現代文明はどこへ行くのか
2 文明は発展から抑制 量から質の時代へ (1)
地球外知的生命体(宇宙人)の存在の可能性を考える 3
(2008年)
C = ΣAb < Cb . 前のページで述べたように,現代文明では、世代伝達率Dが1となり、農学、工学、医学などの科学が、急速に、飛躍的に発展して来て、次の式で表わしたように、それらの成果Aが、蓄積されて行き、質的にも量的にも、大きな文明Cとなって来ている。 C = ΣA = A1 + A2 + A3 + - - - -, しかし、21世紀の現時点で、これらの、発展してきた現代文明が、これからの時代に対して、次のような、いろいろの深刻な問題を起こして来つつある。 . 人口爆発 前のページで述べたように、19世紀以前の時代の人類に、繰り返し発生していた、飢饉による多数の死亡、疫病による多数の死亡、局地戦争による多数の死亡は、第2次大戦以後の現在は、ほとんど克服されて来ている。 世界の人口は、現在、66億人(2007年7月)を越して、増えつづけている。次の図に示すように、古代では、1億人もなく、現在の人口の、わずか60分の1以下であったと推測される。ヒトが出現した頃は、その分布と個体数に関しては、当時、棲息していた多くの哺乳類の一部にしか過ぎなかったのである。 . . その後、農耕が始まって、図に示すように,19世紀まで、人類の人口が緩やかに増加してきたが、10億人以下で、現在の人口の、僅か6分の1以下であった。 ところが、第二次大戦以後、前述のように、農学、工学、医学などの科学の飛躍的発展にともなって、世界の人口が急速に増加し、現在、66億人を越し、さらに増加を続けているのである。 地球は大きいが、一つの有限の大きさを持った惑星である。この勢いのまま、人口が増え続ければ、21世紀中にも、地球が人間に、食料を与えることができる限度を超してしまうことが危惧される。 . 日本でも、戦後、ベビーブームで、人口が、かなり増加して来ていたが、その後、少子高齢化の時代となり、人口はピークを越して、減少の傾向となっている。 次の図に示すように、日本を含めて、先進国では、同様の傾向で、人口の増加が抑制されて来ている。戦後、死亡率の減少で、人口が増した時期があるが、その後、出生率が、1.0、または、それ以下に減少して来ているためである。 . . 一方、インドやアフリカなどの発展途上国では、戦前、異常に高かった死亡率が、戦後、激減している。一方、出生率も、戦前に比べ、低下はして来ているが、1.0を大きく越している。その結果、後進国の人口が、異常な増加を続け、21世紀中にも「人口爆発」を惹き起こす危惧をふくんでいると思われる。 . 次の図に示すように、先進地域の人口増加は、ほぼ抑制されて行っている。しかし、発展途上地域の人口は、なお、異常な増加を続けている。世界人口の異常な増加の原因は、発展途上地域の異常な人口増加によっていることが分かる。 . .. このまま、異常な増加が続けば、今世紀中にも、極めて深刻な「人口爆発」に至る可能性が少なくないものと危惧せざるを得ない。 . 食料不足による餓死 前述のように、20世紀以後の、品種改良、農地改良、農耕機具の使用、農地拡大、大規模農業などの、農業の急速な発展によって、食料の供給が、大きく増進されて来ている。それまで、しばしば、何百万人もの餓死者を生じてきた飢饉も、ほとんど無くなって来た。 ところがである。前項で述べたように、世界の人口の急激な増加は、「人口爆発」を起こし、人類の食料必要量は、改良、増産されて来た食料の量を超して行く可能性がある。 地球の大きさは有限であり、食料生産量には限度があるのである。また、次に述べるように、地球温暖化にともなう、農地面積の減少、異常気象によって、農産物生産量が、著しく減少して行く惧れも大きい。 それ以前に、現在、食料の大部分を輸入に頼っている日本に対する影響が、遠からざる将来に起こってくる可能性が少なくない。日本の食料自給率は、現在、50%を割って、40%、または、それ以下に減りつつある。先進諸国にくらべて、著しく低いのである。(フランス130%;アメリカ119%;ドイツ91%、イギリス74%) 安い農産物の輸入に依存している日本は、遠くない将来に、輸入困難の危機がやって来る可能性があるものと思われる。その時になってからでは、減少している食料自給率を増加するのは、極めて困難であるものと思う。 . 温暖化による地球環境破壊 現代文明における工業の発展は、化石燃料、とくに、石油の大量消費の時代となって来ている。13億人を越す中国や、インドの工業発展で、さらに、その消費が増えて来ている。 この結果、CO2ガスなどの発生で、地球の温暖化が進みつつある。南極大陸などの氷が融けて、海面上昇による、陸地面積の減少。熱帯化。旱魃、酷暑やハリケーンなどの異常気象の発生。