? それともこの合唱団の伝統でしょうか。   
   ・17時半に開演し、最初のエールから始まって4つのステージとアンコール、さらにロビーでのストームが終了したのは20時過ぎ。 2時間半を越える”なが〜い”演奏会でした。 伊丹は日本酒発祥の地?かも知れないそうで、酒蔵通りや白壁の町並みが綺麗で帰りに寄り道したかったけれど時間がなくて残念。    
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   ◆佐藤賢太郎作曲の”Requiem Pacis”は、スケールが大きくサウンドが綺麗で聴き栄えがして、しかもソプラノソロとオルガン伴奏付きで演奏できるので、今後はあちこちで演奏されそうな予感がします。 マツダ合唱団の次の定演で演奏できませんかね・・・??

(!斬捨て御免!、!問答無用!)

十手