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法律豆知識

7.離婚給付

夫婦が「離婚」すると、協議離婚であると裁判離婚であるとにかかわらず、慰謝料の支払と財産分与が問題となります。この二つを併せて離婚給付ということがあります。


 慰謝料と財産分与は混同されがちですが、その性格が異なっています。慰謝料のほうは、不法行為に基づく損害賠償です。A男(夫)とB女(妻)が夫婦であるとします。B女はA男に対して、自分以外の女性と性的関係をもってはならないと要求する権利があります(貞操要求権とか守操権と呼ばれます)。ところが、C女が、A男が妻帯者であることを知りながら性的関係をもったとすると、B女がA男に対して有する貞操要求権を、A男とC女が共同して故意に侵害したことになるのです。この(共同)不法行為によってB女が受けた精神的苦痛に対する損害賠償が慰謝料なのです。慰謝料が発生するためには、このような不法行為(権利侵害)がなければなりません。ですから、性格の不一致で離婚するような場合には慰謝料は発生しません(不法行為がないからです)。不貞による慰謝料の「相場」は高くはなく、200万円から300万円、せいぜい500万円といったところでしょうか。


 財産分与の中心は、夫婦が結婚中に共同で形成した実質的共有財産の清算です。例えば、妻Bが専業主婦の場合、結婚中にマイホームを購入したとしても、その名義は夫であるA名義となるのが普通です。しかし、名義こそAのマイホームであっても、それは妻Bの協力の下に(内助の功)形成されたものですから、妻Bが潜在的な共有持分を有していますが、結婚継続中はその潜在的持分を顕在化(現実化)する必要はありません。

 しかし、離婚して夫婦関係が解消されるときには、妻Bの潜在的持分を顕在化(現実化)させてやる必要が出てきます。これが財産分与です。夫名義のマイホームの時価が5000万円で住宅ローンが2000万円残っていたとすれば、3000万円のうち妻Bの寄与分(潜在的持分)に相当する額を、夫Aは妻Bに分与しなければなりません。その割合は、妻Bが専業主婦のケースでは、少し前までは3分の1ぐらいでしたが、最近では2分の1が原則となっているようです。ですから、この例では、AはBに対して1500万円を分与する必要があります。

このように、財産分与は夫婦が結婚中に共同で形成した実質的共有財産の清算ですから、そのような財産がない場合には、原則として財産分与は問題となりません(厳密にいうと、財産分与の中には、生活力の弱い当事者に対する離婚後の扶養の性質を有する部分があり、これは夫婦が結婚中に共同で形成した財産がない場合にも問題となるのですが、ここでは触れません)。他方、不貞とか、暴力・虐待などの不法行為が存在しなくても(性格の不一致による離婚であっても)、財産分与は問題となるのです。財産分与は、夫婦が結婚中に共同で形成した財産がどのくらいあるかによってその金額が全く違ってきます。

 なお、財産分与を不動産の現物を譲渡する形で行なった場合には、分与した方(譲渡した方)に譲渡所得税が課税されることがあります(ちょっと判り難い、税法独特の考え方によるものです)。分与を受けた方(譲受人)には原則として課税されません。


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