2005年3月4日(金)イベント記録

福岡シティ劇場 探検ツアー

福岡シティ劇場

2004年12月から約半年の休演となっている福岡シティ劇場で、3月4日から13日まで、
曜日によって昼夜2回〜4回、合計で20回以上開催されることになった探検ツアーに
行って参りました。


今までもバックステージツアーは昨年夏の「ユタと不思議な仲間たち」公演の時に経験が
あるのですが、このときはあくまで舞台の上だけのツアー。
今回は演目はかかっていませんし、さらなる裏側を見せて下さるということで楽しみです。



ご一緒したのは地元のオペラ座ファンのお嬢さんお二人。
ツアー初日でしたし、平日夜は公演の集客も苦労するので、なんとなく不安もありましたが、
実際には定員20名弱のお客様がいらっしゃっていました。
子供さん連れあり、高校生のお嬢さんペアあり、カップルあり。



今回のツアーは5月8日から始まる「美女と野獣」の前宣伝も兼ねているので、
シティ劇場に入るとまず、テレビモニターでプロモーションビデオが流れています。
ケースに入った野獣のバラの花、ベルが最初に登場する時の水色のドレス、それから
舞台写真が展示されていました。




さて、時間通りの18時30分。
男性スタッフさんのご挨拶でツアーが始まりました。
まず四季の「美女と野獣(BB)」を見たことがあるか、福岡シティ劇場に来るのが
まったく初めての人はどれくらいいるかの確認。
BB未体験の方も半分くらいいらしたみたいです。



エスカレーター下のスタッフ専用扉から細い廊下を通って、まず楽屋へ。
途中で九州公演本部のオフィスを通りました。 結構ぎゅうぎゅう詰めにデスクが
入っている印象を受けました。
男女10人以上のスタッフさんが、お仕事中でしたが、「こんにちは〜」と声をかけて
下さったのが嬉しかったなあ。


スタッフさんが 「ここは普通は皆様には、ホントにお見せしない部分なので、自分の家に
案内するような気持ちです(笑)。」 そうですね〜、こういうのなんとなく照れくさいかも。
もしかしたらお掃除とか、バタバタしたのでしょうか☆


迷路のようになった廊下の途中には、学校にあるような細長い洗面台。
ここで、俳優さんがずらりと並んでうがいをなさるのでしょうか。
「シャワー室」という矢印看板もありました。



案内していただいた楽屋は9面の鏡があって、なかなか大きなお部屋です。
衣装掛けのバーとロッカー、中央にテーブルと椅子が3脚ほど置いてありました。
「ここは主にダンサーやシンガーが使う楽屋です」 という説明に
「ダンサーとシンガー以外って何???」 と思ったのですけど(笑)どうも
アンサンブルさん用という意味だったみたいですね。
ご一緒した方も、ここでツッコミたかったという話で、後で大笑いでした。


女性の方から 「個室はないのですか?」 の質問に 
「基本的に四季では1人1部屋の楽屋はありません。」 ということで、小さくとも
3人くらいのお部屋にメインの俳優さんが入られるそうです。
ふーん、じゃあ高井さんや村さんも、どなたかと楽屋を共有なんですね。
ラウル役の俳優さんかなあ。


もしファントムとラウルが一緒の楽屋だったら、直前まで和やかに 
「あの、高井さん(もしくは村さん)これ頂き物なんですけど、食べます?」
「あ、どうもありがとう」 とか言ってて、
舞台に出たら憎い恋敵、「無礼な若造め」 「この人を返せ、悪党!」なんて
罵りあっちゃうんだよねえ・・・
ってスミマセンちょっと妄想が湧いて、別の世界に行ってました(笑)



この楽屋がかなり広いとはいえ9人じゃあ窮屈かなと思ったのですが、実際には5、6人が
一人あたり4〜5着の衣装を持ち込んでいるとのこと。
本番前まではこの楽屋にいるけれど、BBは衣装替えが多いので本番が始まったら
舞台の上にいなくても袖で見学したり、裏で着替えたりして、ここに戻ってくることは
ありません。というお話でした。


