オペラ座の怪人 


                              福岡シティ劇場 1階 S席 M列25番



                      当日のキャスト



  オペラ座の怪人 高井 治  クリスティーヌ 沼尾みゆき  ラウル子爵 内海雅智
  カルロッタ  河合和代    メグ・ジリー 安食智紀    マダム・ジリー 西島美子
  ムッシューアンドレ 林 和男   ムッシューフィルマン  青木 朗
  ウバルト・ビアンジ 石井健三  ムッシューレイエ 長 裕二
  ムッシュールフェーブル 深見正博

2004年2月13日(金)ソワレ

リハーサル見学から引き続きの観劇。ぎりぎりまで、今回ご一緒した皆様とおしゃべり
してたので、ちょっとあわただしく劇場へ。


お客様の入りはどうかなと思ったのですが、今日は7割くらいでしょうか。
2階のS席は空席が目立ったようです。なにしろ当日券でセンターブロック5列目に
座れるというこの状況。イベント日でもこれってかなり厳しいですね〜(ため息)。


今日は12列目のセンターブロック上手通路側。細かいところは若干見えにくくな
りますけど、全体を見渡すのには良かったと思います。

今日が個人的な観劇回数30回目。8月14日が初回でしたから、ぴったり6ヶ月
ですね。
ああ〜やれやれ(笑)





第1幕




オークション

「品物はこれでございます」のセリフの声がちょっと小さかったかな。内海ラウルの
歌声、エコーがかかってよく響きます。



「ハンニバル」リハーサル

沼尾クリスティーヌ登場。5ヶ月ぶりくらいでしょうか、お会いするのは。
リハーサル見学で素顔を見たあとだと、やっぱりメイクの方がキツイ感じ。
なぜだろう?前髪がかなり重たいバランスだし、口紅の色とかもっと、
ソフトな感じにしてあげられないのでしょうか。


しかし、歌声はなかなか綺麗です。音程が安定しているし、ちょっと太さがある
押しだしの良い声。小さな体から流れ出す「Think of me 」は、思わぬ才能を
見いだされる若き歌姫のイメージにはあっているような。


石井ビアンジ登場

今日は私にとっては、石井デーですね。ついつい細かいところまでじっくり拝見して
はウケてしまいました。短い手足で(失礼☆)ちょこちょこ歩くお姿、ちょっと女性的で
シナッぽい仕草にヤラレてます私(笑)。
河合カルロッタも、あくまでカーラを女王さま扱いして大事にしてくれる
石井ビアンジには、なんだか心底嬉しそう。
ダンサーさん達が踊ってる間、カーラの手にキスしたり香水をほめたり、
耳元でなにかささやいて笑ったり、恋するビアンジさんの細かい演技は最高です。


支配人さん登場。 
今日の支配人さんはなんだかとっても感情豊か。
いえ俳優さん全体に、今日は感情がより強く表現されているような
印象を受けました。


終演後、ご一緒したお嬢さんも同じことをおっしゃっていたので、私だけの気のせい
ではなかったのね。
リハーサル見学もあったことだし、皆さん張り切ってたのかしら。


林アンドレ、カルロッタの手にキスするのもいつもより勢いがあったし、そのまま
身を乗り出すようにした「もちろん存じてあげておりますとも」の言い方が
えらく笑顔キラキラ。

「ん〜???」おもわず私もオペラグラスを手に乗りだしてしまいそうでした(爆)


石井ビアンジの「素人どもが!」の前後の歩き方、小さい身体でそっくり返ってチョ
コチョコ歩くところが可愛い♪



ラウル登場
いつも思うんですけど内海さん「無邪気に遊んだ君のこと」のところの「きみの」の
歌声がちょっと濁るのが気になります。でも見た目のカッコ良さはどんどんアップし
てきました。
沼尾さんとのペアは初めて。どんな恋人同士になるのか楽しみ〜。



クリスの楽屋
リハーサル見学は荒井メグがお稽古中でしたが、本番は安食さん。小柄な
沼尾さんと二人、手を握りあっていると、ホントに少女の面影を残す
仲良しさんって感じです。


特にメグが「あなたダンサーでしょう?」と叱られて楽屋を出て行くのを、心配そう
に見やる沼尾クリスの表情はリアルで良かったです。
ラウルとの重唱、ふたりだど声量のバランスがなかなか
良いかも(あくまで二人だと。笑)



ファントム登場
姿はなく歌声だけの印象的な登場シーン。
おお、なんて力強いんでしょう。攻撃的な歌い方というんでしょうか。
最初から闘争心と自信にあふれた今日の高井ファントム。

