オペラ座の怪人 


         

                              福岡シティ劇場 1階 S席  C 列20番
                                               


                      当日のキャスト



  オペラ座の怪人 高井 治  クリスティーヌ 村田恵理子  ラウル子爵 佐野正幸
  カルロッタ  河合和代    メグ・ジリー 荒井香織    マダム・ジリー 西島美子
  ムッシューアンドレ 林 和男   ムッシューフィルマン  青木 朗
  ウバルト・ビアンジ 半場俊一郎  ムッシューレイエ 長 裕二
  ムッシュールフェーブル 喜納兼徳

2004年3月25日(木)マチネ


前回の観劇から1日おいて、出かけました。


この前日の24日だけ、内海ラウル登場で、内海さんにとっては実質的な楽日だったの
ですね。 初登場から4ヶ月近くの連投、ホントにお疲れさまでした。


さて、主要キャストは23日から変更はありません。
平日マチネということもあるのか、今日のお客様は年配の女性の方が多かったようです。
もしかしてツアーに観劇が組み込まれていたのかな。
千秋楽まであとわずかですけど、やっぱり今日も「当日券あります」の看板が
出ておりました。




第1幕




「ハンニバル」リハーサル

河合カルロッタ、今日はちょっとお声に疲れが感じられましたね。ワガママそうだけど、
実は恐がりで、素直なところもかいま見えるキュートなカルロッタ。
河合さんの他の役柄も、いずれ拝見したいです。たしか「美女と野獣」のタンス夫人に
キャスティングされてましたから、いずれは京都でお会いできるかもしれません。
タンス夫人もやっぱり、オペラ座の華ですよね、小柄だし小さくて可愛いタンスかな☆
・・なーんて、もう他のことに気を移してる私は、なんという節操なし(笑)
お許し下さいませ。


ちょっとお疲れ気味の河合さんに対して、半場ビアンジは今日はなんだか
お声の調子がよさそう。
朗々と響き渡る美声を楽しませて頂きました。


新支配人とルフェーブルさんが登場して、皆に挨拶をするところ、
フィルマンさんの「お会いできて光栄です、シニョール」に応えたものの、無視された
格好になったビアンジさん、小さな声で「人が挨拶してるのに!」っておっしゃってました。
これが石井ビアンジだと、「フン」ってそっぽむくところがカワイイんですよね〜。



スミマセン、ここは個人的な余談ですけど。(いつものこと?・・ははは)
こうやって観劇していてつくづく思うんですけど、
どうも昔から私の美意識は、男性に長身を求めてないところがあって、
というよりどちらかというと、手足短めが好きなような気がします☆
きっと、前世でアザラシとか、パグ犬に命を助けられたのね(爆)



閑話休題。



細かいところなんですけど、ブケーさんが「いたとすりゃあの化け物さ」と
言いながら大道具の縄を差し出す場面。
ここで深見ルフェーブルは「汚いものを近づけるなよ」って感じで縄を遠ざける仕草が
あります。ちょっとコミカルな感じで、好きだったんですけど
喜納ルフェーブルは、これはやらないんですね、ブケー自身に対して
「あっちへ行け」という仕草だけ。



ラウル登場

やっぱり佐野さんに注目してしまいます。
ボックス席の佐野ラウルは「ブラヴァ」をクリスに向かってではなく、正面を向いて
やります。たしか、内海ラウルは実際にクリスに顔を向けていました。
佐野ラウルの方が、より観客を意識して、演劇的な動作になっているのですね。
促されてイスに座ってからも、嬉しそうにクリスを見つめているラウル。
見てるこちらも嬉しくなってしまう♪


クリスの楽屋

ワインを持って楽屋を尋ねてくるラウル。細やかな演技が楽しみになっています。
佐野ラウルと一緒だと、村田クリスが表情も可愛く女の子らしく見える
から不思議〜。
年齢バランスもあるのかもしれませんけど、佐野さんの甘いリードに、自然と
女性らしい何かを引き出されるということなのかもしれません。



