ジーザス・クライスト=スーパースター 
         
                   〔エルサレム・バージョン〕


         

                              福岡シティ劇場 1階 S席  F列19番
                                               


                      当日のキャスト



  ジーザス・クライスト 柳瀬大輔   ユダ 芝 清道   マグダラのマリア 金 志賢
  大司教カヤパ 高井 治    アンナス 喜納兼徳   司祭1 長 裕二  
  司祭2  増田守人  司祭3 小林克人   シモン 高 榮彬  ペテロ 賀山祐介
  総督ピラト 村 俊英    ヘロデ王 半場俊一郎  
  

今回の福岡ジーザスは3週間公演。
オペラ座7ヶ月半のロングランを経験した後だと、ホントにあっというまです。観劇日記をどうしようかなと思っているうちに、もう楽週まで来てしまいました。
実は今回のレポは、個人的には観劇6回目の分です。
あまりに観劇の間隔が短すぎて、レポ作成が時間的にも気分的にも難しくなってしまいました。ただ、この6月10日ソワレは、色々な意味で印象深い観劇になりましたので、詳細レポとして記録に残しておきたいと思います。




オーヴァチュア


お馴染みになった冒頭シーン。
この暗い中でのスタンバイ、誘導もなしに定位置につくのは、かなり難しいのでは
ないでしょうか。
私だったら目も悪いし、思わず誰かを踏んじゃったりしそう☆

傾斜の向こうから登場する柳瀬ジーザス。最初の頃とは前髪の長さがちょっと変わってますね。初日なぞはかなり顔に髪がかかって、表情も見えにくい感じだったので、少し短めに変更されたのかもしれません。
群衆が起きあがり、ジーザスに救いを求めるように群がっていきます。



彼らの心は天国に

中央に膝をついて座った芝ユダは、ロックのリズムに合わせてのダンス。
初日はあまり感じなかったけど、この芝さんの動きって宗教的な演目に不謹慎ですけど
なんだかすごくセクシー(笑)
思わず手を挙げて
「あれはいいんでしょうか、先生!」って質問したいくらいです(爆)
だって芝さんには、なんとなくもっとぽっちゃりというか、がっちりというか
個人的には「ユタ」のゴンゾ役に近いイメージを持っていたのですが、今回初めて
芝さんに直接お会いしたら、手足も腰も細くて、案外華奢な体型だったんですもの。


特に両手を真上にさし上げて、顔をちょっと横向き加減に目を閉じている時の
腰の動きなんて、純情な乙女(・・え?)には赤面モノ。
後ろでは柳瀬ジーザスが民衆を癒し、静かに「奇跡」をあらわしているという、
信仰者の方にとってはホントにありがたい場面なのにスミマセン。


さて群集の陣容が変わり、病人と家族らしい人が中央に出て、ジーザスが膝をついて
癒しを与えてる姿勢のままストップモーション。
ユダのソロが始まります。 ここの演出、映像的で好きです。
しかし、この病人役を村さんがやっていらっしゃるのにはビックリ☆
最初の頃は気がつかなかったのですが、教えていただいてからは最大の楽しみの
一つになりました。
だって、ジーザスに手を握られて顔をあげ、村さんがあのキラキラした目で下から
柳瀬さんを見つめるんです〜☆ ファントムなのに(笑) ボロボロの衣装で、地べたに
座っている村さんが珍しいやら可笑しいやら。丸っこい背中が可愛いけどあまり病人には見えないような気もする(爆)
芝ユダソロの間、役とはいえ男同士で3分くらい手を握り合っているのも、
よく考えるとなんか面白いですよね〜☆


動かないジーザスの周りを歩き回り、民衆の心のうつろいの恐ろしさと、
自分の言葉に耳を貸さないジーザスへのもどかしさを歌う芝ユダ、表情と声と音楽が
無理なく一体になって説得力がありますね〜。
やがて下手奥の上の方から光が差して、皆がそれを仰ぎ見るのですが、ジーザス
だけはそれでも動かない。あの光は何を意味してるんだろう?
奇跡、それとも民衆の希望なのでしょうか。



