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法律豆知識

4.政教分離原則

日本国憲法の大原則の一つに、政教分離原則があります。簡単にいえば、国やその機関が、特定の宗教を援助、応援してはならない、ということです。内閣総理大臣の靖国神社参拝が問題となるのも、そのためです。


かつて、津地鎮祭事件という事件がありました。三重県津市が主催する市体育館の起工式が、神職主宰の神式に則る地鎮祭として挙行され、市が神官への謝礼等を公金から支出したところ、この支出が憲法の政教分離原則に違反するととして、住民訴訟(地方自治体の住民が、自治体の機関及び職員の違法な財務会計行為の防止または是正を裁判所に請求する訴訟)が提起されたというものです。

これに対して、最高裁判所(昭和52年7月13日判決)は、政教分離原則は、国及びその機関の活動で宗教とのかかわり合いをもつすべての行為を禁止するものではなく、当該行為の目的が宗教的意義をもち、その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為をいうものと解すべきである、とした上で、地鎮祭は慣習化した社会的儀礼(習俗的行為)と化しているから、政教分離原則には違反しない、と判断しました。ここで最高裁が掲げた基準は「目的・効果基準」と呼ばれていますが、その後の判例の基本的立場となっています。


最高裁は、その後(平成9年4月2日判決)、この目的・効果基準を適用して、愛媛玉串料事件においては、愛媛県が公金から支出した、靖国神社の例大祭の玉串料(神社へのお供え)、みたま祭の献灯料、愛媛県護国神社の慰霊大祭の供物料を、いずれも憲法違反としています。建築主が主催して建築現場において行う儀式である起工式の場合とは異なり、これらの行為は、時代の推移によって既にその宗教的意義が希薄化し、慣習化した社会的儀礼にすぎないものになっているとまでは到底いうことができず、一般人が本件の玉串料等の奉納を社会的儀礼の一つにすぎないと評価しているとは考え難い、と判断したのです。


平成14年7月、最高裁は、大嘗祭(だいじょうさい)について判断を示しました。「大嘗祭」とは、天皇即位に際し一世一度の重儀として斎行される天皇祭儀のことで、即位後はじめての新嘗祭(にいなめさい、天照大御神をはじめ神々に陛下御親ら新穀をお供えになり、御自身もお召し上がりになるお祭り)を、特別厳粛、盛大に行うものだそうです。

最高裁は、まず7月9日に、大分県の平松守彦知事らが大嘗祭に使う新米を収穫する儀式(大嘗祭関連儀式)に公人として参列した件(日当などが公費から支出された)につき合憲判断を示し、さらに7月11日には、鹿児島県の土屋佳照知事(当時)らが大嘗祭に公費を使って参列した件(出張旅費が公費から支出された)についても合憲判断を示しました。いずれも前述の目的・効果基準に従って判断したものです。


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