オペラ座の怪人 


                              福岡シティ劇場 1階 S席 H列19番



                      当日のキャスト



  オペラ座の怪人 村 俊英  クリスティーヌ 村田恵理子  ラウル子爵 内海雅智
  カルロッタ  種子島美樹    メグ・ジリー 荒井香織    マダム・ジリー 西島美子
  ムッシューアンドレ 林 和男   ムッシューフィルマン  青木 朗
  ウバルト・ビアンジ 石井健三  ムッシューレイエ 長 裕二
  ムッシュールフェーブル 喜納兼徳

2004年3月4日(木)マチネ

福岡は午前中から雪になりました。
おいおい、もう3月だよ。 これぞ「忘れ雪」ですね。  寒がりの私には辛すぎる〜☆


サイトをオープンして1ヶ月半。村ファントムでの観劇日記を書くのは初めてです。
個人的には最後に村さんにお会いしたのは昨年11月28日でしたから、3ヶ月あまりのご無沙汰だったわけだ。


内海ラウル、もしかしたら3月は交代かなと思ったのですが、こちらは
引き続きの連投。ラウルデビューしてみれば評判もいいし、
「なかなかいけるじゃないか、この子は(笑)」ってことなのでしょうか。
大変だと思うけど、頑張って頂きたいものです。


久々のファントム交代。さてどんな舞台になるのでしょうか。



観劇前から、同好の士の皆さんとお会いして、まあにぎやかしいこと♪
いよいよ千秋楽まで今回を入れてあと24公演。最後まで通い倒すわよ!
という異常な(?)熱気にあふれております。




第1幕



オークション

今日は初めての喜納オークショナー。
深見オークショナーに比べるとトーンが高くて、言葉もちょっとゆっくり。深見さんのセリフ回しのメリハリに比べると喜納さんのオークションは、さらさら流れていくような感じでしょうか。


木槌の打ち方も違いますね。深見さんはあまり高く持ち上げないで、手首のスナップをきかせて短く強く打つのですが、喜納さんは肩のあたりまで大きく木槌をもちあげてから振り下ろしていらっしゃいます。
別にどっちでもいいんだと思うけど、ちょっと喜納さんは子供っぽいかしら☆


しかし「ありがとうございます。マダム」の言い方など、全体に上品な艶があって、
フランス紳士らしいのはステキですわ。



「ハンニバル」リハーサル

この場面でも注目はお初の喜納ルフェーブル。長レイエとの対決「恐れ入ります」で
バチバチッと視線の火花が散るシーン、喜納さんの方が背が低いのでちょっと背伸びするようにして長レイエをにらむところが可愛かったです。



クリスの楽屋


さていよいよ村ファントムの声が聞ける〜。なんとなくこちらもドキドキします。



舞台が無事に終わり、ふと一人になったクリスティーヌ。 どこからともなく響いて
くる音楽の天使の声。



 「ブラヴァ、ブラヴァ・・」


すんごい巻き舌(笑)。



こんな感じだったっけ?


もう、今日の村ファントムの感想はこのあともずっとこれです。
テープを聞いてもそう感じるなんて、大変失礼。あまりのブランクに忘れてる部分が
想像以上に多かったみたい。


でも、もしかするとご本人もまだ復帰2公演目、「こんな感じだったっけ」状態かもしれません☆ここのところ、ずっと「キャッツ」でしたからね〜。



ザ・ミラー


「私の宝物に〜」   うわー村さんの声だぁ。懐かしい!


でも今日はちょっとソフトに始まっちゃったなあ。
この場面、闇の帝王であり皆から恐れられる怪人の登場としては、圧倒的な声量で、
劇場全体をびりびり震わせるような感じが欲しいんですけどね。


しかし村ファントム、久々とはいえ今日の歌には驚きました。

「無礼な若造め、おろか者め」のところ、完全に伴奏からはみ出てるし。
歌詞があまるんじゃないかと思うほど、ゆったり歌ってらっしゃいます。
高井ファントムの、曲より歌が先走りするクセに慣れていたせいもあるのでしょうけど、ちょっとコワクなるほどゆったりねっとり。
これは演歌調といわれても仕方ないぞ(笑)


でもたぶんご本人も、久々の「オペラ座」ナンバーで歌手魂が目覚めたというか、
気持ちよかったんでしょうね〜。


鏡の中の村ファントムは帽子を深くかぶってうつむき加減。
帽子のつばの下から見える目が時折、キラキラ輝いています。
この方、特別目が大きいというわけでもないのに、こんな風によく光を反射して瞳が
光ってみえます。  個人的には美しくて好きですね。  でも不思議☆



