leaflet 連載 第124回

NHKドキュメンタリー "アインシュタインの眼"
「いい声で歌いたい! 〜カラダはこう響く〜」


・(プロ必見! ・・・アマチュア合唱人も必見!?)
(2008.02.23 up)
  
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    NHKドキュメンタリー"アインシュタインの眼" 「いい声で歌いたい! 〜カラダはこう響く〜」     
      【NHK BSハイビジョン】1/29(火)22:00 〜 22:44   
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  ◆もう1月前も前の事になりますが、NHKハイビジョンの「アインシュタインの眼」というドキュメンタリー番組で、発声をテーマに取り上げた放送が有りました。 題して 「いい声で歌いたい! 〜カラダはこう響く〜」。 友人からこの番組が面白かったことを聞いて、再放送を録画して見ました。  
  ・声帯の構造や母音による発音の違い、腹筋の役割などをMRIなどのハイテク技術を使って視覚的にわかりやすく説明して有りました。 はっきり言って、とても面白かったです。  
  ・特に、声楽初心者の男性を、プロのバリトン歌手が指導して発声のコツを教えるところがミソで、体をのばして顎を引き、喉仏を下げて歌うことによって、拡声器の役割をする管の長さが長くなる。 そうすると、”歌手のフォルマント”と呼ばれる3000Hz付近の共鳴周波数帯域が増えてよく通る声になるというもの。 (フォルマント=倍音?、共鳴?)  
  ・素人とバリトン歌手のサウンドスペクトログラムを比較して、確かにバリトン歌手に3000Hz付近の音がはっきりと加わっていることを示していました。 更に1300人入るコンサートホールを貸しきって、素人さんに歌ってもらい、発声方法を変えることによって、ホールの奥で測定したマイクの音圧が上がるといった実験もやっていました。  
  ◆なるほど、なるほど、これはすごい!と感心至極。 早速、自分も試してみようと、姿勢を整え、喉仏を下げるようにして発声してみました。  うんうん、何か声に響きが増したような気がします。  
  ・更に、番組で出てきた周波数帯域のスペクトル分析を表示できるサウンドスペクトログラムのフリーソフトを窓の杜で見つけて自宅のPCに取り込み、マイクで自分の声を録音してWindows Media Player で再生してスペクトル分布を見てみました。 おうおう、番組と同じようにスペクトルが表示され、少しだけ3000Hz付近のフォルマントが出ています。 しかし、私の場合は歌い方を色々変えてもスペクトログラムにあまり変化は有りませんでしたね。  
  (左:番組中のバリトン歌手のスペクトル。 右:北の佐川が自分の声を録音・再生したスペクトル。比べるまでも有りませんが・・・。)
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  ◆と、ここまで読んだ方は、”アインシュタインの眼”?はすごい、私もこの番組を見ればよかったと思われるでしょう。 確かに視覚的にも判りやすく説得性のある面白い説明で、プロならずとも見て損は無い番組だと思います。  
  ・しかし、声楽に詳しい方や合唱連盟の”ハーモニー”を読んで河合先生の連載を見た方はお分かりかも知れませんが、誤解を招きそうな内容を含んでおり、注意深く疑ってかかることも必要のようです。  
  ・番組のゲストに女性歌手が出演していたり、件の”素人男声”が市民合唱団で合唱している姿が映ったりしていることも話をややこしくしています。  
  ◆以下、注意点。  
  ・試しに、女声歌手や混声合唱などを同じ様に再生してサウンドスペクトログラムを見てみると、なんと、女性の歌声にはこの、”歌手のフォルマント”が出てきません。 元々 ソプラノ、アルト、テナー、ベースで発声時の倍音の出方が異なり、体自体から高次の倍音が出るのは基音の低い男声だけで、特にベース系に強く出るようです。 女声はほとんど無関係?  
  ・また、この3000Hz付近のフォルマントは、通常の倍音と異なり歌の音程に比例しない固有のフォルマントで、周囲の音に溶け込み難いためにソリスト向きの発声となるようです。 声の低いベース系のソリストの歌声が周囲の伴奏や合唱に埋もれることなく、ソロとして主張できるのは、他と溶け込まない3000Hz付近の固有な雑音を発しているからだということになります。  
  ・これが私の解釈です。間違っていたらゴメン。
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  ◆ということで、この番組を見ての結論。  
  ・番組中に、男声限定だとか、合唱には向かない、といったことは一切触れていませんが、実は、”プロ必見! ”という番組冒頭のアナウンスがミソで、一般の合唱人には不向き。 女声が真似ても効果は無いし、これを実践した男声が集まって合唱をすると、無茶苦茶になりそう。   
  ・ただし、正しい姿勢を保って喉仏を下げ共鳴管を長くすることや、息を無駄遣いしない腹筋の使い方など、大変参考になる内容も含んでいました。  
  ・面白いけれど、ちょっと危ない番組でした。

(!斬捨て御免!、!問答無用!)

十手