ファントム登場

高井さん、お声の調子が良さそう。
前日の公演は劇団代表の視察があって、舞台全体に緊張感が
みなぎっていたと聞きました。
もしかして今日はその反動で、まったりモードになるのかなと思っていたのですが、
杞憂に終わりそうです。
丁寧に、かつ気合いを入れて歌ってらっしゃる感じでした。


しかし最近、やっぱり笑ってるよね。髪撫でつけポーズのあたりで思いました。
ここ、歌はないのに高井さん、かすかに口をあけていらっしゃいます。
身体を撫で上げるのに、そんなに嬉しそうにしていいの?
なんともエロティックというか、上品なストリップを見てるみたいだ(爆)
ショーとしてはいいけど、クリスティーヌへの愛情とか感情表現を
忘れないで欲しいです。 ミュージカルは歌+演技だよ〜☆



支配人のオフィス

以前から不思議なんですけど、
「プリマドンナ」の直前の青木フィルマンさん、「求めて〜る」と言ったあと、いつも
ぱっと目をつぶって緊張したような表情になります。
思い切って言ってみたけどカルロッタの反応を怖がってるような感じ?



イル・ムート

この前の場面、幕が降りてラウルとムッシュー・アンドレの声が聞こえているあたり、
なんだかいつもより大道具の音がギシギシばたんばたんと言ってました。
ファントムの声がすると、ラウルと支配人さん達のあいだでいろいろ合図があるのが、
面白い。あたふたする支配人に「どうしたんだ」ってマイクを通さないけど厳しい声を
出す佐野ラウル。不審そうな表情がうまいです。



オペラ座の屋上

ラウルとクリスのデュエット、今までわりにぼーっと聴いてたんですけど(笑)
佐野ラウル復活で、歌詞の言葉をかみしめるように拝見することができました。


闇の世界にとらわれるクリスを、孤独から救い、光と喜びの世界に導くことを誓うラウル。
40回以上拝見して、この日はじめて二人の歌の中に、愛と光の喜びみたいなものを
感じました。(遅すぎる☆)


しかし、佐野さんキスが長ーい。
もう、ご一緒した方とも「歌に間に合うのか心配になったね〜」とあとで
お話ししたくらいですわ(笑)
キスした後、くちびるを離して何かささやいてらっしゃることもあるんですよね。
クリスの目を見つめながら、祈るように彼女の手にするキスも健在です。
佐野ラウル、ここだけでも、別料金とれそう☆



さて、エンジェル像の上のファントムなんですけど、今日は席がC列ということで
「どうせ見えないもんね」と呑気に構えていたら、エンジェル像が降りてきてビックリ!
ばっちりファントムのお顔が。
前から2列目でもファントムが見える席があるんですね〜。
全然知りませんでした。


ちょうどエンジェルの右手の隙間がぴったり、最初に顔を上げる高井さんと正面から
目が合うような位置になるんですね、しかも直線距離としては、たぶん一番近いんじゃ
ないでしょうか。
あービックリした。


初めてエンジェル像の演出を見て驚いたときみたいな気分で、
思わず子供みたいに口をあけて上を見ておりました(笑)
あんまりビックリして、歌の方はほとんど聴いてませんでした、ごめんなさい☆




第2幕




マスカレード

私の隣席の方は初見だったみたいで大階段側の幕があいたら「すごーい・・」と
つぶやいていらっしゃいました。
暗い場面が多かった舞台の中で、唯一光にあふれる美しい場面ですよね。
クリスのリフトも決まって、笑顔がまぶしいわ〜。



支配人のオフィス

ラウルと支配人さん達が、クリスの歌でファントムをおびき寄せて撃ち殺そうと相談を
するところ、クリスが怖がっています。佐野ラウル、クリスの両肩に手をかけ、
小さな声で「大丈夫」って言ってうなずいてるんですね。