オペラ座の地下

トラベレータを移動する二人。村さんはちゃんとしっかり口をあけてるなあ。
っていうか、高井さんが開けなさすぎだったのね(笑)
ダミーファントムさんも村さん仕様なのかなあなんて、不謹慎なことを
考えてしまいました。


ボートのこぎ方ひとつ取っても懐かしい。
村さんはちゃんと漕いでるなあ。
っていうか高井さんが漕がなさすぎだったのね(爆)

おもわず同じオチになってしまいました。高井ファントムは流れるプール状態と
いうか、実に消極的な漕ぎ方でしたね、今思えば☆
でも考えてみれば、歌いながらボートを漕いで、催眠術をかけて、後ろ手で
柵もおろさないといけないし。短い間に結構大変だと思いますわ、ファントムさま。


いよいよ舞台に全容をあらわす村ファントム。
高井ファントムに比べると、やっぱり手の動きは少ない。あの官能的な手の動きが
ちょっと恋しいのは否めません。


でも村ファントムならではのカッコつけポーズもありますよ。髪をなでつけるところ、
かなり嬉しそうにちょっと両足を広げて立つ村ファントム。
さあやるぞ的な手の勢いがあります。


そういえば四季の会報誌「ラ・アルプ」今年の2月号でしたっけ、ちょうど
このシーンだなあという感じの村ファントムの写真が出てました。
クリスティーヌの前でセクシーな姿態を見せつけるファントムの喜びぶりが、
微笑ましかったわ☆



「The music of the night 」もかなりゆったり。
村さんもお声は絶好調でないようですけど、「空に高く」のような長く伸ばすところのテクニックは相変わらず素晴らしい。


これ、生オケだったらどこまでも伸ばしてみせて下さるんでしょうね。
今後、東京で再演されることがあったら、ぜひ生オケで村ファントムの
このナンバーを聞いてみたいものです。
しかしハッキリ言ってリサイタル状態になりそうな気もする☆


村ファントム、倒れたクリスにマントを掛けて、ちゃんと折り返してあげてました。
3日に観劇した方によるとかけたあと、左手でかなり長めにクリスの肩口を撫でて
いらっしゃったそうです。


クリスの寝顔を見下ろすように、身体をこころもち前傾姿勢にして歌う村ファントム。
1幕目、ちょっと声がかすれるところもあったようですが、「夜の調べとともに」の
ラストは綺麗でした。


アンマスクシーンで一番好きなのが 「だが、クリスティーヌ・・」の囁き。
声にならない、苦しげな調子に胸が痛むところ。
マスクをつけた後、そっとクリスの顔に触れそうな仕草をする村ファントム。


感じられるのはいとしさと、せつなさ。
彼女に触れたくても簡単には触れられない、
ファントムの繊細で一途な想いが伝わるところだと思います。



支配人のオフィス

今日の舞台、ファントム交代に慣れてないのは俳優さんたちも観客同様、だったかも
しれません。村ファントムモードには、まだちょっとなりきれていないような。


今日の村ファントム、歌はゆっくりなのに、フィルマンさんが読み上げるお手紙、
テープ声はえらくしゃきしゃきスピーディ(笑)
テープからフィルマンさんの声に戻るところ、フィルマンさんの方が遅れ気味で
ちょっぴりズレておりました。


「イル・ムート」
このところずっと港さんですね。老伯爵にしてはやっぱりちょっと声が若々しすぎる
なあ。



オペラ座の屋上

ラウルとクリスティーヌのラブシーン。四季の舞台ではキスは1回だけですが、
海外の「オペラ座」ではここ、何回もキスしちゃうそうです。
歌もあるのにそんな余裕があるの?って気もしますが、フレンチキスを
ちょこちょこって感じなんでしょうね。


なんでも回数にすると大小あわせて(笑)20回くらいという話もあるそうで。
そんなラブラブぶりを目のあたりにしたら、そりゃあファントム怒るわな。
・・私なら爆弾しかけるな☆


エンジェル像のファントム。

ファルセットの声が高ーい!高井ファントムはここ、無表情に不気味さを
表現されますけど、村ファントムは二人の歌声に、あきらかにハッとする動揺ぶりを見せてくれます。
苦しげに唇をかみしめて、耳をふさぐファントム。
嫉妬と悲しみに身を引きちぎられそうなこの様子は、一種色気がありますね。