今宵安らかに

金さんは「キャッツ」のグリザベラ役を演じていらっしゃった方ですね。大人っぽい
ハスキーな声で、人生の辛酸をなめてきた娼婦という役柄にはピッタリかも。
ただやっぱり、ところどころで韓国語なまりの日本語になるのは仕方ないのでしょうね。
水で顔を冷やすマリアに「ありがとうマリア」と笑顔をみせるジーザスと、いとしげに
彼の肩に顔を寄せる金マリア。


ただ、金さんが座ってジーザスに歌いかける姿勢、ちょっと観客に背を向けすぎじゃ
ないかなという気もします。井上さんはたしか横顔は見えてましたよね。
上手のユダは膝をついたまま、思わず身を乗り出してこの様子を見つめます。
こういう細かい表情も芝さんはうまい!
嫉妬心と苛立ちを胸に立ち上がったユダが、ジーザスに異議を唱える場面
「不思議です あなたはなぜ このような女にかまうのです」
ここの曲調、好きです。歌詞はジェラシーで一杯だけどね(笑)


香油を塗られるときのジーザスの恍惚とした表情。
足にも香油を塗るマリアを見つめる、優しい目、そのいとしげな微笑み。


高い香油を無駄にしているとユダがとがめる時、柳瀬ジーザスは目を閉じて
かすかに首を左右に振るんですね。「お前はなにもわかってない」と
ため息のように口を小さく開けていらっしゃいました。



ジーザスは死すべし

カヤパと司祭達登場。 
6回目ともなると、司祭さんたちの区別はもちろん、細かいところも楽しめるように
なりました。でも、お隣の席の若い女性は、たぶんこの演目初見の高井ファン
だったのではないでしょうか。高井カヤパが登場したら、とたんに笑いをこらえて
肩が震えていらっしゃいました。
・・・うふふ、お気持ちはよくわかりますよ、お嬢さん♪
高井ファントムのイメージからすると、シリアスな役には変わりないのですが
なにしろ、あのミッキーマウス帽子がね〜☆
ええ、ええ大丈夫ですよ。なに、すぐ慣れますから(笑)


高井カヤパさま、今日はちょっとメイク薄いですね〜。ていうか眉が最初の頃より
ちょこっと細くなってるのかな。アイラインも初日あたりの方が濃く入れてらしたような
気がします。
眉が薄くなると、素顔に近くなるから(笑)個人的にはちょっともの足りないなあ。
ファントムもそうだけど、この役も素の高井さんとの別人度が高いほど、
役者としての醍醐味が感じられて良いと思うんですけどね。


しかし、中央に立って目を左右に光らせる表情が、悪人って感じでよいわ〜。
喜納アンナスも悪役なんだけど、ちょっとコミカルな印象なのはなぜでしょう?
「バプテスマの」とかの歌い方がちょっとひっくり返ったようになるからでしょうか。



狂信者シモン

暗転後、トランペットの音とともに皆が苦しみ出します。
ここの意味がよくわからないのですけど、ローマの圧制に苦しめられていることを
象徴しているのかな。圧制の苦しみから民衆を救うのが、ジーザスだということで
シモンが歌うのだと解釈しているのですが、合ってるのでしょうか?
とにかく、宗教的な背景もある話なのでちょっとわかりづらいところがありますね。


初日はかなり音程がずれた高シモンのソロ、毎回ドキドキしますが、
今日は高音も大丈夫でした。ただ、ラストがちょっとふらついたかな。
歌はちょっと不安定だけど、高さんルックスも可愛いし、「シモンも」とジーザスに
呼びかけられた時の仕草とか、ジーザスを先導して歩く若々しい動作には
魅力がありますね。
女性観客が今回のジーザスでテイクアウトしたい若手ナンバー1では?(笑)



