集団精神病(共有精神症)について
共有精神病性障害は、統合失調症などの精神病性症状をもつ人と長期間わたり一緒に暮らしている、極めて親密な関係にある家族や知人が、最初に精神病性病状を持っていた人と同様な症状を呈する場合の障害をいいます。 この病気は、通常は二者間で発症することが多く、この場合には「二人組精神病」とも呼ばれます。 しばしば、三者以上の間で発症することもあるとされます。
共有精神症
執筆者:Carol Tamminga, MD, UT Southwestern Medical Dallas
レビュー/改訂 2022年 4月 | 修正済み 2022年 9月
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共有精神症(shared psychosis)は,患者が個人的に密接な関係にある人物から妄想を獲得した場合に生じる。
精神症とは,妄想,幻覚,思考および発語の統合不全,現実との接触の喪失を示唆する奇異で不適切な行動(カタトニアを含む)などの一連の症状を指す。(統合失調症および関連症群に関する序論も参照のこと。)
共有精神症(かつては二人精神症と呼ばれていた)は,現在では妄想症の亜型と考えられている。本疾患は通常,有意な妄想症または統合失調症を有する人と関係する個人または集団(通常は家族)において発生する。共有精神症の有病率は不明であるが,まれであると思われる。通常,原発の患者は関係の中で社会的に支配的な立場にあり,続発の患者に妄想を押し付けたり,異常な考えを確信させたりする。
典型的には,原発の患者から引き離せば,続発の患者は妄想的確信を保持しないため,関係の中の誰が原発性の精神症を有しているかを確認することが重要である。
通常,共有精神症患者にはカウンセリングと精神療法が有用である。通常,精神症症状のみられる患者には薬物療法が必要である。
感応精神病
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
感応精神病
概要
診療科 精神医学, 臨床心理学
分類および外部参照情報
ICD-10 F24
ICD-9-CM 297.3
DiseasesDB 34350
eMedicine med/3352
MeSH D012753
[ウィキデータで編集]
感応精神病、またはフォリアドゥ(フランス語: Folie à deux、二人狂いの意)とは、精神障害の妄想性障害 の一つ。
一人の妄想がもう一人に感染し、複数人で同じ妄想を共有することが特徴である[1]。
同一の妄想を二人以上で共有する場合はfolie à trois(三人狂い)、folie à quatre(四人狂い)、folie en famille(家族狂い)、folie à plusieurs (多人数狂い)などとフランス語では呼ばれるが、英語または日本語では何人であっても「フォリアドゥ」と呼ばれる。精神医学における最新の分類では共有精神病性障害(DSM-IV、297.3)または誘導妄想性障害(ICD-10、F.24)の名称が使用されるが、一般的な文献では旧来の「フォリアドゥ」の名称が使用される。最初の症例は19世紀にフランスの精神科医シャルル・ラゼーグ(フランス語版)とLua エラー モジュール:仮リンク 内、22 行目: attempt to index local 'title' (a nil value)によって報告されたため、かつては「ラゼーグ・ファルレ症候群」(Lasegue-Falret syndrome)とも呼ばれた[2][3]。
日本では1904年に森田療法で知られる森田正馬が土佐のとある山村における犬神憑きの感染について報告した「精神病の感染」が初出。
分類
この精神病は、二人または複数の個人が親密な関係を持ちつつも、他の人々とは社会的・物理的に隔離されている、または関心を持たずに生活している場合によく発病する。
どのような経緯で妄想が複数人の間において共有されるに至ったのかによって、フォリアドゥはいくつかの副分類に分けられる。
Folie imposée(押し付け狂い)とは、まず上位の人物 (危険因子、'primary'、'inducer'、'principal'などと呼ばれる) が精神病の発症によって妄想を形成し、他の個人または人々(受容者、 'secondary'、'acceptor'、'associate'などと呼ばれる)にその妄想を事実として押し付ける(インポーズする)ものである。この場合、受容者を危険因子と引き離すだけで受容者が妄想を持たなくなることがある。病院でそれぞれ別の部屋に入るだけで、押し付けられた妄想は消え去り、投薬なしで寛解する。
