今日もリハーサル見学の興奮さめやらぬままの観劇になりました。


今日のキャストは、3週間ぶりに村田クリスが復活。五東さん同様ベテランクリスということで、心安らかに「オペラ座」の世界にひたれそうな予感。

沼尾さん、頑張ってらっしゃるんだけど、どうしても小姑根性が顔を出してしまうというか、気になるところが多くて☆
ただでさえクリスティーヌの言動は同じ女性として理解しにくいのに、
ホントつらかったわ〜。



今日もお客様の入りは半分を切るかどうか、というところでしょうか。
あと千秋楽まで5週間弱。高井ファントムのラスト週になるかもしれないのに
マジで、もったいないオバケがでそう☆


今日は3列目のセンターブロック、下手側通路席に座りました。



第1幕



オークション

深見オークショナーは、いつも思うけどちょっと早口で乾いた感じの「落札!」。
昨年8月頃は、たしか岡本さんだったと思うのですが、かなりゆっくり重々しくこのセリフをおっしゃっていた記憶があります。


CDの松宮さんもゆっくりタイプのオークショナーなので、個人的にはいまだにちょっと違和感があるのは否めません。


ただ、ロンドンキャスト版のCDを聴くと、オークショナーは結構きびきびした印象の英語なので、ここはおどろおどろしくというよりは、あくまで現代的にスマートに進める方が、タイムスリップする過去との対比が明確になるのかな。



「ハンニバル」リハーサル

つい2時間ほど前に見た素顔にジャージ姿の俳優さん達が、衣装をつけてメイクを
するともうすっかり現代人の顔ではなくなってしまいます。
舞台のマジックって面白いですね。


宝石箱を持った二人の女性、リハーサルでUの字を舞台に書いて歩くようにという
チェック通り、今日はきれいに移動していらっしゃいました。


村田クリスと荒井メグの組合せは初めて。

荒井さんも先週初登場したばかりですけど、表情が豊かで優しさあふれるメグを演じていらっしゃいます。安食メグとはまた違う愛らしさがありますね。
どちらかというと個人的には荒井メグの方が好きになりそう☆


村田クリス、舞台の上に座ってバレエシューズを直すとき、他のクリスより大胆にあぐらを
かいてるように感じるのは私だけでしょうか。これってある程度決められた振りつけなんでしょうけど、あの格好を美意識の強いファントムに見られたら怒られそうじゃありません?


特に父性の強い某ファントムさんなら
「なんですかその格好は。レディが、はしたない!」って
クリス、正座してお小言をもらいそう(笑)


考えてみればクリスは言葉づかいも「わたし」じゃなくて「あたし」だし、ファントムのマスクを子供っぽいイタズラ心で取ってしまうから、これも幼さの残る女性という表現のひとつなのかもしれません。


深見ルフェーブル、「フランクフルトにおりますので」のところ、逃げるようにバタバタ去る走り方がなんともコミカルで好きです。コワモテの感じなのに、2万フランのお給料をファントムに言われるままに払っていたルフェーブルさん。


過去には喜納さんや林さんも演じていらっしゃったそうですね。
この去っていくところだけでも見比べてみたいわ〜。

風貌のイメージとしてはちょっと悲しげな瞳の喜納さんがピッタリなんですよね、
ワタシ的には。喜納ルフェーブルさんはオペラ座を出たら、ひとりホッと胸を
なで下ろしていそう。


林さんならアンドレさんのイメージが混じって、あわてんぼルフェーブルって感じかな。
2千フランの請求がきたのに、間違って2万フラン払ってたりしそうな気がする(笑)。



ラウル登場

いやあ、私すっかり内海ラウル好きになりました。  登場から3ヶ月弱。
あちこちで評判を聞きますけど、まさに急成長ですね〜。
当初は声が大きすぎてうるさかったのも、最近はかなり調整されたような気がします。


福岡公演6ヶ月半が過ぎ、振り返ってみれば内海ラウルの登場回数が丸々3ヶ月で、
一番多くなったわけですね。   このまま千秋楽まで突っ走っちゃうのでしょうか。


フィルマン夫人は大前さん。思わず立ち上がったラウルを、いつもちょっとあきれた
ように見ていらっしゃいます。目をパチパチする表情が可愛い。



クリスの楽屋

長レイエかなり慣れましたけど、クリスティーヌに指示を与えた後、ちょっと微笑む
だけで、喜納レイエみたいにガッツポーズをしないところがちょっと寂しい。


・・と、ここを書いていたら思い出しました! そういえばリハーサル見学の時、
長レイエの演技、深見さんからチェック入ってましたねえ。


「Think of me 」を歌い終わった後のクリスに下手から近づくとき、ただ歩いてくるんじゃ
なくて「いやあ良かった!素晴らしかったよ!」という感動を表現しながら
やるように、とのことでした。


単に内気な女の子だと思っていたクリスティーヌが、いつのまにかプリマドンナを
しのぐほど歌えるようになって、演出主任としては当然ビックリしてるはずですものね。
次回はそこのところ、もっと注目してみよう☆