ピラトの夢

村さんのオペラチックでない歌い方を聞くのは、「キャッツ」のアスパラガス以来。
青いライトに照らされた、しっとりした歌い方になんともいえない、
けだるさがあります。これは予知夢なんですね。
神秘的な演出がおもしろいけど、これってオリジナル版もこうなのでしょうか。



ジーザスの神殿

奇跡と癒しを求めてジーザスに群がる群集。
次から次から沸いてくる群集に巻き込まれているうちに、恐怖に
飲み込まれそうになるジーザス。


押し寄せるだけでなく、絡みつくように回転する
群集に、恐怖と嫌悪感を感じるジーザスの気持ちが見ている観客にも伝わります。
なんかこの場面を見ると毎回車酔いみたいな感じになりそう☆



私はイエスがわからない

金マリアのソロ、大きな拍手がおきていました。
ただ、個人的にはこの場面、ただ立っているだけじゃなんとなく伝わるものが
少ないような印象なのですが。
もう少し動きをつけても良いような気がするんだけどな。



裏切り・賞金

エレキギターの響きの中。
傾斜からとぼとぼおりてくるユダ。疲れ果てているような様子です。
地面に渦巻きの照明が現れて、何に耳を傾けるのか少し放心状態でうろうろ
して、芝ユダは投げつけられる石をよけるような仕草をします。


カヤパたちが逮捕礼状を見せ、ジーザスの居場所を教えてくれたら金を払うと
言う場面。
芝ユダはカヤパとアンナスの間に膝をついて座っていますけど、今日は逮捕礼状を
見ていませんでした。
最初のころは確か示された礼状を、一応見てたと思うんですけどね〜。


この日、なんだか全体的に芝さんと柳瀬さんの感情のテンションが、お互いに
高まりあっているような印象を受けましたから、そういう関係もあったのかも。
カヤパとアンナスに押し出される場面も、芝ユダの目がホントに、
助けを求めるようにおどおど泳いでいて。
金を受け取るのに、しり込みしながらも逆らいきれない情けないほどに弱い男。


「とれよ とれよ ただの金」
高井カヤパの憎たらしげな声が、ホントにもう☆・・素敵(爆)
他人を利用する側の冷酷な表情と、明確な対比をなす芝ユダの
震える小動物みたいな表情が最高でした。



最後の晩餐

ジーザスをついに裏切ってしまったユダと見つめあうジーザス。
ユダがだんだんと顔をあげられなくなって、ついに突っ伏してしまうこの感情の
流れはよく表現されているなあと毎回感心してみています。
恥と後悔にまみれ、またそれを見抜かれていることに衝撃をうけるユダ。


愛するジーザスに「思うとおりに出て行けばいい すぐに去れ」と言われたときの
彼の心情を思うと、一番救われたかったのはユダとジーザスなのかもしれないと
思ってしまいます。


ユダを突き飛ばすようにして、上手側に座り込んだ柳瀬ジーザス、感情の
高まりのままに伏せた顔を左右に振るようにして、泣いていらっしゃいました。
芝ユダも「こんなにならずに済んだのに」のあとのシャウトがほとんど泣き声。
その唇が震えてるのを見たら、思わず私も涙。。


しっかし、間に流れる弟子達の歌がどうしてこんなに暢気なんでしょう。
「私達の美しい一日もやがて暮れていく」 なんて嗚呼。
だれもわかってはいない・・のですね。



ゲッセマネの園

この日の柳瀬さんのテンションも最高潮。
いつにもましての熱演と涙がホントに凄かったです。
間奏での観客の拍手も、気迫に圧倒され最高だったのではないかと思います。



逮捕

「ヤツはあそこにいます」歩いてくるユダを見つめるジーザスの表情が
穏やかなのが逆にせつないですね。
あれほど支持していたはずの民衆が「とうとう捕らえた」とジーザスを
殺すことに熱狂する場面。