ここで質問。
「他の劇場には畳が敷いてある楽屋があると聞きましたが、昼夜公演の間に仮眠を
取ったりする場所はないのですか?」

ずっと説明をして下さったのとは別の男性からご説明。
「畳のある楽屋の意味は、和服の衣装を着るときに色々広げるので必要になると
いうことなんですね。 四季の舞台は外国もののお芝居がほとんどなので、
畳はありません。
博多座さんの楽屋には畳がありますし、宿泊施設を備えた劇場もありますが、四季は
あくまで「仕事場」という気持ちが強いので・・・」


続けて、最初の男性スタッフさんがフォローして下さいました。
「(仮眠は)休憩のときに、ちょっとしたスペースで、ですね(笑)」。


ふむふむ、東宝「エリザベート」のパンフに、マチネ終演後一路真輝さんや高嶋政宏さんが
ソワレに備えて仮眠しているという話が出ていたので、あたりまえのことかと
思ったのですが 「仕事場ですから」 と強調されたところを見ると、当然というわけでは
ないのですね。




さて、そこから9人乗りのエレベータに分乗して6階へ。
以前にソングセミナーでお邪魔したことのある、リハーサル室に入りました。
窓のない面の壁は全面鏡張り。バーレッスン用のバーと、ピアノ。
片隅に足ツボを押す健康器具があるのが面白いな〜。
ジャズのCDも置いてありましたっけ。


まず中央に置いてあるテレビで、ビデオを見せて頂きます。
放映されたのは、特番などで見たことのあるバーレッスンと呼吸、開口のお稽古中
の俳優さんたち。後ろ姿だけで柳瀬さんがハッキリわかりました。やっぱり大きいな〜(笑)


先週の日曜日に撮ってきたばかりの京都BBリハーサル室のウォーミングアップ。
流れているのは「千と千尋の神隠し」のテーマソングでした。
「コーラスライン」のナンバー「ワン」を開口練習用に歌うのは、四季の定番ですね。
ここで母音法と開口の説明がありました。


ビデオの最後に高桑コッグスワースがご挨拶。
「ようこそ、探検ツアーに。ご主人に見つからないように、気をつけなされ」だったかな。
ユーモラスな内緒話に皆さんから笑いが上がります。




リハーサル室を出てから、階段へ。
本番前は俳優もスタッフも万一の停電に備えてエレベータは使わないので、皆さんも
俳優気分で階段をどうぞ(笑)ということでした。
結構長いし、狭い階段です。
これポット夫人役やコッグス役の方みたいに、衣装が大きい時は大変なんじゃないかな〜。



6階からかなり(たぶん3階分くらい)降りて、舞台の地下に来ました。
「奈落」と書いてある入口は大人なら身体をかがめないと通れない小さな穴。
うわ〜暗い。 がらんとして数本の柱が見える場所が奈落なんですね。
照明らしいものがあまりないので、ホントに暗い場所です。


ここにラウルが飛び込むのね、とかファントムがレッドデス姿で落っこちてくるのは
ここか〜とか、ファントマーとしては頭に浮かぶのはオペラ座のことばかり☆
あそうそう、芝ユダの自殺の場面も思い浮かべてみましたわ(笑)



ここでスタッフさんからご説明が。
福岡シティ劇場の奈落は、高さ2・5メートル。
東京の四季劇場「春」の奈落は5メートルあります。福岡でのライオンキング公演装置が
東京と違っていたのは、この高さの違いのせいです、というお話でした。


で、入ってきたのとは反対側の壁の足下に、やはり小さな穴があいていて、ここから
最前列の客席が目の前に見えました。
つまり座っているお客様の足下に穴があるというわけ。
なーるほど、福岡ジーザスで舞台の上手側、下手側に開いていた穴(カヤパさまや
ピラトが出入りしていた階段付きの穴です)は、ここにつながっているのですね〜。




さて、奈落を出てツアー再開。
移動する途中で「発声室」を見せて頂きました。 ピアノ1台が置いてあるだけの
小さなお部屋ですが、出番直前に発声をするための部屋です、とのことでした。
防音がもちろんされているのですが
「俳優の声が大きいので、これでも廊下に漏れてきます。」