ファントム登場

今日はちょっと下手よりの3列目ということで、鏡の中の高井ファントムがしっかり
見えます。最初拝見した時は、村ファントムみたいに帽子を深くかぶった方が、
妖しい魔物の登場っぽいんじゃないの?と思ったのですが、何度も拝見するうちに、
鏡の中からじっとクリスを見つめる熱い視線も、ファントムらしくて良いなあと思うように
なりました。


水に乾き飢えた男のごとく、灼けつくようなその視線は、ラウル子爵というライバル
の登場で怒りといらだちに燃える目。
クリスを歌声に包み込んで誘惑し、自分のものにするという決意に満ちた目。
愛する人の前に初めて姿をあらわす、音楽の天使の高ぶる気持ちが感じられます。



さて、この日トラベレータでの移動シーンでハプニングが。

まずダミーさん2人が下手から上手へ移動。次は本物ペアの登場のはずですけど。


・・・出てこない。
音楽は流れていますが、トラベレータは無人のまま。 ん? おーい。 


上手の端っこ、俳優さん達が待機してると思われる場所の隙間から、カンテラが
不自然に顔を出してはチラチラと光を投げています。


うーん、出ようとしたらどっかにカンテラがひっかかって取れなくなったのかなあ?


ようやく、上手から出てきたのはダミーファントムさんでした。
ちょっと慌てた風にうろうろしてダミークリスさんと離ればなれになったりして、
こちらも「あらら・・」って感じ☆



ご一緒した方も、あとで「カンテラが引っかかってたみたいね」とおっしゃっていたの
ですが、考えてみれば、カンテラだけの問題なら予備があるはずだし、もしかすると
出られなかったのは、高井さんか村田さんだったのかもしれません。



オペラ座の地下

気を取り直して地下の場面。高井ファントム最初の見せ場ですね。

今日は特にリハーサル見学でマントのひるがえし方の話題が出てましたし、やっぱり
意識してしまう。
でも、今日の広がり具合はいつもよりちょっと控えめだったかな☆



村田クリスを見つめながら、歌いかける高井ファントム。13週連投をものともしない
美しい歌声です。今日はとくに丁寧に、正確に歌おうとしてらっしゃるような印象を
受けました。


2時間前にちょっと恥ずかしそうにお話ししていた、あの方が・・ イベントに参加した方は皆そう思ったことでしょう。



羽交い締めシーンもようやく納得。このペアだと身長とか体格のバランスがちょうど
いいのかな。  沼尾さんは、あまりにも華奢な体型が子供っぽかったけれど、
村田クリスだと高井ファントムが肘からすべらせるように手を握る仕草も、
色気があって良いわ〜。



支配人のオフィス

カルロッタが乗り込んで来たとき、林アンドレさんの「出てきた!」は
「うわー出てきちゃったよ〜」のニュアンスですけど、以前はこの「出てきた」をホッとした
感じでおっしゃった俳優さんもあるそうで。
アンドレさんに限らないことでしょうけど、性格づけの解釈が俳優さんによって少々違ってくるのかもしれません。

しかし種子島カルロッタの抗議はホントにこわい(笑)
石井ビアンジがおろおろしてます。
マダムジリーが「ここに手紙が」「見せて下さい!」となって手紙を皆が取ろうとするところ、
今日は林アンドレさんが取り損なった手を頭にやりながらちょっと照れ笑いを
していらっしゃいました。



「イル・ムート」

村田さんのセラフィーモも久しぶり。内海ラウルが5番ボックス席で、ちょっとほほえみながらクリスを見ています。最初の頃はあまり笑ってらっしゃらなかったから、ここも余裕が出てこられたんでしょうね。
クリスが何をしても許せる、姿を見れるだけで嬉しい恋するラウル。


いつもはボックス席で、乗り出すように客席をながめている青木フィルマンさんですが、
今日はめずらしく途中から、うつむいて居眠りしてるような演技でした。


バレエシーン。リハーサル見学のときも思いましたけど、やはり最近アンサンブルの
顔ぶれが結構変わっているせいか、ちょっとばらつきが目立つようになってきました。
レベルが低いとは言いませんけど、もうちょっと揃うようになってから本番に臨まないと、お客様も納得がいかないんじゃないでしょうかねえ。


でもこのシーンの衣装、砂糖菓子のように甘く、乙女が夢見るような華やかさと愛らしさがあって大好きです。だからこそよけいにアラがめだつのは悲しい☆


今日の席、私のお隣は中学生くらいの息子さんとお母さん。しかし、この坊やがとにかく落ち着きがない。まだ首が座ってないのかキミは。
じっと座ってられないらしくてゴソゴソしたり、ペットボトルのジュースを飲もうとして、お母さんに叱られたり。ホントにもう・・と思っていましたが、この日が初見だったようで、落ちてくるシャンデリアにビクッとして真剣に驚いてるのを見たら、ちょっと可愛く思えてしまいました☆



