オペラ座の怪人 


                              福岡シティ劇場 1階 S席 D列18番



                      当日のキャスト



  オペラ座の怪人 村 俊英  クリスティーヌ 村田恵理子  ラウル子爵 内海雅智
  カルロッタ  種子島美樹    メグ・ジリー 荒井香織    マダム・ジリー 西島美子
  ムッシューアンドレ 林 和男   ムッシューフィルマン  青木 朗
  ウバルト・ビアンジ 石井健三  ムッシューレイエ 長 裕二
  ムッシュールフェーブル 喜納兼徳

2004年3月7日(日)マチネ



福岡は冷たい風に、雪がちらつく寒い週末になりました。


前日6日のソワレも観劇してるので、今回の日記に取り入れつつ、まとめて記して
おきたいと思います。


4日の観劇はあまりにもお久しぶりで、お互いに(?)不慣れな感じでしたけど、
6日は村ファントムモードが徐々に安定しつつある印象を受けました。
さて今日はどんな舞台になるのでしょうか。



入口大看板の残り公演数は7日の公演を入れて「20」。
ホントに残り少ないんだなあと感じます。


お客様は9割弱というところでしょうか。  週末ということもあり、全席完売とはいかないまでも久々のにぎわいをみせています。

今日は今まであまり縁のなかったD列。ある方に譲っていただいて、良いお席で
ファントムにお会いできることに感謝、です♪



第1幕




オークション

喜納オークショナー、初めて拝見したときに比べれば落ち着きとメリハリが出てきた
ような気がします。でもやっぱり木槌の打ち方が・・あんなに高くから振り上げると、
音がブレそうな気がするんですけどね〜。


内海ラウル、6日は「あの人がいつも言っていた」の「いつも」が全く出なくて声が
聞こえませんでした。声量たっぷりに張り上げるよりも、反対に年寄りっぽく
囁き声で歌う方がコントロールが難しいんでしょうね。



「ハンニバル」リハーサル

冒頭の華やかなシーンですが、6日のリハーサルは正直言ってちょっと不満が
残りました。 林アンドレ、お疲れだったのでしょうか。
カルロッタの歌を聴いている間も無反応で棒立ち。
最後になってちょっと微笑むだけという省エネモード。


うーむ、最近はこの場面の反応で、その日の調子がわかるようになってきたぞ(笑)
登場シーンなのにそれで良いの?と思いましたが、7日はなんとか持ち直して
いらっしゃったようです。


喜納さんと長さんは、新旧レイエ対決。
しかしかなりの敵対心とお見受けしますわ(笑)
なんだか、にらみ合ってる時間が長いし☆


「これは失礼、ムッシューレイエ」の「レイエ」のところを妙に強調した皮肉っぽい
言い方の喜納ルフェーブル。


深見ルフェーブルは「なかなかの専制君主でしてな」も軽口をたたく感じで
おっしゃいますし、リハーサルを中断したこともあまり気にしてなさそう。
何に関しても、あまりこだわりのなさそうな深見ルフェーブル。
これが喜納ルフェーブルだと、過去にも色々二人の間にはあったんだろうなあという印象を与えます。


やっぱりバタバタ去って行き方は、深見ルフェーブルさんの方がコミカルな味が
ありますね〜。「フランクフルトにおりますので」の意味がお二人は根本的に
違うような。
深見さんはもう連絡は取れないよ、という逃げのための「フランクフルト」なんです
けど、喜納さんはホントに何かあったら連絡先はここですという意味の「フランクフ
ルト」に聞こえてしまう(笑)  これもお二人のキャラクターの違いでしょうか。



ラウル登場

余計なお世話ですけど内海さん、少々髪が伸びすぎじゃないかしら?
ちょっと襟足の毛がはねてるし(笑)  寝癖みたいでちょっと可愛いけど、一応
お手入れの行き届いた特権階級の完璧子爵さまなんだから、すみずみまでビシッと
決めていただきたいです。