廊下の角には神棚がありました。
ここから歩いてほんの数分のところにある 「住吉神社」 のお札があがっています。
上演前には必ず神社の御祓いを受けるし、俳優によっては朝夕お参りする人も
います、ということでした。なるほど。
これからもよろしくお願いします。と皆で頭を下げてみたりして。



方向音痴の私には、どこをどう歩いてきたのかよくわからないのですけど、
ふと気がつくと下手側の舞台袖。
「1ベル入ります。開演5分前です」という女性のアナウンスが流れました。


スタッフさんからご説明。
「今のアナウンスは全部の部屋に聞こえます。ここは役者だまりという場所です。」
長いすと横に広い大きな鏡が壁に掛かっているこの場所で、本番前に
衣装のチェックをするそうです。




ここからいよいよ舞台へ。
幕は下ろしてあって、BBの衣装と小道具が展示してありました。
ルミエールが見せるハートのついた帽子、魔法の鏡、ビーストの椅子と膝掛け、
ガストンが持ってくる写真、ベルが編んだマフラー。
それから酒場のテーブルとマグカップもありましたっけ。


聞こえてきた「ビーアワゲスト」の音楽が青山ルミエールの声だったので、思わず 
「あ、青山さんだ〜♪」 と喜んだら、スタッフさんが「そうですね」と私達を見てニッコリ。
マニアックな常連が来てるな〜と思われてるんでしょうね(^^A)
いえ、全く否定できませんですハイ☆



衣装は、2幕のポット夫人、ルミエール、コッグスワース、ベルとビーストのラストの衣装が
飾ってありました。
ベルが踊る黄色いドレスと、ラストで着てる衣装は違うんですね。ラストのドレスは
ハッピーエンドということで、ピンクの部分が多くなっているそうです。ビーストの豪華な
衣装はビーズが多くあしらってあって、ライトに映えるように計算されているとか。


スタッフさんが魔法の鏡について 「これは魔法で見たい場所を見ることができるものです。
鏡に映る絵は舞台では、その場面に合わせて入れ替えています。」
と、普通に説明した後、おもむろに手に取り真剣な表情で


「では、これから私が見たい景色を・・・ハーッ!(気合い)」


皆が思わず身を乗り出したけど、何の変化もなく。
「あ、鏡の方も休演期間でした(笑)」あはは、そういうジョークだったのですね。



小道具の説明の中で、ベルが冒頭で読んでいる本を初めて知りました。
最初に返すのは 「ジャックと豆の木」、本屋さんがプレゼントしてくれるのは
「リトル・マーメイド」。
野獣の椅子は、手すりがまっすぐじゃないので、暗い中でビーストがここに立つのは
大変そうだなあとか、コッグスワースの茶色の手袋にまで木目の模様が入っているとか、
近くで見て初めてわかることが沢山ありました。


質問 「衣装の早変わりの細工はされているのですか?」
これは男性スタッフさんには予想外だったみたいで、「え・・どうでしょう・・?」で、
女性スタッフさんにバトンタッチ。
マジックテープではなく、ファスナーで着脱がほとんどです。
早替えの工夫としてはワンピースに見えても上下セパレートで、頭からかぶらないように
出来ている衣装もあります、ということでした。
なるほど。女性のロングドレスを短い時間で着替えるのは大変ですものね。



あとはモリースの車、ベルとビーストが食事をするテーブルも展示されていました。

「モリースは自分で運転してるんですか?」
「はい、ブレーキに見えるところがアクセル、止まるときはエンジンブレーキです。」
えーこれは意外でした。歌いながら、あのセットにピッタリ来るように運転するのは
結構大変じゃないでしょうか。
実はモリースは凄いドライビングテクニックの持ち主だったりして☆




ひととおり説明が終わって、上手側から客席に降りて来ました。

あぁ〜3ヶ月ぶりのシティ劇場の客席は懐かしい匂いがします。
まさに、ホームグラウンドの土の匂い(笑)。
遠征も良いけど、地元民として、この劇場への愛着をひしひし感じる瞬間です。


