ロマンス小説あれこれ


    
                        
ハーレクイン・魅惑のシリーズ名




          ひとくちにハーレクイン本といっても、その内容はおどろくほど多くのシリーズで構成されています。
          2004年現在、12シリーズ、このほかに季節企画とか特別配本があり、
          毎月40冊以上刊行されます。
          (すごいよね、年間500冊近いってことです。2日で3冊。出すほうも、読むほうも大変だ☆)

          大きく分けると「ハーレクイン○○」と「シルエット○○」とつくものがあるのですが、これはもともと
          現在の形に至るまでに、イギリスのハーレクイン社と、アメリカのシルエット社という別の会社が
          合併したことに由来があるようです。

          日本でも、現在の株式会社ハーレクインに落ち着くまでには、一時的にあのサンリオが出版元に
          なっている時期もありました。そんな中で、生まれては消えたシリーズ達も含めてご紹介します。




          何の役にも立たない雑学ですので、(笑)「へぇ」ボタンを心の中で押してね☆



                        1.なんのためにシリーズに分けているのか?


          もちろん、分野を明確に分けるため。歴史ものとかサスペンスとか、ヒロインの年代とか、
          そういう区切りもあるのですが、もっと大切な要素があるんです。
          それは、ラブシーンの濃厚度。なんてわかりやすいんだ(笑) 

          ロマンス本においては濃厚度も本屋で買って読む前に自由に選べるものなのです。
          そりゃそうですね、カレー屋さんに行って、予告もなくいきなり激辛カレー食べさせられたら、
          誰だって怒りますもの。
          「正しい表示で明朗会計」が円満な商売のコツってことで☆

          というわけでトップバッターはこれ。
        

           ◎一番薄い(この言い方あってる?)シリーズ

              ハーレクイン・イマージュ
             シルエット・ロマンス


          ヒロインの年代も若いし、ラブシーンもあっさりめ。以前に比べるとベッドシーンも登場回数が
          増えたみたいですが、あくまでさわやか路線です(笑)。

          出版社がつけているイマージュの宣伝文句は「やさしい恋に癒される」、
          ロマンスは「キュートでさわやか」。
          なんて微笑ましいんでしょう。夢見る恋物語なんですね〜。

          イマージュの表紙はいつもお花畑とか、渚とかきれいなイメージだけで構成されています。
          これがすべてをあらわしていますね。

          でも「はあ?なにこれ、こんなんじゃ満足できない!」という方は(もちろん私もです、はい)
          ↓こちらへどうぞ。


           ◎一番濃いシリーズ

             ハーレクイン・テンプテーション

          「テンプテーション」とは、「誘惑」という意味。文字通り、ちょっと背徳的な作品が多い。
          (ただし不倫はナシね)
          特に「Blaze(ブレイズ)」という印が入ってるものは、本国アメリカでも特に濃厚度の高い
          ものだけを集めたそうです。(2004年6月からブレイズは独立したシリーズになりました)
          blazeは強いきらめきとか、燃えさかる火というような意味だそうで。

          個人的には、あまりにもそういう度が高すぎて、ちょっとストーリーがおろそかになってしまう
          傾向もあるので、イマイチなのですが、刺激的でお好きな方も多いのでは。


          それから、このシリーズは表紙の絵が過激すぎて、購入しにくいという話も聞きます。


          たとえば、2004年春刊行のテンプテーション「キスの刻印」なんて黒いスリップドレス姿の女性が、
          半裸の男性を膝のあいだに入れて(しかも戸外で!)テーブルに腰掛けているんですよ〜。
          どうやって、これを私のような慎み深い乙女が書店のレジに出せばいいんだ、まったく。
          ・・って、これを買おうという時点で慎み深い乙女じゃないってウワサも(笑)


             シルエット・ディザイア

          このシリーズは、かなり昔からあります。私が十数年前、最初にロマンス小説に出会ったのも
          ディザイアシリーズの一冊でした。

          でも「ディザイア」って「欲望」の意味ですからね〜。
          初めて気がついたとき笑ってしまった記憶があります。
          内容はテンプテーションの次に位置づけられる濃厚度でしょうか。