Folie simultanée(同時狂い)とは、二人の人間が個別に精神を病み、お互いに影響を与え合って同一または極めて似通った妄想を共有するに至る、または「病みやすい」タイプの人間が二人いたことがお互いに引き金となりあって同じ妄想を抱くに至る、ものである[4]。
分類上、精神病である「妄想」「フォリアドゥ」と、精神病ではない「思い込み」の区別は明確ではない。あまりに多くの人が、単なる噂によって明らかに間違った「真実」を信じこんてしまっており、しかもそのために精神的な苦痛を受けているが、あまりに多くの人が信じてしまっているがゆえに、そのような「妄想」は逆に「合理的」だと見なされているからである。そのため、現在の『精神障害の診断と統計マニュアル』では、ある人が抱く「妄想」が、大元が「その人の属するカルチャーまたはサブカルチャー」に由来する場合は、その人を(精神病であり治療の対象である)「妄想状態」だと診断すべきではない、と述べている(妄想を参照)。このような「妄想」は「フォリアドゥ」ではなく「集団ヒステリー」に分類される。
関連する事象
1960年代末に軍で使われた無力化ガスの一種BZガスによってフォリアドゥに似た現象が引き起こされたとの報告があり[5][6]、南アメリカのアマゾン川流域に住む先住民族が幻覚剤として使っているアヤワスカでも同様の現象が起こるとの報告がある(Ralph Metzner, 1999).[7]
症例
日本の政治家やNHKの職員の中には新語造作という統合失調症の症状を示す人がいますが、この症状の特徴と治療法を教えて下さい。
Copilot said
新語造作は、統合失調症の症状の一つで、患者が新しい言葉や表現を作り出す現象を指します。これらの言葉は、患者にとっては意味があるものの、他者には理解しづらい場合が多いです。この症状は、思考の混乱や言語のまとまりの欠如と関連しており、統合失調症の陽性症状の一部とされています。
治療法としては、以下のようなアプローチが一般的です:
1. **薬物療法**: 抗精神病薬(非定型抗精神病薬など)が主に使用されます。これらの薬は、脳内の神経伝達物質のバランスを整えることで、症状を軽減する効果があります。
2. **心理社会的療法**: 認知行動療法(CBT)や心理教育、生活技能訓練などが含まれます。これにより、患者が症状に対処するスキルを学び、社会復帰を目指します。
3. **家族支援**: 家族が患者の病気を理解し、適切なサポートを提供することも重要です。
統合失調症は早期の診断と治療が鍵となります。もし心配がある場合は、専門の精神科医に相談することをお勧めします。何か他に知りたいことがあれば教えてくださいね。
フォリアドゥの例としてイギリスで良く知られているのが、2008年にイギリスで双子の姉妹ウルスラ・エリクソンとサビーナ・エリクソンが起こした事件(en:Ursula and Sabina Eriksson)である[8]。スウェーデンからイギリスにやって来たウルスラは高速道路で突然、大型トラックの前に飛び出して負傷。直後にサビーナがウルスラと同じ行動をとって車の前に飛び出したが、こちらは暫く気を失っただけでほぼ無傷だった。その後の調査でサビーナはフォリアドゥの「secondary」であったことが判明。「primary」であったウルスラの影響を受けて妄想状態にあったとされる。サビーナは釈放前、警官に「私たちはスウェーデンでこう言っていたわ…事故が起こるときは1回だけでは終わらない、いつもそれ以上起こる…おそらく2回」[9]という意味深な言葉を残していた。釈放後、サビーナはミッドランド西部のストーク=オン=トレントで宿泊施設を探している時に出会った、グレン・ホリンズヘッドに自宅に招かれて宿泊。翌日、彼を刺殺し3度目の事件を起こした[10][11][12]。彼女は明らかに異常な言動をしていたにもかかわらず、精神鑑定を受けないまま、怪我の治療が済んだだけで退院したのであった。この事件はBBCのドキュメンタリー『Madness in the Fast Lane』で詳細に取り上げられ、特に高速道路に二人が飛び出すシーンの映像はテレビで見た700万人の視聴者とyoutubeで見た数百万人の視聴者を震撼させた。
もう一つのケースはマーガレットとミッチェル夫妻のケースである。二人とも34歳で、似通った妄想を共有していたことからフォリアドゥと判明した。二人は誰かが家の中に入って来て、ほこりをまき散らしたり勝手に服や靴を着られたりすると思い込んでいた。加えて言うと、彼らが示した他の兆候はフォリアドゥとは別に情動感染が作用していることを示唆していた[13]。