降水量の枯渇、真水資源の枯渇、農業、漁業への多大な被害。生物種の大規模な絶滅。大気汚染による呼吸器系疾患の増加などが起こって来る。(なお、「北極の氷が融けたら海面は上昇するか」のページも参照してください。) 温暖化による異常現象は、不可逆性であり、このまま進んで行くと、回復不能の地球環境になって行く。ある程度以上に、異常現象が起きてから、CO2 発生を阻止しても、元に戻ることはない。今,直ちに、CO2 抑制策を取らなければ、今世紀末には、回復不能の地球環境となっているものと考えられている。 . 核拡散による大量殺傷 前のページで述べたように、近代文明による工業の発展は破壊力の大きい兵器を作り出してきた。そして、第二次大戦終了直前に、原子爆弾の投下で、多数の死傷者を出した。 終戦後は、それらの核爆弾の殺傷性が、あまりにも強大なるが故に、大戦再発生の抑止力となっているように考えられる。核拡散の阻止を、国連や先進大国が、真剣に取り組んで来ている。最近では、北朝鮮の核施設の除去に対して、国連や、先進諸国が協力しているところである。 しかしである。現在の状態で、大国でない北朝鮮が核施設を作る技術があると言うことは、遠くない将来には、もっと小さな国、あるいは、小さな集団で、核兵器を製造することできる可能性が大きいことを考えさせられるのである。 さらに、特定の集団のテロ組織が、核兵器を持つ可能性があり得る。その使用の結果、何百万人もの死傷者と、その後の、深刻な放射線被害が発生してくるおそれが絶無ではないように思われる。 . IT進歩によるロボットの人間攻撃 20世紀末より、コンピュータを用いての情報技術(IT)の急速な発展は、文明Cを構成する成果Aの伝達(伝達度D)の速度と拡大を、さらに飛躍的にもたらした。その結果、現在の、農学、工学、医学などの科学技術の発展に、大きく貢献しているだけでなく、これまでの科学とは別に、IT進歩が、21世紀の科学発展の主役になって来ている。 極めて大きな数の計算を、コンピュータが自動的にやってくれる。例えば、円周率を何万桁までも計算することができる。チェスは、世界チャンピオンより強くなっている。将棋も、プロに勝つことができるようになりつつある。囲碁は、まだ、プロの方が強いが、何年か先には、コンピュータの方が強くなることが予想される。 私の作った数学パズル「ゼロの誕生」でも、68桁の2乗;136桁の解答を、コンピュータが計算した。ただし、現在のコンピュータでは、全解答を計算するのには、まだ、10の24乗年を要すると思われている。 このような高度の計算だけでなく、直立二本足歩行のロボットが作られ、コンピュータが、人間のように、いろいろの行動をコントロールできるようになって来ている。介護の面でも、人間に代わって、いろんな補助をすることが可能になりつつある。10年くらい後には、ロボットのサッカーチームが、人間のプロ・サッカーチームに勝つようになるだろうと言われている。 このように、21世紀のITの急速な進歩は、プログラムをコンピュータに教え込むことによって、人間に代わって、計算し、行動してくれるようになって来ている。さらに、最近、私が敬愛している、情報学の第一人者である、京都大学、稲垣耕作先生の考案した「アイデア革命」は、人工知能型発想支援ソフトである(AIセンチュリー株式会社が販売)。「このアイデア革命」では、これまでのような、単なる計算や記述ではなく、(例えば、日常の仕事で、如何にしたならば良いか迷っているような)問題を提起すると、自動的に、コンピュータが「考えて」、最適の解答を示してくれるのである。 しかしである。今世紀の、このような急速なITの発展は、近い将来、人間に代わって、自ら考え行動するロボット出現の可能性が考えられるのである。そして、ついには、ロボットが人類を滅ぼす可能性が絶無ではないのではないか。(2100年?12月2日の新聞記事「22世紀の大予言」も見てください。) これらの可能性については、最後のページで取り上げてみたい。 . 20世紀までは、農学、工学、医学、さらに、ITなどの科学によって、急速、高度に発展して来た、現代文明は、これまで,人類の幸福に大きく貢献して来たと考えられていた。 しかしである。21世紀の現在において、上述のような、多くの深刻な弊害を起こす可能性が大きくなっているのである。このまま、これまでのような現代文明が発展して行くと、極めて大きな、回復不能の危機が人類に起きて来る可能性が大きい。今世紀末には、人類の生存が、極めて危ぶまれる事態になっている可能性も無いではないように思われる。 . . 今までのような文明の発展のみに頼っている時ではない、今、直ちに、人類が何をなすべきかを考えるべきである。次のページで、このことを考えてみたい。 . 文明は発展から抑制 量から質へ C = ΣAb < Cb . |