クリスの楽屋

村田クリスはいつでも安定した声と演技で、安心して観ていられますね。
この日、「エンジェルの声が聞こえる、包んであたしを」のところの表情が
とっても良かった。


この場面のクリスティーヌは、ファントムのことを亡き父がおくってくれた天の使いだと信じているわけですね。まだラウル出現の影響も少ないし、ファントムとクリスティーヌふたりにとって一番幸せな時期でもあります。


村田クリスの表情は、それまでの数ヶ月間、音楽の天使と共に歌声の翼を大きく広げてきた彼女の憧れや幸福感、ファントムに対する尊敬や畏怖を感じさせてくれたような気がします。


以前の観劇日記で、沼尾クリスと高井ファントムの歌のお稽古が、
スポ根もののコーチと生徒みたいな感じを受けると書いたことがありますけど、
村ファントムと村田クリスなら本当の意味での師と教え子って感じでしょうか。


手のひらの中に花のつぼみを包み込み、淡い色あいの花びらを寒さから
守るように、彼女とその声を愛し、慈しみ育てた彼。
厳しさの中にも辛抱づよくクリスティーヌの成長を見守ってきた、そんな関係を
想像させてくれます。


正直言って、個人的には村ファントムの父性を以前はあまり感じていなかったの
ですが、(クリスのことを充分男として見てるし、そういう色気も以前は一杯あったと
思うので)3ヶ月ぶりの再登場、今日の観劇では、なぜか父性の方を
強く感じますね。

というか、今回ちょっと老成しちゃってるのかしら(笑)


ただホント言うと、実年令がいくつになっていようとも、ファントムという人物は
クリスに対して、父性はあまり持ち合わせていないと私は思ってるのですけどね〜。


どうしても見てるこちらが年令バランスで父と娘を感じるだけであって、
ファントム自身はあくまで女性として、または逆に得られなかった母性愛の
一部として、クリスティーヌを激しく求めてると思うのです。


そういう意味で、今回登板の村ファントムはまだ、そういう方面のスイッチが
入ってないような気がするのは私だけでしょうか。
・・まさか、もう二度と入らないってことはないよね☆



さて地下の場面。
なんだかんだ言ってますが、7日のこのシーン、かなり良かったです。
4日に驚かされた、村リサイタル状態(笑)も多少落ち着いて、
「The Music of the night 」、情感あふれる歌声を聞かせて下さいました。


「心のおもむくまま〜」の力強く伸びる声と、その残響が実にドラマチック。
「君は私のもの」をうって変わって繊細に歌うところなどは、きっとご本人も
好きなところなんだろうなあと思います。


羽交い締めシーンは、高井ファントムに慣れた目からするとかなりあっさり。
最初にクリスの身体の前にまわす左手からして、触れないように
浮かせてますもの。
当然自分の顔に触れさせたあとの右手もさらりと、型どおり流すだけ。


しかし急に動き出す人形を見てクリスが気を失う場面ですけど、
村さーん、完全に倒れる前から下手に歩き出すのは、いくら何でも早すぎでは?
気を失うのが前もってわかっていたわけではないはずですからね〜。



支配人のオフィス

いつも元気な青木フィルマンさん。元気よすぎて最近はちょっぴりムダな動きも多くなってるような気もします。でもこの方きっとサービス精神旺盛なんでしょうね。そういうところ、大好きです♪


今日は新聞投げで幕にぶつかって落ちた新聞を、セリフをいいながら拾って、途中で机の上にポイっと置いてらっしゃいました。 手紙も片手に持ってるから、急にあんなもの拾っちゃって段取りがうまくいくのかとちょっとハラハラしてしまいました☆


「イル・ムート」

荒井メグは、ここでも魅力一杯ですね。ちょっとたれ目がちなのが優しい印象。
くるくる変わる表情がキュートです♪
見てるだけで楽しくなってしまうメグ。

2月のリハーサル見学で、荒井さんが真剣な面持ちで深見さんのチェックを受けていらっしゃったことを思い出します。どの場面も精一杯演じてる感じで、好感度大ではないでしょうか。


