ようこそ、いらっしゃいました♪
こちらは、リンダ・ハワード著 「愛は命がけ」 ネタバレOKのお部屋です。


前回の予告は「ダンカンの花嫁」だったのに、情けない理由で
作品変更になり、申し訳ありません〜(^^A)
「ダンカンの花嫁」も大好きな作品なので、いずれ必ずピックアップしたいと思って
おります。 なにとぞお許しを。



さて、今回の作品 「愛は命がけ」 ですが。


マッケンジーシリーズを読破された方なら、おわかりだと思いますが、
この本で、初めて明らかにされることがありますね。
そう、養子であるチャンスが、一家に迎え入れられたいきさつです。


実は、私はマッケンジー家の物語の中では 家長ウルフとメアリーの
名作「マッケンジーの山」を除けば、チャンスの物語 「危険な駆け引き」 が
一番好きなので、チャンスの生い立ちがわかったのはとても嬉しいことでした。


病気で道に倒れていた少年が、名前も持たず、学校にも行けない
すさんだ状況の中からメアリーとウルフに救い出され、二人の愛情のおかげで、
人間らしさを得ていく描写には、リンダの優しい視線が感じられるところ。




・・・おっと、今回の主役はチャンスではありませんね。失礼☆
本題に戻りましょう。



ゼインとベアリー、出会いも特殊なら、結ばれる状況も特殊ですね〜。


なにしろ誘拐されて、全裸で寝台にしばりつけられている真っ暗な部屋。
ベアリーはレイプこそされなかったものの心身共にショックと恐怖で、
もうボロボロ。
ゼインの方は、特殊任務のために、顔を迷彩色で塗っているし、
普通に声を出して話すこともままならない。
初対面としては、異様な雰囲気。


でも、こういう状況だからこそ発揮される思いやりや使命感が光ります。
しばられていた縄を切り、痛んでいる肩と腕をマッサージしてから、
自分の着ていたシャツで、子供に着せるようにして全裸のベアリーを
くるんでやるゼイン。
もちろん職業意識でやっているわけですけど、端々にゼイン自身の
細かい配慮があって良かったです。


二人とも生きて、無事に安全な場所へ移動することができるのか。
なんとか少し離れた廃屋まで逃げおせた後、食料と水を調達して
一日潜伏したうえで、ゼインの信頼できる人柄を見きわめた
ベアリーが、ゼインに一大決心を申し出ます。



  「わたしを抱いて。」



・・まったく現実的じゃないけど、こういう設定に読者をすんなり巻き込むところが
リンダのうまさでしょうか。



でも、この場面で私が感心したのは、それを受け入れたゼインの洞察力。
一度は拒みかけたものの、ベアリーが自分に求めているものの
切実さを理解して、黙って毛布の上で仰向けになるという描写がスゴイ☆


自分に屈辱を与えた誘拐犯人の男達を憎み、
男性不信に陥りそうになっているベアリーの心の傷を癒すために、あえて
彼女に主導権を譲るのですね。 



バージンであるベアリーが四苦八苦するのは仕方がありませんが、
もっと大変なのはゼインですよ。 まるでマナ板の上の鯉(笑)。
ベアリーに何をされても、じっと身体を動かさずに甘い拷問に耐えるゼインの
様子が、なかなか色っぽくて良かったわ〜。



そしてその後、ベアリーが恋に落ちた瞬間を振り返る場面が、この作品で
一番好きなところでもあります。



顔も見えない暗闇の中、自分はゼインという男性の本質に恋をしたのだ。
彼の強さ、優しさ、まじめさに恋をした自分にとって、
たとえ彼の顔が醜く引きつれていたとしても、気持ちは変わらない。

単純なことだ、そして厄介なことだ。


自分の気持ちを振り返るベアリーの率直さと真面目さは
ハンサムガイのヒーローが当たり前のハーレクインの中で、特異な恋であると
同時に、しごく納得のいく恋だと思います。



この本を最初に読んだときは感じませんでしたが、当サイトを作るきっかけに
なった 「オペラ座の怪人」 という演目に出会ったとき、思い出したのは、
このベアリーの言葉でした。



顔を見ていないからこそ、触れられる本質というものがあるのだとしたら、
クリスティーヌは、「音楽の天使」に十分に恋をすることが
できたのではないでしょうか。
もちろん、事実を知れば憐憫とか恐怖心も湧いてくるものでしょうけどね〜。



と、なんか今回はシリアス路線になってますが、
正直言って、他のリンダ本に比べると、ラブシーンはあってもセクシー度は
案外低いのが、この作品の特徴なのかもしれません。



それにしても、その後、数年が経過したという設定のエピローグで、
ベアリーとゼインが授かった一人娘、ニックが天使のような顔に似合わず
「超」 がつくほどの おてんば悪魔に成長しているというオチは、
なかなか笑えました。



いつの日か、成長したニックが本物の小悪魔になって、男性を
メロメロに狂わせるストーリーも読めると嬉しいんだけどなあ。



 そう、まるで若き日のウルフ父さんみたいに・・ね?(笑)








さて、次回のピックアップは、新しい作品を。


2004年夏に刊行されたばかりの作品 「悲しみにさようなら」 を
ご紹介したいと思います。


かなり重いテーマの作品ですし、ヒロインは苦労続き。
その上、たぶん歴代随一の無口なヒーローですけど、
彼のラブストーリーは無口な分、行動のスゴサで酔わせてくれますよ〜☆







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