連載 第112回

『 映画 ”魔笛” 』


・もうひと月前の話になりますが、広島で”魔笛”を観ました。
(2007.11.29 up)
  
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  ◆ちょうどひと月前の10月末に、広島で”魔笛”を観ました。  この秋、広島でオペラの魔笛は上演されていないはずです。 私が見たのは、”魔笛”というタイトルの映画です。   
  ・友人から、「今、モーツァルトの”魔笛”の映画をサロンシネマ(広島)で上映している。 面白いから是非!」 というメールをもらいました。 インターネットで検索してみたら、確かに鷹野橋にあるサロンシネマで、”魔笛”を上映中。   
  ・リンク先の映画”魔笛”の公式サイトを見ると、時代設定を第1次世界大戦に移したイギリス映画で2006年の作品。 監督・脚本はケネス・ブラナー、有名な歌手が出演してるようです。  http://www.mateki.jp/   
  ・”魔笛”といえば、ずいぶん前になりますが合唱メンバーとして2回ほどオペラに参加したことがあります。  11/2(金)で広島での上映が終わると知ると何が何でも見てみたくなり、10月末に観に行きました。   
  ◆序曲部分の映像で、兵士たちが壕から出て有刺鉄線を潜り抜け銃撃を浴びながら突き進み、つんのめって倒れた兵士の一人が主人公のタミーノでした。 時代背景を上手く取り入れたことにより、オペラを観るよりも現実味と説得力のあるストーリーが展開されています。 最初は戦争映画のような暗く悲惨なストーリーが展開していくのかと少し心配になりましたが、中身はしっかりファンタジーでした。   
  ・主人公のタミーノを助ける3人の女性が従軍看護婦、なるほど。  パパゲ−ノは鳥刺しの代わりに伝書鳩使い、なるほど。  夜の女王は敵軍の女王そのもの?でしたが、タンク(戦車)の上に立って登場したのには笑いました。  
  ◆肝心の音楽は、少なくとも私の知る限るモーツァルトが作曲した音楽に忠実であった様に聞こえました。  モーツァルトの音楽そのものはオリジナルのままで真っ向勝負して有り、聴いていて充実感がありました。  なお、英語での歌唱でしたが、何の違和感も有りませんでした。     
  ・期待していたザラストロ(ルネ・パーペ)と夜の女王(リューボフ・ペトロヴァ)は堂々とした歌唱で最高でしたね。  パパゲーノも上手でした。  まあ、映画ですから、本番で失敗することはなく、歌手の喉の調子を気にする必要もありません。   
  ・もちろん、生のオペラの声の臨場感や、生演奏の緊張感を望むことは出来ませんが、逆に オペラの客席からでは見ることの出来ない歌い手の表情が臨場感を持って迫ってきてこれはこれで大変面白かったです。  オリジナルの神話の世界とは時代を変えていますが、これが臨場感と説得力増すのに役立っていたようです。   
  ・デフォルメし極限まで簡素化されたオペラの舞台と違い、最近の映画らしくCGをふんだんに使って、ダイナミックに雰囲気を盛り上げていました。  後半の夜の女王の有名なアリアでは、夜の女王が空中を縦横無尽に飛び回りながら歌っていました。  この魔笛のようなストーリーにピッタリの演出だったと思います。  
  ◆本編上演時間2時間19分の結構長い映画でしたが、最初から最後まで楽しむ事が出来ました。  非常に面白かったです。  オペラ”魔笛”を観て映画”魔笛”を観るも良し、逆にこの映画”魔笛”を観ておいてオペラを見るも良し、と思えるほどの良い作品でした。  チャンスが有ったら、是非一度御覧になることをお勧めします。   
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  ◆最後にカーテンコールが有るかなと思いましたが、さすがに、銀幕でのカーテンコールは有りませんでした。 ここら辺が味わえるかどうかが生のオペラの密かな楽しみですかね。

(!斬捨て御免!、!問答無用!)

十手