さて「ボックスの5番はあけておけと言ったはずだ!」の村ファントム。
やっぱり移動のたびにアーチがギシバタいってます〜(涙)。


以前から言われてることですけど、村ファントムってば、不思議とこういうところが
アバウトなんですよね。
まあ、そういう詰めの甘さが憎めないところではありますが(笑)。
でも天井裏のネズミじゃないんだから、観客が「ほら、あそこあそこ」って
指さすってのも、いかがなものかと時々思いますわ。マジで。




第2幕



マスカレード

今日もついつい喜納さんに注目してしまいました。
リフトも綺麗に決まって、見る方も内海さんもホッとしています(笑)。
いつもリフトのあと心底嬉しそうに笑うのが、可愛くも面白いですね〜。


しかーし、相変わらずマダムジリーを問いつめるのが乱暴だなー。カンテラって実際には火が燃えてるはずだし、そんなに無防備にグラグラさせられるものではないと思いますよ。



墓場にて

この場面、村ファントムがクリスを呼び寄せる声が優しくて綺麗なのは
もちろんですが、もうひとつ、個人的に好きな動作があります。


「エンジェル・オブ・ミュージック 私の大切なひと」のところ、
村さんはまっすぐ伸ばした手を胸元に持ってくる、つまり前後運動なんです。
で、「大切なひと」の部分がちょうどクリスに差し伸べた手を、自分の胸に押し当てるようなタイミングになり、歌詞のムードとぴったりマッチするような気がします。


「ここだ、エンジェル・オブ・ミュージック」もお互いに手を差し伸べあった感じなので、
ラウルの邪魔さえ入らなければ、鏡の後ろからクリスをさらったときみたいに、
もう一度彼女を手中に収めることができたのではないか。

二人はやっぱりお互いを必要としてる、そんな絆を感じる部分なのです。

とはいえ、クリスの精神状態の不安定さに、ファントムがつけ込んでるのも
確かですけどね☆



ドンファンの勝利

石井ビアンジ、以前は「胸が高鳴る」のところで胸に当てた両手を上下させていらっしゃいましたけど、最近はこの動作をあまり見なくなりました。ちょっと寂しい☆



ふたたび地下へ

この日、ここあたりからラストに向けて、舞台の緊迫感が出てきて
とっても良かったと思います。
村ファントムモードがようやく照準をあわせてきた感じ。


4日、6日の村ファントムは最初から負け戦に挑む感じが強くて、ちょっと
哀れすぎましたけど、今日はかなり強気に出て下さって、基本的にファントム寄りの
私としても(笑)嬉しかったです。
高井ファントムに比べれば、怒りは少なめですけど、クリスに対する執着や、焦燥感はあらわれていたような気がします。


佐野ラウルと村ファントムは男同士の対決という感じでしっくり来るのですが、
内海ラウルだと、やっぱり年齢差が大きく感じられるのは仕方がないかな。
原作の設定としては20代はじめと40代後半でしょうから、これが
当たり前なんですけどね。


しかし、村ファントムはあまり内海ラウルに全力でぶつかってるような印象を
うけないのは何故なのでしょう。 もっとハッキリ言うと、彼はクリスだけを
見てるというか、ラウルのことは目に入ってないような気がする☆


クリスの表情や言動に敏感に反応する村ファントム。
「みにくさは、顔にはないわ」と言われて首をかすかに振る仕草や、
「穢れは心のなかよ」でクリスのまっすぐな視線に、ふとたじろぐ目の表情。


これをオーバーアクションというべきではナイと思いますよ〜。 



この日、キスを受けたあと、ラウルの縄を切るまでの緊迫感はさすがでした。


ボートに乗って去るラウルとクリスの歌声が、遠慮がなさすぎるというのも
確かですけど、正直言ってあまり気になりませんでしたね〜。
(ついでに靴音キュッキュも忘れとりました・笑)



高井さんとはまた別な魅力を感じさせる村さん。
今回いつまで登場なのかわかりませんけど、そのビロードのような美声の
ファントムパワーを、存分に発揮していただきたいと期待しておりますわ☆



さあ、あと3週間。 こちらもがんばるぞー!






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