合図のキスをしてカヤパの足元に逃げ出し、地面にはいつくばるようにして
おそるおそる様子を見ているユダ。
ここでカヤパが一回だけ、ユダを見下ろすようにして二人の目があいます。
この時の残忍なほど優しい笑みをたたえる高井カヤパの表情は
必見だと思いますわ。



ユダの自殺

今日はやっぱり感情が特に高まっているなあ。
芝ユダ「あいつが死んだら 生きていられるか」も「マイゴッド」の
声も、これまでで一番長かったような。
胸をしめつけるような断末魔の悲鳴が、劇場に長く長く響きました。



ピラトの裁判と鞭打ちの刑

さて、ピラトの裁判と鞭打ちの場面ですが、前もってお断りしておきます。


今回、ここから先はちょっと横道にそれまして、
「ファントマー限定」の観劇姿勢に偏りますことをお許しください。


実は某お嬢さんとジーザスの話題で、
「鞭打ちシーンは村さん、高井さん、柳瀬さんにマリアが井上さんなら、
二人のファントムがラウルに鞭打ちするのを見てるクリスですよね」
という話になり、「おーそうだ!」と目からウロコ(笑)


ファントマーの皆様、ちょっと想像してみて下さいませ。
この場面を
「二人のファントムに仕返しされるラウルと、おろおろしながら見つめるクリス」
という風にごらんになるとなんだか別の味わいが(笑)


オペラ座を観劇なさっていない方(このページをご覧になってる以上
ほぼ皆無だとは思いますが☆)、「私はべつだんファントマーじゃないわ」と
おっしゃる皆様、それからラウルオンリーファンの皆様にはごめんなさいね。


同じ仕返しをするのでも、ちょっと同情心で逡巡をみせる村ファントムと、
徹底的に復讐しそうな(爆)高井ファントム。


もちろんファントムびいきの私、そういう視点で見るとこの場面が
ちょっと快感なのはあまりにもヒドイ奴でしょうか?(笑)
でも「オペラ座」のラストシーンでは毎回ファントムとともに悲しい思いを
させられてますからね〜。

たまには空想の中だけでもちょこっとこういう遊びを
お許しいただきたいと思うわけです、ハイ☆




さて、ここから本題に戻りまして。



スーパースター

ソウル・ガールが毎回綺麗でうっとり。この衣装、とくに足がうっすら透けてみえる
ところが色っぽくて毎回、そこに注目してしまいます。
蘇った芝ユダもノリノリで、気持ちよさそうに歌っていらっしゃいました。





この日、ジーザスを磔にした状態で、十字架を立てるのに左にちょっと傾いて
ヒヤリとしました。男性が数人がかりですから倒れることはまずないんでしょうけど
柳瀬さんも内心、ドキッとなさったかもしれません。


前半でカヤパを見て笑っていた女性とは反対どなりの席の女性は、磔の
シーンではかなりのショックなのか、身体をそらすように口に手をあてて見て
いらっしゃいました。ラストは涙をこぼしていらっしゃったようです。
もしかしたら、クリスチャンの方だったのかもしれません。2000年前に実際に
行われたことの再現だと思うと、日本人が演じているという前提はあっても
やはり万感胸にせまるものがあるんでしょうね。


カテコは、相変わらずの楽しさです。スタンディングになって観客もノリノリ。
高井カヤパは残念ながら裾をつまんで走るのはやめたみたいですが、
小指をつなぐのにせっかちなのはあいかわらず(笑)


村さんがなかなかつないでくれないのに対して、反対どなりの増田さんが
せっかちな高井さんにあわせて、早くから素直に指をつないで下さるところが
微笑ましくて好きです♪
瞬間的には男二人で小指をつないでるんですよ〜。通うのやめられないわ(笑)








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2004年6月10日(木)ソワレ