ソフトに始めるのもいいけど、まさに闇の帝王を印象づけるこういう感じも良いわ♪



「若いもんには負けんぞー」



あ失礼。ついつい高井ファントムと自分の心の声が重なって聞こえました(笑)



オペラ座の地下
沼尾クリスの歌声は、夢に幻惑される少女というよりも、自分の手で自分の声を
つかもうとする意志的な女性のイメージ。
さらに上へと導こうとするファントムに、まっすぐ生徒として向かっていきそう。


数ヶ月のお稽古の間、厳しいファントムの指導にも耐え、

・・・・「コーチ!」「よし特訓だ、ついて来い!」・・・なぜかスポ根(笑)


ホントこのペア、というより沼尾クリスはストレートな関係がピッタリくるというか、
淡くて複雑な恋心という感じはあまりしませんね。
まあそれはそれでいいのかな。


高井ファントムの動作も、スマートかつ優雅に決まります。ここはいわゆる
ダンスシーンではないけど、きちんと型が決まっている感じなので安心して
美しい仕草に浸れます。


ただ、沼尾クリスの表情が子供っぽいうえに、体型もあまりに華奢で細いので、
羽交いじめシーンもそのあと手を握るところも、なんとなく大人と子供って感じに
なってしまう。

もともとの設定も、かなり年齢差があるわけだから当然なんでしょうけど、
五東さんや村田さんのクリスに比べると、ちょっとこのシーンの色香が
不足しているような。

・・ていうか、高井ファントムだけが色気ムンムン(爆)。
子供にイケナイことを教えようとしている大人みたいな感じはいかーん☆
それもやっぱり沼尾クリスの側に、恋とか憧れとか女性としての情感の表現が
少ないからなんでしょうね〜(泣)



12月の登場以来、連続11週目に入った高井さんですが、大きな崩れは
ありません。ただ、細かいところになるとお疲れもあるのでしょうか、
「夜の調べとともに」の最後はちょっとかすれ気味でした。


マスクを取られる直前、以前はもうちょっとファントムが楽譜をめくったり立ち上
がったりの動作を大きくしていたような。
クリスが手を伸ばしかけてためらう演技も、あの程度のファントムの動きだと、
ちょっとやりにくいんじゃないのかな。


「お前のことをみんなが待つ」といってファントムに立たされる動作、
沼尾クリスってば、思いっきりガウンの裾をたくし上げているので、
右足の膝から下が丸見え☆
転ばないようにしたい気持ちはわかるけど、女らしい動作じゃなくなってしまうのが
ジイは悲しゅうございます〜。



支配人のオフィス
「プリマ・ドンナ」
今日は皆さん気合い入ってましたね〜。「大事な人よ」のところで
あんなに想いを込めて、胸に手をあてるアンドレさんの表情は、
初めて見たような気がします。

6日のリハーサル見学で、カルロッタのおだて方の指導があったそうですけど、
そのおかげでパワーアップしてるのかなあ。七重唱も綺麗でした。


「イル・ムート」
沼尾さんの魅力発揮と言われる場面ですね。きりっとした男の子らしい表情、
きっぱりした動作がキュートです。この場面は平野さんが入ると、笑い声がいっそう
華やかさを増すので大好き。
河合カルロッタのカエル声も思い切りが良いのが最高っす☆


オペラ座の屋上
内海ラウルと沼尾クリス、ある方に言わせると「張りあげコンビ」(爆)だそうで。
確かにこの二人、声がよく響く響く。
沼尾さん、夢見るふらふらクリスぶりが、どうしても足りなくなるのは否めません。

内海ラウルはよくクリスを見つめてるし、佐野さんとは別なイミで熱さが出てきて良
いと思います。

ただ、顔をおおって泣き出すところ、村田クリスとか五東クリスは横向きなのに
今日の沼尾さんは後ろを向いていて、様子が見えないってのは
いかがなもんでしょうか☆




第2幕




マスカレード
内海ラウル、最近は余裕が出てきたみたいですね。肩のせリフトのあと、
ほっとしたように見せる笑顔が可愛い。沼尾さん小柄で軽そうだし、
こういうの真剣に嬉しいかもね☆


だけど内海さん、やっぱりマダムジリーの問いつめ方はちょっと厳しすぎます〜(泣)
佐野ラウルは「しかたがないわ」のところで、あきらかにホッとして腕の力を
ゆるめ、「それで?」もマダムを怖がらせないよう穏やかに話を促している
感じなんですよね、クリスだけでなく女性全般に対して優しい佐野ラウル。
若造っぽくはないかもしれないけど、正直あれだけはちょっと真似して欲しい☆



