エリザベート観劇後のホワイエ

ようこそ、いらっしゃいませ〜♪

こちらは、「エリザベート」終演後のホワイエです。




もともと余談だらけの観劇日記ですが、このホワイエではさらなる余談(笑)をお届けします。



初めての演目を観劇すると、誰でも色々なギモンがわくものだと思いますが、
私の「エリザベート」観劇に関しては、ルキーニのセリフにそれがありました。


    「死は彼女を愛し、彼女もまた死を愛したのだ」


物語の最初に出てくるセリフですね。
で、初めて見終わったときに思いました。


   「トートがシシィに一目惚れしたというのはわかるとして、シシィは
    いつトートを好きになったの?」


誰でも生きている者は死から逃れることは出来ない。
そう考えると拒み続けるシシィも、いつかは必ずトートの手に落ちるわけですから
シシィが死を愛するという根拠がないなあと不思議に思っておりました。


でもパンフレットに載っていた「エリザベート」誕生話にこういう一文があったんですね。
新作ミュージカルのストーリーに悩んでいたクンツェ氏は、ある日、ふとしたひらめきを得て
メモに書きつけたそうです。



    「死に憧れていた皇后シシィは、ついに『死』に出会う。
     詩人ハイネの若い頃に似た、金髪の青年に恋をする」



これを読んで思いました、なるほど〜☆☆


日本では詩人ハイネと言ってもぴんと来ないけど、あちらではおなじみの文豪でしょうし、
なにより舞台の中でハイネとシシィの関わりが描かれる意味がやっとわかりましたわ。
日本初演が宝塚であったことから、トートの扮装がより神秘的に少女マンガチックな
長髪になったけど、外国のトートが案外普通の青年風なのはこういう理由なのですね。


東宝版では、トートとハイネの関係はまったく無視されていますが、どこか
ルキーニのセリフにでも、これを匂わせるような言葉を入れたらどうなのかなあ。
日本のお客さまには、詩人ハイネに似た「死神」と言われても 「???」 かしら。


ちなみに ハインリッヒ・ハイネ(1797〜1856) はドイツに生まれ、詩人として活動した
後、フランスに亡命してパリでその生涯を閉じました。 
「ローレライ」 それからシューマンが曲をつけた「詩人の恋」が特に有名だそうです。
・・正直言って私も、名前以外はあまり知らないのですが☆ 



さて、話を戻して。   もし自分が心酔する詩人に似た「死」が現れたら?
ついつい考えてしまいますね〜。
たとえば宮沢賢治に似た「死」、中原中也に似た「死」。
なーんて、それだけでひとつの物語になりそうです。


ハイネの詩を愛するシシィにとっては、薄闇にトートが何も言わずに佇んでいるだけでも
ひしひしと吸引力を感じたでしょうし、 「共に行こう」 とトートが誘う未知の世界が
さぞ魅惑的に感じられたことでしょう。


ハイネはシシィの精神の背骨であり、空想の翼そのもの。
そのハイネに似た「死」が語る言葉がどれほどシシィの感覚に訴えかけたかを考えると
トートの誘いを拒絶する彼女の、大変さもわかろうというものですわね(笑)




  ・・・・・☆・・・・・☆・・・・・☆・・・・・☆・・・・・☆・・・・・☆・・・・・☆・・・・・





 さて、今回のホワイエ最後のオマケに、
 エリザベートの空想キャストを考えてみました。



    ☆四季俳優さんが「エリザベート」を演じるなら?キャスト 



             トート   高井 治
             エリザベート 濱田めぐみ
             フランツ   柳瀬大輔
             ルドルフ   畠山典之
             エルマー   内海雅智
             ルキーニ   芝 清道
             グリュンネ伯爵他   青山明、青木朗、
                   重臣たち   川原洋一郎、喜納兼徳




うーん、スミマセン、なんだかすごーく悩みました(^^A)
現在の東宝キャストがなかなか良くできてるし、正直言って私の乏しい四季俳優さんに
関する知識では、イメージにあう人材が探しきれなかった感じです。


一番、難航したのはルドルフ役。 少年の面影を残すほど若いけど、
安定した歌唱力と、どこか線の細い上品さのある俳優さん・・・これがなかなか。
パク・トンハさんだって30代だし、実年齢を完全に無視しちゃえば
良いんでしょうけどね〜。


それはさておき、このキャストの見所はやっぱり高井トートですね。


うふふ。想像して見て下さいよ、銀色に輝く長い髪に、胸に光る十字架。
ゴンドラに乗って登場する高井トート・・・(これこれ、笑うところじゃありませんよ☆) 

ま、扮装はともかく、高井トートは山口さんとも内野さんともちがう、暗いエロティシズムを
備えた黄泉の帝王になりそうな気がします。



ルドルフとの死の接吻も、山口トートのように優しくもなく、かといって
内野トートみたいにシャープな感じでもなく。


もう、キスの前から目力と声の魔力で、身体が痺れて動かないようなイメージかな。
くちびるが触れるのは一瞬だけど、それでも合図には十分。


ピストルを渡す手は限りなく優しく、指をからめながら・・・。



なーんて、なかなかイケそうじゃありません?
ナイフのように時折ひらめく冷たさと優しさのバランスが、高井さんには
結構ピッタリかもしれません。



 ・・・と、最後は思いっきりの妄想キャスト(笑)ファンの皆様には失礼をば☆




       ホワイエにまでおつきあい下さり、ありがとうございました(^^)




   さあ、いよいよ2005年は「オペラ座の怪人」再演、心おきなく浸るぞ〜〜☆





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