しかし、舞台が低いな〜。正確ではないけど印象としては腰くらいの高さしかありません。
ご一緒した方と 「こんなに低かったら、最前列でも見切れるところが少なくて
良いかも」 と話しておりました。 


「どうぞお席に」との誘導で席に座ったら、紺の地に百合の紋章がついた綺麗な幕が
あいて、舞台の上にはテレビモニターが。
メインのナンバー「美女と野獣」をバックに舞台扮装の五東ベル、田島ガストン、
渋谷ルミエールからご挨拶がありました。


あまり細かく憶えていないのですが、
ベルが 「お楽しみ頂いていますか、ぜひ劇場へ見に来て下さいね」。
ガストンは 「今日は空っぽの劇場でしたが 次は夢が詰まった劇場へ大切な方とどうぞ」。
ルミエール 「ハーイそこのお嬢さん、キャナルに来たら僕にも会いに来てね」と、
こんな感じだったかな。 
特に渋谷さんのゆっくり丁寧な発音が綺麗。

思わず 「お嬢さんて私のこと?」 「絶対違う」 とかコソコソ言ってウケる私たち☆
続いてCMでも使われているBBプロモーションビデオが流れましたけど、
これは坂本ベルと柳瀬ビーストかな。「美女と野獣」のポット夫人は末次さんのようでした。




さて、探検ツアーはこれですべておしまい。
名残おしい気持ちでロビーに出て、エスカレーターで劇場入口に降りて行きます。



最後にスタッフさんからご挨拶がありました。
初日で段取りが悪くてスミマセン。ということでしたが、なんのなんのとーっても楽しませて
頂きましたよ。
なんだかこちらも劇場内で話すのに慣れてないというか、初日ということで皆さんも
緊張なさったのではないでしょうか。


お土産にハート形のBBの綺麗なカードを頂きました。
これは5月の開幕後に四季のカウンターでオリジナルグッズと引き替えて下さるそうです。
あとはアンケートの記入、3月13日に博多駅構内で、19日にキャナルシティ内で
予定されているイベントのご案内があってお開きに。



全部終わってご一緒した皆さんと帰ろうとしたら、出口でお世話をして下さった
男性スタッフさんに呼び止められました。
さきほど舞台の高さについて質問したことについて、答えるためにわざわざ、
追いかけてきて下さったんですね。


「実際の本番では、今日の舞台の高さより20センチ高くなる予定です」。
じゃ、上に板を重ねるんですか?と聞いたら、基本的にこの劇場には「床」というものは
なくて空洞なので、演目に合わせて板を載せるということなのだそうです。
そっか、ジーザスのように特殊な舞台もあるから、最初から固定された床があったら
不便ですものね☆


最後に質問 「休演期間中、スタッフの皆さんもお休みですか?」
「いえ、宣伝と営業があるので休みはありません。」
そうですよね、九州にとっては正念場ですもの。
「私達も家族や友達を連れて一杯見にきますので、頑張って下さい。」と
厚かましくも最後に大激励して劇場を後にしました。





今回、探検ツアーは初めての体験でしたが、俳優さんの陰の努力の場を覗かせて
頂くこともできましたし、スタッフの皆さんが笑顔で応対して下さったことにも
感激しつつ、大満足のイベントでした。
 
お世話をして下さったスタッフの皆さん、ありがとうございました。




さて福岡シティ劇場の再開まであと丸々2ヶ月。
ホントに待ち遠しい気持ちです。
全国的にも誇れる素晴らしい施設を持った劇場ですもの。 ひとりでも多くの方が
この劇場に足を運んでミュージカルの舞台を味わって下さると嬉しいなと思います。



日々、営業と宣伝活動に励んでいらっしゃるスタッフの皆さんとともに
「美女と野獣」のお城で、召使い達が待ち望んでいた客人を迎えるその言葉を、
一観客である私ですが、心から言いたい気持ちで一杯です。





    「Be Our Guest!」 

 


                              どうぞ、福岡シティ劇場へ♪ 







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