 
第2幕




マスカレード

夢のように美しいこの場面。リハーサル見学で色々チェックされていた点がちゃんと反映されてるところ、さすがって感じです。西島マダムの両手の幅も心持ち狭くなっていました。
お猿さんの役をやる方も交代してるんですね。片足で立つところが
ちょっと心もとないかな。


そういえば、リハーサル見学の時、深見さんが下手側の石井さん達に「もうちょっとグループでまとまって、立てないの?」と尋ねたら「衣装の幅があるからこれ以上、くっついて立てないんです」と石井さんが説明してらっしゃいました。
たしかにビアンジとカルロッタの衣装、そういう目で見るとかなりの幅ですね(笑)



でました大階段のレッドデス。  笑ってはいけませんね。
でも、リハーサルで素の高井さんが音楽に合わせるでもなく、
スタスタ降りて来られる様子を拝見したあとなんで、一歩一歩踏みしめるように、音楽に合わせる歩調が逆に面白いです☆



「ドンファンの勝利」お稽古
かたまって歌ってるコーラスの中、一番後ろに深見さんがいらっしゃるそうです。
ご存知でした?(って、誰に聞いてるんでしょ)。私は知りませんでした。前の方の座席だと逆に見えないとか。こういうのを探すのもリピーターの楽しみってヤツですね。


ファントムがコーラスに紛れ込んでたりしたら、最高なんだけどな(笑)



墓場にて

またまた深見さんの話になりますけど、リハーサル見学の時に、この父親に助けを求めるクリスの場面が何ともいえない情感があるというようなことをおっしゃっていました。


前の場面から、クリスの安定を欠いていく精神状態が表現されているわけで、夜一人で女の子が墓場にやってくる異常さがそれを象徴してるってことでしょうか。


オペラ座の屋上でもラウルの歌詞に「助けだそう。すべてをつくして、君をその孤独から」とあるように、クリスティーヌの抱える孤独が物語の始まりにあるのですね。
言葉は悪いけど、ファントムがつけいるスキもここにあったわけで。


村田クリスの透明感のある可憐な歌声が、けなげに生きるクリスティーヌの心情をよく表していると思います。


いつも思うのですが、高井ファントム、セリフを言いながら火の玉を出しつつ、お墓の段を降りるのはかなりキケンじゃないでしょうか?
見ようによっては、腰が引けてる感じになってるし☆
村ファントムはこの場面、さっさと先に降りてからセリフを言い、火の玉を出してらっしゃいます。それで充分良くない?・・って余計なお世話ですね、スミマセン。



「The  point of noreturn 」

やっぱり村田クリス相手になると、先週に比べても高井ファントムの執着度アップしたようですね。見るこちらも感情移入しやすくて助かるわ〜(笑)


銃声がして飛び込んでくる内海ラウル。ホントに勢いがいいので、支配人さん達がマジで踏んばってます。思わず撃ってしまった警備隊員さんをキッとにらむ目も真剣そのもの。



ふたたび地下へ

今日はラストに向けて、3人の緊迫感がとっても良かったです。
それぞれが別の意味で追いつめられた気持ちになってるというか、次に何がおこるのかわからない感じ。
台本にあるから叫ぶのではなく、気持ちが高ぶってその言葉が自然に口にのぼってくるような高井ファントム。
村田クリスも、リハーサル見学の時に、ファントムかラウルか日によって気持ちが変わるとおっしゃっていましたけど、その場面になってはじめて感じる迷いや、衝動があるんでしょうね。


生きている人間が演じ、生きている人間が見ているからこそ
生まれる、その日、その時間だけの舞台の空気。



縄を切る前、いつもより少し長くクリスを見つめていた高井ファントム。
二人を行かせることを決意する目は、悲しみを見せまいとするあくまで男らしい目だと思いました。


玉座に消えたファントムを追ってきた荒井メグの、とまどいと畏れがこの物語が残す謎めいた終わりの印象を深めてくれて。




カーテンコールは、予想通りのスタンディング。
いつものカーテンコールが終わっても拍手が鳴りやみません。
とうとう、もう一度、もう一度と幕が開いて、歓声が上がりました。


最後の挨拶の時、高井さんが珍しく嬉しそうに微笑んでいらっしゃったのが
印象的でしたね〜。 過酷な13週連投のさなか、ホントに嬉しかったのかも。


リハーサル見学から本番まで、お疲れさまでした。




素晴らしいひとときをありがとう。   今日は心から言える舞台だったと思います。




  

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                  オペラ座の怪人 


                              福岡シティ劇場 1階 S席 D列16番



                      当日のキャスト



  オペラ座の怪人 高井 治  クリスティーヌ 村田恵理子  ラウル子爵 内海雅智
  カルロッタ  種子島美樹    メグ・ジリー 荒井香織    マダム・ジリー 西島美子
  ムッシューアンドレ 林 和男   ムッシューフィルマン  青木 朗
  ウバルト・ビアンジ 石井健三  ムッシューレイエ 長 裕二
  ムッシュールフェーブル 深見正博

2004年2月24日(火)ソワレ