          「ホットでワイルド」という宣伝文句の通り、現代的で、ほどほどのセクシー度が楽しめる
          シリーズです。あまり長編でないことも、気楽に読める良いところかな。

          ただ、このシリーズも、結構表紙の絵が恥ずかしいことが多いのは、なんとかしてほしい(笑)



                                2・幻のシリーズ



          さて、ここからは今はなき、幻のシリーズ名を。

          まず、ぱっと見て、意味が理解できないシリーズ名といえば、

              シルエット・インティメットモーメント 

          わかります? ええ、私もわかりません☆
          で、辞書を引きました。
          「インティメット」とは「親密な、内心の、私事の、不義の」という意味らしいです。
          「モーメント」は「瞬間」でしょうか。「現在」という訳もありました。
          ・・辞書を引いてもよくわかりませんが(笑) おそらく、「人には言えないほど親密な、
          秘密のひととき」 というようなニュアンスなのではないでしょうか。


          それから、意味はわかるけどさあ・・という印象の強いシリーズ名。

               セカンドチャンスアトラブ
        
          まるで英語の構文練習(笑)。「at love」が「アトラブ」になってるところがまた、笑える☆
          「in」でもなく「of」でもないのですね、なるほろ。「恋愛における2度目の機会」って論文みたい。
          もしかしたら本国の意向があって、日本語訳は勝手に文字を減らせなかったのかもしれません。
          ・・・でなけりゃ単に面倒だっただけ?


          そして「ディザイア」以上に恥ずかしいシリーズ名。
  
               ハーレクイン・エクスタシー

          ひえー、もう、そのまんま(泣) 
          本屋の店員さんも伝票で在庫確認するときなんて、ちょっと恥ずかしかったりしないのかしら。
          と、余計な心配をしてしまう名前です。まあ、趣旨はよくわかる(笑)
          あまり沢山刊行されなかったのは名前ゆえなのか、古本屋さんでもほとんど見かけないようです。



                            3.で、おすすめのシリーズは


          現在もありますが、個人的に好きなシリーズは

               シルエット・ラブストリーム
        
          うふふ「愛の嵐」ですね! 「ロマンティック・サスペンスの決定版」という宣伝文句がついてます。
          ドラマチックな作品が多い。探偵ものや刑事ものはもちろん、タイムトリップものとか、
          幻想的(ヒーローがバンパイアなんてのも)なもの、アメリカらしく海軍とか空軍ものなど
          バラエティに富んでいます。


          もちろん最近のリンダ・ハワード作品はほとんどこのシリーズ。
          他の作品に比べると、ちょっと長くて読み応えも十分です。



          それから、私自身はあまり読まないのですが、かなり人気があるのが

               ハーレクイン・ヒストリカル

          歴史ものです。中世のヨーロッパが舞台の作品がほとんど。
          現代ならありえない政略結婚とか、偽装結婚、身分違いの恋、繰り返される領地争いの
          戦争などを背景にした作品が多く刊行されています。
          きらびやかなドレスとか、重々しい鎧に剣、素朴な食べ物など当時の風俗が描かれるのを
          楽しんでいらっしゃる読者も多いようです。

        
          そしてシリーズ名として独立はしていませんが、最近一勢力を築いているのが、
        
          いわゆる「シークもの」。
          中近東を舞台にした作品です。
        

          欧米の人にとっては「アラビアのロレンス」みたいな風俗ってエキゾチックで憧れなんでしょうか。
          巨万の富を持つ架空の小国の王子というような設定が多い。砂漠とかラクダといったそれっぽい
          風景もさることながら、民族の名誉を重んじ、誇り高く情熱的なヒーローの性格づけが人気の
          秘密のようです。




          とまあ、おもいつくままにハーレクインのシリーズをご紹介しました。
          以前に比べると、最近はシリーズごとの特徴が薄れていますが
          (特にラブシーンの濃厚度、イマージュもかなり濃くなってきてるのは時代の要請でしょうか)
          これからロマンス本を試してみようかなという皆様の、ご参考になれば嬉しいです♪





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