支配人のオフィス
青木フィルマンが登場するたびにリハーサル見学で聞いた「料理とビーズ細工」話が
脳裏をよぎります。
まあ、今日は仕方ないってことで許してあげましょう(?)。
オフィスで見せる青木さんの笑顔って、子供みたいなお日様笑いなんですよね。
燕尾服にエプロン姿、グローブ型の鍋つかみをはめてグラタン容器を持つ
新婚の奥様みたいな映像が、どうもさっきからチラチラして☆

私、もしかして青木フィルマンさんをお嫁にもらいたいと思ってるのでしょうか(笑)



「墓場にて」
沼尾クリスの力強い声の綺麗さは良いと思います。表情がちょっとキツイというか、
あまり細やかな感じではないけど、やっぱり歌声に魅力があるし、長く伸ばすビブ
ラートが美しい。


クリスティーヌというどこか不安定で精神的な脆さのある女性の役柄でなかったら
もっと安心して見れるのかも。「レ・ミゼラブル」のエポニーヌなんかどうかなあ?
ちょっとはすっぱでカラ元気があるけど、実は恋心を秘めていて・・・うーむ☆



「ドンファンの勝利」
アミンタの衣装って、女性が綺麗に見えるデザインですよね。襟ぐりと色のバランス
のせいか、ちょっとやせ気味の沼尾さんですけどぐっと女らしくなります。


パッサリーノ、マントを着て帽子をかぶって剣をとって・・がえらく慌ててマントが
からまったりして。ここって難しそう。


1幕目のファントムとクリス、二人のからみは色気がないなあと思いましたが、この
場面はなかなかしっとり見せて下さいました。
ただ、やっぱりファントムに気づいて逃げようとするところが
「ファントム大嫌い」っぽくなってしまって悲しい☆


銃声がして、ファントムとクリスが走り去るところ、ものすごいスピードで
内海ラウルが飛び込んできました。あやうく支配人さん達をすり抜けるかと
思うような勢い☆  やっぱ若いわ〜(笑)



ふたたび地下へ
なんか、今日ファントムの髪の毛増えてません?いつもよりフワフワしてるような。
ご一緒したお嬢さんは「お茶の水博士?」(爆)と思ったそうです。
シリアスな場面なのにスミマセン。


「母にも嫌い抜かれて」と歌う高井ファントムが真っ正面。オペラグラスごしとは
いえ、ちょっとドキドキしてしまいます。自暴自棄というか、絶望や憎しみといった
自分の醜い部分をいらだちと共に吐き出すファントム。

ここの高井さんの表情って、いつも自分自身を切り刻むような暗さがあるような気が
します。短いけど、それまでの絶望と屈辱の泥にまみれた彼の人生を感じさせる
部分です。



そして、ラスト。やってくれちゃいました、沼尾クリス。
私、昨年9月に初めて拝見したとき、ひそかに彼女を「てやんでぇクリス」と
命名したのですが(笑)、今日のキスシーンでゆるぎない信念となりました。


「今見せてあげる」ファントムを振り向かせるのに、まるで建てつけの悪い引き戸を
あけるように、両手をかけて勢いよく・・・ってそんなのあり?(目を白黒)☆
キスの勢いも、まるで噛みつくように。あーあ(ため息)


もう、なんでこんな子を好きになっちゃったの〜?ファントム〜!



聞いてみたくもなりますよ、ホントに。
声が綺麗で、ところどころでキュートな魅力を発揮する沼尾クリスなだけに、
大事なラストでこれは許せない。
指輪を返しに来るときに足音がばたばたするのも相変わらず。


正直言ってこの日、キスの後の高井ファントムの印象があまり残っていません。
盛り上がるべき心情が、「てやんでぇクリス」の衝撃で
盛り下がっちゃったからでしょうか(泣)


今日は俳優さん達の感情表現がはっきりしていて、舞台全体がとっても
良かっただけに観劇後の満足感が、最後の最後でちょっともの足りなく
なったのは残念でした。




・・まあそうは言いつつ、観劇後の喫茶ではご一緒した皆様と、大いに楽しく
おしゃべりして溜飲を下げましたけどね☆



このままでは終われないわ!
千秋楽までに「高井ファントム・リターン」を心に固く誓う一夜となりました(笑)






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