第2幕



マスカレード

最近知りましたけど、お猿さんグループの一人はルフェーブルさんの枠なんですね。
というわけで喜納さんもマスカレードで踊っていらっしゃいます。ほっそりした白い手が
印象的。結構軽快な動きでちょっとビックリしちゃいました(失礼)


レッドデス登場。村ファントムのこの姿を「スリードア冷蔵庫みたい」(爆)と
評したのは、この日ご一緒した方。
あまりにピッタリ・・いえあの、あわわわ・・ああトラウマになりそう☆



墓場にて

ちょっと飛ばしましたけど、この場面だけはぜひ語らせて下さい。
村ファントム「ここへおいで、私の愛しいクリスティーヌ」の声ときたら、もう☆
ここだけは譲れませんね。高井ファントムも大好きですけど、村ファントム、
この下心ありありの優しい声はホントにスゴイと思います。


心身共に疲れ果て、父親の面影を求めて夜の墓場をさまようクリス。
もろくなった精神状態のさなか、こんなに綺麗でやさしい歌声が聞こえたら、
フラフラと呼び寄せられるのも仕方ないよね。


パパの皮をかぶったオオカミ男らしく、「忘れたのか」で凄みのある声を出す村さんの、
このコントラストは秀逸だと思います。


今日は火の玉が結構しっかり飛んで、ひとつはラウルに当たったかと思いました。
「宣戦布告だ」の花火も、いつもより大音響でビックリ。これはご祝儀(笑)?


警察長官も本日は喜納さん。深見さんに比べるとこういう役はやっぱりちょっと
迫力不足かな。仕方ないですね、キャラクターの違いです。
「客を入れろ、いよいよ始めよう」の後、今日は幕がうまく閉まりきらなかったよう
で、俳優さん達が歩いてるのが見えちゃいました。


「ドンファンの勝利」
さて、アミンタとファントムのからみは如何に。
クリスに杯を渡し、酒を飲ませるファントム。「振り向くな」のところ、高井さんは
ホントに振り向かせないように、さっと腕を押さえるけど、村さんはあまり重視してないのか軽く手を添えるだけです。


ファントムと知らずに後ろから両手をまわすクリス。
村ファントムは最初クリスの手を撫でるようにして握り、彼女がファントムに
気がついた途端、「逃がさない!」って感じでしっかり力が入るんですよね。 
黒い頭巾で顔は見えないけどファントムの気持ちをしっかり感じる演技です。


ビアンジの死体に驚いた荒井メグの悲鳴、かなりスゴイ。
でも最後の最後で「きゃーーあ!」尻上がりになるのはちょっと長さを
測ってるようで段取りっぽいかもね☆



ふたたび地下へ

村ファントムの哀愁、久々に拝見したけど、こんなに悲しみ一杯だったでしょうか。
かりにも劇場の皆から恐れられている天才、怪人なんだし、クリスティーヌの自分に
対する思慕もわかっていたはず。

もう少し闘争心をむき出しにしたり、子爵への憎しみとか世間に対する怒りをあらわにしても良いのではないでしょうかね〜。



「選べ」という前から絶望と悲しみにうちひしがれているような。
ラウルの首に縄をかけるのだって、卑怯なことはわかってるけど、狂気じみた
ふるまいに走ってしまうどうしようもない激情って感じではありません。



「悲しみの涙、今憎しみにかわる」とクリスに言われて、はっと顔をあげ
苦々しい笑みを浮かべる村ファントム。
最後まで悲しいファントムのまま、クリスティーヌのキスを受け。
抱擁から逃れて歩き始めるまでが、とっても長く感じました。


心持ち足を引きずるように、よろめくように歩くファントム。



クリスティーヌを見送ったあとの彼には、
もう何も・・たぶん命の炎も残っていない。


ちろちろと燃え残るロウソクの火のように、彼はこの世から消えていきそう。


そんな気がしました。



今日の舞台、大満足というわけではなかったけど、久々の村ファントムは
とにかく懐かしかった。
正直、不満なところもあるけど、やっぱりこういうところは好きだなあと再認識するところもあり。



・・千秋楽を間近に控えて、なんだか熱病再発の予感がします(笑)




        きみこむの観劇日記に戻る     銀色文字トップに戻る