ドンファンの勝利

警察長官の登場するところ、林アンドレさんの「すべてお任せいたします」の言い方が、
佐野ラウルと内海ラウルで違うという話を、以前の観劇日記に書きましたけど、
今回の佐野ラウル復活でその理由がわかりました。
佐野さんの方の言い方が全然違うからなんですね〜。
「心配するなフィルマン」「君はどうだアンドレ」の口調、なんて優しいんでしょう。
答えるアンドレさんも、自然に信頼感を表す落ち着いたセリフになるわけですね。
お二人は同期入団だそうですけど、もしかしたら常日頃からの人間関係も
無意識にあらわれてるのかなあ、なんて思ってしまいました。


さて、劇中劇の「ドンファンの勝利」
港パッサリーノも、最近は落ち着きが出てこられましたね。マントと帽子と剣をもつ
ところも必要以上にバタバタしなくなって、良くなったように思います。


高井ファントムの歌声も、今日は勢いがあって良かった。
「ともにどこまでも二人で」のところがちょっとひっくり返ったのは、ご愛敬。
クリスを想う燃えるような気持ちが伝わってきました。


銃声がして、クリスがさらわれるところ、佐野ラウルは片手を伸ばさないかわり、
支配人さん達に止められながら、何か必死で叫んでいらっしゃいます。



ふたたび地下へ

歌の勢いがある今日の高井ファントム。
「地獄の闇の中に」の「中に」がちょっと綺麗さに欠けましたけど、追いつめられる
ファントムの焦りや苛立ちが、よく感じられました。
クリスを地下に連れてきてからも、時折目を見開くようにしながら、歌って
いらっしゃいます。だんだん感情が高ぶってきた感じ。


縄を首にかけられたラウルは、スゴイ悲鳴を上げます。
対するファントムが嬉しそう☆
「手を合わせて頼むのだ」手がふるふる震えておりました。
この仕草は、やっぱり高井さんがうまいですね〜。いつも感心してしまう。
指先のそろった綺麗な手が上品なのに、ホントは人の命がかかった修羅場。
でも、なぜか高井ファントムの仕草には、そういう残忍さって少ない。
殺人犯役なのに、どこか汚れない印象なのは、やっぱり声の清潔感ゆえでしょうか。


ラストに向けて、3人ともに感情が高まってきた感じで、クリスがファントムの前に、
恋人をかばうように立つ勢いがありました。
ラウルを守ろうとするクリスの必死の表情。
そんな表情を見せられたら、ファントムも内心はボロボロだよね。
嫉妬と敗北感に胸の中が煮えたぎるはず。



クリスのキスを、佐野ラウルは呆然と見つめます。
それから歯を食いしばるように目をそらす。愛する恋人が他の男に
みずからその口づけを与えるところなんて見たくないよね。
内海ラウルは子供みたいにしゃくり上げて涙をこぼすのですが、佐野ラウルは
敵の前で泣くなんてプライドが許さないんじゃないかな。


縄を切ったあとの高井ファントム、珍しくよろよろしてるように見えました。
「お願いだー!」も激しい叫びになって。
客席のあちこちから、すすり泣いたり、ぐすぐすしている声が聞こえます。




カーテンコールは、スタンディング客が一杯。


私は2列目の席だったんですけど、なぜか最前列のお客様が着席したままなので、
最前列状態で拍手をおくることになりました。
立ってみれば、ちょうど正面が佐野さんと高井さんの中間くらい。

何度も繰り返されるカーテンコール。

こんなに間近で、拍手することもないんだなあ、もう終わりなんだと思ったら
だんだん胸が一杯になってきて、3回目くらいのコールのとき
思わず「ありがとう!」って声をかけてしまいました。
至近距離で、主役お三方にもたぶん届いたと思うし、佐野さんが、あの目で
会釈してくださってホントに嬉しかったです。
高井さんもちょっぴり恥ずかしそうに微笑んでいらっしゃいました。


でも、一番嬉しかったのは感謝の気持ちを伝えることができたということでしょうか。
皆が帰り始めても、しみじみ暖かい気持ちで、しばし座席に座っておりました。







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